カイ、大好きだよ   作:狼黒

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おかえり、カイ

申谷カイ

 

かつて秘薬の密輸に手を染め、山海経から永久追放された錬丹術研究会の元会長だった生徒

しかし、あくまで山海経の中での事件だった為、世間的な知名度はそこまで大きくはない

連邦矯正局を脱獄した『七囚人』の一人に挙げられていながら、ギヴォトス事件を起こした山海経の中でも名前すら知らない人間がいるほどである

しかし現錬丹術研究会会長の薬子サヤなど一部の生徒からは、存在自体を危険視されているなど、かなり危険度が高い生徒でもあった

そして、彼女はこう宣言した

 

「私は、私のものを取り戻す。誰にも邪魔させないよ」

 

 

 

 

さて、場所は移り山海経のとある一角

山海経内で問題を起こした生徒らが収監される拘置所

その建物の中には、地下へ続く階段がある

その階段を下っていくと迷路のように複雑な道が続き、そこを通り抜けると頑丈に作られた扉が現れ、両脇には玄龍門に所属する生徒が控えている

彼女らは玄龍門内でも腕のたつ生徒であり、この扉を開けるには許可を得た者か、あるいは彼女らを倒すだけの腕前がある者に限られる

そして頑丈に作られた扉を潜った先にあるのは、部屋

部屋と言っても布団と簡易な机、それに椅子といった簡素な物しかなく、娯楽というのは本ぐらいしかない

更に部屋の至る所に監視カメラが設置されており、部屋の中での動きは筒抜け状態である

そんな部屋に、一人の生徒が存在する

彼女の名は、虚月ナキ、元錬丹術研究会の部員だった生徒だ

彼女自身が何か罪を犯したわけではないのに、何故こんな部屋に軟禁状態にされているのか

その理由は唯一つ

彼女は、申谷カイと所謂恋人関係にあったからである

 

 

 

 

 

「…暇」

 

ベットに寝転びながら、そう呟く

ここに連れてこられてから、ただ時間が過ぎ去るのを待つだけ

どれくらい経っただろうか、少なくても半年は過ぎている

寝ている間に入れ替えられている本のお陰で、辛うじて正気を保っているけど、それが無かったら今頃発狂してた

以前訪ねてきたキサキに、何時になったら出して貰えるのか聞いたが、言葉を濁していた為、もう出られないんだろうなと覚悟していた

周りの人間が煩いんだろうと、キサキの周りには古臭い人間しかいないから

キサキは兎も角として、その周りの頭の硬さに呆れたもした

 

「…本当に、迎えに来るのかな」

 

つい、そんな言葉が漏れる

先週お見舞いと称して訪ねてきた錬丹術研究会の後輩が、監視カメラに写らぬようにそっと見せてきた紙片に書かれていた事を思い出す

 

 

『もうすぐ迎えに行く』

 

 

それは、紛れもなく自分の恋人である相手の字

見間違えるはずもなかった

 

 

 

それから1週間が経った

あの後輩が見せてくれた紙片の件か、はたまた別件なのかは分からないが、起きたら監視カメラの台数が増えていた

…カイの恋人だからって、何でこんなに警戒されて軟禁までされなければならないのか

正直苛立たないのかと言われれば嘘になる、けど苛立った所で何か変わるわけもなく

私にできることは、ただこの部屋で時間が過ぎるのを待つだけだ

…カイは、本当に迎えに来てくれるのか

 

 

 

 

部屋が揺れている

そう感じたのは、あれからさらに二週間経った頃

眠りから目を覚ませば、天井から微かに騒々しい音が聞こえる

やがてそれが銃声だと気付いたのは、その音が扉の前まで来た時だ

一体何事なのかと疑問に思えば、2つの銃声とともに音が止む

そして次に響いたのは、扉を開く音

ガチャンという音と共に開く扉、そしてその先にいた存在を目にした時、目から涙が落ちる

そんな私に近寄って、羽織っている白衣からハンカチを取り出して差し出してくる

そのハンカチは、恋人という関係になる前に、私が誕生日プレゼントとして贈ったもの

だけど、取り敢えず

 

パァン

 

「…遅い」

 

「すまなかったね、色々と準備しなきゃいけないことがあったのさ」

 

頬をビンタしてそう言う私に、そう返す…カイ 

後ろにいる後輩達がどよめくも、カイが手を挙げることによって静かになる

良いよね、だってずっと待たされてたんだし

 

「…忘れられたかと思ってた」

 

「まさか、私が君を忘れるわけ無いだろう?」

 

「ずっと、このままなのかと思ってた」

 

「安心すると良い、もうこんな牢獄とはおさらばだよ」

 

他にも色々と、沢山言いたいことがあったけど

目の前にカイが居る、その事実が嬉しくて

そんな私を引き寄せて、胸元で抱き締めてくるカイ

それが嬉しくて、カイの背中に手を回す

あぁ、言わなきゃいけないことがあったんだ

 

「…おかえり、カイ」

 

「ただいま、ナキ…そして、一緒に行こう」

 

「…うん」

 

そう返事をすると同時に、キスをした

彼女は、山海経では忌むべき人物なのかも知れない

けど、私にとっては、愛する人だ

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん」

 

カーテン越しに当たる光で目を覚ます

…随分と懐かしい夢を見た

隣を見てみれば、愛しい人が瞼を閉じて、寝息を立てている

そんな寝顔を眺めながらベットに散らばっていた上着を羽織ると、首から提げているネックレスに繋がれている指輪を触る

カイの首元にもあるそれは、私とカイが繋がっている証拠でもある

時計を見れば起きるのにはまだ早い時間だった

…それに、昨日の夜の情事で腰が痛い

あの日から毎日のように求められるのは嬉しいけど、もう少し手加減というものを覚えてほしい

まぁ、言っても却って激しくなるんだけども

…でもまぁ、嫌じゃない

お互い生まれたままの姿、自分の体を見てみれば、昨日の夜の情事の証拠に、カイによってあちこちに付けられた印

対してカイの体には、昨日の夜の情事の跡一つもない

それが何となくムカついて、寝ているカイに顔を寄せて、首元にキスをする

離れれば、首元についた赤い跡が残っている

さて朝ご飯作らなきゃ、とベットから降りようとした時だった

 

「随分と楽しそうだね」

 

そんな声が聞こえたかと思うと、次の瞬間視界に入ったのは部屋の天井と、カイの顔

何時起きたのか、さっきまで寝ていたはず

 

「えっと…おはよう?」

 

「あぁ、おはよう」

 

ニコリと笑顔でそう言うカイ

けど何故だろうか、嫌な予感がする

 

「寝ている時にキスなんて…いけない子だ」

 

そう言うと唇を重ねてくるカイ

抵抗しようにも両手はカイによって、ベットのシーツに縫い付けられている

ジタバタして抵抗してたけど、カイの方が力は強い

それに、カイのキスが気持ちよくて、段々と力が抜けていく

酸欠で頭がボーッとして来て、やっと終わる

必死に酸素を取り入れながらカイを見れば、その熱の籠もった目を見て、これから何をされるのか容易に想像がついた

 

「ほ、ほら、朝ご飯作って食べないと…」

 

「昼に一緒に食べれば良いだろう?」

 

「お、お腹すいちゃうじゃん?」

 

何とかカイの意識を逸らそうとするけど、益々熱が籠もってきているカイの目を見て、これは駄目だと悟る

だけど私自身も嫌じゃないって、心の片隅で思ってる

だって、顔が赤くなってるのが分かるし、目が潤んでるのが視界の見え方で分かるし、声も上擦ってるから

 

「そんな顔して…本当は期待してるんだろう?」

 

それに、と私の両手を押さえつける力が強くなって

 

「そんな声で言われても煽ってるだけだし、ここまで来てお預けなんて、そんな酷いことしないよね?」

 

『ねぇ、ナキ』と

耳元で、甘ったるい声でそう言われたら、体の中が熱くなって

ぎこちなく頷けば、『良い子だ』と言われて頭を撫でられて、唇を奪われて、羽織っただけのシャツを脱がされた

 

 

 

「今の私を満足させるのは君だけだよ、ナキ、だから」

 

「愛してる、ずっと一緒にいようね」




運営さん是非ともカイの実装をよろしくお願いします



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