可愛い銀髪美少女天使カードとして転生した私、マスターを導く   作:にゃっとう

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56.もしかしてこれ……私のせい、だったりしますかね……?

「――ホムラ。もう朝よ。起きなさい。学校に間に合わなくなるわよ」

「……むにゃむにゃ……うへへ~、もうこれ以上デッキにカードは入らないよぉ……」

 

 やぁやぁやぁ!

 今日も可愛い完全完璧の美少女天使、その名もウルトラスーパーホロエルだぞ!

 

 時は早朝。

 月曜日である今日は、学園への登校日に当たる。

 

 今現在私の目の前では、未だ眠りこけているホムラを起こそうと、エミリアが四苦八苦している光景が展開されている。

 今しがた漏れたホムラの寝言から察するに、多種多様な魅力的なカードたちに囲まれている夢でも見ているのだろうか。

 毛布を抱きしめる彼女の頬はこれ以上ないほど緩んでいて、口の端からはだらしなく涎も垂れている。

 

「はぁ……まったく。中等部の頃と変わらず、朝は弱いままなのね」

 

 エミリアがやれやれと頭を振る。

 エミリアは中等部三年生の一年間は海外留学でこの学園を離れていたそうだが、それよりも前の中等部二年生の頃から、きっとホムラはこんな感じだったのだろう。

 

 無論、普段彼女と同じ部屋で過ごしている私やマスターにとっても、ホムラのこの朝のマイペースな寝姿はもはやお馴染みのものだ。

 センカもまたホムラの妹だけあって、こういった姉のずぼらな一面は認知済みであるらしい。

 惰眠を貪り続けるホムラを尻目に、マスターは着々と自分の登校の支度を進め、センカはセンカでイチゴジャムをたっぷり乗せたトーストをもぐもぐと美味しそうに頬張っている。

 

 ……む?

 マスターとホムラの相部屋のはずなのに、どうしてエミリアとセンカがいるのかって?

 

 まぁ、それ自体は別に大した理由ではないんだけど……。

 生徒会長ことノゾミとの会合……その話し合いが決裂し、互いに大切なものを賭けて彼女とマスターが激闘を繰り広げた日から、今は二日後。

 件のデュエルはマスターが勝利を収めたとは言え、完全な和解とまではいかなかったことで、念のために休日の間は全員で一緒に過ごすという対応を取っていたのだ。

 

 ……正直、最後に見たノゾミの泣きそうな顔を思い返せば、彼女がもう襲撃なんて手荒な手段を取ってくるとは思わなかったし、なんならマスターも他の皆も同じように感じていただろうけど。

 だけどまあ、ようやく皆との関係を心から受け入れられたマスターが、改めて皆と一緒に過ごす時間を手に入れられるのなら、それもまた悪いことではない。

 というわけで、この二日間は皆でワイワイ楽しく過ごしていた次第だ。

 

 皆で一緒に、もう一度ショッピングセンターに行ったり、クラス代表対抗戦の祝勝会をしたり……。

 そうそう! 以前皆に選んでもらった服を纏ったマスターの姿もお目にかかることができたぞ!

 皆にニヤニヤと見つめられて、気恥ずかしそうにそっぽを向くマスターの初心な姿は眼福であった……!

 

 うへへ。とっても充実した休日だったぞ!

 

「起こしても起きないのはいつものことだから気にしなくていいよエミリアさん。まだ時間はあるし、もうちょっと寝かせといてあげてもいいんじゃない?」

 

 トーストを食べ終えたセンカが、ホムラの幸せそうな寝顔をひょっこりと覗き込む。

 先に一人奮闘していたエミリアは、そんなセンカに小さく肩をすくめた。

 

「センカちゃんって、ホムラに辛辣なようでいて、存外甘いところがあるわよね……」

「え~? そんなことないと思うけど……」

 

 センカは心外そうに唇を尖らせるが……。

 私もセンカはホムラには結構甘いと思うぞ。

 偶にホムラの宿題を「しょうがないなぁ~」って言いながら手伝ってあげてるところとか見るしね。

 

 ……というか、その時は単に微笑ましいなーと思いながら見てたけど、冷静に考えるとセンカって中等部の子なのに高等部の問題がわかるのか……。

 普段の元気はつらつな言動からはイメージしづらいものの、実はセンカって相当頭が良いのでは……?

 

「それに、どうしてもお姉ちゃんを起こしたいなら一つ良い方法があるよ」

「良い方法?」

「うん! ……えー、こほん」

 

 自信満々に人差し指を立てたセンカは、軽く咳ばらいをすると、ホムラの耳元に唇を寄せる。

 そして――。

 

「――おねーちゃんっ。今日、新しいカードパックの発売日だよ♪」

「ハッ!? 新カードパック!?!?」

 

 天使のような……はたまた、小悪魔のようなと言うべきか。

 耳元でそっと蠱惑的な囁きを聞かされた瞬間、それまで緩み切った寝顔を浮かべていたホムラはカッと目を見開き、俊敏に飛び起きた。

 

 並大抵のことでは起きる気配を見せなかったというのに、見違えるように目を覚ましたホムラを出迎える皆の反応は様々だ。

 驚きながらも、同時に呆れたように腰に手を当てるエミリア。

 エミリアがどれだけ頑張っても起こせなかったホムラを、ただ一度の挑戦で起こしたことに誇らしげに胸を張るセンカ。

 ホムラが起きたことを確認し、ホムラのぶんのトーストをトースターから取り出してジャムを塗り始めるマスター。

 そして最後は、ホムラの視界に入り込んでニコニコと朝の挨拶をする私。

 

 ホムラは目をパチパチと瞬かせながらそんな私たちを見渡したのち、その首をゆっくりと傾けた。

 

「あれ……? 新カードパックは?」

「それ。発売日、まだ一週間先よ」

「え……」

 

 エミリアの口から告げられた残酷な真実に、ホムラはガガーン、と雷に打たれたようにショックを受ける。

 そしてパタリと再びベッドの上に倒れ込むと、さめざめと一人涙を流した。

 

「よしよし。良い子だから学校に行く支度しようね、お姉ちゃん」

「センカ~……」

 

 慈愛に満ちた手つきで、センカがホムラの頭を撫でて慰める。

 ただ……そもそもホムラが落ち込む発端を作ったのもセンカだったような……。

 マスターも同じことを思ったのか、センカに慰めてもらっているホムラをアホを見るような目で一瞥しつつ、完成したホムラのぶんのジャムトーストをちゃぶ台に置いている。

 

 そんなこんなでホムラも無事起床し、朝の時間は賑やかに過ぎ去っていき……。

 朝食と登校の支度を終えた私たちは、全員で女子寮を出た。

 

「それにしても、今日でエミリアとセンカともお別れかぁ。残念だなー……」

 

 お天道様が照らす校舎へと向かう道すがら、ホムラがぽつりと漏らす。

 それに対して、真っ先に反応を示したのはエミリアだ。

 彼女は小さく息をつくと、ジトッとした目つきでホムラを見やる。

 

「あのねぇ。どこか遠くへ行っちゃうみたいに言わないでくれる? 私もセンカちゃんも、自分の部屋に帰るだけでしょうに」

「うー。そうなんだけどさぁ……」

「でもわたし、お姉ちゃんの言いたいこともわかるよ。この二日間は楽しかったもんね。ね、メイ様もそう思いますよね?」

「うん。楽しかった。すごく。ホロエルもそう言ってる」

 

 センカに顔を覗き込まれて、マスターが二つ返事で頷きを返す。

 私がホムラと同じような理由で寂しそうにしていたところも見られてしまっていたのか、ついでに私についても言及されてしまった。

 

 部屋を出て他の人の人目がある今は、マスター以外には見えない状態にまで存在の強度を下げている。

 もしかしたら、そんな私が皆と気持ちを共有できるようにと、マスターなりに気を遣ってくれたのかもしれない。

 ちょっと恥ずかしいけど……へへへ。

 ありがとうだぞ、マスター!

 

「ふふ、そうね。それに関しては否定しないわ」

「またいつか皆で一緒に泊まったりできるかな?」

「さあね。自分じゃない人の部屋に泊まるのは本来校則違反だもの。今回は緊急事態だったからそうしたけれど、今後同じような機会があるとは断言できないわね」

「うー、そっかぁ……」

「……でも、そんな日がまた来るといいわね。その思い自体は皆同じよ。ホムラ」

「エミリア……! えへへ~、エミリアのそういうとこ好き!」

「きゃっ!? ちょ、ちょっとっ……! 危ないじゃない! 転んだらどうするのよ!」

「あはは、ごめんなさーい」

「はぁ……まったくあなたは……」

 

 ホムラから急に抱きつかれて、たたらを踏むエミリア。

 怒られたホムラは、いつものように能天気に笑いながらエミリアから離れた。

 

 うーん、朝から大変仲がよろしいことで!

 周囲の子たちからひそひそと「もしかしてあの二人ってデキてる?」、「こ、これはスクープの予感!?」なんて噂をされているのも、きっと二人の耳には入っていないのだろう。

 

 それにしても、スクープかぁ。

 新聞部の記事は校内に貼り出されているので偶に暇つぶしがてら見るのだが、校内のスクープについての記事は、常日頃から信憑性の薄い適当なことが書いてある。

 一時期は『白い死神・無空メイには生涯を捧げた恋人がいる!?』などという凄まじい内容が貼り出されていたほどだ。

 もちろんそんなものはデマである。事実無根だ。四六時中マスターと一緒にいる私が言うのだから間違いない。

 第一、私の許可を得ずマスターと恋人になろうだなんて、私の目が黒いうちは許さんぞ!

 

 もしマスターと付き合いたいのなら、まず実質お姉ちゃんである私と三時間ほど面接して、きっちりとマスターへの愛と気概と生涯を支えるだけの覚悟を示してもらいたいところだ……!

 そのうえでマスターと気持ちが通じ合っていることが確認できたなら、晴れて恋人になることを許してやらんでもない……。

 ……やらんでもない、こともない……こともない、こともないか……。

 

 まあ、デマが貼り出されるのはいつものことだからか、皆、眉唾程度にしか信じていなかったのは幸いだ。

 一方で同時に掲載されている最近の流行りカード情報や、話題のデュエルログなどの情報は打って変わって正確なようで、新聞への生徒人気は意外にも高いらしい。

 

 部活は新聞部以外にもいろいろあるみたいなので、そのうちマスターにもいろいろ見学してみてもらうのもいいかもしれない。

 マスターの学園生活はまだまだ始まったばかりだ。

 やりたいことを見つけるための機会は、多いに越したことはない。

 

「じゃあわたし、校舎あっちだからもう行くねー」

「……またね。センカ」

「……! えへへ〜! はい! また今日も、後でメイ様たちの部屋にお邪魔しますねーっ!」

 

 分かれ道に差しかかったところで、私を除く四人の中で唯一中等部に所属しているセンカが名残惜しそうに離脱する。

 最後、マスターが別れの挨拶を切り出してくれたことが嬉しかったのだろうか。

 センカは満面の笑みを浮かべると、元気そうにぶんぶんと手を振りながら去っていった。

 

「あはは。メイちゃん、なんだかちょっとだけ変わったね」

「……そう?」

「うん! 大丈夫だよ。良い意味だから!」

 

 ぎこちないながらも小さく手を振り返していたマスターに、ホムラが朗らかに笑いかける。

 

 マスターが変わった、かぁ。

 確かに……もしもこれが皆と心を通わせる前のマスターだったなら、自分から別れの挨拶を切り出したりはせず、センカが去るのをただ黙って見送っていたことだろう。

 もちろん、あちらから挨拶されれば返しはしただろうけれど、きっとそれだけだった。

 マスターの心の中に、皆を友人として大切に思う心が確かに芽生えていることが窺えて、その変化に思わず私の頬も緩んでしまう。

 

 う~、偉いぞマスター!

 もう歳なのか、お姉ちゃん最近涙もろくなってきちゃったよ……!

 

「ホロエル? 行くよ」

 

 あ、はーい!

 いけないいけない。あまりに良い気分だったものだから、つい立ち止まって妄想に耽ってしまった。

 不思議そうに私の方を振り返るマスターに謝りつつ、私は小走りで皆に追いついて、一緒に校舎へと向かうのだった。

 

 

 


 

 

 

「それでは、起立、礼~。皆さん、気をつけて帰ってくださいね~」

 

 放課後。帰りのホームルームを終える担任の先生の一声と共に、生徒たちは一斉に動き出す。

 ある者は部活動に赴こうと急ぎ足で教室を飛び出していき、またある者は友達と談笑しながら帰路につくために廊下へと向かって行く。

 

「メイちゃん、今日はこの後どうするの? なにか予定があったり?」

「特に予定はないけど……念のため生徒会室の近くを通って、様子を窺ってみるつもり」

 

 マスターの返答に、ホムラはなんとも言えない表情で頬を掻いた。

 

「あ~……一応まだホロエルちゃんを諦めてない可能性もあるもんね。うん、それなら私も付き合うよ。エミリアとセンカにも、生徒会に行くって連絡しとくね」

「少し寄ってみるだけだから、そこまで大事にはしなくていいけど……」

「ダメだよ! メイちゃんもホロエルちゃんも、私たちの大切な友達だもん。友達が大変な目に遭ってるなら助けたいって思うのは当たり前のことでしょ? それとも、余計なお節介だったりする……?」

「……ううん。そんなことない。わかった。ありがとう、ホムラ」

「えへへ、どういたしまして!」

 

 ホムラは嬉しそうに表情を綻ばせると、すぐにデュエルガントレットを操作してメッセージを入力し始める。

 手持ち無沙汰になったマスターは、なんとはなしに教室の中を見回し始めた。

 クラスには私たちの他にも半数以上のクラスメイトが残っていて、その大半が友達と談笑している。

 皆、学生らしく楽しい放課後を謳歌しているようだ。

 

「……ホロエル。あれ……」

 

 む?

 マスターの呼びかけに反応して、彼女が見ている方向へと私も視線を向ける。

 教室の出入り口だ。そこでなにやらざわざわと人だかりができている。

 ホムラもそちらの異変に気がついたのか、デュエルガントレットから投影したホログラムの画面から顔を上げると、不思議そうに首をひねった。

 

「なんだろう? なにかあったのかな?」

「……あれは……」

 

 ざわめきの中心にいた人物が明らかになるにつれて、マスターの表情がどんどん険しくなっていく。

 そこにいたのは、私たちにとって忘れようにも忘れられない、見覚えのある一人の金髪の女性だった。

 彼女は自分を遠目に見る他の生徒たちに構うことなく、静かに教室内へと足を踏み入れると、ふらふらとおぼつかない足取りで私たちの方へと向かって歩いてくる。

 

「あ、あれって――生徒会長のノゾミ先輩!? どうしてこんな一年生の教室に……」

 

 彼女の姿を見たクラスメイトの一人が、思わずと言った様子で驚きの声を上げる。

 その声をキッカケに、教室中の視線が一斉に彼女へと集まった。

 しかし衆目を集めることになった当の本人は、そんな周囲の様子などまるで意に介していない。

 いや……あるいは気にする余裕すらないのだろうか。

 

 ノゾミは警戒をあらわにするマスターとホムラの前にたどりつくと、ゆっくりと私に視線を移した。

 

 ……今の私は、マスターにしか見えない程度まで存在の強度を下げている。

 ただ、クラス代表対抗戦の表彰式でもそうだったけれど、ラフィエル……という彼女のソウルハート・サーヴァントの力なのか、ノゾミは今の状態の私でも視認することができるらしい。

 

 私と視線が合うと、彼女はくしゃりと表情を悲壮に歪め、糸が切れたように崩れ落ちた。

 

「え、えぇっ!? だ、大丈夫!? 生徒会長のひ……じゃなくて! えぇと……ノ、ノゾミ先輩っ?」

 

 突如としてへたり込んでしまったノゾミへと、ホムラが慌てて席を立って駆け寄った。

 けれど差し伸べられたホムラの手を前に、ノゾミはふるふると首を左右に振ると、手を借りずに一人でその場に立ち上がる。

 

「大丈夫です……ご心配には、及びません。ホムラさん……」

「えぇ……? ほ、本当に……? その、全然大丈夫そうには見えないけど……」

 

 ホムラはずいぶんと困惑したように眉を下げている。

 つい二日前、初めて顔を合わせた時は、生徒会長の肩書きに恥じない堂々とした立ち居振る舞いを見せてくれた彼女だが……。

 どういうわけか、今の彼女は見る影もなく衰弱し切っている様子だ。

 とてもじゃないが正常な状態には見えず、今にも倒れてしまいそうな印象さえ受ける。

 

「ご心配、ありがとうございます……ですが、大丈夫です。この程度、なんの問題ありません……」

「でも、目の隈凄いけど……顔色もすっごく悪いし……」

「問題ありません……私なら大丈夫です……大丈夫なのです……」

 

 まるでうわ言のように、何度も同じ言葉を繰り返す。

 

「いや、でも……う、うぅーん……」

「私のことなどよりも……私はあなたがたに……無空さんとホロエルさんに、どうしても話さなければならないことがあるのです」

「えぇと……それって今日じゃなくちゃいけないことなの? 今日はとりあえず休んだ方が……」

「いえ……その必要はありません……私からあなたがたに、話さなければならないこと……それは――」

 

 いやいやいやいや! なに普通に話を続けようとしてるの!

 

 どう見ても体調を崩しているのに、大丈夫だと言い張り続ける。ノゾミのそんな頑なな態度に先に業を煮やしたのは、ホムラではなく私の方だった。

 私はぷんぷんと怒りを示すように唇を尖らせながらノゾミの視界に入り込むと、メッ! とその額を軽く小突いた。

 

 調子が悪いならちゃんと休まないとダメだぞ!

 話なんて後でいいから、まずは自分の体を大事にするのだ!

 

 ちょうど都合よく私の姿が見えているノゾミに、どうにかして仕草でそんな感じのことを伝えてみる。

 するとノゾミは目を見開き、一瞬だけその場で硬直し――。

 

「あ、ぁあッ……! あぁぁぁぁぁぁあああああッ!!」

「ぎゃぁぁぁあ!? 生徒会長の人が倒れたぁぁああっ!?」

 

 突然奇声を上げたかと思えば、そのままパタリと倒れ、力尽きたように動かなくなってしまった。

 

 ……え?

 え……え……。

 

 ……ど、どういうことなの……?

 

「こ、これは……! し、死んでる!」

「いや生きてるよ!! 適当なこと言わないで! 保健室! 誰か保健室の先生呼んでー! 早くーっ!」

 

 床に伏したまま動かない彼女の元にクラスメイトが駆け寄って安否を確認する。

 騒ぎはどんどん広がっているようで、隣のクラスのエミリアまでもが教室へと駆け込んできた。

 

「ホムラ! 無空さん! それに……ノゾミ先輩!? これはいったいなにがどうなってるの!?」

「わ、わかんないけど、生徒会長の人が私たちを訪ねてきて、それから急に倒れちゃったの!」

「……私にもなにがなんだか……調子が悪そうなノゾミを、ホロエルが叱ってたくらいしか……」

「ホロエルちゃんが?」

 

 えっ。私?

 

 ……あー……その~……。

 もしかしてこれ……私のせい、だったりしますかね……?

 

 だらだらと冷や汗をかく私をよそに、ノゾミが担架に乗せられていく。

 そのまま彼女は保健室へと搬送され……マスターと私、そしてホムラとエミリアは、その付き添いとして一緒に保健室まで向かうこととなるのだった。

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