大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第9話:氷塊とココロ

「き、君もレイオニクスなのか?」

「…………そう。私はレイオニクスの……ニーナよ。」

彼女──ニーナはその後何も言わずに立ち去って行った。

「……で!先輩はその姿に惚れちゃったと!んーいや〜分かる。分かるッスよ!オレには!」

「だからそういうのじゃ無いって。」

俺は一度停泊中の船に戻りレイジ含め、リーダーに話を聞いてもらっていた。──のだが…この有様だ。リーダーは真剣に聞いてくれていたのだがレイジの弄りが思ったより長く、どことなく癇に障ってくる。

 

「恥ずかしがらなくてもいいんスよ〜自分の心に正直になりましょって!」

 

 

『違うって言ってんだろ!!』

 

「あ……えっと、すいません…でした……。」

 

気づいた時には既に言葉は口から弾け出ていた。レイジは勿論面食らっていたが自分でもあんな言葉が出てくると思わず、驚いた。ファイルの面で頭をボスっと叩かれたレイジは申し訳なさそうにしてコクピットを後にした。

「すまないね、ハル君。アイツも悪気があった訳じゃないんだ。許してやってくれ。」

「いや…こちらこそすみません…。自分でもなんであんな言葉が出たのか……」

ギャラクトロンとの戦闘の前後から薄々感じてはいたが、無性にイライラしている自分がいる。人前には出さないようにと気をつけていたんだけどな……。

◆◆◆

「はぁ……ハル先輩怒らせちゃったなぁ。リーダーも珍しくオレに休暇くれたし。…流石にやり過ぎちゃったかな」

この星に来た時にはやりたい事も行ってみたい場所もあったはずなのにどうも気分が上がらない。一目見ようと思っていた海に来たもののケルビムの死体処理でそのほとんどが閉鎖状態。さらに街の中心に行けばいくほど避難している人が集まり、およそ観光などという雰囲気ではなかった。

「はぁ……」

自分の思い描いていたものとは違う光景や現実に少し嫌気がさし肩を落とす。──すると、足下に青色のゴムボールが転がってきた。視線を上げると7〜8歳ぐらいだろうか子供たちがボールで遊んでいたようで、ボールを拾い上げると誰かが近づいてきた。

「いやーすみません、うちの子供たちが。」

申し訳なさそうに年長の男性が話しかける。

「元気なお子さん達ですね!」

「ははは…怪獣が出てピクニックに行けなかったからですかね、元気が有り余ってるようで……」

話を聞いていると、どうやら子供たちは本当の子ではなく何らかの理由で孤児になったり仕事の都合で一時的に預けられる子供が集まる施設を、この男性ルティブルさんが運営しているらしい。

子供たちと混ざって一緒に遊んだ後、ベンチに腰を下ろしただ漠然と子供たちのはしゃぐ姿を眺める。

「オレも星が違えば、こんなふうに──」

リーダーはオレの事を本当の子のように接してくれるけど、本当の親で無いことくらい分かっている。

 

『──さん、コイツの面倒、見てやってくれませんか…』

『お前が……そこまで言うのなら…………』

 

いつ、どこで、誰と誰が話をしていたかすら覚えてはいないがこの記憶の誰かがオレの父さんなんだろうなという事ぐらいこの歳になると流石に理解してくる。

「……じゃあオレはこの辺で。」

「今日はありがとうね!子供たちも楽しんでくれた事だろう。」

「えーもう兄ちゃん行っちゃうの?」

一人の子供が残念がるとそれに連鎖して他の子供たちも次々と声を上げる。

「お兄ちゃんは大人なんだから仕方ないだろう?」

大人……か。自分にはまだまだ程遠い言葉だな。

「また、時間が出来たら会いに来るよ!絶対に。」

そう言って立ち去ろうとすると、海の方から青白い光線がレイジたちの上空を飛んで行った。その通り道からは氷の結晶がパラパラと舞いながら落ちているのが見える。

 

「キィエェェェェエ!!」

 

突然の怪獣の声に子供たち怖気付き、レイジも鼓動が高鳴っているのを感じていた。と、そこに腕時計型端末にリーダーから通信が入る。

『レイジ、今どこにいる!』

「今は子供たちと一緒に居ます!すぐ避難させてそっち行きます!行きましょうルティブルさん。」

「あ、あぁ…!」

ルティブルさんらと共に避難所に向かうと、そこは既にものすごい数の人だかりでごった返していた。

「先生!クロムくんがいない!」

「なんだって!?あの子は怪獣が好きだから…まさか!」

「オレ探して来ます!」

 

「キィエェェェェエ!!」

「グエェェェェエエ!!」

「まずいぞ……」

箱詰め状態の人だかりからくぐり抜け、2体の異なる雄叫びから既に戦闘が始まっていることを確信し海岸に向かう足を更に早めた。

◆◆◆

─少し前─

「ゴモラ…はまだ回復しきってないか……よーし、いけ!グエバッサー!!」

 

『バトルナイザー・モンスロード!!』

 

「ラゴラスは冷凍怪獣……グエバッサー!ソイツの冷気には気をつけろ!」

「グエェーーーッ!!」

「キィエェェェェエ!!」

グエバッサーの鋭い爪がラゴラスの特徴とも言える横に張り出した角を鷲掴み、空に持ち上げたたき落とす。

水飛沫が20mは巻き上がり辺り一体を濡らす。

「すっげぇ……ホンモノだ……」

「え゙!こ、子供!?なんでこんな所に!?君、早くコッチに!」

子供を急いで、自分の後ろに連れ込むが戦闘に視界を戻すとラゴラスの姿はどこにも見当たらない。

「逃げ、た……のか?」

──ゴゴゴ……!

キラリと眼を光らせ、海中から氷塊がせり上がり青白い光線がグエバッサーの近くを掠めた。

「グエェ……!」

間一髪、直撃は免れたものの水飛沫を浴びた部位、特に巨大な翼が徐々に凍りつきグエバッサーの飛行能力を低下させる。

「くっ…!この冷気が厄介すぎる!」

『ハル君、もう少しだけ時間を稼いでくれ!』

リーダーからの連絡が入る。何か秘策でもあるのだろう。

ならば期待に応える他無いだろう。

「分かりました…できるだけ稼ぎます!」

「ハルせんぱーい!」

「レイジ!」

「分かったッス!」

まさに阿吽の呼吸。お互い目を見ただけで言いたいことは伝わっていた。

少年を背負い避難所まで駆け上がるレイジの姿を横目にハルはバトルナイザーを構える。

「グエバッサー!いくぞ!」

「グエェェェェエエ!!」

『ワイバーンミサイル準備完了!……発射ァ!』

「キィエェェェェエ!!」

迫るミサイルに気づいたラゴラスは冷凍光線を貯め始めるが、グエバッサーは翼を大きく羽ばたかせ起爆性の羽根をラゴラス目掛けて放ち阻止。発射口から放たれた無数のミサイルは氷塊を砕きながらラゴラスに降り注ぎその隙を逃さなかったグエバッサーはラゴラスを再び鷲掴み、陸地に引きずり出す。

「決めるぞ!グエバッサー!」

よろけるラゴラスの周りを飛翔し竜巻を起こしたグエバッサーは軽くラゴラスを巻き上げ地面に叩きつけた。

「よし!……ん?」

「グエェェエ!」

「キィエエッ…」

「グエェ」

「キィエッ!キィエッ!」

会話……だろうか?見るからに別の種族だし伝わってるとは思えないが、ニュアンスで話をしているのだろうか。

「グエェェェェエエ!!」

グエバッサーは振り返るとラゴラスの方をチラチラ見ながら雄叫びを上げる。

───なるほど…そういう事か。

「来るんだな、お前も。」

「キィエエエッ!!」

ラゴラスは光球に姿を変え、バトルナイザーの3スロット目に収められる。

「これからよろしくな!ラゴラス!」

バトルナイザーの小窓からラゴラスが喜んでいる姿が見えた。

◆◆◆

「ダメじゃないか、ケガでもしたらどうするんだ?」

「ごめんなさい……」

「ご迷惑をお掛けして、すみませんでした。何か私に出来ることがあれば!」

「いやいや!そんな、気持ちだけで十分です。ありがとうございます!それに、もうしばらくしたらオレもこの星から旅立つので…」

──ピピッ リーダーからの通信が来たようだ。

『レイジ!「そっちに行く」って言ってたのは一体なんだったんだ!?』

「あ……やべ。」

「早く行かないと余計に怒られちゃうよ?」

1人の少女がそれを言うと周りはみんな笑いだした。

「ハハハ!私たちの事はいいから、早く行きなさい。」

「えっと、オレじゃあ行きますね!それじゃ!」

───そよ風が吹き抜ける街中を走るレイジの顔と心は、ずっと晴れやかなものに変わっていた。

 

To be continued…

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