正義の眷属たちと第四真祖   作:琳華

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 4話 都市の現状とギルド

古城は無事に恩恵を刻み、アストレアから根掘り葉掘り質問攻めにあった古城だがようやく彼女が落ち着きを取り戻した為上着を着ることができた。

 

「それより良かったのか?」

「何がかしら?」

「アストレアさん、いや様付けした方がいいのか?」

「いいえ、大丈夫よ。古城はそう言うの苦手そうだし、敬語もいいわ。あ、でもアリーゼたちの前ではなるべく気をつけてちょうだい。過激な子もいるから」

 

たった一日で古城は自分が畏まった言動が苦手だと知られて苦笑いを浮かべる。そして心の中で担任の教師や自身の監査役である彼女が少し呆れたような表情をしているのが浮かんだ。

 

「そうすか。それで勝手に恩恵を刻んじちまったけどアリーゼさんたちに許可やら確認をとった方が良かったんじゃないのか?」

「大丈夫よ。団長のアリーゼや副団長の輝夜が貴方の実力は確認しているし、貴方のこのステイタスや昨日の話を聞いた上で保護という名目で恩恵を刻んだと言えばなんとかなるわ」

「あ、そのことなんすけど。この部分は隠してくれないすか」

 

古城が示したのは【眷獣召喚】の一文とスキルの【第四真祖】と【吸血行為】だった。

 

「確かにこれは隠しておいた方がいいかもしれないわね」

「ああ。この世界にも吸血鬼がいるのか知らないけど不安にさせたりするのも悪いからな」

「そうね。でもいつか話さないといけない日が来るわ。その時が来たら話してあげてね」

 

アストレアのその言葉に古城は頷いた。だが、2人はまだ知らない。その時が案外早く来ることを。

 

「あ、それとね。古城には今からギルドに行って冒険者登録をしてもらうわ」

「ギルドに冒険者登録って本当にゲームみたいだな。あ、でもアストレアさんを1人にしておくわけにはいかないだろ?」

「心配しなくても私も一緒に行くわ。私のファミリアは男子禁制みたいなものが暗黙のルールみたいになっているから、私が直接一緒に行って説明しないと余計な誤解が広がりそうだもの」

「そうすか」

「でも、その前に古城にはこの都市の、世界の現状について話しておくわ」

 

こうして語られたのはかつてこの都市で最強と最凶の二大ファミリアが存在していたが三大クエストの最後の一つ黒龍の討伐に失敗し、二つのファミリアは壊滅状態になり、更にこの都市を追放された。

それと同時に今まで大人しかった闇派閥と呼ばれる者たちが現れ、都市は今『暗黒期』と呼ばれる状態になり、治安や風紀は乱れ神であろうがヒトであろうが何時命を落としてもおかしくない状態だということ。

 

「まるで戦争だな」

「ええ、そうね。……そうかもしれないわね。私のファミリアも都市の治安維持に貢献しているわ。もう一つガネーシャ・ファミリアと呼ばれるファミリアも同じような役割だわ」

「それとダンジョンだったか?本当に聞けば聞くほどゲームなんじゃないかと思ってくるぜ。それにダンジョンか」

 

古城は思い出す。1人の少女が作り出した夢の中…『監獄結界』と呼ばれる異空間の中に創り出された島に存在した地下迷宮(ダンジョン)という場所を。逢魔の魔女と呼ばれる魔女に悪用され、古城はそこで何度も共に生活をした先輩や学友たちの死を魂に刻まれた。

 

「古城、大丈夫?」

「え、ああ。すいません。それでダンジョンの攻略もいずれ来る世界の滅亡を防ぐ為の重要な行為だということ」

「ええ、そういう認識でいいわ」

 

滅亡するかもしれない。そんな世界に何故自分が来たのか分からない。だが、理不尽な運命がこの世界を襲おうとしているのであれば古城は自ずと厄介ごとに首を突っ込むであろう。それが彼が力を振るう理由になれば。

 

「さて、今の説明を聞いて疑問に思ったことはあるかしら?」

「さっきの説明で疑問に思ったんだが神様って人の手で殺せるのか?」

「ええ。でもそれは本来してはいけないこと。神を殺せるのも罰せられるのも同じ神だけなのよ。そのルールを無視して行なっているのが闇派閥なのよ」

 

成程と納得する。

 

「だから現状ギルドから神々は単独行動の禁止の上どうして行動するなら自らの眷属と共に行動する事が義務付けされているはずなのだけど」

「まぁ、神様って存在が自分勝手なのはどこも同じか」

 

一瞬古城の頭に過ぎる『ケケケ』と言う独特な笑い声をあげる人工知能。

 

「さて、話はここまで。ギルドに向かいましょう」

「ああ、そうだな」

 

話を切り上げ、アストレアの案内のもと古城は冒険者登録を行うためにギルドへと向かうことにした。

 

「活気がないな」

「ええ。そうね」

 

古城はそう口にした。市場と思わしき場所には賑わいが無く、鉄格子のようなものが取り付けられている。住人の表情も暗く、子供の笑い声すらも聞こえることはなかった。

 

「これが今のオラリオの現状よ。皆、一様に怯えている」

「……」

 

無意識に手に力が入る。

 

「さぁ、着いたわよ。ここがギルドがあるバベルよ」

「塔、すか」

「ええ、そうよ。ギルド以外にも武具などを売買するテナントがあるわ」

 

そのまま中に入ると受付窓口のよう場所が目に入った。

 

「ごめんなさい、ギルド長ノイマンはいるかしら?」

「ギルド長ですか?ギルド長なら今ウラノス様の祭壇にいると思いますが」

「なら、ちょうどいいわ。重要な話があるの今からウラノスも含めて話ができないか聞いてもらえる?」

「しかし…」

「ならこれを2人に渡してもらえる?返答はそれからでも構わないから」

 

アストレアが渡したのは古城のステイタスが描かれている羊皮紙だ。ただ、見えないように筒状に丸められ紐で縛られている。

 

「分かりました。それぐらいでしたら」

 

受付嬢と思われる彼女はそのまま立ち去っていった。

 

「古城、これからこのギルドを治めている神とギルド長に会うわ。貴方のことをその2人には話しておかないと後々面倒ごとになるから」

「まぁ、いいすけど」

 

そのまま待つこと5分ほど、受付嬢が戻ってきた。

 

「ウラノス様及びギルド長がお会いになられるそうです」

「分かったわ。無理を言ってごめんなさい。場所はわかっているから貴方は自分の仕事に戻って大丈夫よ」

 

そう言ってアストレアと古城はギルドの奥の方へと進んでいった。

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