大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第10話②:生と死の狭間で…

ハルは三体の怪獣を召喚し各々をケルビム退治に当てながらルティブルとニーナを追っていた。

「くっそ、一体どこ行ったんだ!」

苦言をこぼしながら迷路のような路地を探して回る。少し歩くと行き止まりに突き当たった。耳を澄ますと微かな音が反響している。ハルはすぐさま音の方向に足を運んだ。

「ただの壁……って訳でも無さそうだな。」

綺麗に舗装されたレンガ作りの壁に1箇所だけ、ひび割れたブロックがあった。恐る恐るレンガを押し込むと壁はガチャガチャと音を立てながら地下への階段へと姿を変えた。

──声が聞こえる……ニーナだ!

その瞬間、ハルは地獄への階段を走り出したのだった。

◆◆◆

そこは薄暗く、蜘蛛の巣やホコリの散乱した不気味な場所だった。階段を降りた先にある長い廊下は薬品と血の匂い。ハルはニーナの声を頼りにその廊下を駆け抜ける。そして突き当たりに辿り着いた時、彼は地獄を見た。

 

「おや…君は先程の……」

「貴方、どうしてここに!」

 

壁の両側で怪しく光る10個の培養ポッドの中に入れられた子供たち。様々な機械と繋げられポッド内で浮かんでいる。さらにルティブルの後ろには一際大きいかつ中には何かの欠片が浮かんでいる。そこからはどことなく嫌な気配を放っていた。研究室というより実験室の方が説明としてはあっているだろうか。子供たちは死んでいる……訳では無さそうだがあまりの生気の無い異様な空間を目の当たりにしたハルは吐き気を催した。

 

「同じ人間なのにどうしてこんなことが──」

「同じ人間…?HAHAHA!こんな下等な生命体と同じにしないでくれ。本当ならこの姿でさえ御免蒙るところなのに。」

 

ルティブルはそう言い放つと人間の体はドロドロに溶け、真の姿であるチブル星人へと姿を変えた。

「それに、怪獣を実験材料として使うよりも人間を使った方が遥かに安全で実験を進めやすい。人間という生き物はなんて出来のいいモルモッ……」

「ッ!」

ズドンッ──

ルティブルの頭を撃ち抜いたのは他でもないニーナだった。ハルの腰に備えられたトライガンナーを奪い、ルティブルの発言にピリオドを打ったのだ。

「モルモット……風情ニ…コノ私が……?バカ……ナ…。」

 

「ナ…ナナ…ナナナナナナ……なんちゃって。」

 

「「!?」」

間違いなくルティブルは頭を撃ち抜かれた筈だ。弾痕もしっかりと額に残っている。

「まさしく分からないといった顔だねェ?この私が何の用意も無く殺される訳無いだろォ?あえて教えてあげようか。私の命は残り9つだ。」

その言葉を受け、辺りを見回すとさっきまで光っていたポッドの1つが暗転しているのが分かる。奴の話が本当なら命は残り9つ。光るポッドも同じく9つ。つまり────

「ほらほら、さっきまでの威勢はどうした?やはり噂に聞いていた通り人間は人間を盾にするのが1番効くのだな!」

ほくそ笑みながらこちらを見下すその姿は醜悪な悪魔と言っても差し支えない程だ。

「ゲスが……」

「あ、あぁ……っ。」

ニーナは言うまでもない。短い時間でも共に過ごした仲間、自分と同じ思いをした人を撃ってしまったんだ…。無理もない。

「さぁ!バトルナイザーを早く渡せ。そっちのお前もな。あれほど怪獣のデータを集めやすく、かつ怪獣たちの恐るべき力の再現性が高い道具は他にない!」

フッフッフッ…2人のバトルナイザーを研究すれば私の実験は大きく成功に近づく。いや、大成功と言っても過言では無い!その青ざめた顔。貴様ら人間のその顔を見る時はいつも心が踊るなァ!……あ?

2人が見ていたのはこちらに向かって近づくルティブルではなく──その後ろ。邪悪な気配を放つポッドであった。

 

ゴゴゴ……!!!

 

地鳴りと共に実験室の薬品やら実験道具が落ち散乱する。

「な、なんだ!何が起こっている!」

慌てふためき振り向いたルティブルを紫色の巨大な手が鷲掴み、ポッド内に引きずり込んでいく。

「離せェ!お、おい!貴様ら!私を助けろ!いや助けて下さい!お願いします!嫌だ!嫌だァ!!こんな所で!ウワァァァァ……」

無数に伸びた腕は見境なく、実験室内を破壊し尽くし様々なものを取り込んでいく。道具、何かの実験材料、そして人。

「ニーナ!ここに居たら俺たちだって命は無い!逃げるぞ!」

「もう……私なんて…。」

「馬鹿なこと言うな!お前にはあの子たちの分まで生きる責任があるんだよ!薄っぺらい言葉かもしれないけど……俺を信じてくれ。」

ニーナの手を握り長い廊下を走り、階段を駆け上がる。最後の段を登りきった瞬間、中の衝撃に耐えきれなくなったのか階段は壁ごと崩れ落ちた。

◆◆◆

外のケルビム掃討戦はほとんど終局を迎えており、ハルの顔を見るやいなやゴモラたちはバトルナイザーに帰ってきた。

「本っ当にお疲れ様。」

「私は……」

──きっと、彼女は今葛藤しているんだ。自分のした事と……その罪の重さに。俺は先程あんなセリフを吐いておきながら、ニーナにかけるべき言葉を見つけられずにいた。レイジ達からの連絡も来ず、する事が無くなった俺は崩れ落ちた周りを見る…が、見渡す限り瓦礫の山となった研究所には、ルティブルの姿はどこにも見当たらなかった。奴の生死すら定かでは無い。だがあの様子じゃ流石に生きている筈もないだろう。

「随分と派手にやってくれたわねぇ……」

「なっ…!アリス!?どうしてここに!」

声のした方向にはアリスが不敵な笑みを浮かべて立っていた。なんでこう次から次へと……!

「あのクソジジイの宇宙人に仕事を頼まれててねー……とはいえ、もう死んでるだろうしやらなくてもいいんだけど。ま!コチラとしても真のバトルナイザー保持者でない者がレイオニクスバトルに参加されるのも困るし。早い内、芽は摘み取っておくことにしたの。」

「「!?」」

「何よ…ソレ!」

「バトルナイザーなのか…?形が違う……」

アリスはハルやニーナの持っているバトルナイザーとは形の違うモノを取り出し、召喚の構えに入る。

 

しかしその瞬間────

 

「いけ!ファイ──何……?」

 

──ゴゴゴ……!!

 

ドカアアァンッ────!! !重い衝撃音が鳴り響き、地面が揺れる。無数の腕が崩れ落ちた筈の地下から何かを求めるように溢れ、這い上がってきた。

「なんだ!?」

「ルティブル……なの!?」

「…ちっ!死に損ないの癖に!」

 

『フェーンッ!フェーンッ!フェーンッ!フェーンッ!』

 

泣き声に聞こえる"ソレ"は生を求める赤子のようだった。"ソレ"は地上に転がるケルビムの骸を背から伸びる6本の腕を使い体に取り込みながら、街を彷徨い続ける。

──アイツの部屋にはグリーザの欠片があった。死因は取り込まれたとかその辺でしょうね。かと言ってグリーザをあそこまで回復させる程の生命エネルギーがあったとは思えない……

「おい、アリス!アレもお前の仕業なのか!」

「そんな訳無いでしょう!全く、イレギュラーばかりで…どうして私を困らせるのかしら!」

「なら尚更そんな事言ってる場合なの?」

「…………アレは生きているし死んでいる。生まれているし生まれていない。虚空と実在、どちらとも取れる。グリーザ自身、性質が虚であると本質的には理解している筈なのにそれを埋めようと必死に生を取り込み続ける…アレを野放しにしておけば、いずれ全てを取り込む『生きたブラックホール』と化すでしょうね。」

名付けるなら、そう──

 

『グリーザ・ディヴェレス』

 

と言ったところかしら。

「はっきり言って、グリーザを止めることは出来ないし倒すことも不可能よ。」

「じゃあこの星を見捨てろって言うの!?」

「話を最後まで聞きなさい。私に案がある──」

◆◆◆

と言って、出された案があんな物とは……成功するか分からない危険な賭けだが、やらないよりかはマシだ。

各々が準備に取り掛かりいよいよ期限が迫る中、ハルの通信機に一通の連絡が入った。

「ハル先輩!そっちは大丈夫っスか?コレを見れてるって事は大丈夫っスね!」

「ハル君、こっちはケルビムを産み出し続けていた母体を倒したところだ。すぐそっちに戻りたいんだg──」

「ハル先輩!凄かったっスよ!めっちゃくちゃデッカいケルビムで!こう…尻尾からビーム?をドカドカッて!」

興奮冷めやらぬレイジを必死に抑えつけながらリーダーは必要事項だけを伝える。

「機体の損傷、燃料不足で安全に地上に帰れるか分からない。こっちはどうにかして地上に戻る!それまで何があるか分からないが……君なら問題無いだろう。では、健闘を祈る。」

「ハル先輩!マジでヤバk──」

ブチッ……

そこで通信は終わっていた。『健闘を祈る。』か…こっちの事ホントは見えてるんじゃないかと思うくらい、今の状況の的を得ていた。

「ありがとう。二人とも。」

おかげで少し気が楽になった。二人の為、この星の為……いや全宇宙の為にこの作戦を必ず成功させてみせる!

 

To be continued…

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