エデン条約編第EX章【第二回エデン条約調印式】   作:かのさん

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晴天

その日は素晴らしき条約が結ばれるにはあまりにも晴れていた。そう、なにかが起きる予兆ではないかと疑うほどにーーーーー

 

「先生!そろそろいかないと間に合いませんよ!」

 

アロナの声がシッテムの箱から聞こえてくる。

 

「あーもー!わかってる!こんなに大量の書類調印式から戻ってきた私が見たらどう思う?」

 

先生ーーそう呼ばれる女の人は苛立ちを隠せなようだ

 

「なんでよりによってこんな日に送ってくるかなぁ?マコトは。」

 

思わずため息をつく。すると、突然立ち上がり

 

「よし!行こう!後は明日の私がなんとかする!」

 

気が変わった...というよりはどうでもよくなっているようだ。

 

「と...突然ですね先生。では行きましょうか。」

 

戸惑いつつも返事をするアロナ。即座にシッテムの箱の画面にナビを表示する。

 

「今回の調印式の会場は前回とはまた別の古聖堂になります。道が複雑なので頑張ってナビゲートします!!」

 

画面の端で自信アリ気な表情を見せるアロナ。先生もそれに答えるように優しく笑う。

 

「それじゃ、よろしくね。」

 

そう言うと先生は颯爽と車を出した。

 

━━

 

「ゲヘナの生徒会は遅いね。何をチンタラしているのかな?」

 

ピンクの長髪を片方にまとめて団子にしている少女━━聖園ミカだ。ふわふわした口調だがそこには確かな怒りが混じっている。まだ日の登りきっていない時間帯トリニティの中心から少し離れたところにある古聖堂。そのベランダにティーパーティーのメンバーが揃っていた。

 

「ミカさん。そんなにイライラしないでください。ここは我慢です。」

 

隣に座るきれいな純白の羽を持つ少女━━桐藤ナギサがなだめる。やはりここでも紅茶は手放さない。

 

「今回の条約を提案したのは向こうでしょ?いいだしっぺが遅れるのはおかしいじゃんね☆」

 

「苛立つ気持ちもわかるぞミカ。しかしここで君に暴れてもらっては我々の長年の夢である条約が台無しになる。なんならそれを口実に反故されるなんてことも・・・・うんぬんかんぬん・・」

 

獣耳の小さな金髪の少女━━百合園セイアがいつものように小難しい話でミカの話を遮る。

 

「また始まったよ〜セイアちゃんそんな話ばかりするから友達いないんだよ。」

 

ミカは痛いところを突いたつもりだった。が

 

「そういうミカにはいるのかな」

 

そっくりそのまま返された。これにはさすがのミカも押し黙るしかないようだ、正論なのだから。

 

━━

 

「キッキッキッついに今日!私の願いが叶うッ!」

 

トリニティの郊外を飛ぶ飛行船の中で万魔殿《パンデモニウム・ソサイエティー》の長である羽沼マコトが突如笑い出す。その傍にいる赤髪の少女がやれやれとため息を付くのが見える。

 

「またわけのわからないことを企んでいるのですか?そろそろやめてください。」

 

「なにを行っているイロハ!もう計画は始まっているのだぞ!今回こそトリニティを壊滅させるのだ!キシシシッ!」

 

マコトが高らかに宣言する。それを聞いたイロハは明らかに動揺していた。

 

「え...?今なんて?」

 

震える声を喉からこぼす。

 

「何度言えば分かる。この作戦はすでに開始されたのだよ。たった今実働部隊の方から連絡が来た『アレを飛ばした』と。」

 

マコトはヘイローが疑問符になってしまったようなイロハを横目に踵を返し部屋を出でいく。後を追うように万魔殿の面々も退室する。突如として告げられた事実━━イロハにとっては全くの予想外だった。部屋には呆然と立ち尽くすイロハと彼女を心配そうに見つめる幼女━━丹花イブキしか残っていなかった。

 

「嘘だ...そんなはずはない....今の今までそんな計画知らなかった...悟ることすらできなかった....」

 

消え入りそうな独り言。しかしそれは慰めにもならずただ自身の無力さを再認識するだけの自傷行為でしか無かった。

 

「イロハ先輩...どうしますか?イブキも今はじめて知りました。」

 

ハァーーと長い溜息。

 

「こうするしかありません。イブキ、付いてきてください。」

 

そう言うとイロハはマコトらが出た方向とはまた別のドアを開き廊下にでる。イブキの小さな体がそれに続く。

 

「整備長聞こえますか?今すぐ虎丸Ⅱ号の降下準備をしてください。直ちにですよ。」

 

普段の感じからは想像のつかないキリッとした声で無線に話す。こころなしかイロハの足取りが早くなる。

 

「この船にアレが直撃する前に降下しなければ....」

 

歯ぎしりをする彼女の顔は既に怒りで覆われていた。

 

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