逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜   作:虹武者

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時行、初の富士登山

 ある日、両津が派出所に入ると時行が大原部長の登山靴を見ていた。大原部長が最近新しく買い替えたと言っている。

 

「おっす。」

「両さん!」

「時行、登山に興味あるのか?」

「大原さんが富士山に登ると言ってまして。私も富士山に行ってみたいなあ…なんて。」

 

 時行が恥ずかしそうに言っている。南北朝の頃は富士山なんて一度も行ってなかったため登れると知りワクワクしていた。

 

「部長。富士山行くんですか?」

「ああ。日本一高い山に一度は登ってみたいからな。」

 

 大原部長が時行に登山の豆知識を教える。両津は心配しかなかった。大原部長と以前一緒に登山した時も道に迷ったり靴擦れを起こしたりと大変だった。

 

「部長、わしも着いて行きますよ。」

「両津もか。」

「はい。部長だけですと心配ですからね。あの時のようにマリアも誘って登山行きましょう。」

「それは構わんが。」

 

 両津が強引に押す。後ろで聞いていた中川と麗子も最初は心配していたが両津が一緒なら大丈夫だろうと判断した。いや、両津に登山のあれこれを教えている大原部長を見て少しだけ心配はした。

 富士登山当日、凄い量の荷物を持った大原部長がゲートの前に来た。既に両津達が待っている。みんな、軽装だ。

 

「お前達…そんな軽装で…山を登るなど…山を…嘗めて…」

「部長、登山を始める前から息切れしてどうするんですか?」

 

 まだ富士登山すら始まってないのに大原部長はゼェゼェ言っている。時行が心配して荷物を持とうか進言するも大原部長は断った。

 

「両津、山の天気は…」

「部長、早くいかないと入れなくなりますよ。」

「そ、そうだったな。」

 

 両津達はゲートを通過して富士登山を始めた。

 

「山に入るだけでも厳重なのですね。」

「去年まではそうでもなかったがマナーを守らないバカが増えた結果、今年から規制が厳しくなった。」

「まったくけしからん奴が多くなった。」

 

 両津と大原部長が嫌な顔をする。周りの人と同じように歩く。しかし、大原部長の足取りがだんだん重くなっていた。仕方なく両津が荷物をいくつか持って登山を再開する。

 

「部長、ここでバテたら山頂にはいけませんよ。折角、来たんですから頑張ってください。」

「分かっ…ている。」

「マリア、時行。ここで一休みするぞ。」

 

 両津達はその場にレジャーシートを広げ食事を始めた。大原部長はカロリーメイトを食べる。両津達は普通にマリアが作った弁当を食べている。

 

「部長、あの時も言いましたけどしっかり食べないとこの先保ちませんよ。」

「分かってはいるが喉に通らん。」

「で、でも食べれる時はしっかり食べた方がいいですよ。」

「ほら、時行もこう言ってますよ。」

 

 大原部長は時行が差し出した弁当を食べる。一休みも終わり再び登山を始める。大原部長を労りながら歩くこと数時間、両津達は富士山の五合目に到着した。

 昼過ぎというのもあり既に車が並んでいて登山客も大勢いた。両津達も一旦ここで一休みしようとレストランに入る。大原部長は食欲がないみたいで水だけ飲んでいる。一方の両津はガッツリ食べている。

 

「よく入るな両津。」

「これから山頂に登るのですからしっかり食べないといけませんよ。」

 

 両津達は再び登山を始める。涼しい風が吹く。時行が大きく背伸びする。

 

「気持ちいいですね!」

「そういえば時行君は登山の経験はあるのかね?」

「登山と言えるか分かりませんけど逃げたり奇襲したりする際に山に登ることはありました。」

「部長、あの時代に登山を楽しむなんて風潮ないでしょ。」

「そうだったな。」

 

 気まずくなる。マリアに至っては話に着いていけてない。すると、時行が山道の途中でビールを飲んでいる登山客達がいた。周りを気にせずグビグビ飲んでいる。相当酔っているようだ。両津達も気付き呆れる。

 

「部長、あれ絶対缶をポイ捨てしますよ。」

「こんなところで飲むのだけでもけしからんというのに。」

 

 2人が見ている中、案の定登山客達は缶を捨てて登山を再開した。すかさず大原部長が注意する。口喧嘩になる両者。時行も入ろうとすると両者がマリアに缶を踏み潰させた。それを見た登山客達は顔を青ざめて缶を拾った。すっかり酔いも覚めたようだ。時行は改めてマリアの凄さを知る。

 

「やっぱりマリアさんは凄い人ですよね。」

「わしが知る限り日暮の次に強い。」

 

 もうすぐ夕方、もうすぐで山頂に着く。時行が富士山から見る夕日に感動している。

 

「どうだ時行?」

「綺麗です!」

「時行君は富士山に行ったことは?」

「ありません。出来れば三浦殿と一緒に来たかったです。」

 

 マリアの質問に時行が夕日を見ながら答える。

 

「仲いいんですか?その三浦さんと。」

「はい。三浦殿は凄いですよ!大きな体で富士山を持ち上げ投げ飛ばすことが出来ます!」

「両津…」

「さすがにあれは嘘です。」

 

 呆然とする両津達。いくら南北朝でもそんな奴はいないだろうと思っている。けど、時行のキラキラした目を見てしまうとまさかとも思ってしまう。

 それからも登り続け遂に山頂に到着した。すると、時行は目の前にある神社に驚いた。

 

「こんなところに…神社が!?」

「富士山本宮浅間大社奥宮だ。日本で一番高いところにある神社だぞ。」

 

 初めて見る神社に時行は興奮している。

 

「ここは一番高いところにあるから一番天国に近い神社とも言えるな。ここでお参りしたらみんなに伝わるかもな。」

 

 両津が富士山本宮浅間大社奥宮に向かう。大原部長も一息ついて両津の後ろを歩く。みんなで参拝する。参拝が終わり富士山本宮浅間大社奥宮から出る。

 

「時行、何をお願いしたんだ?」

「秘密です。」

 

 時行がニヤニヤして答える。両津が無理矢理聞こうとするもすぐ逃げられた。そのまま下山を始める。

 

「どうだった時行?富士登山楽しかっただろ。」

「はい!」

 

 夕日が沈んでいく。初めての富士登山を経験した時行。出来ればみんなで登山を楽しみたいと願う。ちらほら見える星を眺め両津達と一緒に帰って行った。

逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜が50回を突入した記念としてアンケートしたいと思います。皆さんはどんな時行君が見たいですか?

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  • 真っ裸刑事
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