「先生〜」
「おや? どうしました小鳥遊さん」
「いや〜勉強を教えてほしいなぁって良い?」
「ヌルフフフ、勿論構いませんよ」
早速私は先生と放課後に勉強をする機会を得られた。
「おや? 暗殺はしないのですか?」
「今先生に発砲やナイフを振るっても避けられるだけだよね〜だったら勉強を教えてもらったほうが有意義かなって」
「ヌルフフフ、学生としては健全ですね。時に小鳥遊さんは他の皆さんと関わりが薄い様に感じますが何故でしょうか?」
「あ~、暴力事件を起こしてE組に落ちてきたし、普段から惰性で動いていたからね。あんまり皆と上手く関われてないかな」
「ふむ、それはよろしくありませんね。健全な交友関係は心身の成長を促すのですよ」
「うへ~そう言われると困っちゃうなぁ」
「時に……小鳥遊さんを見ているとそこまで勉強が苦手のようには感じませんが……もう少しやる気を出しても良いのでは?」
「うん、そうだね~先生が来てからの方が楽しいし、こうやって自主的に勉強しているのがやる気を出している証拠かな~」
「なるほど、やる気を出してくれるなら構いません! 楽しい授業にしましょう」
今日は国、数、英の3教科の復習をして解散となった。
先生が来て1週間も経たない頃、早朝のホームルームで皆で銃撃を行ったが1発も当たらないので、皆がBB弾にしか見えない弾が本当に効くのか疑問に思い、抗議をした。
すると先生は触手の1本を銃で撃ってみると、弾は簡単に先生の触手を破壊し、破裂した触手がビチビチと床を跳ね回る。
「この様に対先生弾は皆さんには無害ですが、私に先生の細胞を豆腐の様に破壊することができます。あぁ、勿論数秒で再生することができますがね。皆さんも目に当たると危ないので、先生を殺す以外での発砲は避けてくださいね」
私は落ちた触手を触ってみる。
若干ヌルヌルしていて、貰ったナイフでも簡単に切り刻む事が可能だった。
「ナイフもちゃんと効くんだね」
確認したいことは確認し、掃除用具を取り出して散らばった対先生弾の掃除を始める。
皆はいきなり私が落ちた触手を触りだしてナイフで切り刻む光景にややドン引きしていたけど気にしなかった。
昼休み、私は外で空き缶を置いて対先生弾を用いて即席の的あてをしていた。
ちなみに先生は本格麻婆豆腐を食べたいと四川省に行っていた。
先生がマッハ20で飛行すれば四川省まで10分で到着するので距離感がバグる。
「うーん、本物のホシノみたいに上手くはいかないよね〜」
本物の小鳥遊ホシノは圧倒的な戦闘能力を保有しており、ショットガンと盾を片手に時折ハンドガンも用いてキヴォトスでも指折りの戦闘能力を保有していたが、私の射撃の腕前はお世辞にも上手いとは言えない。
「熱心だな小鳥遊」
「磯貝君! どうしたの?」
磯貝君……学級委員長でクラスのリーダー的存在だ。
磯貝君は家が貧乏でバイトをしているのがバレてE組に落とされた過去がある。
私立じゃなくて公立の方が良かったんじゃないかと思うのは内緒。
「いや、小鳥遊は先生が来てから生き生きとしているなって思って……そんなに100億円が欲しいのか?」
「いや? 今の非日常が楽しくてね! 強烈な目標ができたからやる気を出しているだけだよ」
「そうか……今度合同で暗殺をしようと皆で考えているんだけど小鳥遊も参加しないか?」
「うん、そうだね~。参加するよ。どんな作戦?」
「先生が今度北極で氷を取ってきてかき氷を作るらしいからその時に……」
「ふーん、おじさん上手くできるかわからないけどやってみるよ〜」
「小鳥遊って一人称おじさんなんだな?」
「うへ~あまり突っ込まないでね〜」
「お、おう」
そんな事を話していると始業開始5分前のチャイムが鳴ったので、慌てて片して教室に戻る。
5時間目の授業は国語で短歌を作ってみましょうとのこと。
ラスト7文字を触手なりけりで締めなければならない謎ルールがあるが、できたら先生に見せに行って文法の正しさと触手を美しく魅せることができたかが評価対象らしい。
できた者から帰っていいらしい。
(海の底、光届かぬ、海底の、漂う物は、触手なりけり···一応できたけど触手を美しくはできてないので没かな~)
などと考えていると、先生の顔色がいつもは黄色いが、ややピンク色に変わった。
「先生質問」
「……? おやどうかしましたか茅野さん」
「今更だけど先生の名前って何ていうの? 他の先生と区別する時に不便だよ」
「名前ですか……名乗るような名前はありませんねぇ、なんなら皆さんで付けてください。ただ、今は課題に集中ですよ」
そうこうしていると最初に回答をするため潮田君(皆から渚君と呼ばれているので以後渚君)が短歌の裏にナイフを隠し持って先生に近づいた。
ナイフによる暗殺は先生に防がれたが、次にまさかの自爆テロを行った。
玩具の手榴弾に火薬を入れたのか物凄い勢いで対先生弾が弾け飛ぶ。
「渚君!」
教室の後ろの方では寺坂君、吉田君、村松君が手を叩いて喜び
「よっしゃあー100億ゲット」
と喜んでいた。
しかし私は見えていた。
爆破の瞬間に黒い影が天井に張り付くのを。
天井を見ると真っ黒に変色した先生が鬼の形相で私達を見ている。
渚君は何か膜の様な物に守られて無事だった。
「実は先生、月に1度脱皮をします。脱いだ皮を爆弾に被せて威力を殺した。つまり月に1度の奥の手です。寺坂、吉田、村松。首謀者は君等だな」
そう言うと先生は一瞬で移動すると、次には何かを抱えて戻ってきた。
ゴトリと落ちた物体は各家の表札だ。
「政府との契約ですので君達には決して手を加えません。しかし、次に同じ暗殺方法を行った場合、君達の家族や友人……いや、この地球など君達以外に何をするかわかりませんよ」
寺坂君は先生の恐怖に怯えながら迷惑だと騒ぐ。
いきなり来て暗殺しろだとか迷惑な奴に迷惑なやり方で殺って悪いかというが、先生はそれに対しては怒ってないようだ。
一瞬で顔色を変色し
「迷惑? とんでもない。アイデアはすごい良かった。特に渚君は密着するまでの体運びは満点です」
と褒める。
しかし、渚君は自身を、寺坂君達は渚君を大切にしなかった事を怒っていた。
「人に笑顔で胸を張れる暗殺にしましょう! 君達はそれができる有能な暗殺者だ」
と言い、更に渚君に問題を出した。
「さて渚君、先生は殺される気など微塵もない。皆さんと3月までエンジョイして地球を爆破させる予定です。それが嫌なら君達はどうしますか?」
この問いに渚君は
「その前に先生を殺します」
そう宣言した。
先生は緑と黄色のしましまの舐め腐っている顔になって
「殺せると良いですねぇ」
そう言った。
「今日は先生を殺せた者から帰ってよし!」
(((誰も帰れねぇじゃねぇか!)))
また皆の心が1つになった。
茅野さんが
「殺せない先生……殺せんせーは?」
と言い、先生こと超生物の名前は殺せんせーに決まるのだった。
「フッフッフッ」
小鳥遊ホシノになったのになまり腐っている身体を鍛えていた。
ホシノと同じ才能があるのならばやれることは多い。
それに今日一瞬だけど先生の動きを見ることができた。
弾丸の動きを見ることのできるキヴォトス人の動体視力がそのまま引き継がれているかもしれない。
体の丈夫さまでは引き継がれていないだろうけど……
「一度死んだ命だ。こうして再び生きていることが奇跡なんだから……あぁ、なんで少し前の自分は鍛えてなかったのかな!」
ロードワークをしながら私はブツブツと呟くのだった。