ある日、両津が宝くじを眺めてニヤニヤしていた。時行は両津の後ろから宝くじを見る。
「なんですかそれ?」
「こいつは宝くじといってな、億万長者になれるかもしれん夢のあるチケットなのだよ。」
「す、凄いですね。」
「只今、両ちゃん。」
麗子が帰ってきた。何やら書類を持っている。時行が気になり聞いてみる。
「なんですかそれ?」
「これ?これは今度の女子寮の改装手続きよ。」
「なに!?」
両津が反応した。
「またお前ら改装するのか!?どんだけ変えりゃあ気が済むんだ!?」
「いいじゃない。女の子は日々求めるのもが増えていくものよ。」
「そうなのですか?」
「…今の時代のね。」
両津が改装手続きを読んで怒りに震える。すぐに文句を言うために新葛飾署へと走って行った。時行達も後を追いかけて新葛飾署に入ると両津が男性署員達と一緒に猛抗議していた。
「お前ら何度改装したら気が済むんだ!?こっちは10年以上改装してねぇぞ!」
「それで満足してるならいいじゃない?うちは年々女子署員が増えているんだから改装してもいいじゃない?」
「お前らこっちの寮の改装費用も使ってるだろ!」
「そっちが使わないのが悪い!」
両津と小町が言い争っている。そこに時行が来た。奈緒子が時行に気付いて近付く。
「時行君も原始人のところのような部屋よりも私達の部屋の方がいいわよね?」
「私は…最低限生きるだけの物資があれば文句は言いません。」
「「「••••」」」
「時行が質素なのにお前らときたら…」
「両ちゃん。これは時行君がちょっと特殊なだけよ。」
時行の発言に小町達は黙ってしまう。すると、麗子が提案してきた。
「じゃあ、両ちゃんも一度見てみたら?」
「わしが!?」
「麗子さん!変態ゴリラを女子寮に入れたら大変なことになるよ!」
「変態を着けるな!」
小町達がどうするか話し合う。仕方ないと両津を女子寮へと案内する。ついでに時行も行く。女子寮に着いた時行は驚いていた。両津がいる男子寮よりも豪華でホテルみたいになっていた。
「凄い差がありますね。」
「だろ。文句を言いたくなるレベルだ。」
「今回は麗子さんが言うから入れるのよ!勝手に入ったら…」
「分かってる!お前らの部屋なんぞ興味もない。」
中に入っても凄かった。玄関…というよりラウンジの時点で既に男子寮の半分ぐらいの面積があった。ホテルのような受付や待ち時間のためのソファもある。そのまま進んで行くとレストランやサロン、美容院があった。もちろん男子寮にこんなのはない。
「これ以上何を望むつもりだお前ら。」
「そうねぇ…カフェや図書館、映画館もいいわね。」
「ホテル複合型のショッピングモールかよ。」
小町の発言に両津が嫌な顔をする。上がって行くと男子寮の部屋の何倍もある個室にペットを預ける場所、コインランドリーみたいな場所、さらに大浴場まであった。
「おい。前来た時はジャグジーやサウナはなかっただろ。」
「この前取り付けた。」
「こんなのも付けてまだ満足しないのか!?」
「美容は女にとって大切なものよ!」
「時行、お前身体洗う時どうしてる?」
「水だけで十分ですよ。」
「それでその美貌!?」
小町達が愕然とする。すると、両津が服を脱ぎ始めた。悲鳴をあげて逃げる女子署員達。両津は全裸で大浴場を駆け回る。
「こうなったらわしがここで転がり回ってマーキングしてやる!」
「そんなことしたら100年地下に埋めるわよ!」
小町がバットで両津を殴る。全裸で吹き飛ぶ両津。さっさと着替えさせて屋上に向かう。大きなプールがある。
「お前ら、もう寮じゃねぇぞこれ。」
「いいじゃない。」
「よくない!わしらの寮もこれぐらい豪勢にしてやる。」
「多分、無理だと思うわよ両ちゃん。」
麗子が忠告するも無視して時行と一緒に女子寮を出て行った。屯田署長に直談判するも立地の関係で多少の修復と洗濯機の買い替えぐらいしか通らなかった。
派出所に帰った両津はイライラしながら新聞を見る。すると、宝くじの当選欄をマジマジと見つめた。
「ま、まさか…」
時行が気になり後ろから見る。突然両津が叫んだ。それにびっくりして時行が尻もちを着く。
「どうしたのですか?」
「当たってる…1億が当たってる!」
「ええ!」
両津は真上を見てニヤニヤした。宝くじが当選したことに喜んでいる。早速胸ポケットに入れた宝くじを見ようとする。しかし、見つからない。何故だと全部脱いで探す。やっぱり見つからない。
「ど、どこ行ったわしの宝くじ〜!」
「落ち着いてください!まずは今日の行動を思い出しましょう!確か私が居た時にはありましたよね?」
「そうだ!それから……女子寮か!あそこだ!女子寮の大浴場!あそこで落としたんだ!」
「良かったです。早速、小町さん達に事情を話して…」
「ダメだ。」
両津が時行の発言を止める。
「あいつら宝くじのことを言ったら知らないと嘘をついてがめつくに決まっている。」
「さすがにそれは人間不信なのでは?」
「誰にもバレずに宝くじを回収する方法は1つ…」
深夜、両津は時行を連れて女子寮の庭に潜入した。全身黒タイツ姿で忍者のように顔を隠している。
「こっそり取って帰る。」
「何故私まで…」
「協力者がいた方が効率がいい。」
両津は玄関に向かい電子ロックを解除する。そのまま入る。しかし、両津は一歩目で歩くのを止めゴーグルを着用した。時行が聞こうとすると両津は時行にもゴーグルを渡し着用するように指示する。時行もゴーグルを着用すると何もなかったはずの空間に無数の赤い線が張り巡らされていた。
「なんですかこれ?」
「赤外線レーザーだ。あれに触れると警報が鳴る。当たるなよ。」
両津は身体をクネクネ曲げながら赤外線を避ける。時行も両津を真似て赤外線を突破する。赤外線が無いところまで行くと2人はゴーグルを外した。
「この先は重量感知装置があるから天井を行くぞ。」
「貞宗殿の屋敷な潜入した時よりも恐ろしいですね。さすが未来。」
両津が天井にワイヤーを設置して登る。そのまま天井は這って移動する。階段を見つけ静かに降りる。
「不審な音がしたらすぐバレるから音を立てずに進むぞ。」
「ここには市川殿がいるのですか?」
いくつものセキュリティを突破して遂に大浴場に入ることが出来た。両津と時行は暗視ゴーグルで宝くじを探す。すると、両津が宝くじを見つけた。やったーと喜ぶ両津。時行もホッとして両津に近付く。が、両津はすぐに真顔になった。
「どうかされました?」
「…間違えた。」
「え?」
「ここが1じゃなく7だったら1億だった。」
「じゃあ、私達の頑張りはなんだったのですか?」
2人が骨折り損の草臥儲と落胆していると電気が着いた。振り向くとパジャマ姿の婦警がいた。まずいと直感する2人。婦警は2人を見ると悲鳴をあげた。
「まずい!逃げるぞ!」
「も〜!」
「侵入者!侵入者よ!」
2人は慌てて逃げる。前がシャッターで閉められようとそている。それをスライディングでなんとか逃げる。
「どうするのですか!?」
「このまま屋上に行ってそこからダイブだ!」
2人はあらゆるところから放たれる電撃を避け催涙ガスをガスマスクで防ぎ逃走する。そのまま屋上へと着く。後ろには小町達が迫っている。
「ここから飛び降りなんて出来ます?」
「時行、わしに掴まれ。」
「え?」
時行は言われた通りに両津に掴まる。両津は時行と自分をしっかり固定すると屋上からジャンプした。すると、ハンググライダーが開いた。そのまま女子寮から逃げ切る。
「どうだ!こういう時のために用意しておいて正解だった!」
「得る物はありませんでしたけどね。」
2人は夜空へと消えて行った。
翌日
『どうするのですか!?』
『このまま屋上に行ってそこからダイブだ!』
「これ、両ちゃんと時行君よね?どういうことかしら?」
「ひ、人違いじゃないか?なぁ時行。」
「は、はい!そうです!人違いです!」
「時行君もだんだん先輩に似てきましたね。」
監視カメラの映像を見せて迫る麗子に必死で誤魔化す両津と時行であった。