「お願いしますコーチ!」
ある日、派出所に弧太郎達が集まっていた。どうやら両津にインタビューしたいらしい。
「わしにか?」
「はい!コーチにいろいろ教えてほしいっす!」
「答えてやれ両津。」
「分かりましたよ。」
大原部長に言われて両津が答えることになった。
「まず警察官ってどんな仕事っすか!?」
その質問に全員が反応する。
「え〜と…弧太郎君だったね。それはどういう意図なのかな?」
「今回は宿題として働く大人にインタビューしてレポートするってやつっすよ!」
まずいと直感する大原部長達。もし、両津の仕事ぶりをレポートなんてされたら警察官なイメージが地に落ちる。それをなんとか防ごうと大原部長達は行動に移した。
「それならわしが答えよう。」
「よろしくお願いします!」
「わしじゃなくてもいいのか…」
「警察官というのは地域に寄り添い市民の安全と笑顔を守るのがお仕事なんだよ。」
「おぉ〜!是非見たいっす!」
弧太郎がキラキラした目で見る。大原部長達も見るぐらいならとOKした。弧太郎達が観察する。やってきたお婆さんに道を教える中川。書類を纏める大原部長。報告書を書く麗子。プラモデルを制作する両津。両津を殴る大原部長。
「痛え!」
「バカモン!子供が見てる前で堂々とサボるな!」
大原部長が両津を怒るところをレポートする静。
「それは書いたらダメですよ。」
「面白いから出したい。」
パトロールの時間になる。担当は両津だったため派出所から出た。大原部長がホッとするといつの間にか弧太郎達も居なくなっていた。両津を追いかけて行ったのだ。大原部長はまずいと判断し報告書を書き終えた麗子に両津を見張るように指示した。
「お前もか麗子。」
「報告書も終わったし両ちゃんに着いて行くように部長さんから言われたもの。」
2人でパトロールする。その後ろを弧太郎達が着けてレポートしている。
「もっと面白いドンパチが見れると思ってたんっすけど。」
「普通はこれみたいですよ。」
不満そうな弧太郎に時行が答える。麗子が亜矢と会話している。すると、いつの間にか両津が居ないことに渚が気付いた。急いで麗子に知らせる。麗子も捜しているとパチンコ屋の前に両津がいた。
「両ちゃん!」
麗子が声をかけると両津と会話していた男性が手を振って去って行った。
「どうした?」
「何してたのよ?」
「あ〜、亀有駅の場所を教えただけだ。」
「そ、そうなのね。」
麗子は勘違いしたと笑って誤魔化す。両津は麗子の意図を理解したがなんにも言わずにパトロールを続けた。
「コーチ、何か面白いことないっすか?」
「ない。毎日、事件が起きるなんて漫画の世界ぐらいだ。」
「なんかつまんないっすね。」
「つまんなくていいんだよ。警察官が暇なのは平和な証拠だ。」
「両ちゃんにしてはいいこと言うのね。」
「前半は余計だぞ。」
パトロールを続ける。すると、前方で纏が誰かと言い争っていた。どうやら、駐車違反の車の持ち主と揉めているようだ。両津達が纏のところへと行く。
「どうした?」
「カンキチ!こいつが違反金払いたくないとだだ捏ねてんだよ。」
「ふざけるな!たかが10分停めただけだろ!」
「10分でもアウトだ!」
「うるせぇ!」
男がパトカーを蹴る。その瞬間、両津が男の後頭部を掴んだ。
「おい。うちのパトカーに傷付けてんじゃねぇぞ。」
「す…すみません…」
「もういいカンキチ!」
ミシミシと音を立てていく男の頭。纏が両津を宥めたことで両津は手を離した。
「ちゃんと違反金払えよ。」
「は…はい…」
「さすがコーチ。」
「暴力ですが…」
雪長が両津を心配する。両津はパトロールを再開する。近所の人達に挨拶するだけで何の面白味もない。それに弧太郎が飽き飽きしてくる。
「やっぱり思ってたのと違うっすね。」
「世の中こんなもんよ。そう簡単に事件なんて…」
「強盗だー!」
「くそー!都合良く起きやがって!」
ずっこけた両津が声がする方向へ走るとヘルメットを被った男がコンビニから逃走していた。両津と麗子が追うもなかなか距離が縮まらない。
「あいつ、なかなか速いぞ!」
「このままだと逃がしてしまうわよ!」
「麗子!あの道を右に行け!そのまま道なりに走れ!」
麗子は何故と思うも両津の言う通りに右に曲がり走った。後から追いかけてきた時行達は麗子の後を追う。両津がコンビニ強盗を追いかける。強盗がなんとか振り切ろうと逃げていると目の前の道から麗子が出てきた。
「何!?」
「凄いわね。」
「どけぇ!」
強盗は包丁を出して麗子を刺そうとするも麗子は強盗の腕を掴み投げ飛ばした。そこに両津が来て包丁を蹴り飛ばす。そのまま強盗を逮捕した。その様子を見ていた時行達は拍手していた。
「凄いっすコーチ!」
「よくここを通るって分かりましたね。」
「そりゃあな。ここに来るようにわしが追いかけながら誘導した。」
時行達は驚く。両津は応援の警察官に強盗を引き渡すとまたパトロールを始めた。今度は競馬場の近くを通る。すると、競馬場から出てきた人達が両津を見つけ駆け寄ってきた。
「両さん!」
「どうした?」
「スリだ!俺の財布盗まれた!」
「いつだ?」
「さっきだ!折角、50万当たった馬券が入ってたのに〜!」
競馬仲間が泣く。その発言を聞いた両津は競馬場に入って行った。時行達も後を着ける。両津は換金所を見つけると注意深く探す。すると、50万が当たった馬券を引き換えしようとした男を見つけ声をかける。
「その財布、わしの知り合いのに似てるが?」
「それだ!その財布俺のだ!」
後から来た競馬仲間が男が持っている財布を指差す。男は逃げようとするも両津があっさり捕まえた。
「お前、50万当たったこと大声で喜んでたろ?」
「お、おう。」
「だからだ。お前はそういうところが不用心なんだよ。」
「悪かったな両さん。」
両津ぎ財布と馬券を競馬仲間に返す。麗子がスリを連行して行く。両津の周りに競馬仲間が集まる。
「両さん、次のレース予想してくれ。」
「鉄板がいないんだよ。」
「分かった。時行、お前ならどれ選ぶ?」
「う〜ん…4、11、3の馬の調子がいいですね。」
「よし。4、11、3に賭けろ。」
「時行って競馬出来たのか?」
両津と一緒に競馬予想する時行に驚く弧太郎達。両津が競馬仲間達にバイバイと手を振って別れる。そろそろ派出所に戻ろうかと言って派出所に帰る。
「凄かったっすよコーチ!」
「そうか!それほ良かった!まぁ、こんなこと普段は起きてほしくないがな。」
両津はコンビニでアイスを買って時行達にあげる。アイスを食べながら派出所に行く。
「コーチ、警察官も大変なんすね。」
「だろ。どれだけ頑張っても犯罪は消えることはない。わしらが一生懸命働いても世の中は変わらない。けど、わしらがいることで救われる人はいる。そういう人を増やしていくのがわしらの仕事だ。」
「さすがっす!」
「やはり両さんはいい警察官ですね。」
「静もそう思う。」
「私も!」
みんな両津を慕う。そのにパチンコ屋の前で会話していた男性が両津のところにやってきた。
「両さん!言われた通り亀有駅の向かいのパチンコ屋でやったら結構出たぞ!」
「そうか!いくら儲かった!?」
「25万!今日は焼き肉だ!」
「わしも仕事が終わったら行く!」
「もしかして、あの時亀有駅の場所を教えていたのって…」
さっきまで慕ってた時行達の視線が冷たくなる。そこに今度は競馬仲間がやってきた。
「言われた通りに賭けたら大穴よ!188万!」
「よっしゃあ!今日はみんなで焼き肉行くぞ!」
両津達が燥いでいる。時行達は呆れている。両津がニコニコで戻って来る。
「待たせたな!」
「ダメでしょ両さん!大原さんに言いつけるよ!」
「一緒に焼き肉行こうぜ!」
「行こう!」
「チョロいですね。」
涎を垂らす亜矢な呆れる雪長。そんな話をしながら帰る。もうすぐで派出所に着く。両津がチラッと横を見ると静がさっきのパチンコや競馬のことをレポートしていた。両津はまずいと判断した。
「待て!それはまずい。」
「こっちの方が読む人増える。」
「ゴシップ載せる週刊誌か!」
両津はツッコむと必死に変えるように言う。しかし、静は変えるつもりはないらしい。
「なら、こうしよう…」
後日、大原部長は屯田署長に呼ばれていた。
「大原君。パチンコ屋で当たる玉を教えたり競馬場でどの馬がいいか教えたりしていると電話があったのだが?」
「ど、どこからですか!?」
「神田姉ヶ丘小学校の先生からだ。宿題として出した働く人レポートに君がそんなことをしていたと書いてあったって言っていたぞ。」
屯田署長が呆れた顔で聞く。もちろんそんなこと知らない大原部長は否定する。そこで思い出す。神田姉ヶ丘小学校といえば時行が通っている学校。前日、時行達が働く人のレポートを書くと言ってインタビューに来た。そして、それに答えたのは両津勘吉。全てが繋がった。
大原部長の推測は当たっていた。両津は載せる代わりに自分と大原部長を書き換えるように静に言っていた。もちろん報酬は焼き肉だ。
大原部長は両津の仕業と分かるとメラメラも燃えだした。そして…
「両津はどこだぁ!両津のクソバカ野郎はどこ行ったぁ!」
「両さんなら警察の講演会に出席すると言って出て行きましたよ。」
弁慶のように大量の刀や槍などを装備した大原部長が派出所に突撃する。そんな大原部長に冷静に両津の居場所を答える時行であった。