フジポケ呪術ダービー   作:ケンタ〜

8 / 17
フジポケ呪術ダービー #8 紫の弾丸

 引き金を引いた瞬間、弾丸の火薬は爆裂する。

 一握りの軽い弾丸は瞬時に音の壁を超え、圧倒的なエネルギーを得て、正確な照準の通りに飛んでいく――――

 

 狙うは、ジャングルポケット、その魂――――

 

「!!」

 

 ジャングルポケットが、その右手を突き出す。

 弾丸はその掌に着弾。

 掌は呪力のこもった鉛の塊に破砕され、手首から先が吹き飛んだ。

 

「――――防がれた、ルドルフ!」

「そんな、動けるはずは…………」

 

 ルドルフは言葉を止めた。

 

「呪力で直接体を動かしているのか!」

 

 なんて奴だ――――

 

 ルドルフは驚嘆した。

 

 確かに呪力操作や身体強化の延長として、体を呪力で動かすことは可能だろう。

 しかし、雷に等しい攻撃を浴び続けながら、なおも動くとは。

 破壊され続ける組織を反転術式で常に回復し続けながら、同時に呪力で体を動かす…………

 

「ルドルフ、来るぞ!」

「分かっている!」

「ガアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 ジャングルポケットが雄叫びをあげる。

 

「ッ――――――――!!」

 

 とっさにルドルフは耳を呪力で保護した。

 その呪力とジャングルポケットの呪力が反応し、耳の直ぐ側でバチバチと音を立てる。

 

(――――まずいっ!)

 

 ピシリ、と領域にヒビが入った。

 

 ――――領域をゼロから結界に構築する。

 それはすべてのリソースを結界に負担させ、領域として成り立たせるということを意味する。

 本来は、魂と脳によって負担される術式までもをすべて結界に組み込む。

 

 それは膨大なリソース。

 それを結界一つで成り立たせるために、ルドルフはその耐久性を引き換えとした。

 

 カシャアアアア――――

 

 領域が、崩壊する。

 

 燃える森の中に、三人は回帰する。

 

「確かに通常の領域より強度は劣るが、まさか一撃でやられるとは……!」

「ヴォオオオオオオオオオオオオ!!!」

「ッ――!!」

 

 空中で、爆裂する呪力を乗せた咆哮。

 

 音であるそれは回避は困難、守ろうとすれば呪力で体を包むしかない。

 踏ん張れない空中で、シンボリルドルフの体は地面に叩きつけられた。

 

「くっ……!!」

 

 すぐに体勢を立て直し、ジャングルポケットへと顔を向ける。

 その眼前に、彼女は迫っていた。

 

「なっ」

「オォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!!」

 

 頭部を防御する呪力がいとも容易く吹き飛ばされ、ありとあらゆる穴から呪力が侵入した。

 

「がっ……………!!」

 

 まるで脳が弾けたかのような感触。

 鼓膜が吹き飛び、鼻から血が吹き出す。

 

(油断したっ…………!)

 

 思いっきり舌を噛む。

 吹き飛びかけた意識を強制的に呼び戻し、シンボリルドルフは体中に呪力をほとばしらせた。

 麻痺した脳の代わりに、体中の筋肉に電流を流し、即座に後ろへ後退した。

 

「ッ――ゲホッ、ゲホッ!」

 

 地面に吐き出される血の塊。ビチャリと音を立てる。

 

「ルドルフ!」

 

 クリスエスが呼ぶ。

 

 しかし、ジャングルポケットが動くほうが早かった。

 

 再び遅い来る敵へとルドルフは構える。

 

 爆裂する呪力の拳と、電雷の拳が交差する。

 

「くッ!!」

 

 呪力が爆ぜ、体が吹き飛ばされる。

 

(威力が、上がっている……!? 領域を浴びせ、反転術式も使わせているというのに……!! 更に、片腕……!!)

 

 すぐに足をつけて踏ん張り、次の一撃を振りかぶる。

 

 爆雷の応酬が再び始まった。

 

 でたらめに暴れる拳と、雷のごとくその隙間を縫い放たれる拳。

 

(先程より、数段速い……!!)

 

 破壊度を増す爆裂の拳。

 しかし、対する雷の方にはその動きに陰りがあった。

 

 その雷の横から、鋭い爆撃が襲いかかる。

 

「ぐッ――――!!」

 

 ルドルフの左腕が、曲がってはいけない方向へと折れた。

 そして生まれる、致命的な隙。

 

(離脱を――――間に合わない!)

 

 ジャングルポケットの呪力が、跳ね上がる。

 

(周囲ごと吹き飛ばすつもりか……!! ずいぶんと、警戒されているらしい……!)

 

 夜の森の中に、ひときわ明るい、巨大な火球が生じた。 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。