ある日の派出所に両津達は集まっていた。そこに大原部長が来る。
「あ〜、今日ここに特殊刑事が来る。」
「逃げるな時行。」
「嫌です!」
両津が時行を羽交い締めにする。
「それで今回は誰が来るんです?」
「美少女刑事だ。」
「•••••あれ?じゃあ大丈夫ですかね?」
美少女と聞いて女性が来ると思った時行は抵抗を止めた。しかし、中川達はこの後の展開を知っているため目を反らす。時行が中川達に聞く。
「どんな人なのですか?」
「た、確か…名前は麻生瑠璃華でしたね。」
「じゃあ女性ですね!」
「そ、そうね…バレリーナよね…」
言葉を濁す中川と麗子。両津は時行の目線まで下がり時行をしっかり見て助言する。
「いいか時行。今からお前は足利尊氏に挑むと思って精神を保て。」
「一体何が起こるのですか?」
時行が両津の目を見てビクビクする。そこに男の声が聞こえた。
「はぁ〜い!久しぶりね!私が美少女刑事こと麻生瑠璃華よ〜ん!」
「••••••」
「先輩、時行君が固まりました。」
「鎌倉が滅亡した時より絶望してそうだな。」
現れた美少女刑事に時行は絶句している。どう見てもただのおっさんがバレリーナ姿で登場したのだから無理もない。両津が時行を戻す。
「はっ!私は何を…」
「あら〜、可愛いわね!」
「••••••••••」
「止めろ!また時行が自分の世界に逃げたじゃねぇか!」
両津がもう1回時行を戻す。時行もだんだん慣れてきたのか警戒しながらも話しかける。
「え〜と…あなたが美少女刑事…ですか?」
「そうよ!私が特殊刑事課及び少女漫画課配属の美少女刑事!特技はプロファイリング!愛称は瑠璃リンかルリルリだから好きな方で呼んでいいわよ〜!」
「おい待て。プロファイリングはアニメだけの設定だろうが。お前は原作とアニメ、どっちの設定なんだ?」
「どっちもよ〜!」
美少女刑事がクルクル回りながら両津に近付く。両津は嫌な顔して拒絶する。
「私、思うの!最近のアニメは原作と違う展開や設定を出したり原作にないアニメオリジナルの話を付け足したりするじゃな〜い!」
「た、確かにな!」
「その中には原作をちゃんと理解している人がアニオリ展開する分にいい…いえ、大賛成よ!…でも、原作に愛の無いアニオリ設定だけは許さん!」
「わしに怒るな!」
突然キレて両津の机を蹴りで破壊する美少女刑事。その威力に時行はびっくりする。
「少女漫画原作のアニメも主人公の性格が変わったり原作にいない奴が出てきたり挙げ句の果てにはそのどうでもいい奴とくっついたりするのが許せん!それは原作者とファンに対する冒涜だ!」
「分かったから落ち着け!」
ゼェゼェ言いながら落ち着く美少女刑事。すると、時行にバレリーナの衣装を差し出した。時行はもうこの後の展開が読めてしまう。
「おこと…」
「さぁ、真っ裸刑事よ!私と一緒に美少女真っ裸刑事になって原作を改悪する不届き者を成敗するぞ!」
「最後まで言わせてください!」
無理矢理時行にバレリーナ衣装を渡す。美少女刑事は両津、中川、麗子にもバレリーナ衣装を渡した。
「まさか…わしらにもやれと?」
「そうよ!今回大原部長は少女漫画課に配属されてないから仕方ないけどあなた達は着てね!」
「ほっ。」
「汚いぞ部長!」
安心して胸を撫で下ろしている大原部長に両津が文句を言う。時行もバレリーナ衣装を着たくないと美少女刑事に抗議した。すると、美少女刑事は紐パンと乳首に着ける謎の飾りを時行に渡した。
「少女漫画課の衣装が嫌ならこっちの少年漫画用衣装があるわよ。」
「…」
「時行、黙ってわしの拳銃を取ろうとするな。」
両津と時行の拳銃の取り合いが始まる。諦めた時行は両津達と一緒にバレリーナになった。麗子は似合っている。中川もまだマシ。両津は変態だった。美少女刑事は時行のバレリーナ姿を見て歓喜している。
「凄いわ美少女真っ裸刑事!あなたなら最高のバレリーナにも最高の少女漫画の主人公にもなれる!」
「別になりたくありません。」
完全に無の表情になっている時行。すると、着信音が聞こえてきた。時行がどこからなのかと探していると美少女刑事がトゥシューズからスマホを出した。
「私よ!何…」
「何故あそこに携帯を?」
「やっぱりお前もそう思うか。」
「大変よ!マシンガンを持った2人組が編集部に立て籠もっているわ!」
「何!?」
「行くわよ!少女漫画課!ファイトー!」
美少女刑事が飛び出る。両津達も気が乗らないが仕方なく出動した。現場に到着する。すると、本田がいた。両津は本田に声をかける。
「本田!」
「せん…ぱい?」
「言いたいことがあるだろうが今は忘れろ。それで立て籠もり事件か?」
「そうなんです!しかも場所が月刊サファイアの編集部なんですー!」
「なんだと!?」
「そこには菜々ちゃんもいるんです〜!」
両津が見上げる。確かに月刊サファイアの編集部の窓が割られている。そこから2人組の男が顔を出した。2人ともマシンガンを構えて興奮している。
「立て籠もり犯に告ぐ!要求はなんだ!?」
「今すぐ月刊サファイアにエロい漫画を連載しろ!」
犯人の要求に両津達がずっこける。
「なんでそんな理由でマシンガン持って立て籠もってんだ。」
「それとロボ刑事番長の連載も再開させろ!」
もう1人の要求に両津がずっこける。
「まさか、わしの漫画のファンがいるとは…」
「両津のファンは問題児しかいないのか?」
「あいつが過激なだけですよ。」
「なるほどね…あの発言、手段をとらない過激さ。彼らは自分の思い通りにならないと気がすまない性格ね。」
「無理にプロファイリング設定付けなくていいぞ。」
両津が呆れる。どうしようか悩む。2人が持っているマシンガンは本物だ。既に乱射しているらしい。中には乙姫や竜戦士を含めた数人がいる。
「武士刑事番長でもいいぞ!主人公が気に入った!」
その発言を聞いた両津は時行を見て笑う。時行は嫌な予感がすると逃げようとしたが捕まり両津と一緒にビルへと突入した。立て籠もり犯達が驚く。
「こっちには人質がいるんだぞ!」
「なぁ、さっき入ってきた奴、変な格好してなかったか?」
立て籠もり犯達が互いの顔を見ていると両津が突入した。
「なんだ!?こっちには人質がいるのが見えないのか!?」
立て籠もり犯がマシンガンを乙姫達に向ける。しかし、乙姫達は人質にされている恐怖よりバレリーナ姿の両津と時行に対する驚愕が勝っていた。
「両津さん…その格好は?」
「罰ゲームだ。」
「見ないでください。」
時行が顔を赤くさせてお願いする。両津は立て籠もり犯の1人を見る。
「わしが武士刑事番長の作者だ。」
「え…」
「そして、この子か武士刑事番長の主人公、南条時也のモデルだ。」
立て籠もり犯が時行を見てユラリユラリと近付き膝を着いた。
「あ、会えた…南条時也がいたんだ…」
「何故感動しているのでしょう?」
「頼む!尻を出してくれ!」
「はぁ!?」
立て籠もり犯が土下座してお願いする。時行はドン引きしている。両津は時行に同情している。乙姫達も同情している。
「嫌ですよ!」
「お願いします!尻を出して『僕のプリン召し上がれ!』って言ってくれ!」
「両さん。」
「…すまん。」
時行が両津を睨む。両津が目を反らす。お下劣過ぎる要求に時行はもちろん拒否する。すると、立て籠もり犯がマシンガンを向けた。
「じゃあ、捕まえて無理矢理やらせる!」
立て籠もり犯がマシンガンを乱射した。それを時行は回りながら避けた。その姿は正に白鳥の湖を踊るバレリーナだ。乙姫達は時行に見惚れている。その隙に両津が立て籠もり犯の後ろからキックで倒した。
「くそ!あんたなら月刊サファイアにエロい漫画を連載してくれると思ってたのに!」
「勝手な期待を押し付けるな!」
両津が隠れる。残りの立て籠もり犯がマシンガンを連射する。そこに今度は美少女刑事が現れた。
「少女漫画なら私にお任せ!」
「俺が読みたいのはエロ漫画だ!」
立て籠もり犯が美少女刑事に向けてマシンガンを連射する。それを華麗に避けた美少女刑事が立て籠もり犯に接近した。そのまま足に仕込んだ突撃拳銃でマシンガンを撃ち落とす。
「必殺…《一目惚れした転校生が両親の結婚で家族になるキック》!」
美少女刑事が立て籠もり犯に強烈なキックが炸裂し立て籠もり犯は仰向けになって倒れる。そこに機動隊が突入し立て籠もり犯達は逮捕された。時行は見られないように机に隠れている。そこに乙姫が来る。
「え、えっと…」
「お願いします。忘れてください。」
「え!あ、ありがとう。」
「素晴らしい働きだったわよー!」
「ぎゃー!」
時行が乙姫の後ろに隠れる。
「乙姫ちゃんも怪我無くて良かったわ。」
「は、はい。」
「ちょっと待ってくれ。」
竜戦士が乙姫の前に出る。
「まずこの状況を説明してくれ。」
竜戦士の目の前にはバレリーナ姿の両津、時行、美少女刑事がいる。チラッと目を横に向けるとバレリーナ姿の中川と麗子がいる。美少女刑事以外は恥ずかしがっている。竜戦士に納得してもらうために数時間要するのであった。
翌日、時行は両津の後ろに隠れている。そこに美少女刑事が現れる。
「やっぱり来たか。」
「いりません。」
「あら〜!折角お似合いだと思ってたのに〜!」
そう言って美少女刑事は等身大時行君フィギュア美少女真っ裸刑事バージョンを時行にプレゼントした。ついでに例の紐パンと乳首に着ける謎の飾りもある。
「これが私からの愛よ!受け取ってね!」
「だからいりませんよ!」
「やっぱりこうなるか。」
時行はバレリーナの白鳥の首を叩く。両津達はもう読めた展開に呆れていた。
重大発表!
劇場版 逃げ上手の転生記
制作決定!