大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第11話:混沌!?虚空討伐大作戦!!

カチッ…カチッ…カチッ…カチッ…

時計の秒針が刻一刻と作戦開始に向けて時間を刻む。

成功するか分からない危険な賭けだ。実際ここに来て恐怖が少し勝っている。深呼吸を2、3度繰り返して気分を入れ替える。──さぁ、時間だ。

グリーザの前に繰り出し、バトルナイザーを掲げた。

「行くぞ……ゴモラ!グエバッサー!ラゴラス!」

『バトルナイザー・モンスロード!』

「フェッフェッフェッフェッフェッ!!」

3体の怪獣がグリーザの前に立ち塞がる。 グリーザは出現させた怪獣たちに驚く様子も見せないどころか、今度は高笑いを上げながら6本の腕をゴモラたちに伸ばす。それを軽々と避けながらゴモラたちは"あるポイント"に向けて誘導していた。

◆◆◆

「はぁ!?俺、囮かよ!」

作戦会議が始まり、いの一番で決まった自分の配役にいつもより大きな声が出た。

「仕方ないでしょう。現状、3体怪獣を所持しているのはハルだけ。グリーザは強い生命エネルギーを求めて動いてる…怪獣が3体も現れたらグリーザも食いつくでしょ。という訳で、頼まれてくれるわよね?」

アリスは屈託のない笑顔でこちらを見つめるが、その裏にとてつもない圧を感じたのは言うまでもない。

「私は何を……?」

「あなたは私の補助ね、ハルがポイントまで誘導できたらホロボロスを使ってグリーザを足止めして頂戴。」

◆◆◆

と言っていたが…アリス自身は何をするのか聞いて無かったな…。まさか裏切るなんて事──

ここで無いと言い切れないのがハルをモヤモヤさせる。だとした時の対処法も考えておかないとな……

今のところは順調にグリーザを誘導出来ている筈だ。だがグリーザの攻撃は更に熾烈さを増していく。こちらからの攻撃は言われていた通り通用せず、なんなら攻撃をそのまま返してくる始末。そこにビーム光弾やエネルギーボールも加わり今は避けるだけでも精一杯だ。

「この先にあるのは……」

惑星ブラムのパンフレットを開き、場所を確かめる。

──レクサンド・ワイルドランズ

ZAP開拓時から残る荒野で、切り立った山々と昔は海であった名残りとされる大きな珊瑚の化石が岩の中に埋まっているコーラル・ロックが観光地として人気を博している……か。こうなる前に行っておきたかったものだ。

一方その頃、アリス・ニーナサイドでは……

◆◆◆

人工太陽が沈み、暗くなった荒野は少し肌寒い。そんな中アリスはふと気になっていた事をニーナに問う。

「あなた、ハルの事どう思ってるの?」

「私は別に…」

随分と煮え切らない反応にムスッとした表情を浮かべるアリス。

「何よその反応ー。ほら、もうちょっとあるでしょう?」

「…………でも"あの時"は嬉しかったな…。」

「ふーん…なるほどね。それはそうと──」

「来たね。」

地響きと共に砂塵が舞っているのが見える。ニーナはバトルナイザーを構えてホロボロスを召喚する。

『バトルナイザー・モンスロード!!』

「ガウォォォォォオオオン!!!」

「ニーナ!アリス!後は頼んだ!」

ハルは一度、怪獣たちをバトルナイザーに戻し岩陰に転がり込む。そのタイミングでニーナとホロボロスはグリーザの前に立ち塞がり、次なる作戦を始めた。

「行くわよ!」

不条理とはいえ生物であることに変わりは無い。ホロボロスは目にも留まらぬ稲津の如き速度でグリーザを翻弄する。

「フェッフェッフェッフェッ!」

グリーザは雄叫びを上げながら空に黒雲を形成。星空は一瞬にして覆い隠される。──しかし今は夜。その些細な違いにニーナは気づくことが出来なかった。

その瞬間、見覚えのある黒い雷がホロボロスを撃つ。鈍った体にグリーザは容赦なく攻撃を浴びせ続ける。

「ダークサンダーエナジー!?アイツから発生していたのか!……おい、アリス!まだなのかよ!」

「まだよ。今はまだ……」

「クッソ…!見てられるか!」

岩陰から飛び出し、バトルナイザーを再び構える。

「いけぇッ!ゴモラァァア!!」

その声と共にバトルナイザーからゴモラがグリーザの上に召喚される。意識外から受けた攻撃に怯んだ隙にホロボロスをグリーザの攻撃範囲外に引きずり出した。

「ごめんなさい…」

「謝るのは後だ!今はコイツに集中しよう!」

ゴモラとホロボロスの2人のエース怪獣たちが"虚空"という事象そのものに戦いを展開する。

「キシャァゥゥウウ!!」

ゴモラは跳躍し大回転打を繰り出すが逆にゴモラの尻尾を軽々と片手で掴み、振り回し地面に叩きつける。

「フェーッ!フェッフェッフェッ!!」

純粋に戦いを楽しんでいる……というよりはコイツにとって、ただのじゃれ合い感覚でしか無いんだ。

「ガウォォオオン!!」

ホロボロスの爪による攻撃も視覚外からの攻撃にも関わらず、はしゃぐ子供のように避け続ける。

「この強さ…理不尽すぎる……」

「はぁ…はぁ……アリス!まだ──」

いない。いないのだ。振り返った目線の先に。さっきまで座っていた岩の上に。

「嘘っ!?」

「クソ!ここに来て裏切りやがった!」

「フェーッ!フェッフェッフェッフェッフェッ!!」

それを嘲笑うように声を上げながら、こちらを見下すグリーザ。 ゴモラとホロボロスはグリーザの6本の腕に捕まり宙に浮かばされる。ニーナも俺も既に限界なんぞ超えている。流石にこの体力じゃ取り込まれるのは時間の問題だ……誰が見ても分かる。

 

「随分、苦戦してる様じゃない。グリーザ相手にここまで耐えられたら…そうね……及第点ってところかしら?」

 

姿は見えないが今はっきりとアリスの声が聞こえた。辺りを見回すと、見知った姿の怪獣が奇っ怪な音と共にこちらへ猛スピードで向かっていた。

 

無機物の塊のような地味な外見とは裏腹に特徴的な青と赤のコントラスト。回転しながらでも分かるフジツボのような突起を持つその怪獣の名は───

 

『四次元怪獣 ブルトン』

 

「はぁ!?ブルトォン!?」

「なに…あれ……」

ブルトンは回転しながらそのままグリーザに激突。あまりの衝撃に2人の怪獣を離し、軽く100mは跳ね飛ばされた。

「思ったより遠いところに居て連れくるのに時間かかっちゃったわ。ごめんなさいね。」

「そういうのは早く言え!」

「でも、あの……"変なの"でどうにかなるの?」

「目には目を歯には歯を。不条理には不条理よ!ブルトン!頼んだわよ!」

ふらつきながら立ち上がったグリーザはブルトンに向けてあらゆる攻撃を仕掛けるも四次元現象を引き起こし、明後日の方向に捻じ曲げていく。──そして体表の孔から飛び出る触覚を震わせ、グリーザを消し飛ばした……正確には四次元空間に送ったというのが正しいだろうか。

「ふぅ」

「終わっ…た……の?」

「あー…そうっぽい……」

なんとも言えない突然の呆気ない幕引きに動揺するハルとニーナだが、それはすぐに歓喜に変わった。

「と、とにかく……よっしゃああああ!終わったァ!!」

「私たち勝ったんだよね!」

「やれやれだわ。これだから人間は……」

「キシャァゥゥウウ!」「ガウォォオオン!」

ゴモラとホロボロスが同時に声を上げた。ハルはゴモラを戻そうと振り返り───

「ハル?どうかし……」

私は2人の顔が青ざめているのに気づき続けて振り返る。その意味に気づいた時、私をとんでもない絶望が取り囲んでいることを悟った。

空間が螺旋状に歪み、手が徐々に飛び出してきている。次元という壁がイレギュラーを防ぐために抵抗・反発するがその後も次々と手が伸びる光景はまさに不条理と言わざるを得ない。

 

「フェッフェッフェッフェッフェッフェッ……」

 

6本の手が出てきた後、その中心からグリーザ……の顔が出てくる。いや、グリーザと呼べる姿形では無いと言えよう。顔が伸び頭の発光体の下側は裂けた口になっている。昔見たレトロ映画に登場するエイリアンの様といえば伝わるだろうか。

「お、おい…アリス。あれも作戦の内なのか……?」

「そんな訳ないでしょ……!今すぐアイツをあっちの世界に押し戻すのよ!アイツがこっちへ完全に戻ってきたら、それこそこの星……いや全宇宙の終わりよ!」

そんな事は皆分かっている。しかし、分かっているからこそ動けない。

「何か対策は無いの!?」

「アレと同量もしくはそれ以上のエネルギーをぶつければ、なんとかってところよ。でも、全員で一斉攻撃しても…そこまでのエネルギーがあるかどうか……」

万事休す。そう思われたその時───

強い閃光と共に黒煙と爆発が戦場を包み込む。思わず目を瞑るハル、ニーナ、アリス。そして同時に衝撃が襲いかかってくる。何が起きたか状況を把握しようとして目を開くとハルの通信機が音を鳴らした。

『ハル先輩!大丈夫っスか!?ZAPの人たちから聞いて"応援"に来たっス!』

「レイジ!リーダー!」

目の前に広がるのはレイジやリーダーたちが乗っている「兎龍丸」だけではない。この星に滞留していたZAP部隊や別の惑星からやってきたZAPの戦艦郡、惑星ブラムの防衛隊の連合艦隊だ。

『我々も力を貸そう!共にヤツを倒そうじゃないか!』

通信機越しだが強い意志を感じる声だ。

「アリス!これでもまだ足りないか?」

「いえ……充分すぎるわね!」

「ニーナ、いけるか?」

「うん!」

"ゴモラ!超振動波だ!"

"ギャゥウオオッ!!!"

 

"やっちゃえ!ホロボロス!"

"ガルルラォォオオ!!!"

 

兎龍丸の砲門から全弾が発射されグリーザの6本の腕のうち2本を消し飛ばした。

「今だッ!ゴモラ!」

超振動波で1本を吹き飛ばし怯んだ隙にホロボロスの爪撃がもう片方の腕をも切り落とす。

そしてこの好機を逃すまいとZAP艦隊と惑星ブラム防衛隊の連合艦隊が一斉に砲撃を開始。わずか10分でその姿は醜悪な顔だけが残った。

 

「フェッフェッフェッフェッフェッフェッ!!!!」

 

「チェックメイトよ。」

アリスが指をパチッと鳴らすとブルトンは奇怪な音を立て巨大化。ゴモラのメガトンテールとホロボロスのホロボロクローによって弾き飛ばされグリーザに直撃。

「フェッフェッフェッフェッフェッフェーッ…………!!」

2体の怪獣の渾身の一撃はグリーザを飲み込み、そのまま四次元空間へと押し戻した。

「やった……のか?」

「……多分ね。」

「キシャァゥゥウウ!」

まるで"やったぞぉー!"と言わんばかりに叫ぶゴモラ。その姿を見て全身の力が抜けたハルはその場に座り込む。人工太陽が再び昇ってくるのを横目に瞼がゆっくり落ちてくるのを感じた。

◆◆◆

─7時間後─

「──っていうのが寝ている間に起きたことね。」

俺は寝ている間のことをニーナに聞いていた。というのもその間にアリスとブルトンが行方を晦ましたらしいのだ。

「恐らく空間転移でもしてこの星から逃げたんだろ。アイツこういうの苦手だろうし、なによりグリーザのことを詰められても面倒だろうしな。」

勝手な憶測だが…大方当たっているだろう。

「それじゃあ我々はここで。」

「はい。今回の件、誠にありがとうございました。」

「いえいえ!我々は当然のことをしただけですから。」

俺たちが出発する直前、ZAP部隊長や惑星ブラムの方々が見送りに来ていた。まだ数日しか経っていないがリーダーたちと出発した日の事が既に遠い日のように感じる。

「もう行っちゃうの……?」

「うん。お兄ちゃんは遠い宇宙を旅して全宇宙を平和にしに行かなくちゃならないっスからね!」

レイジは子供たちに胸を張って答える。

 

「先生はどこに行っちゃたの……?」

 

1人の子が呟いた。

「ルティブルさんは……ちょっと遠くへ旅に出たんスよ!いつかまた会えたら1番にみんなに伝えるっスよ!」

いつか真実を知る日が来るかもしれない。でもそれまでは黙っておこう…この子たちにとっては"ルティブルさん"も立派な先生だったのだから。

「ニーナはこれからどうするんだ?」

「私はこの星に残るわ。アイツのした事の後始末も残っているし、それに…この星で育ってきたもの。恩返ししなくちゃね。」

ニーナは子供たちの方を向き、ふっと微笑んでそう言った。

「そっか。それじゃ、またいつか。」

「──ハル!」

「!」

「……なんでもない!」

数日限り、長いようであまりに短い大冒険。最後に見せた満面の笑みはきっと大切な思い出となるはずだ。

全システムが起動し兎龍丸が空へと浮かび上がる。窓越しに見えていた人々は気づけば豆粒よりも小さくなっていた。ハルは夜空に瞬く星々を見ながら明日へ繋がる宇宙を行くのであった。

◆◆◆

─宇宙─

「随分ととんでもない事に巻き込まれちゃったわね。仕事は〜…ま、もとより宇宙人の言うことなんて聞くつもり無かったしいいわ。」

 

──星の光輝く夜空に宇宙船が飛んでいく。それは新たな旅立ちを意味させるかのようだ。

 

「"及第点"ね……」

咄嗟に取って付けたような評価だったけれど正直あそこまでやれるとは思いもしなかった。ハルの成長速度…思っているよりかなり早い。『覚醒』の時もそろそろ近いということね…そしてそれだけではない、真のレイオニクスではないニーナ。それに彼女のレイオニクスの因子は限りなく薄い。なのに彼女の持つ潜在的な戦闘センス…

「期待も込めて『招待状』出しておいてあげようかしら」

アリスは薄く微笑みその場を後にした──

 

惑星ブラム編 [完]

To be continued…

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