ある日、両津がパトロールしている間に大原部長が中川と麗子にあるチラシを見せていた。
「戦国サバイバルゲーム…ですか?」
「そうだ。銃などではなく弓矢や刀で行うサバイバルゲームとのことだ。両津にはいつもくだらないと言ってはいるがこういうものならわしも参加してみたいと思ってな。」
チラシには5人一組での参加と記載されている。そこを見た中川と麗子に大原部長が提案する。
「そこで中川も麗子にも出場してもらいたい。」
「僕はいいですけど?」
「両ちゃんは?」
「両津はダメだ。両津といると碌なことにならない。それに、わしがサバイバルゲームなんてものをやってると知ったら何をしでかすか。」
大原部長が手を振って両津の参加を断る。
「でも、あと2人必要ですよね?」
「問題ない。実は早矢君にも言ってある。彼女も参加したいそうだ。あと1人は…そうだなぁ。寺井君にしよう。」
「分かりました。それでエントリーしますね。」
「頼んだぞ。」
大原部長達の会話を外から聞いている人がいた。両津だ。両津は大原達が参加すると聞くとニヤリと笑った。
(そうか。大原部長も参加するんですね。これは面白くなってきた。)
純和風サバイバルゲーム当日
大原部長達は鎧を装備し刀な弓矢、火縄銃を手にしていた。全員紫色のハチマキを巻いている。周りには青や黄色のハチマキを着けた参加者達が待っている。中には中学生や高校生もいた。
「僕達は紫チームということですね。」
「そうだな。似合っているぞ早矢君。」
「ありがとうございます。大原さんも似合ってますよ。」
「そ、そうかね!」
「あれぇ!部長じゃないですか!」
大原部長が照れていると両津の声がした。振り返って両津を見た大原部長達は絶句した。両津の後ろには本田、左近寺、ボルボ、そして時行がいた。頭には赤のハチマキが巻いてある。
「と、時行君…」
「しまった。彼がいましたね。」
「どうしたのみんな?」
「時行君は凄く弓が上手なんですよ。」
「そうなんだ。」
早矢と寺井が軽く済ませるが大原部長達はそれどころではなかった。
「確かに弓も凄いですけどそれよりも実際の戦国時代を経験しているというのが大きいですね。」
「私達より経験豊富よね。」
「人生そのものがサバイバルだからな。」
大原部長達は時行を見て汗を流す。時行は久しぶりに鎧を着た人達を見て興奮していた。両津が大原部長を見てニヒヒヒと笑っている。
「両津に負けたくはないが相手に時行君がいるとなると…」
「本当の戦国を生き抜いた時行君がいるとなるとかなり厄介ですね。」
大原部長達がどうするか悩んでいるとそろそろ始まるのか主催者が壇上に上がって来た。彼も鎧や兜を着け武将みたいな姿で軍配を持っている。
「え〜、皆様、よく戦国サバイバルゲームに参加してくれました!これは昔の日本がどうやって戦ってきたのかを身を以て体験していただきたいと思い開催しました。」
「もう既に体験していら奴がここにいるけどな。」
両津がニヤニヤしながら時行の頭を撫でる。
「では、ルールの説明です!」
• フィールドは江戸城を模した城や城下町が舞台の東京ドーム約4個分
• 参加チームは一組5人16チーム
• それぞれ人数分の刀と弓、そして1丁の火縄銃を持っている
• 矢は1人10本、火縄銃の弾も同様
• 刀、矢、弾にはそれぞれのチームの色のペイントが仕込まれていて鎧や身体に相手の色のペイントが着いたら死亡とみなされ退場、その場で倒れてもらう
• チームはそれぞれランダムに配置されそこからスタートする
• 制限時間は3時間、それまでに最後の1チームになれば勝利、2チーム以上残ると勝利は無くなる
• フィールド内には2箇所、安置場所がありそこにある店で矢と弾を補充することが出来る
• 勝利チームには賞金500万円と全国城巡りツアーが贈呈される
「何故東京ドームというもので面積を表すのでしょうか?」
「それは言ってはならんことだぞ時行。」
説明を聞いた時行の第一声に両津がツッコむ。両津達は係員に案内されて赤いサークルに入る。場所は城の門前だった。両津は火縄銃をボルボに、矢を時行に渡した。
「いいかお前ら。時行が城に突撃、ボルボが援護、わしと左近寺が刀で討ち本田は盾だ。」
「嫌ですよ!」
本田が全力で拒否する。両津は無視してボルボ達の矢も全て時行に渡す。時行は弓の状態を見ている。ボルボも火縄銃の状態を確認する。
「弓担当は時行だけだ。わしらは刀で行く。」
「分かった。」
「スタートしたら各自の判断に任せる。本田と左近寺はわしと一緒に来い。」
「絶対盾にされるやつじゃないですかー!」
本田が叫ぶも無慈悲にスタートのベルの音にかき消される。戦国サバイバルゲームが始まった。早速時行が城に突撃する。階段を上がっていくと目の前に3人の緑のハチマキを着けた男達が弓矢を構えていた。
「子供か。」
「まずは1人。」
3人が矢を放つ。それを時行はアクロバティックに避けカウンターで次々と3人の額に矢を当てた。時行の後ろから見ていた両津達は絶賛していた。
「さすが時行。やるじゃねぇか。」
「本当にただの子供か?普通はあんな動き出来ねぇぞ。」
「時行ならこの場にいる奴全員を血祭りに上げれる。」
「本当に戦国時代にいたら無双しそうだな。」
両津達も時行に後を追う。一方の大原部長達は城の中にいた。向かってきた橙色のチーム相手に大原部長は無双する。中川達も刀で相手と渡り合っている。その中でも早矢は百発百中の腕前で相手を倒して行った。
「さすが早矢さんね。あっという間に倒していくんだもの。」
「早矢君がいたらここは簡単に制圧出来るかもな。」
「それは無理かもしれません。」
中川が青ざめた顔で外を見ている。大原部長達も外を見ると時行が火縄銃を避けていた。狭間から撃たれる弾を全て避け矢を放つ。その矢は狭間を通り抜け桃色のハチマキをした男の額に命中した。
「時行君…」
「凄すぎない?」
「まさか狭間の隙間を狙い撃つとは。」
大原部長達は慄いているが早矢だけは時行を見て微笑んでいた。次々と決める時行に対処のしようがないと悩む中川達。そこに早矢が提案してきた。
「私が時行君の相手をします。」
「早矢さんが!?」
「正直に言いますと初めて時行君の弓を見た時から一度お手合わせしてみたいと思いましたの。」
「確かに早矢君なら時行君に対抗出来るかもしれん。」
今思い付く最善の手があった。大原部長達は早矢に時行の相手を頼んだ。一方の時行は向かってきた白のハチマキチームの刀を避けながら下がると刀を構えて鬼心仏刀で相手の手首を切った。相手の右手に赤いペイントが付き血のように垂れる。
「これであと…」
時行が走っていると突然目の前に矢が飛んできた。後ろに下がって避け矢が飛んで来た方向を見る。そこには早矢がいた。時行と早矢はお互いの目を見て微笑んだ。
「時行君、これは私からの挑戦状です。受け取って下さい。」
「早矢さん。私も一度あなたとお手合わせしたいと思っていました。」
時行は早矢の挑戦状を受け弓矢を構える。早矢も同じように構えた。そして、同時に矢を放つ。これが2人の開戦の合図となった。
新令
葛 和
飾 鬼
署 婦警 《磯鷲 早矢》
交 ご
通 っ
課こ
お互いが放った矢は互いの頬の数mm横を通過する。時行は走り出した。早矢も走る。走りながらの弓は慣れてないが冷静に時行を狙う。一発一発が鋭く的確に時行を狙う。時行も逃げながらも反撃する。
(やっぱり早矢さんは凄い。貞宗殿や顕家卿の弓とも違う。柔らかいけど凛としていて可憐でそして…)
早矢も時行の矢を避ける。その近くで彼女を護衛している大原部長達は感嘆している。
一方、両津達は城に向かう相手チームをボルボが狙撃して近付いてきた相手を両津と左近寺が斬り倒している。
「両津!もう弾がない!」
「城の地下に安置がある!そこに行くぞ!」
両津達は安置を目指して走る。もうすぐで着く。曲がり角を曲がった瞬間、安置の前で待ち構えていた茶色のハチマキチームが弓を構えていた。
「くそ!やっぱり待伏せがいたか!」
「どうする両津!?」
「もちろん!特攻!」
茶色チームが矢を放つ。それを両津は避けたり手や口で矢を受け止め茶色チームを刀で倒した。
「時行もだが両津も大概人間離れしてるよな。」
「両津も戦国時代に行っても生き残れそうだ。」
ボルボの言葉に左近寺と本田も頷く。両津達は矢と弾を補充して戻る。両津は壁を叩きながら歩いていく。
「この城、見た目は江戸城だが中身は最新鋭の設備で出来ているな。」
「分かるのか?」
「壁が防音性、耐熱性の高いやつだし所々電気設備が見える。」
両津達が階段を上がる。すると、大原部長達が誰かと戦っていた。早矢が心無しか嬉しそうに戦っている。それを見て両津は確信していた。
(時行と交戦しているな。ここはわしらで…)
ボルボが火縄銃で狙う。それに気付いた中川が叫ぶ。
「部長!」
ボルボが狙撃する。中川達はすぐに隠れる。そこに両津が刀を構えて現れた。
「中川ぁ!」
呼ばれた中川が警戒するも両津は寺井を斬った。寺井の背中が真っ赤になる。そこに左近寺も来る。大原部長達は早矢から離れてしまう。そらでも早矢は冷静に時行と勝負している。
「早矢さんも時行君も凄い集中力ですね。」
隠れながら2人の勝負を見る。時行は後ろから来た黒ハチマキチームの攻撃を避ける。そこに早矢が矢で黒ハチマキチームを射抜く。時行は屋根を走りながら射る。お互いの矢が残り少なくなってくる。すると、本田が矢を持って時行のところに近付いてきた。
「まずいですよ部長!本田さんが矢の補充してます!」
「何!?」
大原部長達が余所見してしまう。そこに両津と左近寺が突撃する。さらに、ボルボも挟み撃ちする形で大原部長達を狙う。そこに早矢が矢でボルボを射抜いた。ボルボは顔を赤くさせながら倒れる。
「あ…なんかいいかも。」
「ナイスよ早矢さん!」
中川と麗子が左近寺の相手をする。さすがの左近寺も刀での戦闘には慣れておらず中川と麗子にやられてしまった。
「残るは両津だけだ。」
大原部長達が両津を追い詰める。それでも両津は諦めない。なんと、左近寺を持ち上げた。中川と麗子が斬りかかるも左近寺を盾にした。
「両津!?」
「先輩!?」
「ここで負けてたまるかぁ!」
両津は左近寺を振り回し投げた。左近寺は中川と麗子を巻き込み壁に激突する。その勢いは凄まじく壁がぶち抜かれケーブルが切れ電気系統に異常が発生する。両津は大原部長との一騎打ちに持ち込む。
「卑怯だぞ両津!」
「戦国では死体も武器にするって時行が言ってましたよ!」
鍔迫り合いになる両者。大原部長が押し勝ち払う。両津は防御するも弾き飛ばされた。大原部長が追撃する。両津は避けながら逃げる。2人のバトルがだんだん激しくなり壁や天井が破壊されボロボロになっていく。
「またんかぁ両津ー!」
「部長がキレた!」
「貴様に武士道というものを教えてやる!」
完全に怒った大原部長が振り回しながら追いかける。その度に城が壊れていく。そな結果、漏電が発生し火災が起こる。時行と早矢も城の異常に気付きその場から逃げる。
中川達も火災に気付きすぐに避難を始める。もうサバイバルゲームどころではなかった。しかし、両津と大原部長はそんなこと気にせず戦っている。
「両津!貴様という奴はー!」
「部長!ここまできたらわしも本気でいきますよ!」
燃える江戸城の中、両津と大原部長だけが戦っていた。脱出した中川達は燃え落ちる江戸城を眺めることしか出来なかった。結局、時行と早矢の勝負は引き分けに終わった。
後日
「あれ?両さんと大原さんは?」
「2人とも江戸城を燃やした責任をとって最果て署に左遷されました。」
「あれじゃあ当分戻って来れないわね。」
居なくなった両津と大原部長を気にした時行に中川達は気まずそうに答えるのであった。
逃げ上手の転生記 〜亀有の破天荒警官と〜が50回を突入した記念としてアンケートしたいと思います。皆さんはどんな時行君が見たいですか?
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カッコいい時行君
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可愛い時行君
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エロい時行君
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真っ裸刑事
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