ある日、ラーメン屋で両津と時行は謝罪会見をしているニュースを見ていた。
「何をしたのでしょうか?」
「食品偽装がバレたんだ。中国産を日本産として売っていたからしょうがない。日本はその辺り厳しいからな。一度バレたら二度と信用は取り戻せない。」
「そうなんですね。」
時行がラーメンを食べていると両津が突然立ち上がった。大原部長からの電話だった。両津はすみませんと連呼しながらものすごいスピードで頭を下げている。
「両さんも大概謝ってますね。」
両津が大原部長との電話を切る。すると、何事もなかったかのようにラーメンを食べた。それにずっこける時行。
「さっきの謝罪はなんだったのですか!?」
「一旦謝れば後はどうなってもOKよ。その辺りの切り替えの早さがわしの得意技よ。」
「両さん、よく信用されてますよね。」
「逆だ。わしがやらかす方に信用されている。」
「それってダメなのでは?」
時行が引いている。両津はそんなこと気にせずラーメンを平らげる。会計を済ませてラーメン屋を出る。帰る途中、2人で会話していると酔っぱらいが時行にぶつかった。
「おい、こら!どこ見て歩いてんだ!」
「おい。酔いすぎだぞ。」
連れが止めるも酔っぱらいの罵倒が止まらない。両津が呆れて仲裁に入ろうとした時、時行が頭を下げた。
「申し訳ございません。私の不注意であなた様に迷惑をかけてしまいました。」
「あ…あ、こっちこそ怒鳴って悪かった。」
時行の対応に酔っぱらいも冷静になり去って行った。両津は時行の品のある謝罪に拍手している。
「時行、お前って鎌倉でも謝ったこととかあるのか?」
「謝罪…というよりお願いのために頭を下げます。鎌倉奪還という目標がある以上自分の誇りよりも優先するべきことが多々ありましたので。」
「ほう…」
両津がニヤリと笑う。時行はまたかと諦めていた。両津が時行と同じ目線の高さまで腰を下ろす。
「時行。」
「私に拒否権は?」
「あるがお互い儲かるいい仕事がある。お前にしか出来ないことだ。わしはお前を頼りにしているぞ。」
(く〜!両さん!その言い方は卑怯です!)
両津に頼られることが嬉しい時行は断り難くなった。そのまま両津の新しい事業に巻き込まれる。翌日になると早速両津は時行を連れてホテルに入った。しばらく歩いていると大きな部屋に報道陣が詰め掛けていた。
「これは?」
「不倫問題で叩かれている議員の謝罪会見の場だ。」
両津が時行に説明しているとその議員が来た。両津と握手している。
「すまない両さん。聞いたよ。謝罪代行業をしているって。」
「ええ。元謝罪十段の私に任せてください。」
両津は状況を見る。罵倒が飛び交っていてかなりよくない。両津はそんな状況にも関わらずニヤリとしている。
「やってみましょう。料金は…」
両津は議員と交渉している。交渉が終わると時行のところへと行き肩に手をかけた。
「よし。時行行ってこい。」
「私!?」
「両さんが行くのではないのですか!?」
時行と議員が驚いている。両津はニヤリと笑い時行に語りかける。
「お前ならあの程度簡単に謝罪で黙らせられる。お前なりのやり方で謝罪してこい。」
「は、はぁ。」
「両さん、さすがにダメでしょ。」
議員が心配するが時行は深呼吸して会場に入った。入って来た時行に報道陣はびっくりしている。時行は報道陣の前に立つと正座した。
「この度は皆様方に多大なご不満、ご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ありませんでした。」
時行が土下座する。報道陣は最早議員のことよりも時行のことに気になってしまい罵倒すらしなくなった。それを見た議員は驚いている。
「なんですかあの少年。」
「さすが時行。あんな上品な土下座を小学生がしたらもう罵倒なんて言えん。」
「やってること最低じゃないですか私達?」
報道陣が去って行く。すると、ケロリとした時行が立ち上がり両津のところへと来た。
「これでいいのですか?」
「バッチリだ。」
「なんなんだこの子?」
(これは予想以上に使えるぞ。)
両津は時行を使って早速謝罪代行業を始める。社名を“ごめんなさい屋”にしてメールで受け付ける。近くで謝罪会見があれば時行が直接謝りに行き遠ければZoomで土下座する。両津の事業は上手くいっていた。
それは屯田署長の耳にも届いた。両津の元に依頼が来た。違反切符をとられたことに腹を立てていた男性をなんとかしてほしいと言う。両津は早速時行を連れて新葛飾署に行く。現在進行系で男性が小町と口喧嘩していた。そこに時行が行く。
「なんだてめぇ!」
「初めまして。私、北条時行と申します。この度はあなた様に不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。」
「うるせぇ!ガキは引っ込んでろ!」
男性が蹴ると時行は避けた。それが癇に障ったのか時行に暴力を振るい始めた。しかし、この程度なら簡単に避けられる。しばらく避けると男性の体力が切れて壁に凭れた。そこにすかさず時行が来て正座した。
「あなた様のおっしゃりたいことは承知致しました。今回は私が代表して謝罪致しますのでどうか怒りの矛を納めてください。後日、改めて来ていただければお互いに納得する提案をご用意します。」
「わ、分かったよ…」
時行の土下座で気が収まったのか男性はヘトヘトになりながらも大人しく帰って行った。それを見た小町達は時行に拍手する。屯田署長もホッとして拍手する。両津はその様子を見てニヤニヤしていた。
「凄い。あんなに怒ってた奴を帰らせた。」
「本当になんでもできるよね時行君。」
「署長、どうでした?」
「素晴らしいね。」
「それで料金の方なんですが…」
「君は相変わらずだね。」
屯田署長は呆れながらも交渉に応じた。両津はさらに調子に乗りあらゆるところから依頼を受けては時行を行かせる。それを続けた結果、かなり儲けることが出来た。
「よくやったぞ時行!大儲けだ!」
「なんか働き過ぎな気がします。」
「だから、こうして労ってるだろ!」
「否定しないのですね。」
居酒屋で両津が時行にご馳走する。時行はオレンジジュースを飲み干すと両津を指差した。
「両さん!私は両さんを信頼しています!両さんも私の信頼を裏切らないようにしてください!」
「お、おう。いきなりどうした?なんか酔って…」
両津が周りを見る。当たり前だがお酒ばかりだ。もしかすると気化した酒か雰囲気に酔っているのかもしれない。両津が時行を落ち着かせようと水を出す。
「ほら、飲め。」
「私は逃げ上手ですが使命からは逃げませんよ!これは両さんの使命だからやっているんです!」
「完全に酔っているな。」
時行は水を一気飲みする。
「私にだって責任ぐらいありますよ!両さんに頼まれたのですからやるべきことは全うするつもりです!」
「いいじゃないか時行。今の時代は横領、裏金、不倫、脱税といろいろなやらかしが多い。トップはその責任を負わないといけない。大将として軍を率いたお前なら分かるだろう。」
「もちろんですよ!」
「お前が言った通りプライドよりも優先しなければならないことはある。わしら男は余計なプライドのせいで素直に謝ることが出来なくなっている。こういう時だからこそ責任を持てる人間がトップに立てるのだ。」
「さすが両さん!これからも信頼してますので裏切らないでくださいよ!私は絶対にあなたを裏切らないので!」
「ああ、約束だ。」
両津は時行を連れて居酒屋を後にした。時行を超神田寿司に届け帰る。
「時行の奴。珍しく自分の思いを話したな。あいつに信頼されているか…しばらくは時行を休ませるか。よし!今夜はもう1軒飲みに行くか!」
翌日
『葛飾区のゴミ捨て場で全裸で寝ていたところを公然猥褻罪として逮捕された男性ですが新葛飾署の署員ということが…』
「ごめんなさい!ごめんなさい!本当に両さんがごめんなさい!」
「時行君、君が謝る必要はないよ。」
「そうだ。謝罪が必要なのは両津だけだ。」
全裸で寝ていたとして両津が逮捕されたニュースを見て全力で謝る時行とイライラしている屯田署長と大原部長であった。
逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜が50回を突入した記念としてアンケートしたいと思います。皆さんはどんな時行君が見たいですか?
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