可愛い銀髪美少女天使カードとして転生した私、マスターを導く   作:にゃっとう

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27.そんな捨てられた子犬みたいな顔しないの

「――クラス代表対抗戦、中等部二年の部、優勝クラスCクラス。クラス代表、燃照センカさん。前へ」

「はい!」

 

 国立クロワッサン学園、体育館。

 各学年で行われたクラス代表対抗戦の大々的な結果発表と、その表彰を行うということで、現在、全校生徒と来賓、さらには学園側の許可を得た記者も招待されての表彰式が執り行われている。

 私――無空メイもまた、高等部一年の優勝クラスの代表者として、最前列で表彰の待機をしているのだけど……。

 話には聞いていたものの、表彰式というものがここまで大がかりだとは思ってもみなかった。

 中等部と高等部の全校生徒だけならまだしも、まさか学園の外からまで人を呼ぶだなんて……。

 

 優勝しておいて言うのもなんだが、正直なところ、私はクラス代表対抗戦の影響力を甘く見ていた。

 しょせんは学園内の競争意識を煽るために学園が用意した、体育祭のようなイベント程度にしか考えていなかったのだ。

 だけどこうなってくると、私は少し認識を改める必要があるかもしれない。

 国立クロワッサン学園は、プロデュエリスト養成校だ。

 そこで行われるデュエルのトーナメントで頂点を取るということは、それすなわち、将来有望なプロデュエリストとしての資質を認められるということにほかならない。

 生徒の将来や、学園の未来を左右しかねない重要かつ注目度の高い学園行事だと考えれば、その表彰式がこれだけ大規模になるのも頷ける。

 

 センカが表彰式を楽しみだと言っていたことの本当の理由が、ようやくわかった。

 これだけの大人数と、少ないとは言え雑誌などのメディアが見ている中で表彰されるということには、それ相応の重みがある。

 

「センカさん。あなたが繰り広げた決勝戦は、私も拝見させていただきました」

 

 表彰は、中等部の一年から三年まで順に行った後、高等部の一年から三年を順に実施していく。

 今は中等部二年の段階だ。

 中等部二年のクラス代表対抗戦を制したことで名前を呼ばれたセンカは、今まさに大注目の壇上に立っている。

 そしてセンカの対面で、彼女に賞状を渡そうとしているのが、この学園の生徒会長――名前は……えぇと……光華ノゾミ、だったっけ。

 大人びた雰囲気の金髪の少女で、大勢の視線にも物怖じせず堂々として、落ちついた柔和な笑みを浮かべている。

 

「その名が示す戦の華のごとく。熾烈な争いの最中であなたが見せた勝利への飽くなき執念は、数多のデュエリストの心を焦がし、そして焼き尽くしたことでしょう。ゆえに、一つだけ問わせてください。あなたはなぜ、そこまでして勝利を求めるのですか?」

「……」

 

 クラス代表対抗戦の表彰式では、表彰者は賞状を受け取る際、一つだけ質問を受け、それに応える習わしとなっているそうだ。

 いわく、自分のデュエリストとしての在り方を対外的にアピールし、そのアイデンティティを確固たるものにするためだとかなんとか。

 ……まあ要するに、主に学園外から来た記者向けのパフォーマンスと言ったところだろう。

 

 センカは、生徒会長――ノゾミからの質問に瞼を閉じる。

 それから再びゆっくりと瞼を開くと、その眼差しに狂気にも似た小さな業火を宿し、低く静かな声音で答えた。

 

「皆にとって、わたしがまだ『燃照ホムラの妹』でしかないから」

「……質問に答えていただきありがとうございます。そして、クラス代表対抗戦中等部二年の部、優勝おめでとうございます。燃照センカさん」

「はい! ありがとうございます!」

 

 いつも通りの元気はつらつとした声でセンカが返事をしたところで、ノゾミは彼女を称えるように賞状を手渡した。

 センカはそれを受け取って恭しく一礼すると、壇上から降りて、自分の席へと戻っていく。

 戻る最中、私と視線が合った際には、目立たない程度に小さく手を振ってきた。

 私の隣で、ホロエルがそれに手を振り返していたけど……今のホロエルは私にしか姿が見えないいつもの半透明状態なので、センカにその身振りは見えていないだろう。

 それでも、私の何気ない視線移動でホロエルがなにかアクションを起こしたことを察したのか。センカは子犬のように人懐っこい笑みを浮かべて嬉しそうにしていた。

 

 そして次の中等部三年の表彰者が呼ばれ、その生徒が賞状を受け取った後……。

 

「続いて、高等部一年の部、優勝クラスAクラスの代表者――無空メイさん」

「はい」

 

 ついに私の番がやって来た。

 私はホロエルと視線を交わし合うと、席から立ち上がって壇上へ向かう。

 これだけ大勢の人の前に立って表彰されるなんて初めての経験だけれど、特に緊張などはない。

 いついかなる時、どんな場所でも、ホロエルがいてくれるなら私は私のまま変わることはない。

 

 ……しかし、そうして冷静なままノゾミの前に立ったことで、私はふと、微細ながらも明確な違和感に気づくことができた。

 ――彼女の目が、()()()()()()()()()()()()

 

「無空メイさん。あなたが繰り広げた決勝戦は、私も拝見させていただきました」

「……」

 

 ノゾミが話し始めた時にはすでに、その目線の先は私へと戻っていた。

 

 ……今のホロエルは、私以外には姿が見えていない……はずだ。

 もしも他の人にも姿が見えているなら、もっと騒ぎになっているだろうし……。

 けど、だったらどうして彼女はホロエルがいる方角がわかった?

 気のせいだった? あるいは偶然、ホロエルの方を向いただけ?

 それとも本当に、ホロエルの姿が……。

 

「白い死神……誰が呼び始めたか、あなたを指し示すその異名は、もはや学園中の誰もが知るところとなりました。数多のデュエリストを一切の容赦なく葬るその死の刃から逃れた者は、未だ一人として存在していません。ゆえに、一つだけ問わせてください。あなたはなぜ、そうまでして敗北を拒絶するのですか?」

 

 ……気にしすぎてもしかたがないか。

 少なくとも、今ここで彼女を問いただすことはできない。

 今の私と彼女のやり取り、その一挙一動には、全校生徒ばかりか外から来たメディアまでもが注目している。

 下手なことを口にすれば、ホロエルがソウルハート・サーヴァントだということが周囲に露呈してしまいかねない。

 そして仮にノゾミにホロエルの姿が見えているのだとしても、彼女もまた、ここでそのようにホロエルの正体を暴く愚行に及ぶつもりはないだろう。

 ソウルハート・サーヴァントは貴重な存在だ。その所持が世間に知れ渡ることは、それをつけ狙った悪質な輩に絡まれる危険性が飛躍的に高まることを意味する。

 すなわち、人前で他人のソウルハートの正体を暴くことは、その人物の人生を破滅に導くことと同義ということだ。

 そんなことをしでかせば、ノゾミもまた激しい非難や中傷に晒されることは避けられない。

 しかもそれは彼女だけの問題に収まらない。なにせ彼女は、このクロワッサン学園の生徒会長だ。

 生徒の代表者たる彼女がそのような愚行を犯せば、クロワッサン学園そのものの評判すら危うくしてしまう。

 生徒会長を解任されるだけでは済まされない。退学は当然として、名誉毀損や犯罪教唆で逮捕されてもおかしくはないだろう。

 

 だから今は、この表彰式を無事に終わらせることを優先して考えるべきだ。

 

「……」

 

 ノゾミがセンカに対して投げた質問は、なぜそこまでして勝利を求めるのか、だった。

 だけど私に対しては、なぜそうまでして敗北を拒絶するのか……か。

 無難な答えを口にするのは簡単だ。だけど、もしここでさきほどの違和感の正体を少しでも確かめたいのなら、私が返すべき言葉は……。

 

「この先もずっとホロエルと一緒に居続ける。その未来を掴むために、私は一度だって負けるわけにはいかないから」

「ホロエル……『虚構天使ホロエル』。あなたのエース級サーヴァントですね」

 

 私がホロエルの名前を口にした、その刹那。ノゾミの視線が一瞬だけホロエルの方を向いたことを私は見逃さなかった。

 ……やっぱり間違いない。彼女には、ホロエルの姿が見えている。

 

「質問に答えていただきありがとうございます。そして、クラス代表対抗戦高等部一年の部、優勝おめでとうございます。無空メイさん」

「……ありがとう、ございます」

 

 賞状を受け取って一礼すると、私はノゾミに背を向けて壇上を下りる。

 なぜかどこか憐れむように私を見送る彼女の目が気にかかったけれど……私も、そしてノゾミも、表彰式という格式ばった場でそれ以上の会話を続けることはなかった。

 

「続いてクラス代表対抗戦、高等部二年の部、優勝クラスDクラス。クラス代表、地伏田(じふくだ)モモリさん。前へ」

「は……はは、はいぃ……!」

 

 ガチガチに緊張した一つ上の学年の少女が、ぎこちない足取りで私と入れ替わりに壇上へと上がる。

 席に戻った私は、オドオドとした彼女が表彰される光景をぼんやりと眺める……フリをしながら、横目に視線だけでホロエルに問いかけた。

 あの生徒会長のこと、ホロエルはどう思う? と。

 私がホロエルの考えていることを表情だけである程度察せられるように、ホロエルもこういう時、私がなにも言わずとも私の意思を察してくれる。

 ただ、今回は……。

 

「……」

 

 ニコニコと機嫌が良さそうにしていたホロエルは、私と目が合うと、コテンと無邪気に小首を傾けた。

 最高に可愛らしくて思わず心臓が止まりそうになった、けど……これは「あの生徒会長の人がどうかしたの?」って感じの首の傾げ方だ。

 どうやらホロエルは、私が皆の前で表彰されることにご満悦で、ノゾミの仕草の違和感にはなにも気がつかなかったらしい。

 なので私はホロエルに、私がノゾミに対して抱いた印象……その不自然な目線の動きから、彼女にはホロエルの姿が見えていたらしいことを伝えてみる。

 するとホロエルはわずかに瞠目した後、「うーん」と、しばし考えを巡らすように首をひねる。

 そうしてホロエルが出した結論は、「私と同じように特別な出自のソウルハート・サーヴァントなら、他の人にそういった力を与えることも可能かもしれない」というものだった。

 

 特別な出自のソウルハート・サーヴァント……。

 ……私はホロエルがどうやってこの世に生まれたか、詳しくは知らない。

 幼い頃の私は、両親だった二人にただ言われるがまま、教団が崇める天使に……ホロエルと、もう一体のあの天使に。意味もわからず祈りを捧げていただけだったから。

 虚無の教団による祈りが集って誕生したのか、それともなにかもっと別の方法で虚構されたのか……。

 いずれにせよ、二体の虚無の天使が、明らかに他とは隔絶した異質な力を持ったソウルハート・サーヴァントであることに疑う余地はない。

 依り代を得ることで受肉し、永久なる完全な実体化を可能にできる点もまた、他とは違う特徴の一つと言える。

 そんな芸当は、私のもう一体のソウルハート・サーヴァントであるホルルンや、ホムラのリバイヴ・H、そしてエミリアのソウルハート・サーヴァントであるらしい機械猫(メカニカルキャット)にも不可能だろう。

 だけど、もしもノゾミが持っていると推測されるソウルハート・サーヴァントに、そういった虚無の天使同様の特殊な力が備わっているとしたら……。

 

「そして最後に、クラス代表対抗戦、高等部三年の部。優勝クラスAクラスのクラス代表は……私、光華ノゾミが務めさせていただきました」

 

 ……少し警戒する必要があるか。

 私はホロエルとの内緒話を切り上げると、再び壇上へと視線を戻す。

 つぶさにノゾミの言動を観察していたが、その後もつつがなく表彰式は進行し、やがて閉会の言葉をもって終わりを迎えるのだった。

 

 

 


 

 

 

「生徒会長のこと? うーん……私はあんまりよく知らないなぁ」

 

 今日は授業がなく、午前中の表彰式のみで午後は自由解散となっている。

 そんなこんなで担任の先生によるホームルームもほどなく終わり、どこか緩い雰囲気に包まれつつある放課後の教室の中。

 転入生である私とは異なり、中等部の頃から学園に所属しているらしいホムラにノゾミのことを尋ねてみたものの、その回答はなんとも芳しくないものだった。

 

「でも、あの生徒会長の人の名前は私が中等部の一年生だった頃から有名だったよ。学園最強なんじゃないかって声もあったくらい。あ、でも今は高等部の三年生で、そのクラス代表対抗戦も制しちゃってるわけだし……名実ともに学園最強と言ってもいいのかも?」

「学園最強……」

「まあ実際に戦ったことがあるわけじゃないから、私やエミリア、メイちゃんと比べて明確にどっちの方が強いかはわかんないけどねー。私が全中……全国中学校デュエルトーナメントを最初に制したのも中学二年生の時だったし。その頃にはもう、あの生徒会長の人も高等部に上がっちゃってたから」

 

 あの人が卒業しちゃう前に一回は戦いたいなぁ、と。ホムラはあいかわらずデュエルのことばかり考えているようだった。

 とは言え……学園最強、か。

 仮にノゾミのデュエルの実力が、ホムラやエミリアと同程度……あるいはそれ以上の域に達しているとするなら、相対した時には決して油断できない戦いになることは覚悟はしなければならない。

 もちろん、負けるつもりは毛頭ないが。

 そして同時に、そもそも進んでデュエルするつもりもない。あくまで念のための警戒だ。

 

「無空さん、お疲れさま。今日の表彰式、とても堂々としててよかったわよ」

「あ。エミリアだ」

 

 どうやらエミリアのBクラスもホームルームが終わったようだ。

 最近よく見慣れた、エミリアがAクラスを訪ねてくる光景。休み時間に限って言えば、もはや自分のクラスよりもこっちにいる時間の方が長いんじゃないだろうか。

 まぁ、今は休み時間ではなくて放課後だけど。

 ホムラがお疲れと手を振ると、エミリアは「ええ」と短く返事をして、ちょうど空いていた私の前の席へと座った。

 

「センカはまだ来ないのかな?」

「あの子は中等部なんだから距離もあるし、もう少しかかるわよ。それで、なにか二人で盛り上がっていたようだけど、いったいなんの話をしていたの?」

「……別に盛り上がってるってほどじゃないけど。エミリアは、この学園の生徒会長についてなにか知ってる?」

「ノゾミ先輩のこと? 多少なら知ってるわよ」

「……あれ? エミリアって生徒会長の人と知り合いなんだっけ?」

 

 二年上の年上なのだから、エミリアの普段の素行の良さも加味すれば、先輩と敬称をつけるのは普通だ。

 しかし姓である光華ではなく、名前に当たるノゾミと呼んだところに、どこか親しげな印象を受けたのだろう。

 ホムラが不思議そうにエミリアに問いかけると、エミリアは肩をすくめて答えた。

 

「普段の授業態度が良好、中等部三年時の海外留学でも優秀な成績を修めたからって、私、高等部に上がりたての頃にノゾミ先輩から直接生徒会の勧誘を受けたのよ」

「えぇっ!? そうだったの!? なんでもっと早く教えてくれなかったのさ!」

「いや、断ったし……あなたはどうせノゾミ先輩とデュエルしたいだけでしょ。別に私、先輩とデュエルなんてしてないから。第一、こんなことあなたに教えてもどうにもならないでしょうに」

「むー……それはそうだけどさー……」

 

 友達のエミリアに隠し事をされていたようで面白くないのか、ホムラがぷっくりと頬を膨らませて拗ねている。

 エミリアはそんなホムラの子どもっぽい態度に呆れつつも、「まあ、でも」と話を続けた。

 

「あの頃は私もあなたの心の火を、じゃなくて……えぇと、クラス代表対抗戦に集中したかったから断ったけれど、それももう終わったことだし。もう一度、生徒会の話を考えてみてもいいかもしれないわね。ノゾミ先輩からは、気が変わったらいつでも言ってほしいって言われてるもの」

「え……じゃあ、またエミリアと離れ離れになっちゃうの……?」

 

 膨れっ面から一転、目に見えてしょんぼりとするホムラ。

 エミリアは少し驚いたように目をパチパチと瞬かせた後、ふわりと優しげに微笑んだ。

 

「もう。そんな捨てられた子犬みたいな顔しないの。確かに生徒会に入れば会う機会は減るでしょうけど、同じ学園内にいるんだから、会おうと思えばいくらでも会えるでしょうに」

「……それはそうだけど……」

「あなた、私もアンコもいなくなった中学三年生の一年間がよっぽど寂しかったのね。風の噂で聞いたわよ? 無空さんが転入してきた当初はあなた、相当しつこく絡んでたそうね」

「うぐぅっ。そ、それは私も結構反省してるやつだから、もう許して……」

 

 まあ確かに、最初期のホムラは相当うるさいしめんどくさかった。便乗するようにセンカも加わっていたのでなおさらだ。

 毎日二匹の子犬に纏わりつかれてワンワンと吠えられ続けているようで、なんとも気疲れしたことをよく覚えている。

 隣を見れば、ホロエルも「確かにあの頃のホムラはちょっと……いやだいぶ距離の詰め方が強引だった……」と同意するように頷いている。

 

 今のホロエルの姿は私にしか見えていないが、虚空を見つめた私がホムラを一言もフォローしようとしない時点で、ホロエルでさえホムラを擁護するつもりがないことを二人とも察したのだろう。

 ホムラががっくりと肩を落とすと、エミリアはくすくすとおかしそうに笑う。

 

「まったくもう……しょうがないわね。あなたがまた無空さんやホロエルちゃんに迷惑をかけないとも限らないし。あなたを監視するためにも、生徒会に入るのはしばらく保留にしておくことにするわ」

「ほ、ほんとっ?」

「本当よ。それに私も、留学期間中に寂しい気持ちがなかったかと言われたら嘘になるもの。もうしばらくの間、あの頃と同じようにあなたと学園生活を過ごすのも悪くないわ」

「えへへー……そっかそっかぁ。ありがとうね、エミリア!」

「お礼を言われるようなことじゃないわよ。まったく……あいかわらず調子がいいんだから」

 

 ホムラはすっかりと機嫌を取り戻し、エミリアはそんなホムラの子どもっぽい反応に呆れつつ、どこか楽しそうに微笑んでいる。

 エミリアはよくホムラにお説教をしたり、口うるさく注意をしている場面を見かけるけれど、なんだかんだでホムラのことが嫌いじゃない。

 いや嫌いじゃないというか、たぶん相当好きだろう。本人は決して口には出さないだろうが。

 

「これであとはアンコも一緒だったら言うことないんだけどなー」

「そうね……あの子の出自を考えれば、私もあの子こそ学校に通うべきだと思っていたわ。あの子が自分で選んだ道とは言え、ね」

 

 ……正直に言えば、生徒会長のノゾミのことをもう少し詳しく聞きたかったのだが……すっかりタイミングを逃してしまった。

 まあ、いいか。聞いた限りだと、ただ単に生徒会の勧誘を受けただけのようだし。これ以上追及しても、さほど重要な情報は得られないだろう。

 

「お姉ちゃーんっ! エミリアさーんっ! メイさまーっ! ホロ……こほんっ! お待たせーっ!」

「あ、センカが来たみたい」

「廊下から大声が……はぁ。誰に似たんだか……あとで注意しないといけないわね……」

 

 ひとまず、光華ノゾミのことを考えるのは一旦ここで打ち止めとしよう。

 敵か、あるいは中立か。そもそもこちらに干渉するつもりがあるのかどうか。

 まだなにもわかっていないものの、少なくとも今のこの時間、生徒会長という重要な役職に就く彼女はまだ表彰式の後片付けやら外のメディアの対応やらで忙しいはずだ。

 なにかしらアクションを取るにしても、それはきっとお互いに明日以降が望ましい。

 

 そう、お互いに。

 実を言うと、私の方も今日この後は、昨日の集まりで急遽決まった予定が詰まってしまっている。

 私とセンカのそれぞれのクラス代表対抗戦の祝勝会の準備と……あともう一つは、特にエミリアが率先して話を進めた用事を兼ねて。

 ホムラ、エミリア、センカ、そして私とホロエル。

 この五人で、今からショッピングセンターへのお出かけだ。

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