可愛い銀髪美少女天使カードとして転生した私、マスターを導く 作:にゃっとう
| 先攻5ターン目:燃照センカ |
|---|
| 燃照センカ | ||
|---|---|---|
| ライフ:4 | 場 | (無し) |
| Ene:4 | ||
| 手札:5→6 |
| クライアント (保有中の特殊能力) | ||
|---|---|---|
| ライフ:4 | 場 | Ar:求人募集中 -アットホームな職場です- Se:新人メイド・ブリズ(A1000/H2000) Se:新人メイド・プリュイ(A1000/H2000) |
| Ene:6(0) | ||
| 手札:3 |
「わたしのターン! ドロー!」
……結果だけを見れば、前のターンでクライアントの場に並んだのは『新人メイド・ブリズ』と『新人メイド・プリュイ』の2体だけだ。
クライアントは一見、難なく展開していたようにも見えたけれど……。
いざ振り返ってみると、あまりアドバンテージを稼げない、窮屈そうな展開の仕方だったように感じる。
だとしたら、前のわたしのターンでわたしがやったこと――盤面になにも残さずにターンを渡すことは、無駄じゃなかった。
もしも場にサーヴァントを残してしまっていれば、さらなる展開は免れなかったはずだ。
……一つだけ気がかりなのは、クライアントがどうやってわたしにトドメを刺そうとしているのかというビジョンが未だ見えない点か。
ただ、クライアントは最後に『本棚の隙間…落ちつく…』*2の効果で追加でエナジーをチャージした。
次のクライアントのターン、さらに手札からエナジーをチャージすれば、クライアントのエナジーは7にもなる。
それだけのエナジーがあれば、クライアントが狙っているだろうエース級サーヴァントの召喚も容易なはず……。
だとしたら……おそらくはこのターンが、わたしが自由に動ける最後のターンか。
「……」
「どうしましたか? 手が止まっていますよ?」
手札は……正直、あまり良くはない。
いや、決して悪いと言えるほどじゃない。
悪くはないけれど……決定打に欠けるというべきか。
現在のわたしの手札は6枚。そのうち1枚は『破滅狂いの戦士』で、1枚は『オフェンシブ・ゾンビ』の効果で持ってきていた『ディフェンシブ・ゾンビ』だ。
残りの4枚は……サーヴァントが『彷徨える戦火の魂』、『エクリクシス・ピロテクニマ』。
そしてスペルが『燃焼・ダブルブースト』と『戦火狂乱』。
この中でわたしのデッキの準切り札とも言える存在が、スペル『戦火狂乱』だ。
| 戦火狂乱 | |
|---|---|
| コスト4 | 属性:火/闇 |
| スペル |
|---|
| - 効果 - |
|---|
| 【制約】:[複合属性] ①手札をすべて捨てる。このデュエル中に破壊された自分のサーヴァントと同じカード名を持つHP1000のサーヴァントを、その合計コストが自分のエナジーの最大値以下になるように可能な限り墓地から選択して場に出す。自分のライフカウンターの数が2つ以下なら、エナジーの最大値以下までしか出せない制限を無視する。(同名カードは1枚まで) |
『戦火狂乱』。
このスペルの効果は、このデュエル中に破壊されたHP1000のサーヴァントを、そのコストの合計がわたしのエナジーの最大値以下になるように墓地から選んで可能な限り場に出すこと。
さらにわたしのライフカウンターが2つ以下なら、エナジーの最大値以下までしか出せない制限を無視できる。
序盤は盤面の制圧。中盤は『フルアクセル』の連打。
それでも仕留め切れなかったなら、『戦火狂乱』でそれまでに破壊されたサーヴァントたちを一斉に蘇らせ、相手の場にいるだろう邪魔な『ガード』持ちを蹴散らし、数多の『フルアクセル』持ちのサーヴァントで勝利までの道筋をこじ開ける。
この戦術で、わたしは中等部二年生のクラス代表対抗戦を制して優勝した。
だけど……この『戦火狂乱』を用いた猛攻撃には、いくつかの欠点がある。
一つは蘇させられるサーヴァントが、デュエル中に破壊されたサーヴァントに限定されていること。
それはつまり一度は場に出して破壊させなければいけないということで……わたしはまだHP1000の『フルアクセル』持ちのサーヴァントを一度も出していないから、今ここで『戦火狂乱』を使ったとしても、相手のライフカウンターを1すら減らすことができない。
先攻3ターン目……『フルアクセル』持ちの『スーパー・スピーダー』をエナジーにチャージし、『オフェンシブ・ゾンビ』を召喚することを選択したあの時。
あの時に『オフェンシブ・ゾンビ』ではなくて『スーパー・スピーダー』を出していれば、少なくとも1体は『フルアクセル』持ちを確保できただろう。
だけどそうしていたら、ここまで手札に余裕は持たせられなかった。
……まだ勝敗がついていない今、果たしてどちらが正しい選択だったのかはわからない。
そして二つ目の欠点が、『戦火狂乱』を詠唱した瞬間、その効果によって強制的にわたしの手札がすべて捨てられてしまうこと。
つまりこれを使った後になんらかの手段で攻撃を防がれてしまい、勝負を決め切れなければ、まず間違いなくわたしはデュエルに敗北する。
だからこそ『戦火狂乱』を詠唱するタイミングは、デュエルに確実に勝利できると確信した瞬間でなければならない。
今はまだ……その時じゃない。
「わたしは『破滅狂いの戦士』を召喚!」
| 破滅狂いの戦士 | |||
|---|---|---|---|
| コスト2 | 種別:ウォリアー | ||
| 属性:闇 | ATK 3000 | HP 1000 | |
| サーヴァント |
|---|
| - 効果 - |
|---|
| ①『アクセル』 ②自分のライフカウンターの数が2つ以下なら、ATKを+3000する。 ③破壊された時に強制発動(上限:同名/1ターンに1回)。自分のライフカウンターを1つ破壊し、このサーヴァント以外の「破滅狂いの戦士」1枚をデッキ・墓地から手札に加える。 |
「『破滅狂いの戦士』は『アクセル』を持ってるから、場に出たターンでもサーヴァントに攻撃が可能だよ! わたしは破滅狂いで『新人メイド・ブリズ』に攻撃!」
「ブリズのHPは1000。ATK3000の攻撃には耐えられません。ですが、それはHP1000の『破滅狂いの戦士』も同じですよ」
ブリズのATK1000のダメージを受け、HPが0になった『破滅狂いの戦士』が破壊される。
「『破滅狂いの戦士』が破壊された時の効果発動! わたしのライフカウンターを1つ破壊して、デッキから『破滅狂いの戦士』を手札に加える!」
「ならばこちらも破壊された『新人メイド・ブリズ』の効果を使います。破壊されたこのサーヴァントをデッキに戻し、風属性を含まないランダムなメイド1枚をデッキから手札に」
| 燃照センカ | ライフ:4→3 |
|---|
「さらに、わたしのライフカウンターが破壊されたことで『Qアクション0』。『彷徨える戦火の魂』!」
| 彷徨える戦火の魂 | |||
|---|---|---|---|
| コスト3 | 種別:ウォリアー/ゴースト | ||
| 属性:火/闇 | ATK 1000 | HP 1000 | |
| サーヴァント |
|---|
| - 効果 - |
|---|
| 【制約】:[複合属性] ①『Qアクション0』=条件:自分のライフカウンターが破壊された時。 ②『アクセル』 ③自分のライフカウンターの数が2つ以下なら、『ガード』を得る。 ④破壊された時に発動可能。カードを1枚引く。 |
「召喚した戦火の魂で『新人メイド・プリュイ』に攻撃!」
「プリュイのHPは2000。戦火の魂のATK1000分のダメージを受けても、HPは1000残り破壊されません。とは言え……そんなことはあなたも承知済みのはず。狙いはドローですか」
『彷徨える戦火の魂』のHPは1000だ。
戦闘によって発生したプリュイのATK1000のダメージには耐えられず、破壊される。
「破壊された戦火の魂の効果! わたしはカードを1枚引く!」
引いたカードは……くっ。
2枚目の『燃焼・ダブルブースト』……これじゃあ……。
……なら!
「わたしはカードをエナジーにチャージ!」
チャージするカードとして選ぶのは、『ディフェンシブ・ゾンビ』だ。
ディフェンシブは『ガード』を持っているが、今更防御なんて固めても意味はない。
もう有効に活かせるシチュエーションは来ないだろうから、チャージするならこれ一択だ。
「そして3エナジーで『エクリクシス・ピロテクニマ』を召喚!」
| エクリクシス・ピロテクニマ | |||
|---|---|---|---|
| コスト3 | 種別:フェアリー/ゴースト | ||
| 属性:火 | ATK 2000 | HP 1000 | |
| サーヴァント |
|---|
| - 効果 - |
|---|
| ①『フルアクセル』 ②攻撃時に発動可能。相手の場のサーヴァントすべてに1000ダメージを1回与える。自分のライフカウンターの数が2つ以下なら、1回ではなく2回。 |
「ピロテクニマは『フルアクセル』を持ってる! これにより場に出たターンでもサーヴァントとライフカウンターに攻撃が可能! さらにピロテクニマは攻撃時、相手の場全体に1000ダメージを与える任意効果がある!」
「ふむ。確かにそのサーヴァントならば、私の場の残りHP1000のプリュイを除去しながらライフカウンターを攻撃することができます。しかし私のライフに攻撃をするということは、そのサーヴァントがあなたの場に残るということです。次のターン、私のメイドたちの当たり先として利用されてしまいますよ?」
……そう。
前のターン、わたしはサーヴァントを場に残さなかったからこそ、クライアントのサーヴァントの展開を抑制できた。
ここで場にサーヴァントを残した状態でターンを渡してしまえば、次はどうなるかわからない。
安全を期するなら……ここはピロテクニマの攻撃時効果を発動せずにプリュイに攻撃して相打ちにさせ、前と同じようにサーヴァントを1体も残さずにターンを渡すべきだ。
後で戦火狂乱で蘇生させることを考えれば、HP1000の『フルアクセル』持ちを破壊させておく行為自体にも意味はある。
ただ……クライアントが見据えているわたしを仕留めるための手段がわからない今、下手に時間をかけることが悪手になる可能性もある。
そもそも速攻対策として採用されているのが、攻撃を停止させるカードだけとは限らない。
たとえばもしもこの後、ライフカウンターを回復する類の効果を持つカードでも使われてしまえば、ここでライフカウンターを減らさなかったことが大きく響いて、一気に勝利は遠のいてしまう。
ライフか、サーヴァントか。
ここでわたしが取るべき選択は……。
「ふふ……迷っていますね。わかりますよ。これは人生を賭けたデュエル……友情も信頼も、そして幸福も。負ければあなたが培ってきたすべては終わりを迎えます」
「……」
「恐ろしいでしょう。負けたくないでしょう。なんとしてでも生き残りたいでしょう。もうなにも失いたくない……一度大切ななにかを失い、手にした幸せの尊さを知った者は、そんな自身の恐怖を誤魔化すことはできません」
恐怖……恐怖?
「大切なものを守るために。一見すると立派な志ですが……結局のところ、その思いの根底にあるものは恐怖です。ゆえに、その思いを抱いて
「……」
「もっとも……そのように大切ななにかを失った経験が、あなたにあるのかはわかりませんが。それでも、恐怖はすべての人類に共通する感情ですから。だからこそ、ええ、わかりますよ。あなたがここでする選択……あなたがこの状況で選ぶのは、あなたの中の恐怖を体現したかのようなプリュイへの攻――」
「決めた! 行くよ、攻撃宣言! わたしは『エクリクシス・ピロテクニマ』で、ライフカウンターに攻撃!」
「なっ……!?」
さっきからずっと、クライアントが言っていることの意味がわからない。
恐怖?
そんなもの、わたしは微塵も感じていないのに。いったいなにをさっきから一人でブツブツ言ってるんだろう。
今わたしの中にあるものは、高揚と興奮、そして歓喜。ただそれだけだ。
ねえ、クライアント。
わたしさ、こんなに楽しいデュエルは生まれて初めてなんだよ。
ここまで来て、今更冷めるようなこと言わないでよ。
もっと本気の殺意をぶつけてよ。殺す気で来てよ。
あともう少しなんだ。
あと少しで――わたしの中にある、あの黒い衝動が花開く予感がする。
「この瞬間、『エクリクシス・ピロテクニマ』の効果発動! このサーヴァントの攻撃時、相手の場のサーヴァントすべてに1000ダメージを与える!」
「チッ……残りHP1000の『新人メイド・プリュイ』はそのダメージで破壊されます。ですが……」
| クライアント | ライフ:4→3 |
|---|
「ぐっ……ですがこれで、あなたの場にサーヴァントが残る! そして破壊されたプリュイの効果! これを墓地からデッキに戻し、水属性を含まないランダムなメイド1枚をデッキから手札に加えます!」
「わたしはこれでターンエンド!」
証明する。このデュエルを通して、わたしの存在を。
刻む。わたしのやることなすことすべてに難なく対応し、軽くあしらうあの怪物に……。
このわたしを戦の華などと称した、あの勘違い女に。
わたしの――本当の名前を。
| 後攻5ターン目:クライアント |
|---|
| 燃照センカ | ||
|---|---|---|
| ライフ:3 | 場 | Se:エクリクシス・ピロテクニマ(A2000/H1000) |
| Ene:5(0) | ||
| 手札:4 |
| クライアント (保有中の特殊能力) | ||
|---|---|---|
| ライフ:3 | 場 | Ar:求人募集中 -アットホームな職場です- |
| Ene:6 | ||
| 手札:5→6 |
「私のターン!」
ターンスタート時の処理でカードを引いたクライアントは、どことなく苛ついたようにわたしを睨みつけてくる。
わたしが楽しげな笑みを返すと、さらにそれが気に障ったかのようにピクリと目元を動かし、彼女は大きく息を吐く。
「……いいでしょう。非情な現実を前にして、それでも無謀に立ち向かってくるというのなら、私が本当の恐怖と絶望をあなたに与えて差し上げます」
「アハッ! いいね! 教えてよ! わたしにその恐怖と絶望ってやつ!」
「本当に生意気ですね。ここまで無様に速攻を押さえつけられておきながら……! 私がターンスタートを迎えたこの瞬間、私はエリア『求人募集中 -アットホームな職場です-』の効果を発動します!」
| 求人募集中 -アットホームな職場です- | |
|---|---|
| コスト2 | 属性:光/闇 |
| エリア | 種別:メイド |
|---|
| - 効果 - |
|---|
| 【制約】:[複合属性] ①『カウント』=初期値:1 ②このエリアの効果以外の方法で種別:メイドを持つサーヴァントが自分の場に出るたび、『カウント』を1増やす。(同時に2枚以上が場に出ても1しか増えない) ③自分のターンスタート時に発動可能。『カウント』を任意の数だけ減らし、減らした数だけサーヴァント「メイド研修生」を生成して自分または相手の場に出す。(相手の場には2枚までしか出せない) |
「『カウント』を任意の数だけ減らし、減らした数に応じた『メイド研修生』を私とあなたの場に出します。現在の『カウント』は4。これを0にし、私の場に2体、あなたの場に2体の研修生を出します!」
| メイド研修生 | |||
|---|---|---|---|
| コスト0 | 種別:メイド | ||
| 属性:光 | ATK 500 | HP 500 | |
| サーヴァント |
|---|
| - 効果 - |
|---|
| ①『アクセル』 ②破壊される時、消滅する。 ③各ターンエンド時に強制発動。破壊される。 |
「そして1体目の『メイド研修生』で、あなたの場の『エクリクシス・ピロテクニマ』に攻撃! 戦闘によってピロテクニマに500ダメージを与え、研修生は消滅します。続けて2体目の研修生で、さらにもう一度ピロテクニマに攻撃!」
このタイミングで、クライアントが手札のカード1枚をガントレットに読み込ませる。
「2度目以降の攻撃が行われたこの瞬間、『Qアクション0』! スペル『皆さん、お仕事の時間ですよ~』を詠唱します!」
| 皆さん、お仕事の時間ですよ~ | |
|---|---|
| コスト1 | 属性:光 |
| スペル | 種別:メイド |
|---|
| - 効果 - |
|---|
| ①『Qアクション0』=条件:このターン2度目以降の自分のサーヴァントの攻撃時。 ②手札を1枚デッキに戻し、種別:メイドを持つサーヴァント2枚をデッキから手札に加える。(同名カードは1枚まで) ③【墓地で有効】同一の反応連鎖上に種別:メイドを持つスペルが存在しないなら、コスト3の種別:メイドを持つサーヴァントの召喚時に発動可能。墓地のこのカードを手札に戻す。このターン、自分は墓地からカードを手札に戻せない。 |
「手札を1枚デッキに戻し、任意の2枚のメイドを手札に! そして攻撃は続行され、戦闘によってピロテクニマに2度目の500ダメージを与えます! これによりピロテクニマを破壊!」
『エクリクシス・ピロテクニマ』の元のHPは1000。2回の500ダメージには耐え切れない。
「そして『メイド研修生』もまたピロテクニマのATK2000には耐えきれず、破壊の代わりに消滅をします!」
これで、クライアントの場のサーヴァントの数は0になった。
一方でわたしの場には、あちらのエリアの効果で場に出た『メイド研修生』がまだ2体残っている。
「続けて、私は手札から『メイド研修生』を0エナジーで召喚します」
「手札から……? いや、そっか。前のターンに『新人メイド・プリュイ』の効果で複製して手札に抱えてたカードだね」
「ご名答です。新たにメイドが場に出たことでエリアの『カウント』は0から1に。そして『メイド研修生』で、あなたの場の2体の研修生のうちの1体に攻撃。この攻撃は、このターン中に行われる3度目の攻撃です。よって!」
クライアントが手札からカードを1枚選び取ると、それをガントレットの画面に叩きつけた。
「『Qアクション』発動。1エナジーで来なさい、『新人メイド・プリュイ』!」
| 新人メイド・プリュイ | |||
|---|---|---|---|
| コスト3 | 種別:メイド | ||
| 属性:水 | ATK 1000 | HP 2000 | |
| サーヴァント |
|---|
| - 効果 - |
|---|
| 【制約】:[存在制限](上限:同名/場に1枚) ①【手札で有効】このサーヴァントの『Qアクション』に必要なコストは-Xされる。(Xはこのターン中に自分が行った攻撃の数。Xの上限は3) ②『Qアクション4』=条件:自分のサーヴァントの攻撃時。 ③場に出た時に発動可能。自分の場の他のカード1枚を選択し、それを1枚複製して手札に加える。 ④破壊された時に発動可能。墓地のこのサーヴァントをデッキに戻し、水属性を含まない種別:メイドを持つサーヴァントをランダムに1枚デッキから手札に加える。 |
「新たにメイドが場に出たことで、エリアの『カウント』は1から2に。そしてプリュイの効果! 私の場の他のカード……『メイド研修生』を複製して手札に。さらに墓地のスペル『本棚の隙間…落ちつく…』の効果! 墓地のこれを手札に戻し、このターン墓地からカードを手札に戻せなくなります!」
「でも、それだったら攻撃は続行されるよ! わたしとあなたの『メイド研修生』は、戦闘で相打ちになる!」
「構いません。まだあなたの場には、まだもう1体の『メイド研修生』が残っています! 私は今プリュイの効果で複製した研修生を0エナジーで召喚!」
このデュエル中、幾度となく場に現れては姿を消し続けている見慣れたメイド服の少女が、再びクライアントの場に出現する。
「新たにメイドが出たことで『カウント』は3に! 4度目、私の『メイド研修生』であなたの研修生に攻撃! そして『Qアクション』、1エナジーで『新人メイド・ブリズ』!」
| 新人メイド・ブリズ | |||
|---|---|---|---|
| コスト3 | 種別:メイド | ||
| 属性:風 | ATK 1000 | HP 2000 | |
| サーヴァント |
|---|
| - 効果 - |
|---|
| 【制約】:[存在制限](上限:同名/場に1枚) ①【手札で有効】このサーヴァントの『Qアクション』に必要なコストは-Xされる。(Xはこのターン中に自分が行った攻撃の数。Xの上限は3) ②『Qアクション4』=条件:自分のサーヴァントの攻撃時。 ③召喚時に発動可能(上限:同名/1ターンに1回)。自分の場の他のカード1枚を手札に戻す。その後、そのコストが3以下なら、もう一度手札から場に出してもよい。 ④破壊された時に発動可能。墓地のこのサーヴァントをデッキに戻し、風属性を含まない種別:メイドを持つサーヴァントをランダムに1枚デッキから手札に加える。 |
「ブリズの召喚時効果! 『メイド研修生』を手札に戻し、再び場に出します。新たにメイドが2回場に出たことでエリアの『カウント』は3から5に上昇。攻撃中のサーヴァントがいなくなったことで攻撃は中断。再度場に出た『メイド研修生』であなたの研修生に5度目の攻撃!」
「そして『Qアクション』、でしょ?」
「その通りです。私のサーヴァントの攻撃時に『Qアクション』、1エナジーで『新人メイド・プレリー』!」
| 新人メイド・プレリー | |||
|---|---|---|---|
| コスト3 | 種別:メイド | ||
| 属性:地 | ATK 1000 | HP 2000 | |
| サーヴァント |
|---|
| - 効果 - |
|---|
| 【制約】:[存在制限](上限:同名/場に1枚) ①【手札で有効】このサーヴァントの『Qアクション』に必要なコストは-Xされる。(Xはこのターン中に自分が行った攻撃の数。Xの上限は3) ②『Qアクション4』=条件:自分のサーヴァントの攻撃時。 ③召喚時に発動可能。デッキの上から1枚目を消費状態でエナジーにチャージする。 ④破壊された時に発動可能。墓地のこのサーヴァントをデッキに戻し、地属性を含まない種別:メイドを持つサーヴァントをランダムに1枚デッキから手札に加える。 |
「エリアの『カウント』は6に。プレリーの召喚時効果で、デッキの上から1枚目を消費状態でエナジーにチャージ」
「でもそれじゃあ、攻撃は止まらない! わたしとあなたの『メイド研修生』は相打ちになる! これであなたが『アクセル』で攻撃できるサーヴァントはわたしの場にいなくなるよ!」
前のクライアントのターンと同じなら、これでクライアントの展開は止まるはずだ。
そう。前のターンと同じなら。
「これで終わりだと……そう思ってはいませんよね?」
「アハッ! あるんでしょ? 切り札」
「……とことん生意気ですね。いいでしょう。見せてあげます。私のデッキのエースを! 私は1エナジーで『よーし! 頑張るぞぉー!』を詠唱します!」
| よーし! 頑張るぞぉー! | |
|---|---|
| コスト1 | 属性:火 |
| スペル | 種別:メイド |
|---|
| - 効果 - |
|---|
| ①自分の場のコスト3以下のサーヴァント1枚を選択して『フルアクセル』を付与する。 ②【墓地で有効】同一の反応連鎖上に種別:メイドを持つスペルが存在しないなら、コスト3の種別:メイドを持つサーヴァントの召喚時に発動可能。墓地のこのカードを手札に戻す。このターン、自分は墓地からカードを手札に戻せない。 |
「私の場のコスト3以下のサーヴァント1体に『フルアクセル』を付与します! 私はこの効果で『新人メイド・プリュイ』に『フルアクセル』を付与!」
「『フルアクセル』……ってことは!」
「そう。これでさらに後1回、ライフカウンターへの攻撃が可能になりました。私はエナジーにカードをチャージし、プリュイでライフカウンターに攻撃。そして……『Qアクション』!」
「アハッ! いくらコスト3のメイドを呼び出したって――」
「誰がコスト3のメイドだと言いましたか? 私はこの召喚の転生素材に『新人メイド・プリュイ』、『新人メイド・ブリズ』、『新人メイド・プレリー』の3体すべてを指定します!」
「えっ――まさか、転生サーヴァント!?」
クライアントが、最後に残った手札1枚を大きく掲げる。
「ご主人様。あなたに癒しと幸福をお約束いたします。小夜曲の名のもとに――転生召喚、『メイドリーダー・セレナーデ』!」
| メイドリーダー・セレナーデ | |||
|---|---|---|---|
| コスト5 | 種別:メイド | ||
| 属性:光/闇 | ATK 7000 | HP 7000 | |
| 転生サーヴァント | 条件: コスト3以上の種別:メイドを持つサーヴァント1枚以上 |
|---|
| - 効果 - |
|---|
| 【制約①】:[複合属性] 【制約②】:[転生サーヴァント] 【制約③】:[存在制限](上限:同名/場に1枚) ①【手札で有効】このサーヴァントの『Qアクション』に必要なコストは-Xされる。(Xはこのターン中に自分が行った攻撃の数。Xの上限は3) ②『Qアクション6』=条件:自分のサーヴァントの攻撃時。 ③『ストライクX』(Xは転生素材の数) ④相手のターンスタート時に発動可能。デッキからコスト3の種別:メイドを持つサーヴァントを召喚扱いでX枚場に出す。(Xは転生素材の数。場の上限枚数に達するなら、上限枚数まで出す) ⑤破壊された時に発動可能。墓地のこのサーヴァントと転生素材になっていたサーヴァントをすべてデッキに戻し、転生サーヴァント以外の種別:メイドを持つカード1枚をデッキから手札に加える。 |
メイ様の『虚夢の精霊ホルボルポルン』と同じ、『Qアクション』を持った転生サーヴァント……!?
「転生サーヴァント『メイドリーダー・セレナーデ』の『Qアクション』に必要なコストは6。ですが攻撃の回数に応じて、最大3まで必要なコストが下がります。よって3エナジーで転生可能」
「3体に重ねて出したのは……」
「セレナーデの転生条件は、コスト3以上のメイド1体以上です。1体以上……つまりセレナーデは、同時に複数体のメイドの上に重ねて場に出すことができます」
転生サーヴァントの素材として指定されたサーヴァントは場から転生サーヴァントの下に移動し、その転生サーヴァントの転生素材になる。
つまり素材として指定したサーヴァントの数が多ければ多いほど、場からサーヴァントが減ってしまうということにほかならない。
通常なら、それは得策とは言えない。普通に考えて、場のサーヴァントは多い方が相手に圧をかけられる。
1体以上が条件なら、1体だけで場に出すこともできたはずだ。
なのにそれをせず、わざわざ3体を素材に場に出したということは……。
「新たなメイドが場に出たことでエリアの『カウント』が7に上昇。さらに攻撃中のサーヴァントに重ねて転生したことで、セレナーデはその攻撃を引き継ぎます。行きなさい、セレナーデ。ライフカウンターを破壊しなさい!」
新たに出現した鮮やかな銀髪を揺らす優雅なメイドが丁寧な姿勢でお辞儀をすると、どこからともなく箒を取り出し、わたしの方に突っ込んでくる。
「そしてこの時、『メイドリーダー・セレナーデ』の効果! このサーヴァントは『ストライクX』を持ち、Xは転生素材の数になります!」
「っ……! 今のセレナーデの素材は、プリュイとブリズとプレリーの合計3体……!」
「よって『ストライク3』です! これにより、セレナーデはあなたに残ったライフカウンター3つすべてを刈り取ります!」
| 燃照センカ | ライフ:3→0 |
|---|
「ぐっ……あぁっ!?」
セレナーデの箒の一振りによって発生した衝撃が強烈過ぎて踏ん張りがきかず、わたしは砕け散るライフカウンターの欠片とともに吹き飛ばされた。
飛ばされた勢いのまま背中を壁に打ちつけ、うつ伏せに倒れたわたしを、クライアントは冷徹な目で見下ろしてくる。
「これで、私のこのターンの行動は終わりです。あとは次の私のターン……あなたにダイレクトストライクを突きつけるだけで、あなたのすべてが終わりを迎えます」
「ぐ、ぅっ……」
「まだ勝てると、そんな淡い希望を抱いていますか? であれば、さらに付け加えて教えて差し上げましょう……『メイドリーダー・セレナーデ』には相手のターンスタート時に発動できる、さらなる効果があります」
クライアントは、自身のそばに控える銀髪のメイドと視線を交わし合う。
「その効果は、セレナーデの転生素材の数だけ、コスト3の任意のメイドを召喚扱いでデッキから場に呼び出すこと。その効果で呼び出せるサーヴァントのうちの1体である『先輩メイド・リュミエール』は、場にある限り私の場のコスト3以上のサーヴァントすべてのHPを+1000し、『ガード』を付与する効果を持っています」
「っ……!? 『ガード』を……」
「さらに。私の墓地にはコスト3以下のサーヴァントに『フルアクセル』を付与できる効果を持ったスペル『よーし! 頑張るぞぉー!』があります」
「……そのスペルも、他のメイドスペルと同じように、コスト3のメイドの召喚時に墓地から手札に戻すことができる効果を持ってる、ってわけだね……」
「ええ。仮に……そう仮に。あなたが私の場のすべてのサーヴァントを除去し、その上で多少の『ガード』持ちを並べたところで。相手のサーヴァントへの攻撃をトリガーにして展開を加速する私のメイドたちの前では、そんなものは無意味も同然です。むしろ、私の勝利の手助けをするだけに終わるでしょう」
「……」
「容易に道はこじ開けられ、付与された『フルアクセル』の一撃が無防備なあなたに突き刺さる。つまり……次の私のターン、あなたは決して敗北を免れない」
……うつ伏せに倒れていた体勢から床に手をついて、グッと力を入れて起き上がろうとするわたしを見やり、クライアントは呆れたように息をつく。
「まだ立ち上がりますか? あなたに訪れるターンは、紛れもなく次が最後……そしてあなたのデッキは序盤を重視した速攻デッキです。すでに勝負は終盤。ここからたったの1ターンで数多の『ガード』持ちサーヴァントを突破し、残り3つのライフカウンターを削り切り、さらにダイレクトストライクまで持っていくことなど……絶対に不可能」
「……」
「無意味無価値、無駄無謀。大人しくサレンダーするのが賢明でしょう」
「……無意味? 賢明? アハッ! だったら聞くけどさ……あなたにとっての意味って、いったいなに?」
ボロボロの体に鞭打って、よろよろと立ち上がったわたしは、わたしを見下ろすクライアントを見返した。
「わたしにとっての意味は、わたしの中だけにあるものだよ。負けて負けて負けて……今も昔も、わたしはお姉ちゃんに負けてばっかりだ。皆はわたしのこと、天才だって言うけど……この手が本当に欲しいと望んだもののところに届いたことなんて、今までの人生で一度もない」
「……」
「負けることが死ぬことだって言うなら、わたしは敗者の亡霊だ。勝者はいつだって、わたしの前を歩いてる。お姉ちゃんも……そして、メイ様も」
「それがあなたの現実です。そして今日、あなたは私に対しても敗北する」
「アハハッ! なに言ってるのさ! デュエルの勝敗は、まだついてないでしょっ?」
わたしは手札のカードのうちの1枚をデュエルガントレットに叩きつける。
「わたしのライフカウンターが2つ以上同時に破壊されたこの瞬間、『Qアクション0』! スペル『燃焼・ダブルブースト』!」
| 燃焼・ダブルブースト | |
|---|---|
| コスト3 | 属性:火 |
| スペル |
|---|
| - 効果 - |
|---|
| ①『Qアクション0』=条件:自分のライフカウンターが2つ以上同時に破壊された時。 ②相手の場のランダムなサーヴァント1枚に2000ダメージを与える。 ③カードを1枚引く。その後、手札のカード1枚を選択する。次の自分のターンエンド時まで、そのカードを使用するために必要なコストを-2する。 |
「相手の場のランダムなサーヴァント1体に2000ダメージ! さらにカードを1枚引き、手札のカード1枚を使用するために必要なコストを、次のわたしのターンエンド時まで2下げる!」
「……私の場にサーヴァントは『メイドリーダー・セレナーデ』のみ。よってダメージはセレナーデが確定で受けます。ですが、セレナーデの元のHPは7000。たかが2000程度ではどうにもなりませんよ」
「アハッ! だから? まさか、わたしがそのくらいで諦めるとでも思ってるの?」
「……」
この状況でも笑みを浮かべ、挑発するような物言いを繰り返すわたしを一瞥し、クライアントは救いようがないと言いたげに首を横に振った。
「……いいでしょう。もはや、サレンダーしろなどとは言いません。あなたがそこまで愚かだと言うのなら、私が直接この手で引導を渡してあげましょう。私はこれでターンエンド。さあ……あなたのラストターンです」
| 先攻6ターン目:燃照センカ |
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| 燃照センカ | ||
|---|---|---|
| ライフ:0 | 場 | (無し) |
| Ene:5 | ||
| 手札:4→5 |
| クライアント (保有中の特殊能力) | ||
|---|---|---|
| ライフ:3 | 場 | Ar:求人募集中 -アットホームな職場です- Se:メイドリーダー・セレナーデ(A7000/H5000) |
| Ene:8(0) | ||
| 手札:0 |
①以下の効果から1つを選択して適用する。
・エナジーを1消費する。それが正しく消費されたなら、デッキの上から1枚目を消費状態でエナジーにチャージする。
・エナジーを2回復する。(上限:同名/1ターンに1回)
②【墓地で有効】同一の反応連鎖上に種別:メイドを持つスペルが存在しないなら、コスト3の種別:メイドを持つサーヴァントの召喚時に発動可能。墓地のこのカードを手札に戻す。このターン、自分は墓地からカードを手札に戻せない。
次回、決着。
カード製作裏話
・戦火狂乱
つよつよ大量蘇生スペル。ただしデメリットがあまりにも重すぎるので可能な限り勝負を決め切れる時に使おう。速攻フルアクセル連打からの手札が細くなった段階でこれを素引きしてフルアクセル大量蘇生からの総攻撃は、相手が速攻の対策をしていようと関係なくすべてをぶち抜く。脳死で試行回数稼ぎたい勢におすすめのデッキ構築です。
・エクリクシス・ピロテクニマ
攻撃時に全体1000ダメを与えつつフルアクセルでライフに突っ込むサーヴァント。ガード効果で攻撃対象を自身に変更する処理は攻撃時効果の処理が終わった後の段階で行うので、この攻撃時効果でガード持ちが全滅したなら相手はガードができず、フルアクセルがライフカウンターに突き刺さる。全体1000ダメはデュエル後半ともなると物足りなくなってくるが、序中盤では非常に強力な一掃効果と言える。また、速攻vs速攻の際には相手の小型を処理しながら突っ込むことで盤面とライフの優位を一気に取り返せるので相当有用だと考えられる。
・よーし! 頑張るぞぉー!
活発系火属性メイドことフラムが描かれているスペル。今日もお仕事頑張るぞ、えいえいおー! と拳を振り上げているイラスト。メインで描かれているのはフラムだが、イラストの端っこには粛々と廊下のお掃除をする水属性メイドことプリュイも映っている。おそらくこの後フラムにダル絡みされるのだろう(二人は幼馴染)。効果としてはコスト3以下のサーヴァントにフルアクセル付与というシンプル効果。これだけならそこまで大したことはないが、墓地回収効果と合わせることで何度でも付与できる点が一番の強みと言える。
・メイドリーダー・セレナーデ
6属性メイド全員の上司に当たるメイド長。クールで表情の変化がわかりにくく、一見して冷たい印象を与えがちで、彼女をよく知らない研修生たちからは少し怖がられてしまっている。しかし実際はかなり優しく面倒見も良く、実際に関わったメイドたちからの評判はすこぶる良いようだ。ご主人様至上主義であり、命令とあらば掃除洗濯買い物調査変装潜入暗殺なんでもこなす。効果としては、転生素材に応じてストライク数を増やす効果と、転生素材の数だけ相手のターンスタート時にメイドを召喚扱いで呼び出せる効果を持つ。効果を最大限に活かすためにはできる限り多くのメイドの上に重ねる必要があるが、その一方で、中盤の早い段階から1体のみに重ねて積極的に出すことで相手に圧をかける使い方も考えられる。A7000/H7000、相手のターンスタートごとにメイドを呼び出すサーヴァントを中盤の早い段階から場に出されるのは相当に鬱陶しいと思われる。欠点としては、あまり攻撃的な性能ではないゆえに決め手になりにくいこと。セレナーデ以外のメイドたちもリソース供給能力こそ高いものの、攻撃性能や防御性能はあまり高くないため、その辺りをどうカバーするかがデッキビルディングの腕の見せ所と言える。
・燃焼・ダブルブースト
少し厳しい条件のQアク0を持つスペル。使用に必要なコストを下げる効果の処理は自分のターンエンド時まで持続するので、相手のターンにQアクで使えれば、次の返しのターンで一気に反撃に移れる。もっとも、ライフを2つ以上同時に削られるような中盤以降の猛攻の後できちんとターンが返ってくればの話だが…。Qアクではない方法で手札から直接詠唱した場合でも、手札を減らさずに実質1エナジーの消費でランダムな相手の場のサーヴァントに2000ダメージを与えられるので最低限の仕事はできる。