ある日、雑が歩いていると新葛飾署の周辺に待伏せしている集団がいた。
「なんですかあれ?」
「久しぶりに見た。あれは両さんにツケを払ってもらってない商店街の人達で結成された借金取りだ。しばらく見てなかったから懐かしく感じるな。」
雑に新葛飾署員が説明してくれた。その借金取りのリーダー尾崎がトランシーバーを持って連絡を待っていた。すると、その連絡がきた。
「どうした?」
『両さん捕まえました!』
「本当か!」
尾崎が喜ぶ。別働隊が裏口から出てきた両津を取り押さえていた。悔しがる両津。すぐに身体検査するもボーナスが入った封筒がない。
『ボーナスありません!おそらく署内に隠しているものかと…』
「待て。冷静に考えるとあの両さんが簡単に捕まるはずがない。しかし、両さんが囮だとすると…」
尾崎が考えていると正面入口から時行が出て来た。以前会ったことのある尾崎は時行の特徴をよく覚えていた。
「あの少年は両さんの…そうか。あの少年だ!あの少年が両さんのボーナスを持っているぞ!」
尾崎が跳び出す。それに合わせて他の人達も時行に向かって走り出した。時行はピョンピョン跳ぶと尾崎達の間をスルスルと抜けて行った。尾崎達は触れることすら出来ない。時行はそのままどこかへと消えて行く。
「す、凄い逃げ足…」
「両さんの奴、あんな隠し玉を用意してたなんて…」
『すみません!両さんに逃げられました!』
「構わん。一旦合流するぞ。」
尾崎が仲間達を呼び戻す。逃げられたはずなのに尾崎は笑っていた。
「本来は両さん対策だったが…丁度いい。彼に連絡する。」
時行が公園に行くと両津が待っていた。懐からボーナスを取り出して両津に渡す。
「ナイス時行!さすがの連中も時行には敵わなかったな。」
「でも、いいのですか?ちゃんと払わないとまた怒られますよ。」
「安心しろ。ちゃんと競馬で当てたら返す。お前がいるしな。」
両津が笑いながらの時行の頭を撫でる。その時、2人は気配を感じ下がった。そこに影が現れ襲いかかる。その影はジャングルジムの上に乗った。
「お、お前は!?」
「久しぶりだな、時行。」
「風祭…玄夜さん。」
2人の前に現れたのは以前、時行と激しいパルクール鬼ごっこを繰り広げた風祭玄夜だった。風祭は身体中の関節を伸ばしてポキポキ鳴らす。
「なんでお前がここにいるんだ!」
「以前約束したんだよ。時行とまた鬼ごっこするってな。」
「風祭さん…」
「本音は?」
「商店街の皆さんがボーナス取れたら金くれるって。」
「やっぱり。」
最初は目をキラキラさせていた時行だが玄蕃と同じ考えに呆れていたがどこか安心感すらあった。両津はボーナスを時行に渡す。
「時行、あいつから逃げ切れるのは以前勝利したお前だけだ。任せたぞ。」
「はい!鬼ごっこ楽しみます!」
「ボーナスは取られるなよ。」
「はい!」
「準備は出来たか?じゃあ…始めるか!」
風祭がジャンプして時行に襲いかかる。時行は後ろに下がって避ける。久しぶりのパルクール鬼ごっこに時行はワクワクしながら逃げ始めた。
︽ 令
風 借 和
祭 金 鬼
玄 取 ご
夜 り っ
︾ 鬼 こ
時行はすぐに人通りの多い表へ出る。風祭も後を追って表に出た。そこに尾崎から連絡が入る。
『風祭君、今ボーナスは両さんと一緒にいる少年が持っているはずだ。』
「もう見つけてるぜその少年時行を。」
『さすがだな。私達は両さんを追うからボーナスは頼んだぞ。』
「あいよ!」
風祭は人混みをスルスル抜ける。時行は近くの橋を走っていた。それを見つけた風祭は人混みを避け欄干の上を走り出した。時行も反対側の欄干に登って走り出す。橋を渡り終えた両者は激しく鬼ごっこする。あの時のように風祭が伸ばす腕を避ける。
「相変わらず身の熟しは上手だな。」
「いつも鬼ごっこしてますので!」
時行は風祭の腕を避けると電柱を伝って店の屋上に行った。風祭も追いかける。時行は建物から建物へと跳び移り逃げる。風祭を同じように跳び移り追いかける。
一方、両津も尾崎達から逃げていた。デパートに向かうも尾崎達の車が入口の前に停まっていた。両津は建物の陰に隠れ見つからないように離れた。
「こちら尾崎。そっちはどうだ?」
『こちら田中。両さんはデパート方面へ逃走しています。』
「あの少年と見せかけて両さんがボーナスを持っている可能性もある。そのまま両さんの追跡を継続しろ。」
『了解。』
車の中から尾崎が指示する。隣では駄菓子屋のおばちゃんが風祭に渡した発信器の位置を確認している。
「あの少年もデパートに向かっているよ。」
「デパートで待ち合わせか。私も行く。おばちゃんはここで待機。何かあったら報せてくれ。」
「あいよ。」
尾崎が車から出てデパートに向かう。時行と風祭がデパートに入る。人々で賑わう中を抜けて行く。テレビで有名人になった2人だ。周りの人達は2人の鬼ごっこに夢中になっている。時行がエスカレーターを上っていくのに対し風祭は自販機に跳び乗りジャンプして直接上階へ上がった。時行がエスカレーターを登り切ると同時に風祭が現れる。
(凄い!)
「相変わらず楽しそうに逃げる奴だ。」
時行は目をキラキラさせている。生で見る2人の鬼ごっこに周りの人達はスマホ片手に撮影していた。尾崎もデパートに入る。2人を捜していると上階からジャンプして鬼ごっこしている2人を見つけた。そのまま2人は下階へ降りる。
「話には聞いていたが凄いな…」
尾崎は感嘆している。時行と風祭は鬼ごっこしながら立体駐車場に入る。立体駐車場でも激しい鬼ごっこが繰り広げられる。2人はそのまま立体駐車場からダイブする。その様子を両津が外から見ていた。
「あそこか!」
「逃さないよ両さん!」
両津が時行のところに行こうとすると酒屋の店主がスクーターで先回りしてきた。両津は近くのフェンスを乗り越えて逃走する。酒屋はすぐに尾崎に連絡する。
『大丈夫だ。両さんの動きは手に取るように分かる。問題は風祭君が追いかけている時行君だ。』
尾崎は時行と風祭のパルクール鬼ごっこをスマホで見ていた。時行の凄さをここで知る。尾崎は時行を風祭に任せて両津の逃げ道を防ぐために移動を開始した。
時行と風祭は着地すると再び鬼ごっこを始める。デパートから出て近くの工事現場に入ってしまう。
「やっぱり風祭さんとの鬼ごっこは楽しいです!」
「そいつは良かった!」
「風祭さんって忍者ですよね!」
「祖先がな!」
「もしかしてその仮面であらゆる人に変装とか出来ます!?」
「そこまでは無理だ。」
鉄骨の上で対峙する。風祭は時行の質問にさすがに無理だと手を振る。しかし、時行の目は期待でキラキラしている。1回試してみるが全く変わらない。風祭は変装を諦め鬼ごっこを再開する。工事現場の人に怒られながら鬼ごっこを続ける。工事現場から出てビルの屋上に着地する。2人の攻防がさらに激しくなる。時行が屋上からジャンプする。それを追いかけて風祭もジャンプした。風祭が腕を伸ばす。時行が腕を避けるも懐に入れていたボーナスが落ちた。
「それだ!」
落下しながらも風祭がボーナスに手を伸ばす。それを防ぐために時行が風祭の手を掴んだ。ボーナスはそのままコンクリートミキサー車の中に入る。2人はそれを見てすぐにコンクリートミキサー車に駆け寄る。
「お、おい。やべぇぞ時行。」
「ど、ど、どうしましょう…」
「お前、今いくら持ってる?」
「私から集る気ですか?」
2人が冷や汗を掻いていると逃げ切った両津がやってきた。その後ろには尾崎達もいる。
「時行!ボーナスはどうなった!?」
「え、え〜と…」
「翼が生えて逃げて行った。」
風祭がテキトーな嘘をつく。それに不信を持った両津が2人を睨む。
「時行、ボーナスを出せ。」
「そ、それは…」
「さっき、中に封筒みたいなのが入りましたよね?」
作業員が喋る。2人の冷や汗がさらに増える。両津達はまさかとコンクリートミキサー車を見る。
「まさか…その中に…」
「や、やべぇ…逃げるぞ時行!」
「はい!」
「そんなぁ…」
「待てぇ!」
尾崎達は絶望しヘタレ込み、両津は怒りながら追いかける。時行と風祭は仲良く両津から全力で逃げるのであった。
逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜が50回を突入した記念としてアンケートしたいと思います。皆さんはどんな時行君が見たいですか?
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可愛い時行君
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エロい時行君
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真っ裸刑事
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