両津達が通天閣署に来た次の日
通天閣署が機能しないと暇になったので春が時行を連れて大阪を案内する。両津と中川も後ろを歩いている。
「春の奴、すっかり時行を気に入ったようだな。」
「これも時行君のカリスマが成せることなのでしょうね。」
「そんでこっちが道頓堀で…」
「ひったくりだ!」
誰かが叫んだ。それに反応した春がすぐさま人混みをスルスルと抜けながら声がした方向へと走る。両津と中川も人混みを掻き分けながら進む。
「さすがチビ!こういう時早い!」
春が人混みを抜けると倒れているおばあさんがいた。ひったくりはどこだと聞くと近くにいた人が指差した。その方向に走る。しかし、さっきよりも人が混んでいてなかなか進めない。すると、時行が看板から看板へと跳び移りながらひったくりを追いかけた。
「その手があったやん!」
春も看板にワイヤーをかけ登ると上からひったくりを追いかけた。ひったくり犯と思われる男がスクーターに乗って逃走する。そこに春がワイヤーをスクーターに引っ掛ける。
「逃さへんで!」
春は靴からローラーを出してスクーターを追跡する。そのまま拳銃をバンバン撃つ。ひったくり犯は驚きスクーターのタイヤに穴が空きひったくり犯は倒れた。そこに時行達が到着する。
「遅いでトーキョーモン!」
「お前が荒っぽ過ぎるんだよ。」
春がひったくりを逮捕する。応援が駆け付けひったくりを渡す。春はそのまま大阪観光を再開した。全てが変わった大阪に時行は目を奪われる。
「どや?東京よりええとこやろ?」
「は、はい。凄いですね。」
「そういや…うち、あんたのことなんも知らへんな。」
春の発言に両津はニヤリと笑った。
「時行のことを知りたいのなら鬼ごっこしてみるといい。」
「はあ?なんでやねん?」
「時行は鬼ごっこが得意だからだ。お前でも捕まえるのは無理だぞ。」
両津がニヤけると春は鬼ごっこ勝負を買った。
「負けたらわしらに串カツ奢れよ。勝ったらわしが好きな物食わせてやる。」
「そこまで言うならやったるわ!うちを誰やと思っとるねん!通天閣署検挙数1位やぞ!」
「じゃあ、道頓堀近辺で鬼ごっこだ。」
春が時行の前に立つ。
チビ
令和鬼ごっこ ∥∥鬼 《御堂 春》
「アホ!誰がチビ鬼や!チビって言うな!」
「!?」
「春の奴、干渉しやがったぞ。」
「凄いですね。」
チビの文字を蹴り飛ばした春はびっくりしている時行に突撃する。時行は華麗に避けながら下がる。そのまま戎橋に向かって走る。春も時行を追いかけて戎橋に向かう。人混みで溢れかえっている中を鬼ごっこする2人。時行は欄干に乗ると下にある道に飛び降りた。
「すばしっこいな…でもそんぐらい!」
春も負けじと戎橋から飛び降りて時行を追いかける。両津と中川が2人の鬼ごっこを追いかけながら見ているとメガネとお下げが特徴的な女性巡査が声かけた。
「レイさん。」
「今、どないなってるん?」
「時行と春が鬼ごっこしている。」
彼女は芦原レイ。御堂春の幼馴染で彼女のブレーキ役だがほとんど止めたことはない。レイも加わって2人の鬼ごっこを見る。レイは春が捕まえることが出来ないのを見て驚いている。
「凄いなぁ。あの子、春ちゃんから逃げれるなんて驚きやで。」
春がワイヤーを伸ばすも時行はワイヤーも避ける。時行を捕まえることが出来ない春はだんだんイライラしたのか拳銃を取り出した。
「おい春!」
「安心せぇ!ゴム弾や!」
「そういう問題じゃねぇ!」
春がバンバン乱射する。それも時行は避ける。ローラーでスピードを上げて追うも時行は捕まらない。遂に弾もやる気もなくなった春が時行の前に跪いた。
「なんでや…うち、5mを越すぐらい犯人逮捕してんのになんでこの子を捕まえることが出来んのや?」
「時行の方が潜った修羅場の数が多いからな。」
「何なんあの子?」
レイが春の負けを見て目を丸くする。確かに春は今まで200人以上の犯罪者を捕まえたことがあるが時行は今まで何万人から逃げ続けた実績を持つ。経験の差が大き過ぎた。
春は負けを認めたくないともう1回勝負を挑む。しかし、それを両津が断った。何度やっても時行に勝てないと言われた春は断腸の思いで負けを認める。両津は喜び春の実家の“串かつやで”という串カツ屋に行く。
「今日はわしらの貸し切りか。全部くれ!」
両津は悔し涙を流しながら串カツを食べている春を挑発する。いつもは見ないしおらしい春をからかっている。それに苛ついた春が両津の鼻に指フックする。のたうち回る両津を尻目に初めて串カツを食べる時行にいろいろと忠告する。
「二度漬けはあかんで!」
「す、すみません!」
「ほんま、ここの常識知らんのか?」
「は、はい。昔来たことはあったのですが随分と変わってしまったようで。」
「大阪は今も昔もおんなじやで!」
(それが違うんですよ。)
中川が目を逸らす。串カツを食べ終えると春が今夜はうちに泊まれと時行達を上階に案内する。そこには春の弟達がいた。春が弟達を紹介する。時行も弟達に自己紹介した。
「皆さん、可愛いですね。」
「せやろ〜!みんなうちの自慢の子やで!」
時行と弟達が遊ぶ。春は時行に漫才を見せようとテレビを着けた。春やレイ、春の弟達は漫才を見て笑っている。しかし、漫才を知らない時行はキョトンとしている。
「どや?トーキョーモンの漫才よりおもろいやろ?」
「すみません。漫才というものを私はあまり知りません。」
その発言に春は膝を着く。絶望した顔になっている。レイも時行の発言に驚いていた。中川は仕方ないと頷いている。
「嘘やろ?漫才知らへんの?」
「は、はい。」
「嘘やん。」
「そんな奴が日本にまだいるのか。」
もしかしてと春は指で銃の形にしてバンバンと撃つ振りをする。それに対しても時行は目を丸くして首を傾げていた。春は力が抜けフラフラと倒れる。
「嘘やろ〜。普通、バンバンやったら倒れるか撃ち返すやろ。」
「だから、それはここ限定なんだよ。」
やっと両津が上がってきた。春が弟達にバンバンすると先程言った通り倒れるか撃ち返してきた。それを見た時行は両津にここの文化を聞く。
「お前がいた時よりも特殊になっている。こんな文化は世界探してもここだけだぞ。」
「確かに今まで見たことありませんでしたね。」
「じゃあ、うちらが大阪教えたる!」
春が両津を突き飛ばして時行に迫る。時行も春の圧力に断りにくくなる。
「よ、よろしくお願いします。」
「任せとき!」
「心配しかないんだが。」
「ここは春さんに任せておきましょう。」
両津が止めようとするのを中川が止めた。その夜、春は時行に大阪漫才フルコースに串カツ、たこ焼き、お好み焼きをご馳走し夜通しで大阪を堪能させた。
翌日
「いやぁ、やっぱ大阪のたこ焼きは日本一でんがな!」
「やろ!?やっぱ大阪はええとこやねん!」
「時行が関西弁を喋ってる。」
「大阪恐ろしいですね。」
一夜で変わってしまった時行。春と一緒にたこ焼きを手に関西弁を喋る時行に不気味だという両津と改めて大阪の濃さを実感する中川だった。