可愛い銀髪美少女天使カードとして転生した私、マスターを導く   作:にゃっとう

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5.あはは! 強気なのはお互い様じゃん!

 初期手札、互いに5枚。毎ターン開始時にデッキから1枚ドローするが、先攻1ターン目だけはドローできない。

 デッキは40枚。同名カードは3枚まで。デッキが0になった後、ドローしようとしてカードがなければデュエルに敗北(ライブラリーアウト)する。

 ライフカウンターは6。これをサーヴァントの攻撃ですべて破壊された後、ダイレクトストライクを受ければ敗北となる。

 場に出せるカード数の限界は6枚。これはサーヴァントとエリアカードの両方が合算される。つまり仮にサーヴァントが4枚でエリアが2枚あるなら、新たにサーヴァントやエリアを使用することができない。ただしサーヴァントの上に重ねて召喚する転生サーヴァントや、使用時に直接墓地へ送られるスペルは使用できる。

 サーヴァントは召喚硬直のルールによって、場に出たターンは攻撃宣言ができない。ただし効果によって攻撃を許可されたサーヴァントや、転生サーヴァントのような特別なサーヴァントには召喚硬直が適用されない。

 

 

先攻1ターン目:燃照ホムラ

燃照ホムラ
ライフ:6(無し)
Ene:0
手札:5
無空メイ
ライフ:6(無し)
Ene:0
手札:5

 

 

「先攻は私だね!」

 

 デュエルガントレットが自動的に先攻と後攻を振り分ける。今回の先攻は、ホムラだ。

 自分のターンではないからと言って気を抜いてはいけない。

 相手の目線や思考時間、その行動から、そのプレイヤーがなにを重視しているのかを把握し、デッキタイプを分析することは勝利に繋がるファクターとなる。

 

「私は手札からエナジーをチャージしてターンエンド!」

 

 チャージされたエナジーの属性は、火。攻撃的な性能や、戦闘やダメージに関連する効果を持つカードが多く存在することが特徴の属性だ。

 

 先攻1ターン目は後攻1ターン目と異なりドローができない。けれど相手よりも早くエナジーをチャージして動けることは、時になによりも重要になる。

 特に、早いターンから攻撃的なサーヴァントを出し、相手の準備が整う前に勝負を決め切る速攻型のデッキはそれが顕著だ。

 序盤の優位を手に入れるために必要なことは、相手よりも先に動いて場の主導権を握ることにある。

 手札が切れる前に勝負を決め切れるなら、1ターン目のドローなんてなくたって関係ない。

 

 ……私のデッキは、後半になればなるほど強力になっていく。

 だけどその反面、準備が整っていない序盤はあまり自由には動けない。

 だから先攻1ターン目から積極的に攻められることが一番嫌な動きだったのだが、それがなかったのは幸いと言える。

 

 結論を出すのはまだ早すぎるものの、速攻型のデッキではないと見てもいいかもしれない。

 仮に速攻型のデッキだったとしても、1ターン目に動かなかったなら対処も間に合うはず。

 

 

後攻1ターン目:無空メイ

燃照ホムラ
ライフ:6(無し)
Ene:1(0)
手札:4
無空メイ
ライフ:6(無し)
Ene:0
手札:5→6

 

 

「私のターン。エナジーをチャージ。そしてエナジーを1消費して、『虚構天使ホロエル』を召喚」

 

虚構天使ホロエル
コスト1 種別:虚数/天使 
属性:無 ATK 0 HP 0*1 

サーヴァント 

 - 効果 - 
①『虚構定理』=条件:「自分の場を離れた『虚構定理』を持つカードの数」が5以上。

②???

③???

④???

⑤???

⑥???

・???

・???

・???

⑦???

 

「ホロエル……? 見たことない色のカード……無属、性?」

 

 星のように眩い銀色の髪の天使が場に出てポーズを取り、私の方を振り返る。

 

 ホロエル……私のデッキのキーカードであり、私の命よりも大切なカード。

 これはホロエルが望んだデュエル。だからホロエルと一緒に、私はこのデュエルに勝利する。

 

「ホロエルは自身の虚構定理の効果によって、定理の条件を満たさなければ攻撃できず、虚構定理以外の自身のすべての効果が無効化される」

「虚構定理……これも聞いたことない効果。でも、攻撃もできなくて効果も使えないなら、出した意味が……」

 

 ホロエルの四肢が虚空から出現した鎖に囚われる。そして……。

 

「ターンエンド。この時、ホロエルの虚構定理の効果。各ターンエンド時に定理の条件を満たしていないなら、このサーヴァントを破壊する」

「えぇっ!? 場に出て、効果も使わずすぐ破壊……!?」

 

 ホムラが驚いているのが見える。初見ではホロエルの効果がわからないのだから無理もない。

 ホロエルの虚構定理の条件が指し示しているように、私のデッキは自分の場を離れた虚構定理を持ったサーヴァントの数が重要だ。

 だから1ターン目からその数を早急に稼げるホロエルを出すことは、私のデッキにおいては理想的な動きの一つだった。

 

 ホムラは熟考するように黙り込んだ後、嬉しそうに笑った。

 

「……よくわかんないけど、前にメイちゃんのデュエルを見たことがあるセンカは言ってた。メイちゃんは私よりも強いって。だったらこれはきっと意味のない行為じゃなくて、後に続く布石」

「……」

「あはは! それってつまりさ、1ターン目から本気で私を潰そうと動いてくれてるってことだよね! 嬉しいなぁ、本気のメイちゃんと戦えるなんて! だったら私も遠慮なくいくよ! ドロー!」

 

 

先攻2ターン目:燃照ホムラ

燃照ホムラ
ライフ:6(無し)
Ene:1
手札:4→5
無空メイ場を離れた虚構定理:1
ライフ:6(無し)
Ene:1(0)
手札:4

 

 

「手札からエナジーをチャージ! さらに私はエナジーを2消費して『竜の巫女アウロラ』を召喚!」

 

竜の巫女アウロラ
コスト2 種別:ドラゴン 
属性:火 ATK 1000 HP 1000 

サーヴァント 

 - 効果 - 
①場に出た時に発動可能。手札のコスト5以上の種別:ドラゴンを持つサーヴァント1枚を選択して、その召喚のために必要なコストを-1する。

②破壊された時に発動可能。手札のコスト5以上の種別:ドラゴンを持つサーヴァント1枚を選択して、その召喚のために必要なコストを-1する。

 

「アウロラの効果で私は手札のコスト5以上のドラゴン1体の召喚のために必要なコストを-1するよ!」

 

 このカードは知っている。コスト5以上の高コストのドラゴン専用のサポートカードだ。

 場に出た時と破壊された時で一度ずつコストを下げ、手札の高コストのドラゴンの早期の着地(召喚)を可能にする。

 高コストのサーヴァントは、その多くが強力な効果を持つ。早めに出されて場を荒らされては厄介だ。

 

 とは言え……これでデッキタイプは絞れてきた。

 やはり速攻型ではない。おそらくは……中盤から強力なドラゴンを次々と繰り出し、盤面の圧力で制圧する中速(ミッドレンジ)ドラゴンか。

 あるいは高コストのドラゴン同士のコンボや、超高コストの強力無比なドラゴンで一気にライフカウンターを削り切るワンショットキル*2という線もある。

 ただ、ワンショットキルを狙うタイプのデッキなら、そのための準備で中盤に一瞬の隙ができるはず。そこを見極めて的確に防御を固めて凌ぐことができれば、こちらのペースに持っていけるだろう。

 

 私のデッキにとって一番まずいのは、やはり中速ドラゴンだ。

 下手に後手に回れば、盤面のサーヴァントの処理のために無理な動きを強要され、やりたい動きができないままステータスの暴力で圧殺されることになりかねない。

 場合によっては手札の消費が多少荒くなってでも、早急に準備を整える必要がある。

 

「私のターン」

 

 

後攻2ターン目:無空メイ

燃照ホムラ
ライフ:6Se:竜の巫女アウロラ(A1000/H1000)
Ene:2(0)
手札:3

無空メイ場を離れた虚構定理:1
ライフ:6(無し)
Ene:1
手札:4→5

 

 

「エナジーをチャージ。さらにエナジーを2消費して『無相の蛍火』を召喚」

 

無相の蛍火
コスト2 種別:虚数 
属性:無 ATK 500 HP 500 

サーヴァント 

 - 効果 - 
①『虚構定理』=条件:「自分の場を離れた『虚構定理』を持つカードの数」が1以上。

②場に出た時に発動可能。墓地のコスト1のサーヴァントを選択して、それを1枚複製*3して場に出し、選択したサーヴァントをデッキに戻す。この効果で場に出したサーヴァントは場を離れる時、消滅する。

 

「自分の場を離れた『虚構定理』を持っていたカードの数が1以上なら、『無相の蛍火』の虚構は定理によって実現し、その存在と力が解放される」

「……場を離れた虚構定理の数……」

「蛍火の効果。墓地のコスト1のサーヴァントを複製して場に出し、選択したコスト1のサーヴァントをデッキに戻す。私は『虚構天使ホロエル』を選択して複製。本物はデッキに戻す」

 

 白い蛍がフィールド上で舞い踊り、その中心に1体の天使を複製する。

 しかしその天使も1ターン目の本物のホロエルと同様、すぐに鎖に囚われた。

 

 複製されたカードは本物と同じ名前と効果を得るが、それはつまり、虚構定理のデメリット効果もコピーしているということ。

 ホロエルの虚構定理はまだ条件を満たしていない。

 よって複製されたホロエルもまた、攻撃も効果もどちらも使えないままだ。

 

「ターンエンド……この時、複製されたホロエルの虚構定理の効果。ターンエンド時に虚構定理の条件を満たしていないため破壊される。ただし『無相の蛍火』の効果で複製したサーヴァントは場を離れる時に墓地へは行かず、消滅する」

 

 

先攻3ターン目:燃照ホムラ

燃照ホムラ
ライフ:6Se:竜の巫女アウロラ(A1000/H1000)
Ene:2
手札:3→4

無空メイ場を離れた虚構定理:2
ライフ:6Se:無相の蛍火(A500/H500)
Ene:2(0)
手札:3

 

 

「ふーん……わかってきたよ、メイちゃん」

 

 ターンスタート時の処理でデッキからカードをドローしながら、ホムラが言う。

 

「メイちゃんがやってることは一見、場に出すことと離れさせることを繰り返すだけの無意味な行為。でも今あなたの場にいる蛍火は、場を離れた虚構定理のカードの数を参照して効果を発揮した。そんな条件を持ったカードは果たして1枚だけかな? ううん、そんなはずがない。おそらくは場を離れたカードの数が増えれば増えるほど尻上がりに強さを増していく、後半戦でこそ真価を発揮するデッキ……」

「……」

「でもそれって逆に言えば、序盤は一番力を発揮しづらいってことじゃないかな? あはは! だったら私がすべきことは明白だよね! 攻撃宣言、アウロラでメイちゃんのライフカウンターに攻撃!」

 

無空メイ ライフ:6→5

 

「……『無相の蛍火』を攻撃することもできたのに。無視していいの?」

「お互いにサーヴァントを並べ合って、ライフだけを削り合って、どっちが先にダイレクトストライクまで持っていけるか試してみる? そうなったらいったいどっちが勝つかなぁ。ねえ、メイちゃん?」

「……」

「メイちゃんならもうわかってるでしょ? デッキの速度は私が上。ライフだけを攻撃し合えば私に分がある。私がライフを削り続ければ、メイちゃんは自分のやりたい動きを曲げてでも、私のサーヴァントを除去するためにカードとエナジーと攻撃権を使うしかなくなる」

 

 ……分析が早い。

 お互いのデッキタイプを比較し、先の戦況を予測し、一番嫌だと感じる動きを的確に当ててくる。

 

「後手に回れば勝利は遠のく。私は先手を取り続けて、メイちゃんの準備が整う前に勝負を決めさせてもらうよ! エナジーを1消費して手札から『流れ弾直撃』を詠唱!」

 

流れ弾直撃
コスト1 属性:火 

スペル*4 

 - 効果 - 
①自分・相手の場のコスト5以上サーヴァント1枚または攻撃権が残っていないサーヴァント1枚を選択して、2000ダメージを与える。自分の場のサーヴァントを選択したなら、カードを2枚引く。

 

「コスト5以上か攻撃済みのサーヴァントに2000ダメージを与えて、それが自分のサーヴァントならカードを2枚引ける! 私はアウロラに2000ダメージを与えて破壊し、カードを2枚ドロー! さらに破壊されたアウロラの効果で、手札のコスト5以上のドラゴンの召喚に必要なコストを1下げる!」

「っ……自分から破壊して、破壊された時の効果を……」

 

 私の場の『無相の蛍火』はATKが500しかないから、仮にアウロラが蛍火を攻撃してもHP1000のアウロラは破壊されず、アウロラの破壊された時の効果を能動的には起動できない状態だった。

 こうやって敢えてアウロラを場に残しておくことで、高コストのドラゴンが召喚されるまでの少々の時間稼ぎをする算段もあったのだけど、目論見が外れた。

 

「さらにエナジーをチャージ*5して、自身の効果でコストが1下がったエリア『竜を呼ぶ儀式』を2エナジーで展開する!」

 

竜を呼ぶ儀式
コスト3 属性:火 

エリア 種別:ドラゴン 

 - 効果 - 
①【手札で有効】自分の場の種別:ドラゴンを持つカードが破壊されるたび、このエリアを展開するために必要なコストを-1する。

②自分がコスト5以上の種別:ドラゴンを持つサーヴァントを召喚するために必要なコストを-1する。後攻5ターン目以降なら-1ではなく-2。後攻9ターン目以降なら-2ではなく-5。

 

「これが場にある限り、私がコスト5以上のドラゴンを出すために必要なコストは-1される!」

 

 またコストをダウンさせるカード……。

 デッキの傾向が見えてきた。ドラゴンのコストダウンをとことん狙う戦術のようだ。

 

「あはは! メイちゃん、私はもう準備万端だよ? メイちゃんの準備は間に合うかなぁ! 私はこれでターンエンド!」

 

 

後攻3ターン目:無空メイ

燃照ホムラ
ライフ:6Ar:竜を呼ぶ儀式
Ene:3(0)
手札:4

無空メイ
ライフ:5Se:無相の蛍火(A500/H500)
Ene:2
手札:3→4

 

 

「私のターン」

 

 ターンスタート時の処理としてカードを引いた後、私は一旦手を止めて熟考する。

 

 現在、私の場を離れた虚構定理を持っていたカードの数は……1ターン目のホロエルの自壊と、2ターン目に蛍火の効果で複製し消滅したホロエルで2枚だ。

 場に残っている『無相の蛍火』をどかすことができれば3枚になるが、相手の場にサーヴァントがいないため、自分から攻撃を仕掛けて自爆し枚数を増やすと言った行為はできない。

 それに、仮に自爆できたところでホロエルの虚構定理の条件である5枚まではまだ遠い。このターン中に5枚まで持っていき、ホロエルを出すことは手札的にも場を離れた枚数的にも不可能だ。

 

 ……次のホムラのターン。おそらく彼女はコスト5以上の強力なドラゴンを場に出してくる。

 『ガード』*6を持つサーヴァントを出して、今のうちに少しでも守りを固めるべきか……いや。

 ホムラが扱うエナジーは今のところ火属性一辺倒だ。火属性にはダメージを与える効果を持つカードが多い。

 もしも次に出てきたドラゴンが場に出た時にダメージを与えるような効果を持っていた場合、せっかく出した防御用のサーヴァントがついでのように除去されてしまう危険性がある。

 ここからエナジーをチャージしても、私が使えるエナジーはしょせん3だけ。コスト3相応のステータスではコスト5以上のサーヴァントが与えてくるダメージ効果を耐え切るのは厳しいと言わざるを得ない。そうなれば戦況は苦しくなる一方だ。

 だからと言ってなにも手を打たずにいれば、ステータスが高いサーヴァントを並べられていき、処理が追いつかなくなっていく。

 

 ……ホムラは私のデッキが長期戦向けだと見抜いている。

 ならば短期決着を狙って、さきほどのように積極的にライフカウンターを削ってくるはず。

 それに反応して場に出せる、あのカードを手札に持ってくれば……その次の私のターンで……。

 

「私は『無相の蛍火』でライフカウンターに攻撃」

 

燃照ホムラ ライフ:6→5

 

「エナジーをチャージ。そして3エナジーでスペル『虚構論構築』を詠唱する」

 

虚構論構築
コスト3 属性:無 

スペル 種別:虚数 

 - 効果 - 
①【手札で有効】このスペルを詠唱するために必要なコストは-Xされる。(Xは「自分の場を離れた『虚構定理』を持つカードの数」を3で割った数。端数切り捨て)

②「自分の場を離れた『虚構定理』を持つカードの数」を+1する。

③手札、または自分の場のカード1枚を消滅させる。『虚構定理』を持つカード1枚をデッキから手札に加える。

 

「場を離れた虚構定理を持っていたカードの数を+1し、さらに手札か場のカードを消滅させることで、虚構定理を持つ任意のカード1枚を手札に加える。私は場の蛍火を消滅させ、デッキからカードを手札に」

「カードのサーチ? へえ、悠長だねぇメイちゃん」

「……ターンエンド」

 

 

先攻4ターン目:燃照ホムラ

燃照ホムラ
ライフ:5Ar:竜を呼ぶ儀式
Ene:3
手札:4→5

無空メイ場を離れた虚構定理:4
ライフ:5(無し)
Ene:3(0)
手札:3

 

 

「ドロー。手札からエナジーをチャージ……さあ、ここからが中盤戦。私のデッキがもっとも力を発揮するタイミング……ついてこれないなら置いていくから。覚悟してね?」

 

 ホムラの雰囲気が変わる。

 これまではただ、相手を分析し、どう立ち回るべきかを探るような目つきだった。

 だけど今は違う。ここまでの3ターンの間で、すでにホムラは薪をくべ終えた。

 小さな火種が燃え盛り、敵を焼き尽くさんとする業火へと変わる。

 

「かくして巫女の祈りは届いた。儀式により竜は降臨し、猛き陽光が希望を照らす! 現れよ、『炎旱(えんかん)竜グレイブ・ドラグニル』!」

 

炎旱竜グレイブ・ドラグニル
コスト7 種別:ドラゴン 
属性:火 ATK 7000 HP 7000 

サーヴァント 

 - 効果 - 
①『ストライク2』

②『アクセル』*7

③自分の場に他の種別:ドラゴンを持つサーヴァントが出るたび、それに『ガード』を付与する。

④召喚時に発動可能(上限:同名/1ターンに1回)。手札の種別:ドラゴンを持つすべてのカードの、使用するために必要なコストを-Xする。(Xは自分の場の種別:ドラゴンを持つカードの数)

 

 炎の渦を吹き飛ばすようにして場に現れた赤き竜が、咆哮を上げる。

 

「……グレイブ・ドラグニル」

 

 やはり来た。コスト5以上の切り札級サーヴァント。

 もしもここで切り札を温存するようならまだワンショットキルデッキの線もあったが、これでデッキタイプが完全に確定した。

 やはりホムラのデッキは、中盤から盤面を強く保って攻めていく中速ドラゴンデッキ。場を離れたサーヴァントの数を稼いで準備を整えなければ自由に動けない私にとって、速攻型の次に相性が悪いデッキタイプだ。

 

「グレイブ・ドラグニルのコストは7。だけどアウロラの効果二回分と『竜を呼ぶ儀式』で、召喚のために必要なコストは合計3下がってる。よって4エナジーで降臨可能。そして私はグレイブの効果、発動!」

 

 竜が持つ太陽の紋章が輝き出し、その光がホムラへと降り注ぐ。

 

「グレイブを召喚した時、場のドラゴンカードの数だけ手札のドラゴンカードのコストを下げる! 私の場のドラゴンカードは『炎旱竜グレイブ・ドラグニル』と『竜を呼ぶ儀式』の2枚! よってコストを-2する!」

「切り札を出しておいて、まだコストをっ?」

「あはは! 今度はさっきまでとは違うよ! アウロラも竜を呼ぶ儀式も、下げられるのはコスト5以上のドラゴンサーヴァントだけだった! でもグレイブはカードの種類や制限もなく、すべてのドラゴンカードの使用に必要なコストを下げられる! そして!」

 

 ホムラの残りエナジーはすでに0。

 しかしホムラは新たに2枚のカードを手に取ると、それを見せつけるように掲げた。

 

「低コストのカードのコストが下がれば、当然、コストが0になるカードも出てくる。私はさらに『竜の巫女アクアエ』と『竜の巫女フルメン』をコストを支払わずに召喚!」

 

竜の巫女アクアエ
コスト2 種別:ドラゴン 
属性:火 ATK 1000 HP 1000 

サーヴァント 

 - 効果 - 
①場に出た時に発動可能。コスト5以上の種別:ドラゴンを持つサーヴァントをランダムに1枚デッキから手札に加える。さらにこれを追加でX回行う。(Xは自分の場のコスト5以上の種別:ドラゴンを持つサーヴァントの数)

②【墓地で有効】手札からコスト5以上の種別:ドラゴンを持つサーヴァント1枚を捨てて発動可能(上限:同名/1ターンに1回)。墓地のこのサーヴァントを手札に戻す。

 

竜の巫女フルメン
コスト2 種別:ドラゴン 
属性:火 ATK 1000 HP 1000 

サーヴァント 

 - 効果 - 
①場に出た時に発動可能。自分の場のコスト5以上の種別:ドラゴンを持つサーヴァント1枚を選択して、『フルアクセル』*8を付与する。

②破壊された時に発動可能。自分の場のコスト5以上の種別:ドラゴンを持つサーヴァント1枚を選択して、『バリア』*9を1層付与する。

 

「連続召喚……!」

「この瞬間、グレイブの効果! 場に出た他のドラゴンサーヴァントに『ガード』能力を付与する!」

「場に出た巫女は、2体とも種別はドラゴン……」

「その通り! だから2体とも『ガード』を得る! さらにアクアエの効果、発動! アクアエは場に出た時、デッキからコスト5以上のドラゴンをランダムに手札に加える! さらに私の場にコスト5以上のドラゴンがいるなら、その数だけ追加で加えられるよ! 場にグレイブがいることにより、私は2枚のドラゴンを手札に!」

 

 後続を用意された。

 手札が尽きない。もし今の盤面を返すことができたとしても、また次のターンには高コストのドラゴンが飛んでくる。

 

「さらにフルメンは場に出た時、場のコスト5以上のドラゴンに『フルアクセル』を付与できる! 私はグレイブを選択! これでグレイブは、場に出たターンでもライフカウンターに攻撃が可能になる!」

「っ……」

 

 やはりライフカウンターを削りに来た。宣言通り、私の準備が整う前に勝負を決める気だ。

 だけど……と、私はさきほど『虚構論構築』で持ってきたカードを見下ろす。

 3体もサーヴァントを並べられたのは想定外……だけどこれさえ出せれば、次の私のターンで巻き返せるはず。

 

 しかしそう思考する私を見透かすように、ホムラは一度手を止め、スッと鋭く目を細めた。

 

「前のターン、私はアウロラの破壊された時の効果を自分から起動した上で、『竜を呼ぶ儀式』まで使った。プレイングを急いで、次のターン攻めるよーってわかりやすく伝えたはずなのに、メイちゃんの場はがら空き……なーんか誘われてる気がするよねぇ」

「……」

「もしかしたら、この状況はまだメイちゃんの想定の範囲内……の、可能性がある。想定を崩すなら、ここで攻撃をしない選択も……なーんてね」

 

 首を左右に振ると、ホムラは獰猛な笑みを浮かべる。

 

「今、メイちゃんは完全に後手に回ってる。ううん、回らされてる。私の攻めに対応するために、メイちゃんは間違いなくプレイングを歪めた。たとえこれが罠だとしても、この隙を逃がす手はない」

「……強気ね。考えたところでどうせ突っ込むなら、考える意味なんてないでしょ?」

「あは! そうだね。いつもの私だったらここまで考えなかったかも。でも、今日はメイちゃんが相手だからさ。いつもより細かいとこまで考えちゃうんだ。だって私、ずっとこうしてメイちゃんと戦いたかったんだもん」

「そう。わざわざ負けたいだなんて、変わってる」

「あはは! 強気なのはお互い様じゃん! 行くよ、私はグレイブでメイちゃんのライフカウンターに攻撃! 『ストライク2』により2つのライフを削る!」

 

無空メイ ライフ:5→3

 

 このデュエルは室内用ホログラムシステムを使っていない。

 ライフカウンターが破壊され、竜が吐く本物の熱風の余波が私の髪を揺らし、頬を撫でる。

 けれど、自分より遥かに巨大な竜と相対することに恐怖はない。

 私にはホロエルがついてる。私は今まで何度だってホロエルと一緒に、こんな命懸けの戦場の中を生き抜いてきた。

 

「さあほら、なにかあるんでしょ? 使いなよ、さっき持ってきたカードを!」

「この瞬間、私は手札の『虚の妖精ホルルン』の『Q(クイック)アクション0(ゼロ)』。私のライフカウンターが相手によって破壊された時、これをコストを支払わずに召喚できる」

 

虚の妖精ホルルン
コスト3 種別:虚数/フェアリー 
属性:無 ATK 1000 HP 1000 

サーヴァント 

 - 効果 - 
①『虚構定理』=条件:相手の場にカードが存在する。

②『Qアクション0』=条件:相手によって自分のライフカウンターが破壊された時。

③召喚時に発動可能。以下の効果から1つを選択して適用する。

・デッキの上から1枚目をエナジーにチャージする。

・カードを1枚引く。

 

 デフォルメされた可愛らしい白い妖精が場に降り立ち、少し怯えたように杖を両手で握りしめながら、目の前に佇む炎の竜を見上げた。

 

「0の数字を持つQアクション*10……へえ、良いカードを持ってるね。メイちゃん」

「ホルルンの効果。召喚時、デッキからエナジーをチャージするかカードを引くかいずれかの効果を選べる。私はエナジーのチャージを選択して適用。デッキの一番上をエナジーに置く」

 

 ヤケになったようなホルルンが私のデッキに杖を向けて祝福の魔法をかけると、そこからカードがめくられ、エナジーへと置かれる。

 置かれたカードは……よし、ホロエルじゃない。

 ホロエルはこのデッキに1枚しか入っていないから、エナジーに行ってしまうと回収に少し手間がかかる。

 すでにエンジンがかかった中速(ミッドレンジ)デッキを相手にその一瞬の隙は、まさしく命取りだ。

 だがこれでようやく、こちらの準備も整った。

 

「ふぅん、なるほどね。敢えて防御せずライフで受けて、ホルルンの効果で使えるエナジーを増やして私を迎え撃つ算段だったんだ。あは! いいね、そうこなくっちゃ! 私はこれでターンエンド! さあ、メイちゃんのターンだよ!」

 

 

後攻4ターン目:無空メイ

燃照ホムラ
ライフ:5Ar:竜を呼ぶ儀式

Se:炎旱竜グレイブ・ドラグニル(A7000/H7000)

Se:竜の巫女アクアエ(A1000/H1000)

Se:竜の巫女フルメン(A1000/H1000)

Ene:4(0)
手札:3

無空メイ場を離れた虚構定理:4
ライフ:3Se:虚の妖精ホルルン(A1000/H1000)
Ene:4
手札:2→3

*1
通常のサーヴァントはHPが0になると破壊されるが、元々のHPが0のサーヴァントは例外として破壊されない。ただし1でもダメージを受けるか、HPの減少効果を受けると破壊される

*2
ライフがほぼ無傷な相手に1ターン中に大ダメージを与え、その1ターン中に勝利まで持っていく事

*3
同名カードを新たに生成する事

*4
スペルを使用する行為を詠唱と呼ぶ。詠唱したスペルは場には出ず、直接墓地へ送られる

*5
手札からエナジーをチャージする行為は1ターンに1度しか行えないが、チャージするタイミングに指定はない(ターンスタート時の初めの行動でなくとも良い)

*6
攻撃権が残っているなら、相手のサーヴァントの攻撃時に攻撃権を消費し、その攻撃対象を自身に移し替えることができる

*7
場に出たターンでもサーヴァントに攻撃できる。(ライフカウンターへは攻撃できない)

*8
場に出たターンでもライフカウンターとサーヴァントに攻撃できる。(召喚硬直を完全に無視する)

*9
次に受けるダメージを0にする。効果の適用後『バリア』を1層失う。(バリアで0にする前からダメージが0でも、ダメージを受ける処理が発生したなら1層失う)

*10
Qアクションの後に続く数字が払うべきコストの値。0ならエナジーを支払わずともいいが1以上ならその分のエナジーが必要




ホムラちゃん…? 先攻4ターン目ですよね…? 先攻でその動きちょっとやめてもらっていいですか…?


カード制作裏話
・虚構天使ホロエル
効果が多すぎてなんかやばいカードであることはひしひしと伝わる。効果の公開は次回。実際だいぶバランス壊れてるけど、祀られるレベルの激ヤバカードだから許して…。

・竜の巫女アウロラ
安定初動カード。気分的には2コスのコッ〇・ルピア感覚。このカードゲームはアンタップしているカードに攻撃できない系のルールがなく、低コストシステムクリーチャーの立場が少し弱いのでコストを下げる効果は場に出た時と破壊された時になった。普通に悪くないカードなんじゃないかと思う。

・無相の蛍火
ホロエルと合わせると1枚で2枚分の虚構定理を稼げる有能。実はよく見ると1コスト以外の縛りがないので無属性以外もコピー生成できるが活用されるかはわからない。

・流れ弾直撃
ちょっと使いづらい対速攻(アグロ)処理兼ドローソースカード。盤面の処理にもドローソースにも使える汎用性と、コスト5以上か攻撃済みのサーヴァントにしか使えない不自由さが、良い感じの塩梅のカードパワーを再現しているんじゃないでしょうか。攻撃的なカードが多いという設定の火属性単体でのドローソースと考えると、まあこれくらいが限度かなという感じ。

・竜を呼ぶ儀式
中盤以降の展開を補助するカード。気分的にはコッコ・ル(ry。ゲームシステム的に低コストのシステムクリーチャーがあまり頼りにならないのでエリアになった。後攻5ターン目以降からコストを下げる効果が地味に強くなるが、これはホムラちゃんが先攻4ターン目でインチキムーブをかましたことでこのゲーム後攻不利すぎないか問題が浮き彫りになったことで急遽変更し追加したものである。たぶん今後も後攻不利を感じたら露骨な後攻贔屓カードが出てくると思われる。

・虚構論構築
好きなカードを持ってこれるのは魅力的だが、ハンド&ボードアドバンテージ的にはディスアド1。しかも条件を満たしていないと3コスと少し重い。テーマ限定の万能サーチと考えると、これくらいが強すぎると感じないギリギリのラインじゃないかと思う。

・炎旱竜グレイブ・ドラグニル
ホムラちゃんのエース枠。ドラゴン限定とは言え、幅広くコストを下げられる効果は普通に強い。ホムラちゃんのように早期に出して攻め入ってもいいし、ワンショットキルデッキでワンショットの難易度を下げるのにも役立つ。コスト7と素だとちょっと重く、他のカードのコストを下げるという効果の関係上、このカード単体でできることを見ると大したことがないというのも割と良いカードパワーしてるんじゃないかと思う。でも先攻4ターン目に出すのはちょっと早すぎるのでやめてほしい(切実)。

・竜の巫女アクアエ
コスト5以上ドラゴン限定のサーチカード。ただしサーチが優秀だからとこればかり出してると、動きが遅くなるしエナジーも消費し続ける。でもサーチは優秀なのでとりあえず入れておきたい。そんなカードになっていたらいいな。グレイブととても相性が良く、仮にグレイブを出した後にアクアエ2枚出すとなんと無料で手札が1枚増える。グレイブを中心にしたドラゴンデッキなら3積みしたいところ。

・竜の巫女フルメン
コスト5以上のドラゴンにスピードアタ…疾走…もといフルアクセルを付与する。盤面にコスト5以上のドラゴンがいないと使えないので序盤に来ても困るものの、フルアクセル付与という優秀な効果を考えるとこれくらい使いづらい方がそれっぽい感あるんじゃないかと思う。グレイブがフルメンにガード付与→フルメンがガードしてグレイブにバリア付与というシナジーのある動きにデザイナーズコンボ感が出ていたら本望。でも先攻4ターン目にその盤面を作るのはやめてほしい(切実)。

・虚の妖精ホルルン
早速活用された都合のいい女。早いデッキ相手には君がいないとやってられないよ…これからも益々のご活躍をお祈り申し上げます。
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