大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal 作:リクソンLv.6
ズドォォオン…ドカァァン……
「これじゃキリがないッスよ!」
『だとしても、誰かがどうにかしないと!』
燃え盛る街を蹂躙するのはおびただしい数のケルビムだ。
「ハル君の言う通りだ!レイジ!ワイバーンミサイルの残弾数をチェックしておけ!」
「わ、分かったっス!!」
惑星ブラムの防衛システムや駐在していたZAP隊員達が総出で対処に当たっていた。
────数時間前。
「……というのが正体不明の黒い稲妻、通称『ダークサンダーエナジー』の現状分かっている事だね。」
「にしても怪獣の強化だけじゃなくて宇宙からも、この星の怪獣すら呼び起こしてるだなんて……また厄介な現象っスね。」
「しかも発生源もタイミングもバラバラ、自然現象……なのかな。」
ハルとレイジはリーダーからダークサンダーエナジーについての話を聞かされていたところだった。各々が見解を述べながら議論を重ねる。本来ならばもう少し早く、この星から出発する予定だったらしいのだがダークサンダーエナジーがいつ・どこで・何に反応しているのか分からない以上、飛行場も安易に離陸許可を出せないのだろう。
◆◆◆
「はぁ……随分と趣味の悪い部屋ね。」
「そうか?私は気に入っているのだが。」
「それで、私に何の用?」
「いい加減にあのバトルナイザーを取り返さないといかんと思ってな。運営側も流石に資格の持たない者が使っているのは見過ごせんだろう?」
「それくらい自分で取り返せばいいでしょう。そんな大層な"モノ"を持っておきながら。」
男の後ろでポットに封じ込められている虚空の欠片を指差し少女──アリスは言う。
「いやいや私も『研究』で忙しいのでね、そんな悠長な事してられないのだよ……。それじゃあ宜しく頼む…」
男はニヤリと笑った。
◆◆◆
「それじゃあ買い出し行ってきますね!」
「あ、オレもついて行くっス!」
二人で買い出し…のはずだったのだが気がつくとレイジは子供たちと遊んでいた。
「なるほど、一緒に来た理由はコレか。」
「この前の休暇の時に知り合ったんスよ。ルティブルさんっていう人が色んな子供たちを集めて面倒見る施設をやってるんスよ。──あれ?みんなールティブルさんは今日どうしたんスか?」
「先生はねー今日仕事があるから来れないんだってー」
一人の子供が言った。皆、年はほぼ同じくらいに見えるが子供たちをまとめる人も居ないのに大丈夫なのだろうか…
そんな事を考えていると、ふと視線を感じた。目を凝らすと建物の影でニーナがこちらを覗いているのが分かった。
「!」
目が合った途端、走り去ろうと振り返る。
「レイジ、荷物頼んだ!」
「え、あ、は…ハイっス!」
風のように路地を走り抜ける背中を追いかけ、白く細い腕を掴み取った。
「離して!」
「どうして逃げるんだ!」
彼女は黙り込むと小さく口を開いてこう言った。
「私にはあの子たちに会う資格が無いもの…。」
「え?」
「いつか話そうと思ってたのだけど…私はアイツの孤児院……いや、実験場からコレを持って抜け出してきたの。昔はあの子たちみたいに何も考えずに楽しく暮らしていたの。でもある日を境にアイツの目的と真相を知ってしまった。」
ニーナはバトルナイザーを取り出し遠い目をしながら語り始める。
「アイツは──」
「ようやく見つけたぞ。No.217。さあ、私のバトルナイザーを返して貰おうか。」
ニーナの言葉を遮るように年長の男性が話に割って入ってきた。年は一見50代後半〜60代前半ぐらいに見えるが、俺はそれよりもその話の内容に意識が強く引かれた。No.217。ニーナは真のバトルナイザーの所持者でない事。
このことから弾き出される結論は1つ。ニーナの言うアイツというのは──
「ハルせんぱ〜い!こんな所にいたんスね。あ!ハル先輩!この人がオレの言ってたルティブルさんっス!」
レイジの発言が冷静な頭を混乱させる。ニーナの顔は既に血の気が引いて真っ青だ。更には息も荒く、俺なんかよりもよっぽど混乱しているように見えた。
「あぁぁぁあああ!!貴様ァ!また貴様はそうやって人を騙して!どれだけ人を馬鹿にしたら気が済むのよ!!」
突然ニーナはルティブルに殴り掛かるが、それを予測していたようにヒラリと躱してみせる。
「ふむ…この様子じゃ返す気はなさそうだな。」
「ちょっと待ってくださいよ!ルティブルさんはみんなから信頼されてて…とっても優しい人っスよ!?一体ルティブルさんが何をしたって言うんスか!」
「コイツは……コイツは──」
「……そろそろ良い人ぶるのも飽きてきたな。」
「え……?何、言ってんスか?」
ニーナは睨み続け、レイジは呆気にとられている。そんな中、ルティブルが口を開く。
「バトルナイザーを返すつもりが無いのなら、いいです。もう少しだけ利用させて貰うとするよ。──やれ。」
指をクイっと素振りすると空から無数の隕石が降り注ぐ。
しかも、その隕石は形を変え"宇宙凶険怪獣 ケルビム"へと姿を移した。
「オイオイオイ!この隕石全部ケルビムかよ!?」
「待ってくださいっス!ルティブルさん…どうしてこんな事……子供たちが巻き込まれちゃうっスよ!?」
「あぁ。──彼らはもう "用済み" だからね。」
「そんな!」
「それでは失礼。」
「結局、私も利用されるだけ利用されてたって訳ね。絶対に逃がすものか!!」
ルティブルが姿を消しそれを追いかけるニーナ。俯き涙ぐむレイジにハルはかける言葉が見つからなかった。
「……」
「ハル先輩!行きましょう。今、オレたちに出来ることをやるだけっス!」
「レイジ、強くなったな。後は泣き虫な所を治すくらいか?」
「う、うるさいっス!」
◆◆◆
子供たちを逃がし、そして今に至る。
ハルは三体の怪獣を召喚し各々をケルビム退治に当てながらルティブルとニーナを追っていた。
「くっそ、一体どこ行ったんだ!」
苦言をこぼしながら迷路のような路地を探して回る。少し歩くと行き止まりに突き当たった。耳を澄ますと微かな音が反響している。ハルはすぐさま音の方向に足を運んだ。
「ただの壁……って訳でも無さそうだな。」
綺麗に舗装されたレンガ作りの壁に1箇所だけ、ひび割れたブロックがあった。恐る恐るレンガを押し込むと壁はガチャガチャと音を立てながら地下への階段へと姿を変えた。
──声が聞こえる……ニーナだ!
その瞬間、ハルは地獄への階段を走り出したのだった。
To be continued…