大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第二章:惑星ブラム編
第8話:謎の少女と迸る稲妻


俺達があの星を出て、2日と18時間が経とうとしていた。長いような短いような時間の感覚がおかしくなってるみたいだ。そんな事を考えていると俺達の目指している地球の様な青い惑星が見えてきた。『惑星ブラム』。人口2千万強のZAP最大の開拓惑星だ。リゾート地としても有名で、よくZAPのクルー達も休暇でよく利用されているらしい。

「ハル君、もう少ししたら大気圏内に突入するからシートベルトしっかり止めておいてくれ。」

「はい。わかりました!」

作業をしながらリーダーは俺に教えてくれた。

『もうすぐですか!?いや〜遂にこの面d…楽しい生活も終わりッスか〜!!』

レイジが通信で話の間に割って入ってきた。そう――本来なら俺とリーダーだけで星を移る筈が、レイジはいつの間にか船内で隠れていたのだった。その罰としてブラムに着くまでの間、レイジは船内の掃除や食事当番など、色々とやらされていたのである。

「お前だけ船に残してやってもいいんだぞ。」

『ちょっとハル先輩!そりゃないッスよ〜!リーダーもなんとか言ってやってください!』

「ハル君の言う通りだ。雑用期間伸ばされたくなかったら、とっとと掃除を終わらせるんだ。」

──ブツっ。

そう言ってリーダーは通信を切り、作業を続ける。

「まったく…。どんな所に居ても口数だけは減らないものだな。」

「それが良いところでもあるんじゃないですか?」

「……それもそうだな。」

最初はレイジを巻き込んでしまった事に後ろめたさを感じたが、こうも風景が変わらないとなると話し相手が居るだけでも有難いものだ。

レイジがコクピット兼、司令室に飛び跳ねながら戻り席に着いた。

「そうだ。ハル君、長旅だった訳だし観光にでも行ってくるといいよ。」

「え!?良いんですか!?」

「やったー!オレいい場所知ってるんッスよ!楽しみだなぁ!」

「レイジ、お前は私と一緒に別の所に向かうぞ。」

「ええっ!?そんなぁ〜!いいじゃないですか!リーダー!」

レイジがゴネていると通信が入る。どうやらブラムの空港からの通電のようだ。リーダーはチャンネルを開き管制官と話を始めた。

─1時間後─

「よいしょっと。」

サンサンと降り注ぐ人工太陽の光が初夏ぐらいの程よい暑さを感じさせる。地球で友達と川へよく遊びに行ったなぁ…。

「それじゃあハル君。日が落ちる前には戻ってきてね。」

「ハルせんぱぁ〜い!オレの分まで、楽しんで来てくださいッス〜……」

「お土産でも買ってくるよ。」

レイジの惜しみ声を聞きながら俺は街へと繰り出したのだった。まず、目に飛び込んで来たのは広い海だった。レイジ曰くブラムはそのほとんどが水で覆われており、割合は6:4という地球とかなり近い星だと聞いていた。……がそんな冷静になる筈もなく。

 

「う…海だぁぁぁあああ!!」

 

久しぶりの光景に心の中の童心が震え上がり、思わず叫んでしまった。──俺は羞恥心と周りの目線に耐えきれなかった。

息が切れるまで走った。全力で。

海岸沿いを爆走して分かった事が一つ。

街並みは西欧風というかヨーロッパ風のレンガ造りの家々。中央の巨大な建物を中心に他の建物が円上に立ち並んでいるようだ。

「あ、そういえば……」

リーダーから先に貰っていたパンフレットを開く。そこにはブラムの基礎情報と、この街である中央都市「ウィズダラム」のオススメスポットが記されていた。中央の建物は、図書館なのか。

「ちょっと行ってみよう。」

◆◆◆

惑星ブラムの誰もいない辺境地の荒野でブルトンから鼓動…と呼べるだろうか。心音に近い音が響く。

ドックン…ドックン……

──何かに気づいた様にブルトンは触覚を突き出し奇怪な音を立て、四次元現象を引き起こす。

◆◆◆

「……すっげぇ。」

見上げる程に広がる本棚。その前をホバーライドが横切っている。なるほど、アレで上まで取りに行くのか。なんて関心しながらレイオニクスに関係がありそう本を探していると児童書コーナーにある一冊の絵本が目に入った。

「うわっ!懐かしいなこれ!」

『怪獣使いのおじいさん』

小さな声で興奮しながら地球でよく読んだなぁと手を伸ばす。──その時。白く美しいながら、どこか力強い雰囲気の手が触れた。

「あっ!ごめんなさい!」

「いやいやこっちこ……」

ふと目があった時だった。

──綾香!?

一瞬、雰囲気が似ていると思ったがそこには黒い髪の美少女が立っていた。その髪は風でなびくと光の反射でか、薄く蒼い色をしている。

 

「……?どうかしました?」

「い、いや…何でもないです!ただ、知人に似ていたもので…えっと、この本好きなんですか?」

「そうですね……昔、母によく読んでもらっていたからですかね。」

戸惑いながらも俺は言葉を紡ぐ。綾香に似ていたから、というのも少なからずあるかもしれないが俺はそれ以前に彼女という存在に惹かれていた。

「あっ、これ借りるならどうぞ!私行きますね。それじゃ、また何処かで!」

俺は差し出された本を受け取り、図書館を出てただ離れていく名も知らぬ女性の背中を見ていた。

「名前聞くの忘れてたな…。」

──少し時間が経ち…

ガヤガヤ……

なんだか周りの様子が騒がしくなってきた。

「た、大変だ!海に怪獣がいるぞ!!」

「ZAPの連中は何やってんだ!!」

海側からここに向かって観光客やブラム住人が集まって来ているようだ。気づけば俺は自然と彼女を探していた。だがその中に彼女の姿はない。

「おいおい……マジかよ!」

俺はバトルナイザーを取り出し、海岸へと走り出した。

◆◆◆

「グルルォォォォオオ!!」

「アイツは!ええっと……ケルビム…ケルビムだ!!」

ケルビムはヒレ状の耳を立ち上げ火球を放ちながら、海岸にあと一歩の所まで近づいていた。

「させるかよ! いけ!ゴモラ!」

『バトルナイザー・モンスロード!』

 

「ギィアャオオオッン!!!」

 

砂塵を上げながら召喚されるゴモラ。それに驚いた表情を浮かべケルビムは近接戦闘に突入する。

 

「彼も、レイオニクスなのね。」

 

どこか悲しそうな顔をして彼女は戦いを見つめている。

 

一方でハルはケルビムとの戦いに苦戦を強いられていた。

「くそっ!遠距離には口からの火球、中距離は厄介な尻尾おまけに近距離じゃ角と鉤爪って隙が無さすぎるだろ!」

「グルルォォォォオオ!!」

なおもケルビムの攻撃の手は緩まない。鉤爪からの角の一撃、強靭な体躯を活かした突進を受け海面に叩きつけられるゴモラ。

──そこに大きく振りかぶった尻尾の追撃が迫る。

「!…今だ!ゴモラ!」

「ギャゥウオオオッ!!!」

ゴモラは尻尾を受け止め、バルカンスウィングでケルビムを岩礁へと投げ飛ばす。さらに飛び上がったゴモラが上から押し潰しケルビムは動かなくなった。

「よくやったぞ!戻れ!ゴモ……」

機をうかがっていたのか建物の影からハルが探していた彼女が姿を現した。

まずい…怪獣使いだってバレたら一体どうなる事やら……

頭の中で電流が流れたかのように思考が加速する。その流れを突然止める絶縁体の如き言葉を彼女は発した。

「貴方も…レイオニクスなのね。」

「えっとぉ!これはそのー……え?あ、貴方も?」

「グルルルル…!」

「!?……ゴモラ!どうした!?」

何かに気づいたのだろうか、ゴモラは天空を見上げて唸りを上げている。ソレにつられてハルも見上げた。

澄み渡った空だった筈だ。そこには螺旋形の黒い雲が。

──しかも丁度ケルビムの真上に。

突如、黒い稲妻が落ちると共に閃光が走りケルビムを包み込んだ。その目は紅く、禍々しいオーラを醸し出しながらヌルりと立ち上がる。

「と、とにかく下がって!」

「キシャァゥゥウウ!!」

ゴモラも満身創痍ながらケルビムを睨みつけ威嚇の咆哮を上げている。……勝てるだろうか…奴に…。

「グルルラァォォォォオオ!!」

ドスの効いた声を喉から鳴らし、鉤爪でゴモラの角を引っ掛け体勢を崩させる。その力はゴモラでさえも軽々と押さえつける。単にフィジカルだけでは無い、その殆どが先の戦いよりも一段階…いや二段階は強力になっている。だがその様は何かに恐怖し怒り暴れ狂う獣のようだ。

「なんつーパワーだよ!?」

「……」

 

「行って。ホロボロス。」

『バトルナイザー・モンスロード!』

 

黒い稲妻を纏った尻尾がゴモラに直撃する寸前、青白い稲妻がゴモラとハルの眼前を横切った。青い体表とオレンジ色の外骨格、四足歩行な所やその白い鬣は獅子に似ている。

「ガウォォォオン!!」

狼にも似た咆哮を上げながらその怪獣はケルビムをも超える速さで追い詰めていく。対象的な二つの稲妻がぶつかる度、辺りに衝撃が走る。その衝撃は周囲の環境だけでなくハルの心にも大きな衝撃を与えていた。

「彼女が…レイオニクス……?」

絢香から預かったネックレスを握り締める。

全くもって有り得なくは無い話だ。むしろ俺のバトルナイザー、あるいは俺がレイオニクスだと知っていて近づいた可能性もある。その姿を絢香に重ねてしまったからだろうか。……俺は言葉が出なかった。

 

ズドォォォン!!

ハッとした頃には既にケルビムはただの肉片へと姿を変えていた。ゴモラとホロボロスは各々のバトルナイザーへと帰還し体を治癒し始める。

「き、君もレイオニクスなのか?」

「…………そう。私はレイオニクスの……ニーナよ。」

人口太陽が地平線に沈み行き、波に反射した陽射しが眩しく目を射ている。二人の影は大きくなりレンガのタイルを隠していた。

 

To be continued…

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