大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第14話①:砂漠王国、その名はアラモール

「ひぃっ!せめて命だけは……!命だけはお助けを!」

「この俺様に歯向かった罰だ!やれ!テレスドン!」

テンペラー星人は右手のハサミにバトルナイザーを携え、高々と怪獣に指示を送る。テレスドンは指示通り怯えるデュサリア人を火炎放射で焼き払い、既に廃墟と化していた村を焼け野原に変える。

「フハハハハハ!!レイオニクスに選ばれたこの俺様こそが全宇宙を支配するに相応しいのだ!」

「お前如きがか?」

「何だと!?」

テンペラーは声を荒らげながら振り返る。そこには記憶のどこかに覚えがある身なりをした宇宙人が立っていた。

「なんだ貴様!──いや待て、その姿見た事があるぞ……貴様まさか宇宙工作員か!」

「だったらどうした。」

こんなにも、ただただ冷たく獲物を狩るような覇気を放つ宇宙人他にそう居ないわい……

「ま、まぁいい!この俺様に楯突く者がどうなるか叩き込んでくれるわ!テレスドン!」

「やっとやる気になったか。ゼットン。──潰せ。」

紫色の光球から出現したゼットンはテレスドンが放った火炎放射を無抵抗で受ける。その体に傷一つ付かなかったように見えた。

「ゼゼゼ、ゼットン!?…という事は貴様もレイオニクスなのか!?」

返事をする事は無く目の前の宇宙工作員は不敵にニヤリと笑うだけだ。少しずつ迫り来るゼットンに恐怖を覚えたテレスドンは慄き頭を抱えながら犬のように細い声で微かに鳴いている。さしずめテンペラー星人に助けを求めていると言ったところだろう。

「ゼットォン……ピロロロロロ…。」

テレスドンの頭を掴み拳の一撃が腹部を貫く。

「ば、ばかなぁ……!俺様のテレスドンg……」

テレスドンは白目を剥いて膝から崩れ落ち、テンペラー星人は下敷きとなった。砂と血の匂いを運んできたつむじ風が静まった村に吹き抜ける。宇宙工作員がその場を後にしようとした時、1人の子供が唯一残された家から飛び出してきた。

「アンタも王国の連中なのか!?」

またその言葉か。レイオニクス狩りの途中に会ったこの星の奴らは皆口を揃えてそう言う。そして決まって──

「違うなら助けてくれよ!このままじゃ、妹が…妹が死んじまうんだよ!」

 

助けてくれと懇願する。

 

「知らん。自分の力でどうにかしろ。……人に頼るな。」

もはや泣き叫ぶ声すら聞こえない。砂の風壁が男の姿を隠していく。男が目指す先は──

 

「……やはりこの星も腐っている。」

 

◆◆◆

「うぇ……口の中がジャリジャリするっス…。」

「もうすぐ着くからそれまでの我慢だよ。」

アントラーと戦って2日が経過した。リーダーの言っていた通り砂漠の夜というものは想像の3倍は寒く持ってきていた布をレイジと2人で包んで暖を取り合った程だ。だが、寒いだけが砂漠の夜ではなかった。この星は朝から晩まで雲が出来ないからか、はたまた大気が薄いからなのか星空がとても美しいのだ。それに地球とは違い近くの小惑星や衛星がハッキリと見える貴重な体験ができた。……それはともかく、日が昇ると死ぬほど暑い。歩いていると地平線の向こうから壁……と呼べるだろうか謎の物体が出現した。──遂に幻覚を見始めたか……。

「見えた。アレが惑星デュサリア"唯一"の国、『アラモール王国』だよ。」

「ようやく着いたんっスね!」

「うへぇ、長かった…。」

どうやら幻覚では無かったようだ。ホッと安堵したところでルークは歩みを止め、真剣な表情で振り返った。

「これから国の中に入るまでの間、僕の言うことを絶対に守ってくれ。」

 

一つ、僕が話を付けている間、何もしないこと。

二つ、兵士以外に声をかけられても無視をすること。

三つ、何が起きても絶対に気にしてはいけないこと。

 

俺は唾を飲み込む。この星唯一の国だと言うのに入るだけでそこまで厳重にする必要はあるのだろうか……

レイジの方に目をやると怪訝そうな目つきで何かを考えているように見えた。国に近づくと長蛇の列が門の前にできているがその並んでいる人々のほとんどは酷く痩せていた。

「おい、貴様。何をしている。」

「い、いえ!私は何も……!」

「黙れ!貴様に黙秘する権利も我々を否定する権利もない!よって今ここで貴様を"死刑"とする!」

前の列で女性が兵士に蹴り飛ばされ地面に転がった。それを見つけた俺とレイジは目を合わせ列を忘れて女性の元に駆けつける。

「ちょっと待てよ!この人が何をしていたのか分からないけど死刑は無いだろ!」

「そうっスよ!それに命はそう簡単に奪っていいものじゃ無いっス!」

「なんだ貴様ら!」「お前らも反乱軍か!」

2人の兵士がハルとレイジに槍を突き立てる。反乱軍という聞き慣れない言葉に戸惑うが辺りはどよめき列に乱れが起き始めた。

「おーっと待ってくれ、コイツらは反乱軍じゃあない。コイツらは僕の連れでね。この星に来たばっかりだから動揺してるだけなんだ!許してやってくれ。」

ベタな演技でルークが割って入る。ルークは2人の兵士に近づき何かを渡していた事に気がついた。

──恐らく…賄賂だろう。

「行くぞ。」

乾いた声でそう言うと俺とレイジを引き連れて3人は門の中へと入れられる。庇った女性は既に背後から姿を消していて、俺はどこか引っ掛かりを覚えながらも胸を撫で下ろした。

「いや〜お前らお陰であのクソ長い列に並ばなくて済んだ!感謝するぜ!HAHAHA!」

空気を変えたいのか、ただその事について聞かれたくないのかルークは俺たちを咎めることなく必死に言葉を綴る。

「無理して演技してるから口調変わってるっスよ。」

「うっ……」

壁内には一際目を引く城があり、その周りは城下町のようになっているが人々の生気が薄く見える。それでも外の人達よりは元気なのかもしれない。壁の外まで続いていた列は城の麓まで続いているようだった。

「ここが僕の出している店だよ。」

周りの店と同じく屋台形式の店で、ルークは商品を箱に入れ鍵をかけると俺が聞こうとしていたことを口にした。

「この星と国の真実を教えてあげよう。着いてきて。」

ルークと共に列を縫って城の麓に向かう。

「泉……ですか?」

城の1階は神殿のような神秘的な造りになっているが一度も掃除をされたことが無いのか、あちこちが汚れで黒ずんでいる。泉の中心には杯型の小さな噴水のようなものが。

「そう。この星に残されたたった一つの水源。この国の王はそれを牛耳ったことでこの星の全てを手に入れたんだ。」

この惑星で一度も雲を見かけたことがない理由がよく分かった。そしてこういう事をする王の思惑も政策も結局は自分の私利私欲の為なのだろう。

────ドクン!!

ハルの中で心臓が飛び跳ねた。どこからか聞こえる声が耳を刺し、謎の映像がフラッシュして脳と視界に流れていく。

「バーロバロバロバロ!!」

渦を巻いた金色の顔と装甲、藍色の身体をした宇宙人がバトルナイザーを操り三つの頭を携えた蛇の怪獣を暴れさせている。逃げ惑う人たちを次々と石に変えていく様子は妙にリアリティがあり不気味だ。

「はぁっ…!はぁっ…!はぁっ…!はぁっ……!」

突然の出来事と情報の渦に巻き込まれ脳が処理が追いつかない。息の荒さがそれを物語っていた。

「ハル先輩!」

いち早く異常に気づいたレイジが駆け寄り背中を摩ってくれる。おかげで落ち着きを取り戻したが、同時に悟った。

 

「──あれは現実だ!」

 

「門を閉めろ!早くやれ!!」

「外にはまだ人が……」

「知るか!あんな奴ら何人死のうが関係ないわ!」

国の兵士が総出で対処に当たる。街は阿鼻叫喚が溢れかえり罵声が飛び交う。列になっていた人も生き残る為に我先にと壁内へと流れ込むが未だ多くの人が外に残ったまま無慈悲にも門の扉は閉じられた。

門を閉めきった内の1人の兵士が振り返ると他の兵士も上官もデュサリア人もみんな空を見上げている。その理由を理解するのも違和感に気づくのにも時間はいらなかった。

「影だ────。」

1匹の大きな白い鳥が自分たちの真上を通過した後、壁外に着陸し2体の怪獣が咆哮を上げ威嚇し合った。

 

To be continued…

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