大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal 作:リクソンLv.6
「ようやく見つけたぞ!レイオニクス!」
惑星デュサリア付近の宇宙空間にて。
ハルたちを怪しい影が空間を割って睨みつける。
◆◆◆
ケレスがアラモール王国を去ってから1日が経った。俺たちはルークの元へ戻り、この国の過去について共有していた。
「ふざけるな!じゃあ今の現状も全部、クソ国王のせいじゃないか!!」
ルークが怒りをあらわにする。無理もない、彼らの境遇を鑑みれば怒るのは当然のことだ。かといって今この事が公表されれば間違いなく暴動が起きてしまうだろう。
「その気持ちは分かる。でも今はこの事誰にもはなさないで欲しいんだ。」
「どうしてだ!こんな話しておいて僕たちには一生この苦痛を味わえって言うのか!」
「そうじゃない!ただ今は時間が無いんだ。」
俺は次に惑星破壊爆弾について話を始める。ルークはその情報に驚きを隠せないようだった。
「リーダーの方はどうっスか?」
『こちらでも確認できた。惑星破壊爆弾の正確な大きさは分かっていないが、位置は特定できたぞ。過去に起きた宇宙工作員の事件から推測するにその威力は約19万ギガトン…隕石の衝突となんら変わらない位の威力だ。』
この兵器が起動すればこの国は跡形もなく吹き飛び、国民はもれなく全員死ぬこと。それを理解した彼はさらに顔を青ざめさせた。
◆◆◆
誰もいない静寂の砂海の向こう、かつて栄えた衰枯の城が荘厳と立っている。
『俺がレイブラッドを倒さなきゃダメなのに!』
「フッ………。……来い。俺はここだ……!」
冷酷な瞳が自分と同じ夢を語った、異質なレイオニクスの少年の姿を捉えていた。
「……興が乗ってきたところなんだ…邪魔をするな。」
「黙れ!忌々しいレイオニクスめ!あのゴモラ使いを殺す前に貴様を地獄に送ってくれるわ!」
ゴモラ使い…。ほう。奴もそれなりに顔が広いのだな。
ケレスはバトルナイザーを構え悪魔と相対する。
◆◆◆
「ホントにアレで良かったんスかね……」
「今はとにかくリーダーんとこ行くしかないだろ?」
現在はアラモールを抜け、ルークから預かった宇宙船の一部パーツを兎龍丸に届けている最中だ。元々はこれが第1目標だったはずなのに、また大変なことに巻き込まれてしまったものだ……
「そうじゃないっス!」
「!?」
「──あの国に住む人を助けたいのは分かるっス。でも、あの城の人たち…国王なんか助ける価値あるんスか!?」
レイジの怒りと不安、困惑が混ざった様な声と続く言葉を聞いた俺は驚きのあまり動揺を隠せなかった。
「……実際、俺も思うところはあるよ。あの国の過去を聞いてしまったら尚更な。」
「だったら…!」
「でもその人の価値で助ける助けないっていうのを決めてしまうのは力を持っている者だけが言える特権で、それはすごく傲慢な考えだと思うんだ。俺はこの力を……ゴモラたちをそんな風に戦わせたくない。──ただそれだけ。」
俺はレイジに、自分にも言い聞かせる様に答えた。今はたとえそれが独善的な考えだとしてもそう生きると決めている。
その言葉を聞き、レイジは少しの間沈黙すると自分なりに納得したようでその後はただ兎龍丸へ向かって進むだけだった。
─数分後─
「なぁぁぁんで、こういう事になるんスか!!」
「俺だって知りてぇよぉぉぉお!!」
『汚染獣反応!汚染獣反応!汚染獣イルーゴ接近!!』
「「分かってるわ!!」」
バトルナイザーに激昂しながら2人が全力で走っているのは、後ろの砂の海を泳ぐウツボのような蛇のような橙色の細長い怪獣、汚染獣イルーゴというらしいが…そいつに追いかけられているからなのは言うまでもない。しかも1匹ではない。十数匹を超えるイルーゴが俺たち目掛けて追って来るのだ。
そしてついに俺たちは囲まれてしまい、逃げ場を失った俺たちはその場で停止。俺は覚悟を決め振り返ってバトルナイザーを掲げる。
「くっ…やるしかねぇ!頼んだぞゴモr──うわぁ!?」
突如飛来したミサイルの雨がイルーゴを蹴散らしていく。その流れ弾に巻き込まれたハルとレイジは砂漠の熱せられた砂粒を肌で感じた。
「一体なんなん…スか!?」
ドスの効いた低い叫びと同時に煙からミサイル超獣ベロクロンが現れ、待っていたぞと言わんばかりに2人を睨みを効かせる。
「アレって超獣っスか!?なんでこんなところに!」
「……まさか!」
「フハハハハハ!久しいな!ゴモラ使いのレイオニクスよ!今度こそ貴様を消し去ってくれる!」
聞いた事のある甲高い笑い声が響き空が割れヤプールが再び姿を見せる。しかし以前と違いヤプールたちが融合し、異次元超人巨大ヤプールの姿になっている。
「殺れェ!ベロクロンよ!」
「──戦いの最中によそ見とは…随分と余裕だな。」
ベロクロンが攻撃を仕掛ける直前、後ろからゼットンがドロップキックで蹴り飛ばす。
「ケレス!」
「な、なぜ貴様がココにいる!?……まさかあの超獣軍団を退けたとでもいうのか!?」
「あの程度、俺の敵じゃない。来いよ…相手になってやる」
「何ィ!?貴様らァ…2人纏めて木っ端微塵にしてくれるわァ!!」
ヤプールは煽りに激昂し光線を乱射。しかしゼットンがそれをバリアで防ぎ、その隙に俺はバトルナイザーをかざしてラゴラスを出現させる。
ラゴラスは出現の隙を狙ったベロクロンのミサイル攻撃に冷凍光線で応戦。ミサイル群を瞬間的に凍らせながら冷凍光線を浴びせる。受けたベロクロンは動きが鈍るも、火炎放射で体を熱しミサイルとの合わせ技で攻撃を続ける。
「まだだ!ヤプールの科学力を思い知れェ!」
お互い一進一退の攻防が続く中、それを合図に次々と空が割れてうじゃうじゃと超獣軍団が出現した。その数およそ30。しかし、ケレスとゼットンは怯むことなく近接戦闘と遠距離攻撃を使い分けて複数の超獣を相手に優勢を維持している。
「マジかよ…こっちも負けてられるか!行くぞ、ラゴラス!」
ケレスの戦い振りを見て奮起させられたハルは己とラゴラスに発破をかけて超獣軍団に挑む。
遠距離はベロクロンのミサイル攻撃、バキシムの火炎放射…加えて破壊光線も強力だ。更には近距離戦闘はエースキラーと隙がない……3対1の状況で俺たちにできる最善の手を考えろ!
思考を巡らせ瞬時に勝利のビジョンを構築していく。
───よし。これならいける……! そして勝利への布石はハルとラゴラスの中で完成する。
「ラゴラス、超獣たちを散らせるんだ!」
バトルナイザーを構え、ラゴラスに指示を送り冷凍光線を3体の超獣に向けて放つ。1番身軽なエースキラーはラゴラスの上を飛び越えるように回避し他の2体にも軽く避けられる。だが目標は達成した。
「馬鹿め!挟み撃ちで貴様も終わりだ!」
「馬鹿なのはそっちっス!ハル先輩はどんなピンチでも乗り越えて来たっス!今回だって!」
「あぁ!見とけレイジ!!戦い方ってのはひとつじゃないってことを!」
その言葉と共にラゴラスがエースキラーに突進。大振りな尻尾の一撃を避けたエースキラーはM87光線を放つ。一方ベロクロンとバキシムのタッグはスコールミサイルとユニコー・ボムを組み合わせた、さしずめ"超獣爆撃作戦"を展開。
「そこだ!戻れ、ラゴラス!」
光球となったラゴラスは攻撃の隙間を縫ってバトルナイザーに帰還する。対象を失ったM87光線とスコールミサイル、ユニコー・ボムはお互いを貫き爆発四散を起こすのだった。
◆◆◆
「ほう。見込み違い……という訳でも無さそうだ。」
ケレスはハルたちの決着を横目にゼットンと互角に立ちはだかる超獣を相手にしていた。名は"殺し屋超獣 バラバ"。全身がその2つ名に恥じぬ多彩な武器の集まりと言っても過言ではないフォルムは禍々しく、その容貌は実に凶悪だ。
「火球は次元の裂け目を切り裂いて無力化、バリアも両腕の鎌と棘鉄球で破壊か……面白い。」
ゼットンは鎌を振り下ろそうとするバラバに左ストレートを入れチョップ、膝、後ろ回し蹴りとコンボを続かせ着々とダメージを稼いでいく。だがバラバはとどまる所を知らないのか怯むどころか攻撃の苛烈さは増していく。鼻先からの火炎放射で距離を取らせると棘鉄球の先から射出された鎖によってゼットンを巻き付け、動きを封じる。左手の鎌がギラりと光を反射させゼットンの首に近づけ……直後、何度も何度もゼットンを切り刻みつけると身動き1つ取らなくなったゼットンに対しバラバは不敵な笑みを浮かべ最後の一撃を振りかぶる──
しかしその死神の鎌がゼットンの首を落とすこと無く、ただ虚しく空を切る音が静かに鳴った。
「ピロロロロロ……ゼットォン……」
静まり返った戦場、勝ちを確信したはずのバラバの背後で不気味な声を上げ飄々と立っている。
本来無いとされている超獣に心が宿ったのか、偶然その様に見えているだけなのかは分からないが驚愕し冷静さを失ったバラバは頭部の剣をゼットンに飛ばす…が逆に柄の部分を捕まれ繋がっている稲妻状の光のロープを引きちぎり、突進するバラバの胸に突き刺して勝負は決した。
……目の光も暗転し横たわるバラバにケレスが近づく。
「バラバよ!俺の元に来い。貴様をその程度にしか扱えん奴より俺がもっと貴様を暴れさせてやる。」
その瞬間、バラバの全身が光に包まれ光球となってケレスのバトルナイザーに取り込まれていく。
「お手並み拝見だ…。行け、バラバ!」
『バトルナイザー・モンスロード!』
ゼットンが1歩2歩と下がりその正面にバラバが出現。同族だった超獣たちに攻撃を開始する。
「!?……バラバよ!そのレイオニクスを踏み潰すのだ!」
バラバの方に左手を伸ばし念力を飛ばすが、レイブラッドの力を内包したバトルナイザーに阻まれたのかヤプールの掌中でスパークしダメージを受けている。
ケレスのゼットン・バラバとハルが再び召喚したラゴラス・グエバッサーによって殲滅されていった超獣たちもあと僅か。それも丁度倒された、その時だった──。
「くっ……こうなれば!」
「うわぁっ!」
「貴様ら動くな!このガキがどうなってもいいのか?」
地上に飛び出してきた巨大ヤプールの両手には1つずつ浮かぶものが。右手にはレイジが球状のバリアに閉じ込められている。もう片方にはアラモール王国とその前で待機する古代超獣スフィンクスの姿を映したビジョンが。
「さぁどちらか選べ!貴様の仲間か…?それともあの国の連中か…?フハハハハハ!!」
「俺には関係のない事だ。やれゼッt……邪魔だ、どけ。」
ケレスがバトルナイザーを構えてゼットンに攻撃指示を出そうとするがハルは前に立ち塞がり食い止めようと懇願する。
「待ってくれ!頼む!レイジは仲間だし…あの場所にも仲間が居るんだよ!」
「それと俺が奴を仕留める事に何の関係がある?というより貴様、まだあんな腐敗した国を救おうとしているのか?……呆れたな。所詮あと1日でこの星も滅びるというのに…それとも何だ、貴様はこの星を救って英雄にでもなるつもりか?」
「そんなのになるつもりは無い!……ただ俺は目の前の人たちを救いたいだけだ!」
ハルが心からそう答えるがケレスは『くだらない』とハルに対して軽蔑の念を込めて返す。痺れを切らしたヤプールが2人の間に割って入る。
「時間だ!貴様の答えを聞かせるがいい!」
「俺は…俺は─────」
「──レイジを……返してくれ…………。」
「フハハハハハ!それが貴様の選択か!やれェ!スフィンクス!」
ビジョンの向こうでスフィンクスがアラモール王国の侵攻を始める。見るもの全てが無惨にも破壊されていく。それをただ見ている事しかできない自分を悔やみながら拳を地面に叩き付け叫んだ。
「やめろぉぉぉぉぉぉおおお!!!」
その時、俺の中の何かがブツんと切れる音がした。
気がつけば周りは暗闇で果てしなく闇が続いている。肌をピリピリと刺激する感覚だけが自分はここに居るんだと気づかせてくれている。そうして立ち止まっていると巨大な怪獣の頭が目の前に現れた。
──それは悪魔のような姿。地獄の如き体。ブルトンが初めて俺の前に現れて俺の旅が始まったあの日、あの時の夢で俺と目が合った怪獣が再びこちらを睨みつけている。
ニッと口角を上げ俺に勢いよく顔を近づけ、その大きな口を開く。
そして誰もいなくなった。
◆◆◆
ここからの記憶は俺には無い。後にレイジが教えてくれた状況を元に話を組み立てている。
「ヤプール……俺は…お前を許さ……ない…………!」
眠る獣が目覚めた時、滾る血潮がレイオニクスの闘争本能を呼び覚ます──!
バトルナイザーからゴモラが勝手に召喚される。
ゴモラの全身から紅のオーラが滲み出し、それは興奮かそれとも悲痛かどちらとも取れる雄叫びを上げながら溜まりきった覇気を解き放つ。同時にゴモラの肌がひび割れて解放された中から真っ赤に燃えるゴモラが出現した。
「な、なんだ!?なんなんだその姿は!」
「暴…走……!?」
恐れおののいたヤプールはレイジの入ったバリアを落としたが、そんな事を気にする余裕もなく半月型の左手から光線を連射するが全く効いている様子はない。ヤプールの首をメリメリと音を立てながら締め上げる。主の窮地に呼び戻されたのかスフィンクスが背後から空を割って登場するも着地点にヤプールを投げ飛ばし、更に追い打ちで尻尾の一撃から踏みつけ…と戦い方が今までとは比べ物にならないくらい荒々しさを帯びていた。
2体を蹴り飛ばしゴモラは超振動波の体勢に入る。角に赤い波動が溜まっていく。放たれた瞬間の音と風圧は過去最大と言っても過言では無かった。
──かく言うヤプールは食らう直前にスフィンクスを盾に異次元へとそそくさと逃げ込んだ…らしい。
◆◆◆
次に俺は兎龍丸のベッドで目が覚めた。少ししてからリーダーとレイジが入ってきて、今の話とその続きをしてくれた。
「ハル先輩に近づいたら、パターっと倒れちゃうもんだから大変でしたよ!」
「ここまでグエバッサーに運んで貰っておいてよく言うな…」
「ちょっ!それは秘密っスよリーダー!」
ゴモラはすぐにバトルナイザーに戻ったらしいがグエバッサーとラゴラスは戻ることがなく兎龍丸に到着して少ししたぐらいでバトルナイザーに戻ったらしい。
俺はバトルナイザーを取り出し3体の怪獣たちに目線を移す。グエバッサーとラゴラスは喜んでいるがゴモラだけは目を閉じて眠っているように見えた。
「ありがとうみんな……あ!ケレスは!?」
重要なことを忘れていた。俺が寝ている間にも惑星破壊爆弾のタイムリミットは刻一刻と迫っているのだ。
ケレスもどうやらヤプールが姿を消した後、前と同様にどこかへ消えたのだとか。
──残された時間はあと3時間……。
To be continued…