派出所で両津は雑誌を読んでいた。レトロブームに乗っ取り昔ながらの喫茶店やゲームが特集されている。
「何が悲しくて昔に戻らなきゃならんのだ?」
「今はどこもハイテク化が進んでしまってますからたまにはこういう風に昔の雰囲気を感じたいと思っている人が多いんですよ。」
両津の愚痴に中川が答える。両津がページを捲る。クラシックカーの特集がされていた。様々なクラシックカーと持ち主のコメントが載ってある。両津は興味ないとページを捲る。すると、クラシックカー大レースという企画が載っている。
「クラシックカーでレースか。つまらんな。」
両津がジーと読んでいる。すると、優勝賞金10億円が目に止まった。両津の両目が¥になる。
「10億だとぉ!」
「それ、僕と麗子さんも出場するんですよ。」
「なに!?お前らもか!わしも出る!中川、なんでもいいからクラシックカー寄越せ!」
「わ、分かりました!」
両津は10億を手に入れるためにクラシックカー大レースに参加することにした。
大会当日、両津は時行と一緒にロータスに乗っていた。このレースは2人一組でクラシックカーに乗り長いコースを走って1位を目指すものというレースだ。
「両さん、何故私を?」
「中川は麗子とだし部長は誘いたくない。それにお前なら行けると判断したからだ。」
両津に頼られたことが嬉しい時行は頬を赤らめる。そこに中川と麗子がアルファロメオに乗って両津のところに来た。
「先輩。今回は本気で行きますよ。」
「わしも本気で行くぞ!」
「おや?その声はスーパー貧乏人ではないか!」
聞いたことある嫌な声が聞こえた。両津が振り向くと白鳥がいた。その隣には絵崎もいる。2人はフォルクスワーゲンに乗っている。
「なんでお前までいるんだよ!?」
「この大会は白鳥鉄工所が大会の主催だからね。僕が出場するのは当然さ。」
「私はドイツの懐かしいクラシックカーを日本に教えたくて来た。」
両津は嫌な顔をしながらどんな組み合わせだとツッコむ。そこに今度はクラクションを鳴らして怒鳴ってくる女がいた。両津が振り向くと春とレイがいた。スバルに乗っている。
「なんでここにおんねんトーキョーモン!」
「それはこっちの台詞だ!ここは東京だぞ!」
「10億のために決まっとるやろ!」
「さすが大阪人。こういうのには敏感だ。」
両津は面倒なことになったと嘆いている。
「そんな高そうなやつよりうちの50万かけたスバルの方が絶対上やで!」
「これ、中川から借りたやつだぞ。」
「嘘!?中川さん来てはるん!?」
春は早速中川を捜しにスバルを飛ばす。両津は喧しい奴が居なくなったとホッとすると今度は電極スパークとプラスが現れた。2人はシボレーに乗っていた。
「お前らもか…」
「うちで開発した最新のクラシックカーの試乗にピッタリと思ってな。」
「最新の時点でクラシックとかけ離れてるだろ…」
「凄い来てますね。」
「10億だからな。」
時行が周りをキョロキョロ見回している。軽く100台は超えるクラシックカーが勢揃いだ。その光景は圧巻だった。そろそろレースが始まる。両津もスタート地点に並ぶ。
「エントリーが遅かったせいで最後列だ。最前列は…中川、白鳥、春か…めんどくさい。」
両津はモニターに映っている中川達を見る。もうすぐでレース開始だ。モニターにカウントダウンが表示される。3…2…1…0になった瞬間、始まりの空砲が鳴った。
「ぐわぁ!撃たれた〜!」
「春ちゃん、もうみんな出発したよ。」
空砲と同時にリアクションをとった春はいきなり出遅れた。
「なんやトーキョーモン!ここは1回乗るのが常識やろ!」
春も猛スピードで出発する。現在トップを走っているのは中川と白鳥だった。白鳥は運転しながら麗子を口説いている。
「麗子さん。このまま僕と一緒にランデブーしないか?」
「その前に前見た方がいいわよ。」
「え?」
余所見運転した白鳥はそのままカーブを曲がれずコースアウトになってしまう。慌ててコースに戻る。壊れなければ何度でも戻れるのだ。白鳥がコースに戻っている間にスパーク達が抜く。
「どうだ!このパワフルだが静かな走りは!」
「誰も気にしてませんね。」
「なら、優勝してアピールするまで!」
プラスがデータを取る。その後ろから猛スピードで追い上げてくる車がいた。両津のロータスだ。凄いエンジン音を鳴らして迫ってくる。
「パパ、両さんが凄い音鳴らして迫ってるよ。」
「馬力を上げたか。だが…」
スパークがボタンを押す。すると、シボレーの後ろからジェットブースターが現れジェット噴射した。凄まじい煙が周りを包む。
「どうだ!これこそ我が社の最新ブースター!将来のロケットブースターにも採用予定だ!」
「スパークの奴!改造しすぎだろ!」
煙でケホケホ言いながらも両津はロータスを飛ばす。その隣に春のスバルが並んだ。
「トーキョーモン!CO2出すな!環境考えろ!」
「うるせぇ!これはわしじゃねぇ!」
言い争いながら飛ばす両津と春。その後ろから白鳥が追い上げてきた。他の車を弾き飛ばす。
「このまま負けてたまるかぁ!」
「なら、いいのがあるぞ。」
「なんだ!?」
「このEZAKI Z1フォルクスワーゲン型はもしもの時の武装がある。」
「武装!?」
絵崎がボタンを押すとフォルクスワーゲンからミサイルが飛んできた。ミサイルに吹き飛ばされる他のクラシックカー。ミサイルは両津と春を狙い飛んでいく。
「はぁ!?なんやそれ!?反則やろ!」
「おい!どんな改造してんだあのトンデモ教授!」
2人は華麗な運転テクニックでなんとか避けるもまたミサイルが飛んできた。両津は時行に後ろにある箱を開けるように指示する。時行が箱を開けると弓矢が入っていた。
「両さん、これは?」
「それでミサイル撃ち落とせ。」
「え〜…」
時行は両津の無茶振りに呆れながらも弓矢を装備してロータスの屋根に立つ。春とレイは時行を見て?を浮かべる。何するつもりかは予想着いたが本気でやるとは思っていなかった。時行は大きく深呼吸すると矢を放った。矢はミサイルに当たり軌道が反れる。そのまま隣のミサイルに打つかり爆発、他のミサイルにも誘爆した。
「春ちゃん…時行君、ミサイルを矢で撃ち落としたで。」
「なんや時行、戦国時代から来たんか?」
※正解です。
「まさか、あの無茶振りを本当にするとは…」
「両さんも無茶だと思ってたんですね!」
「なんなんだ北条君。」
「凄いね。」
これにはさすがの両津達も驚いていた。そのまま3台は競い合いながら前方を走る中川とスパークの車に近付く。
「そうだ。まだあるぞ。」
「止めろ!これ以上変な改造を見せるな!」
白鳥が止めるも絵崎は違うボタンを押した。すると、今度はシボレーの前方から火炎放射した。そのままフォルクスワーゲンを炎が包む。
「「うわあぁぁぁぁ!」」
「バカだろあいつら。」
「うちもトーキョーモンと同じ意見や。」
回転しながら燃えていくフォルクスワーゲンを見て両津と春は呆れていた。そのまま猛スピードで突っ走り先頭を走る中川とスパークにとうとう並んだ。
「このまま抜かすぞ!」
両津がロータスを爆走させながらシボレーやアルファロメオに体当たりする。中川とスパークも耐えるがロータスが一歩前に出た。ロータスを抜こうとする中川達。すると、ロータスから時行が弓矢を構えて出てきた。
「と、時行君…まさか…」
時行が矢を放つ。中川はアルファロメオを片輪走行させて避ける。時行はスバルやシボレーにも矢を放つ。さらに、追い上げて来た他の車のタイヤに矢を命中させて脱落させていく。
「あんなの反則やろ!?」
「まさか、この最先端のクラシックカーに弓矢で挑むとは…」
時行の弓矢による妨害を躱し切りロータスに並ぶ。時行は矢が無くなったと助手席に戻った。
「よし。十分だ。」
4台が並ぶ。凸凹道の悪路を突っ走る。スパークがタイヤを取られ先頭集団から離れてしまう。対する両津達は悪路に慣れているためそのまま走り切る。
「やるな!」
「当たり前や!」
「僕もこれぐらい出来ますよ!」
3台が並ぶデットヒート状態だ。すると、突然アルファロメオのスピードが上がった。それと同時にスバルも轟音を立てて爆走する。
「あいつらも改造してやがった!全然クラシックじゃねぇぞ!」
「どうするのですか!?」
「任せろ!」
両津もロータスもクラシックカーからじゃ出ない爆音を響かせながら走った。激しく打つかり合うクラシックカー。
「そんなんで抜かされてたまるか!」
「それはうちの台詞や!」
「負けませんよ!」
再び並ぶクラシックカー。すると、両津はロータスの左右から油を撒いた。油にタイヤがスリップしてアルファロメオとスバルが打つかる。
「こら卑怯者!戻って来んかい!」
「どんな手を使っても勝ちは勝ちだ!」
両津が笑いながら走る。春が両津に文句言ってるとアルファロメオから中川が出てきた。その瞬間、両津への罵倒が消え春は中川な擦り寄った。
「中川さ〜ん!」
「もうはるちゃんはレースいいみたい…」
春が中川に抱き着いていると遅れてきたシボレーがアルファロメオとスバルに激突した。スパークがシボレーから出る。
「傷入っていない。さすが超合金。」
「何邪魔しとんねん!」
「それどころじゃないですよ。この油、可燃性です。」
邪魔されたと春がスパークに詰め寄る。プラスが油を解析する。そこに今度はフォルクスワーゲンが突撃してきた。爆走するフォルクスワーゲンを避ける中川達。フォルクスワーゲンは油にタイヤを取られスリップする。
「「うおぉぉぉぉぉ!!」」
グルグル回るフォルクスワーゲン。中でパニックになる白鳥と絵崎。白鳥はなんとか止めようとブレーキを踏んだりボタンを押した。しかし、そのボタンは火炎放射のボタンだった。炎を纏い回転する。油に引火する。その火は油を伝って中川達のところへと向かっていく。
「逃げて!」
「我が社の最新クラシックカーが!」
「なんでやねん!」
中川達が急いで逃げる。炎は中川達の車に引火し大爆発を起こした。両津が笑う。ゴールが見えてきた。すると、時行が後ろを向いて火が迫ってきているのを見つけた。
「両さん!後ろ!」
「なんだ?うおっ!」
スピードを上げるもゴール直前でロータスに引火、大爆発を起こした。この結果、会場は大混乱となりレースは中止された。
後日…
「大変だったね。」
「あんたのせいで賞金がパァになったじゃねぇか。スパークも新車のお披露目がめちゃくちゃになったと怒ってたぞ。」
「御堂さんも50万かけた愛車が黒焦げになって凄く怒ってました。」
「圭ちゃんも愛車のアルファロメオが燃えてしまって抜け殻みたいになってるわよ。」
「君達はそれで済んで良かったじゃないか!」
何事もなかったかのように笑う絵崎に両津達が文句を言っている。中川はミイラのように干からびている。そこにボロボロのTシャツを着た見すぼらしい姿の白鳥が涙目で現れた。後ろにはフォルクスワーゲンと書かれたボロボロの車がある。
「どうしたのですか!?」
「主催者側として大会の責任を取らされ会社が傾いたのさ。おかげでこのざまだよ。」
「それは大変だったね。」
「お前も原因だからな。」
白鳥を心配する時行。他人事のように言う絵崎。そして、珍しく白鳥に同情する両津であった。