あったかもしれない日常   作:ふわふわ毛布

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指揮官がちょいとキャラ崩壊しております


001.ニケと命令

 シャワーーー

 

 ・・・ん?

 

 シャワーーー

 

 誰かが指揮官室のシャワーを使っている音で目が覚めた

 

 しばらくして

 

 ガラガラ

 

「あれ?指揮官様?起こしちゃった?」

 

 アニスが首に巻いたタオルで濡れた髪を拭きながら脱衣所から出て来た。なんとも満足げな表情をしている。

 

「ああ。アニスか」

 

 ベッドから上半身だけ起こして返事をした

 

「ごめんごめん、昨日酔っ払って寝ちゃったからシャワーも浴びてなかったのよ。」

 

「・・・シャワーなら宿所にもある」

 

 ムッとした表情で、アニスがこちらに詰め寄ってくる

 

「なによー、私と指揮官様の仲でしょ?それに、宿所のシャワーは温水が出ないの!温水を1人で楽しむつもり!?ずるい!」

 

 まだ酔いが抜けていないのか、距離がいつもよりかなり近い。暴れるアニスの胸元からそっと目を逸らした

 

「・・・この前ボイラーの修理を頼んだはずだったが、まだ温水が出ないのか?」

 

「前哨基地にご立派なホテルがあったでしょ?マイティーツールズは、今あそこの依頼で忙しいんだってさ。私たちのシャワーの修理なんて優先度が低いのよ。全く嫌になるわ。前哨基地にあんな立派なホテルがあっても、誰が使うっていうのよ!」

 

 この前、久しぶりの休暇をホテルで過ごした際、はしゃぎすぎてトラブルを起こしてしまったことを思い出す。ドラーが壊した壁の修理を頼んだら、そのついでに大幅な修繕を行っていたみたいだった

 

「・・・なんだかすまない。シャワーならいつでも使っていい」

 

「分かればいいのよ。分かれば。」

 

 アニスは、そう言いながら当然のように冷蔵庫を開けて中から炭酸水を取り出すと、私のベッドに座って気持ちよさそうに炭酸水を飲みだした。

 

「ぷはぁ。げふっ。それより、指揮官様ったらこんな時間までおやすみだったのね。・・・指揮官って暇なの?」

 

「こんな時間だって?」

 

 時計を見る

 

「まだ朝の6時だぞ・・・」

 

「うそ?宿所の時計はもう10時だったわよ?もう何もかも壊れてるじゃない。どうにかならないの?」

 

「お金がない」

 

「はあ?あれだけ死にかけて作戦を成功させてるのにお金がない?一体どうなってるのよ?」

 

「・・・すまない。私のミスで最近まで作戦報告書を提出していなかった」

 

 アニスは信じられないほど呆れた表情を浮かべている。今すぐベットに潜り込んで、逃げ出したい気分だ

 

「指揮官様ったら、本当に士官学校を卒業できたの?指揮官のしの字も知らないレベルじゃない。まぁ、今に始まった話じゃないけどさ・・・作戦報告書はもう提出したの?」

 

「ああ、ラピがやってくれた」

 

「なに?命令したの?指揮官様も結局今までの指揮官と一緒なのね。」

 

 アニスがジト目で信用無さげにこちらを見つめてくる

 

「そうじゃない。私が作戦報告書の作成方法を知らなかったから、それでは遅いと自分でやってくれたんだ。もちろん、次からは私がやるつもりだ」

 

「まあ、あの子はそういう感じよね。でもそれなら結構大金が入ったんじゃないの?お金がないってことある?」

 

 ホテルの修理費とクロウへの補填を思い出す。自分がはしゃいでしまったせいでお金が無くなったとはとても言えない・・・上手く誤魔化さなくては・・・

 

「・・・この間、君たちにプレゼントだと言ってたくさん食べ物を買って帰った時があっただろう?あの時、君たちが喜んでくれたことが嬉しくて、その後もついつい散財してしまって無くなってしまった・・・」

 

「・・・一体何回私を呆れさせれば気が済むのよ・・・」

 

 アニスがため息をつく。なんとか誤魔化せたようだ

 

「ま、むしろ善意でやったことだし、指揮官様らしいけどさ。」

 

 アニスは少し微笑んでこちらを見つめ、そっと私の頬に手を添える。その手は人間と同じように暖かくて、柔らかかった

 

「でも、ほんと指揮官様って不思議よね。指揮官とニケの関係なんて、命令して、なんでもその通りに動く兵器ってだけなのに。普通じゃないわ。」

 

「君たちは命令なら本当になんでも聞くのか?」

 

 アニスは私の頬に添えていた手を下ろした。その表情は少しこわばって見えた。少しまずいことを聞いたような気がして、アニスから目を逸らした

 

「・・・そうよ。なんでも聞くわ。なんでも。・・・ニケは指揮官の命令には絶対服従。ラピからも聞いたでしょ?」

 

「・・・それは・・・本当に"なんでも"なのか・・・?」

 

 私は言葉に含みを持たせて、アニスのことをチラと見る

 

「ちょっと、なに?そのいやらしい目は!指揮官様!これってセクハラよ!」

 

 ドン引いた様子のアニスは、身を捩って私から少し距離をとった

 

「これは漢のロマンなんだ。頼む、教えてくれ。これは命令だ」

 

「///・・・!そんな命令卑怯よ!」

 

 アニスは顔を赤らめてそう言うと、俯きながら話を続けた

 

「・・・そういう命令をして実際に行為に及ぶ指揮官とニケもいるってことは知ってる。ニケって人間の頃の理想を体現するから、基本的にはみんな容姿が美しいでしょ?それに惹かれる指揮官もいることにはいるのよ。まあ、ほとんどの指揮官はニケを兵器として見ているから例外中の例外よ。・・・その例外もニケを愛してるわけじゃない、顔がいい"もの"を好き勝手できることに悦に浸ってるだけよ。ほんとう、くだらない・・・」

 

 2人の間に少し気まずい雰囲気が流れた。目が合ってしまうのが少し怖くて、私は俯いて指遊びに徹した

 

「そうか・・・なんだか、すまない。調子に乗って、思ったより重い話をさせてしまった・・・」

 

 トントンとアニスに肩を叩かれる。顔を上げるとアニスが仕方なさそうにこちらを見ていた。

 

「気にすることないわ。当然といえば当然の質問なわけだし・・・でも、指揮官様はそんな命令しちゃダメよ。・・・そんなことしたら、傷つく人はあなたが思ってるより多いから・・・」

 

 アニスは顔を上げて真剣な表情でこちらを見つめる。それに対し、私も真剣な表情で答えた

 

「肝に銘じる。私も君たちを傷つけるようなことは絶対にしたくない」

 

(私は指揮官様になら、そうやって強引にされるのも悪くないって思っちゃったりもするけど・・・///)

 

「ん?何か言ったか?」

 

 アニスは素早く顔を逸らした

 

「い、いやー!?何も言ってないわよ!煩悩まみれな質問するくせに、急に真面目な顔してバカみたいって思っただけ!私は用事思い出したからもう行くね!シャワー貸してくれてありがと!じゃあね、指揮官様!」

 

 そう言うとアニスは足早に去っていった。心なしか彼女の顔がまた少し赤くなっているように見えた

 

 

 





 今回の話は、ラピの好感度イベントに触発されて書きました。ラピが、ニケはどんな命令であろうと指揮官に絶対服従するという話をしているのを見て、煩悩たっぷりな私は邪な想像しかできませんでした。私だけとは言わせない
因みに、作戦報告書関連の話もここでやってましたね。

 途中で出て来たホテルの話は、突発イベントの「メビウスの輪」を見ていただけると詳細が分かります。突発イベント、あんまり見ている人がいないんじゃないかと思いますが、色んなニケの人となりが知れて筆者は幸せな気持ちになれるので好きです。

それでは、ご覧いただきありがとうございました。

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