ある日、麗子が知り合いが結婚した話をしていた。中川と大原部長は喜んでいるが両津は興味がないようだ。
「結婚結婚ってそんなにいいもんなのかねぇ。」
「結婚と無縁の両津には分からないだろうな。」
「分かりませんよ。分かりたいとも思わない。」
両津は競馬新聞を見ながら愚痴る。
「両ちゃんもきっと運命の人が出てくるわよ。」
「麗子。それはない。両津を好きになる人など出てこんよ。」
「そうでしょうか?」
大原部長の発言に時行が反応した。
「世の中、いろんな人がいますので両さんを好きになる人もいると思いますよ。」
「なら、時行君はもし自分が女の子だとして両津はありと思うかね?」
時行は自分が女の子だと仮定して両津を見る。
「大丈夫ですね。」
「待て時行君。あんな顔だぞ。あんな体型だぞ。ゴリラみたいな男を好きになるのか?」
「言い過ぎですよ部長!」
「私は人を見た目で判断しません。それに、両さんみたいな鎌倉武士は私の郎党にいっぱいいましたので!」
キラーンと✧を出して語る時行に大原部長達は納得した。時行にとって両津は保科党にいてもおかしくない程度である。
「そうでしたね。たまに忘れてましたけど時行君は南北朝の人でしたね。」
「両津、もしかしてお前は南北朝から来たのか?」
「そんなわけないでしょ!」
両津が叫ぶ。時行は続けて話す。
「両さんなら信頼出来ます。それよりも、私は何故今の時代には側室がいないのかが気になります。」
「時行君、君に結婚の話はまだ早いよ。」
「中川、麗子、時行に結婚は教えてないのか?」
「ええ。時行君にはまだ早いと思いまして。」
中川が答える。すると、思い出したと言って時行を見た。
「そういえば…北条時行って子孫がいましたよね?」
「お前、まさか…」
両津が聞く。すると、時行は…恥ずかしそうに顔を真っ赤にする→汗を掻きながら天井や外などを見る→頬を掻く→ニコッと満面の笑みを見せた。
「こいつ、絶対やってるぞ。」
「私達よりも何百歩も先をいってたのね。」
「僕達が結婚を説くのが烏滸がましいレベルですね。」
「信じられん。こんな子供が…」
両津達が時行に慄く。完全に敗北したとさえ思っている。そんな時行が両津に進言した。
「両さんと一緒に生活すれば好きになれるのではないでしょうか?」
「う〜ん。考える気すらなかったな。」
「では、お任せください!」
そう言って時行は派出所を出て行った。それから時間が経過し休憩室には両津の対面に麗子、マリア、纏、早矢、檸檬がいた。全員理解が出来ずニコニコしている時行を見る。
「時行、なんだこれ?」
「今から皆さんで一緒に暮らしましょう!」
「「「はぁ!?」」」
全員が同じ顔をする。
「時行、お前たまにとんでもない発想をするよな。」
「時行君、いきなり過ぎるわよ。」
「時行よ。1から全て話してほしいのじゃ。」
「なんでカンキチと同棲生活しないといけないんだ?」
「私は大歓迎ですわ!」
「私も嫌ではありませんわ。」
各々が時行へ聞く。
「私が思うに両さんが結婚しないのは両さんが結婚に興味を示さないのと周りの人が両さんの魅力に気付いていないからだと思います!」
「時行、違うぞ。」
「なので、皆さんで一緒に生活すれば両さんの魅力に気付くと思いますし両さんも結婚への意欲が湧いてくると思います!」
「わしの話を聞け!」
時行が凄い進行している。
「時行よ。わしはカンキチと結婚出来ないぞ。」
「大丈夫です檸檬さん。愛さえあれば年齢なんて関係ありません。」
「結婚には年齢は関係あるぞ。」
何故か時行がぐんぐん押してくる。仕方なく時行の案に乗る。神田の近くに中川が一軒家を用意してくれた。これから一種のシェアハウスみたいな生活が始まる。両津達が荷物を纏める。
「なぁ、今回の時行積極過ぎないか?」
「時行はたまに変な暴走するよな。」
纏と一緒にコソコソ話しながら時行を見る。時行は広いリビングに興奮していた。自分の部屋に荷物を置きリビングに集まる。一緒に住むことになるのは両津、時行、麗子、マリア、纏、早矢、檸檬だ。確かに両津ハーレムにはなる。しかし、両津は乗り気じゃない。
「こいつらと結婚生活とか全然想像出来ねぇ。」
「それはカンキチのせいだろ。」
「そもそも日本は一夫多妻制じゃないからこれは意味ないのでは?」
「いえ!それは違うと思います!」
檸檬の言葉に珍しく時行が反論した。
「昔の日本は正室、側室と女性を迎えることが武家の男子として当たり前だったのです。たくさん子供を産み自分の血を多く残す意味でも結婚する相手は多い方がいいと思います。」
「まぁ、わしも一部賛成だ。」
両津が時行の言い分に乗る。
「一夫多妻制になれば浮気だ不倫だ言われなくなるし少子化対策にもなる。が、今の日本は妻1人養うのにも膨大な金がかかる。一夫多妻制になったところで出来るのは中川のようなハイスペック男子だけだ。」
「なるほど。鎌倉にいた頃はそんなこと考えていませんでした。」
「鎌倉って一夫多妻制だっけ?」
「違いますわ。」
纏と早矢の会話を聞いた両津と麗子が頭を抱える。時行の言う鎌倉は南北朝の鎌倉だ。もちろん現代ではない。しかし、そんなこと知らない纏達は困惑していた。これ以上時行が熱弁するとバレてしまいそうなので慌てて話を区切る。
「とにかく1週間一緒に過ごすだけでいいのだから簡単よね!」
「そうだな!部長と過ごすよりマシだ!」
両津と麗子が話を進め時行を両津な部屋に連れて行く。
「時行、最近忘れてるかもしれんがお前が南北朝時代の人間だということはわしらだけの秘密だ。あまり無闇に喋るとボロが出るぞ。」
「そ、そうでした。」
時行も忘れていたようで気まずくなる。両津と麗子が念を押して時行に釘を刺す。そこにノックが聞こえた。麗子が扉を開けると纏がいた。
「気になってたんだけど。何故私達?」
「私の独断で両さんと脈がありそうな方を選ばせていただきました。」
「そ、そうなんだ。」
「さすが時行。人を見る目はあるな。」
こうして、ハーレム生活1日目は終了した。翌日、両津が寝返りをうつと誰かの胸に触った。両津が起きると隣でマリアが眠っていた。しかも、下着姿だ。
「うおっ!」
両津は驚き飛び退く。そこに時行と纏が入ってきた。
「おはようございま…」
2人は目撃する。下着姿のマリアと両津が寝ている。纏は青ざめて両津を見る。時行は拍手した。
「おめでとうございます!」
「早い早い!」
「おはよう…ございますわ。」
マリアが起きる。両津は以前、マリアと同棲したことがあるがそれとも違う雰囲気にドギマギしている。目が覚めた両津は顔を洗おうと洗面所に向かう。扉を開けるとシャワーから出た麗子がいた。お互いの顔を見て黙る両者。
「キャー!」
「クソ!どこ行っても落ち着かねぇ!」
両津はソファに座り上を向く。そこに檸檬が来た。
「おはようなのじゃ。」
「おはよう。」
両津はその場から離れようとすると檸檬が両津の手を引いた。
「カンキチ、今日は弁当の日じゃ。」
「そうか。今日は給食のない日か。いくら節約とは言え世知辛いな。」
両津は檸檬と時行の弁当を作る。檸檬にはキノコなどで熊を作り時行には鮭の切り身で桜を作った。その手際の良さに時行は驚く。
「凄いですね。これが芸術ですか?」
「カンキチはこの顔で手先が器用なんだよ。」
「顔は余計だ!」
両津が作る弁当を見た麗子達が興味を持ち自分の弁当もしてほしいと懇願した。麗子や早矢、マリアの料理を使い両津がいろんなアレンジをしていく。
「料理が得意な人は絶対モテますよ。」
「それは言えるわね。両ちゃん、一度見たレシピは忘れないから。」
「カンキチの弁当は最高じゃぞ。」
「さすがですわ両様!」
「よし!出来たぞ!」
両津がみんなに弁当を渡す。
「両様は?」
「わしはそこらでコンビニ弁当を買う。」
「ダメよ両ちゃん。折角だから私達で作ってあげる。」
両津の弁当を麗子達で作る。完成した弁当をマリアが両津に渡す。その日、新葛飾署で纏と早矢が弁当を食べていると小町と奈緒子が来た。2人とも鮮やかな弁当を見て驚いている。そこに他の交通課の婦警達も来た。
「凄い綺麗!」
「料理上手!」
「いいなぁ。早矢さん、料理が出来るのんて羨ましい。」
「ありがとうございます。」
みんなで弁当を食べる。
「どうやって作ったの?」
「これは、両津さんが飾り付けてくれましたのよ。」
「え…」
小町達が黙る。
「私達…あの原始人以下…」
「そういえば、あの原始人は手先は器用だったわね。」
小町が悔しがる。一方、時行達も弁当を食べていた。時行の弁当を見た弧太郎達が驚いている。
「すげー。時行の弁当すげーっす。俺なんて唐揚げだらけっすよ。」
「これは両さんが作ってくれました。」
「マジで!コーチすげぇ!」
「両津さんはなんでも出来るのですね。」
「いいなぁ。料理上手い人憧れるなぁ。」
弧太郎達の反応を見て時行は嬉しく思っている。両津の弁当はいろんなところで反響を呼んだ。その夜、みんなで宴会みたいな感じで鍋パーティーをした。
「じゃあ…同棲生活に…カンパーイ!」
「「「カンパーイ!!」」」
みんなでジュースやビールを飲む。鍋の他に寿司もある。みんな、各々の好きな物を食べ好きな物を飲んでいる。
「最初は文句言ったがこうやって見るとアパートやマンションじゃ出来ない楽しみがあるな。」
「大学生みたいな感じだな。」
両津の隣で飲んでいた纏も満足しているようだ。みんなでワイワイ楽しく飲んでいる。
「これならシェアハウスも悪くない。いい事業になりそうだ。」
「そうね。最近は親離れしたいけど家賃とかの理由で実家暮らしになっている新社会人も多いと聞くわ。」
「シェアハウスなら家賃も分担、家事も分担、苦労も分担出来る。それに普通は出来ない出会いもあるかもしれんしな。」
酔いながらシェアハウス談義をする。その光景を見て時行も満足している。そこに檸檬が時行の袖を引っ張った。
「すまぬ時行。雰囲気に酔ってしまったようじゃ。」
「分かりました。」
時行が檸檬を連れて部屋に行く。檸檬を布団に寝かせて部屋を出ようとすると檸檬が止めた。
「時行よ。何故カンキチのためにここまでするのじゃ?」
「…家族を失った私にとって両さんは父親です。私は自分の幸せ以上に両さんの幸せを願っています。だからでしょうか?私は両さんが好きなんですね。」
少しの沈黙の後、時行が上を向いて答えた。時行は自分の思いを吐露する。恥ずかしそうに顔を赤らめ頬を掻く。それを聞いた檸檬は納得したのか頷いていた。
「わしもカンキチが好きじゃぞ。その願い、もう叶っておる。」
「そうですね。」
「お休みじゃ。」
「お休みなさい。」
時行は一礼して部屋を出る。両津のことを考えながらリビングに行くと両津が麗子達に囲まれていた。時行は目をキラキラさせて駆け寄る。しかし、何かおかしい。何故か早矢は下着姿になっているし両津は助けを求めている。よく見ると麗子に頭をくしゃくしゃにされてマリアと早矢に関節を外され纏にチョークスリーパーをかけられていた。時行は何があったと両津に駆け寄った。
時間は遡ること数分前、時行が檸檬を連れてリビングから出たところから始まる。ビールを飲んでいた両津がリビングを出て行く2人に気付いた。
「子供はもう寝る時間だな。」
「こうして暮らしてみるとまるで家族ね。」
「大家族だな。」
麗子も両津の話に乗る。すると、早矢の様子がおかしいことに気付いた。顔か赤くなっている。両津が声をかけようとした瞬間、早矢が突然脱ぎ始めた。
「熱い!熱いですわ!」
「しまった!早矢がお酒飲んだ!」
両津が止めようとすると後ろから纏が抱きついてきた。
「カンキチ〜。お金にがめついところがなければいい男なのに…」
「纏まで酔ってるのか!?」
両津は纏から離れようとするもしっかりとホールドされている。
「逃がすかよ〜。くらえ。」
「ぐおぉ〜!それは…」
纏が両津にチョークスリーパーをかける。両津が麗子に助けを求めようとしているが麗子も既にお酒を飲み過ぎたようで出来上がっていた。両津は両津に近付くと頭をくしゃくしゃにし始めた。
「タワシみた〜い!」
「まずい!麗子も酔ってる!マリア!助けて…」
「両様は私のですわ!」
助けを求めようとした両津の腕をマリアが引っ張る。マリアまで酔っていた。マリアは引き離そうと両津の脇原を蹴る。纏のチョークスリーパーもだんだんキツくなる。さらに、早矢がマリアの反対側から両津を引っ張った。
「千切れる!千切れ…」
両津はそのまま気絶した。その状態を時行が目撃した。時行は急いで両津を助けようと駆け寄る。しかし、早矢に捕まってしまった。
「は、早矢さん!?」
「時行く〜ん。一緒に寝ましょう。」
「待ってください!その前に両さんを…」
時行は必死に藻掻くも早矢に締め付けられる。さらに、早矢が時行を抱くと胸が時行の顔に当たった。時行は息が出来なくなりそのまま眠った。
翌日、檸檬が起きる。時計を見ると8時を過ぎていた。
「今日が土曜日で良かったのじゃ。」
檸檬がリビングに向かう。そこには下着姿で寝ている麗子達。早矢に抱かれ気絶している時行。そして、全ての関節があらぬ方向に向いている両津がいた。
「何があったのじゃ?」
檸檬は両津に声をかける。白髪になり干からびてる。
「大丈夫かカンキチ?」
「助けて…檸檬…わしが結婚出来ない理由がまだあった。…わしの周りの女…強すぎ…これを1週間は無理…」
纏のチョークスリーパーをくらいながら檸檬に助けを求める死にかけの両津であった。