カルマ君の暗殺はやはり失敗した。
ガッチガチに警戒された殺せんせーを殺すのはやはり難しく、そして幾度の暗殺失敗の最中に殺せんせーにピカピカに手入れをされてしまった。
渚君曰く飛び降り自殺めいた暗殺も敢行したが、防がれてしまったらしい。
ただ翌日に登校してきたカルマ君は何か付き物が落ちた様な晴れ晴れとした表情だった。
他には奥田さんが殺せんせーの毒殺をしようとしたが、騙されて殺せんせーが液体化してはぐれ殺せんせーになる事件が起こったりもした。
そして5月1日……朝から殺せんせーがなんか凄い美人で金髪の外人さんにイチャイチャされていた。
「イリーナ·イェラビッチと申します。皆さんよろしく!!」
烏間先生曰く本格的な外国語を触れさせたい学校側の意向でおじさん達の英語の授業の半分を受け持ってくれるらしい。
まぁこの時期に来る先生ってことは十中八九暗殺者だろうが……。
昼休みにいつもの様に殺せんせーと皆で暗殺を交えながら遊んでいると、ビッチ先生が殺せんせーに
「私が英語の授業を教えている間に本場のベトナムコーヒーを買ってきてくださらない」
そうお願いすると、殺せんせーはデレデレしながらベトナムに直行してしまった。
午後の授業はビッチ先生が教えてくれると思ったら、自習してなさいとのこと。
彼女にも暗殺者として動いている以上何か考えがあるのだろうけど、こっちは授業がストップしてなんの為にもならない時間を送りたくない。
皆キレそうになりながらもこの時間はそのまま終わったが、5時間目体育の授業にビッチ先生の本格的な暗殺が始まったかに思えた。
ビッチ先生は殺せんせーが居ない間に屈強な男達を引き連れて倉庫で暗殺の準備を整えており、ビッチ先生の色仕掛けで殺せんせーも簡単に倉庫に入っていく。
すると銃声が響き渡り、ドドドドと小銃の音が続いた後、ビッチ先生の悲鳴、最後にヌルヌルという殺せんせーの触手の音が響く。
皆が授業そっちのけで倉庫に駆け寄ると、満足そうな殺せんせーが出てきた。
「殺せんせーおっぱいは?」
渚君が殺せんせーに聞くと
「いやぁ……もう少し楽しみたかっですが、皆さんとの授業のほうが楽しみですから! 六時間目の小テストは手強いですよぉ」
なんかカッコいい事言っていた。
するとビッチ先生が健康的でレトロな体操服姿で出てきて
「まさか1分であんな事やこんな事をされるなんて」
と言ってバタリと倒れた。
「先生〜なにしたの?」
おじさんが聞くと白色の真顔で
「さぁねぇ。大人には大人の手入れがありますから」
悪い大人の顔をしてそう言った。
で、次の日懲りないビッチ先生は授業そっちのけで新しい暗殺プランを練っているので、磯貝君が
「授業しないなら殺せんせーと代わってください」
クラスメイトの意見を代弁して言ってくれたが、ビッチ先生は落ちこぼれのE組が今更勉強したって意味ないでしょと断言。
確かに落ちこぼれのE組であるが、授業はちゃんと受けている。
というか殺せんせーが暗殺に成功した場合、残されたおじさん達は内部進学できないから受験が待ち構えている。
そうなると授業を放棄しているビッチ先生の態度は気に食わない。
「出てけよクソビッチ!」
「授業しないなら帰れ!」
「殺せんせーと変わってよ!」
クラスの怒りが爆発し、ビッチ先生も
「な! なによあんた達その態度! 殺すわよ!」
と怒鳴るが
「上等だよ! 殺ってみろコラァ!」
と学級崩壊状態となり、この授業はビッチ先生とおじさん達クラスメイトの罵声で授業にならなくなった。
おじさんは腕を枕にして睡眠を貪った。
再びビッチ先生の授業。
おじさんはまた授業にならないかなぁと思い、エアポンプで膨らむ枕をカバンから取り出したが、ビッチ先生は
「ユア インクレディブル イン ベッド リピート!」
といきなり授業を始めた。
ちなみに上の文の意味はビッチ先生がアメリカのVipを暗殺した際にボディガードへ色仕掛けで接近した時にボディガードがビッチ先生に言った言葉らしい。
ベッドでの君は凄いよという意味で、初っ端からなんちゅう文を中学生に読ませるんだよと一部の生徒の顔が赤くなる。
「外国語を短い時間で習得するにはその国の恋人を作るのが手っ取り早いとよく言われているわ。相手の気持ちをよく知りたいから必死で言葉を理解しようとするのよね」
「私は仕事上必要な時、そのやり方で新たな言語を身に着けてきた。だから私の授業では外国人の口説き方を教えて上げる」
「プロの暗殺者直伝の仲良くなる会話のコツ、身につければ実際に外国人に会った時や好意を持ちたい相手ができた時に必ず役に立つわ」
「受験に必要な勉強なんかあのタコに教わりなさい。私が教えるのはあくまで実践的な会話術だけ……もしそれでもあんた達が私を先生と思えなかったらその時は暗殺者を辞めて出ていくわ……そ、それなら文句ないでしょ? あと悪かったわよいろいろ」
と謝ってきた。
皆も笑って水に流し、ビッチ先生はこうして加入することになるのだった。
放課後皆で暗殺バトミントンをしてナイフ術の練習をしていた。
木のナイフ型のラケットでゴムボールでバトミントンをする遊びだ。
烏間先生が楽しんで技術を学べるようにと考案してくれたゲームだ。
面白いのはナイフの腹で当てる斬撃とナイフの先で突く刺突があり、斬撃で相手の陣地に着弾させると1点、刺突で着弾させると3点というルールと、斬撃でのトスは1ターン3回まで、刺突は何度でもトスをすることができた。
ちなみにナイフ以外でボールに触れたら相手のボールになる。
「へい、トス!」
「へい! 暗殺!」
アタックする時の掛け声は自然と暗殺って言うようになり、おじさんは直ぐにコツを掴み、刺突で簡単にトスをあげられるようになっていた。
というか刺突だけでリフティングができるようになっていた。
カルマ君もできるが、おじさんも覚えるのが早く、おかげで試合に引っ張りだこ。
皆との距離もだいぶ近づいてきた様に感じた。
「小鳥遊が居るとどんな難しいボールも拾ってトスしてくれるから、ラリーとかでも楽しいわ!」
「小鳥遊さん運動神経抜群だよね!」
「貧乳仲間!」
最後のは茅野さんだが前の学生時代にはこんな楽しい思い出はなかったから凄く新鮮だ。
そして5月と言えばそろそろ中間テストの季節が近づいていた。