大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第17話②:赤の暴走、黒の抑圧

 

──惑星破壊爆弾発射まで残り30分…。

 

「戻れ!グエバッサー!」

「……貴様か。何の用だ。」

グエバッサーから飛び降り、立ちはだかるハルにケレスは問いかけた。──とはいえ俺に用など1つしかあるまい。

「ケレス。惑星破壊爆弾を止めてくれ!」

「無理だ。」

「この星に住む罪の無い人たちはどうなる…!お前が見てきた村の人たちは!何も知らないまま死ねってのかよ!」

「仕方のない犠牲だ。」

「────ならどうして救ってきたんだ。」

ケレスの動きがピタッと止まった。好機と捉えたハルは畳み掛けるようにケレスを捲し立てる。

「ここに来るまでに村を沢山見てきた。もう無くなってしまった村もあったけど残された人たちはみんな口を揃えて『ゼットン使いの人』に助けられたって言っていた。」

「……」

さっきまでの冷徹な回答とは裏腹にケレスは口を閉ざしたまま、動かない。

数秒の後ゆっくりとケレスは口を開いた。

「フッ…奴らめ、のうのうと生きていたか。どちらにせよ惑星破壊爆弾はもう止められない。……俺を除いてだが。」

腕の装置をコンコンと指で弾きながら不敵な笑みを目の前のレイオニクスに向けた。

「さぁ…構えろ。レイオニクス同士…"レイオニクスバトル"で決着をつけようか!」

2人のレイオニクスはバトルナイザーを構え、各々の相棒を呼び出す。

「俺がお前を止めてみせる…!」

 

『『バトルナイザー・モンスロード!!』』

 

閃光が走り、ゴモラとゼットン…2体の怪獣が灼熱の大地に足跡をつける。

──その瞬間、身体に電気が流れたような奇妙な感覚に襲われた。ゴモラを見ると一瞬だけ目が赤く光っていた…気がする。

「なんだ今の……」

「ガウッ」

先に仕掛けたのはゼットンだ。その巨大な火球はゴモラの腹部に直撃し爆散。

「あ"ぁ"っつ!」

それと同時に腹部が突然、本当に燃えているような熱さを感じ思わず手で押さえてしまう。

黒煙がゴモラを包み込むが、それでも痛みに耐えながら黒煙を振り払い近接戦闘へ持ち込む。お返しとばかりに角でかち上げるがゼットンも負けずとアクロバティックな受け身を取って衝撃を相殺する。

その隙を突きゴモラの尻尾が唸りを上げてゼットンに叩きつけられた。しかし、ゼットンは微動だにせず逆にゴモラの尻尾を掴みそのまま投げ飛ばす。

今度はゴモラと同じタイミングで地面に打ち付けられたハルは1つの結論に辿り着いた。

「これは……まさか、シンクロ…してる…のか……!?」

「そうだ。これが『真のレイオニクスバトル』。怪獣の戦いを通し、怪獣使い本人もその苦痛を味わう。すなわち…ゴモラの敗北は貴様の死を意味する。」

全身を針でヂクヂク刺されているような痛み……いや熱が皮膚の表面から内側へ奥へと伝わっていくような感覚。少しでも気を抜けば今にも倒れてしまいそうだ。

ここからどう戦えば……

しかし、思案する間も与えずに今度は火球が連続して発射され襲いかかってくる。攻撃の合間を縫いバトルナイザーを振るいゴモラに攻撃の指示を送る。

だがその一撃は簡単に避けられてしまい逆にカウンターを貰ってしまう。腹部の痛みと熱で意識が朦朧としているハルには避けることもままならない。

「ぐあっ……!くっそ……」

何も出来ない自分が悔しい。

ハルはゴモラに「戦え!」「頑張れ!」と必死に叫んでいたがその思いも虚しくゴモラの意識はどんどん遠のき同じようにハルの意識も薄れていく。

「フン。貴様も所詮はその程度だったか。」

期待外れだったと落胆するケレスだったが迫り来る気配をビリビリと感じ取っていた。

「…………チッ…。ペダンの奴らこんな辺境の惑星まで追いかけてくるとはな…」

ケレスが見上げると煌々と降り注ぐ恒星の光の中から4つの黒い機体と数機の円盤がこちらに向かっているのが分かる。

『抹殺対象および、先のレイオニクスを発見。直ちに排除せよ。』

ペダン星人の円盤から通信に応じ4機は合体しキングジョーブラックへと姿を変え、ゼットンと交戦を開始した。

◆◆◆

─少し前─

「もうすぐ残り30分切るっスよ!?」

「くっ…!ハル君……」

ハルに対する不安が積もりゆく最中、兎龍丸のレーダーが複数の宇宙船をキャッチし通知が入る。

「なんスかこんな時に…。リ、リーダー!これ見て!」

「どうした?これは…ペダン円盤!?」

外部映像がモニターに表示され兎龍丸の真上を飛行しているペダン円盤軍の姿を確認する。ペダン円盤だけでは無い。分離形態のキングジョーブラックも隊列を組みながら飛行しているではないか。

「ペダン星人とヤプールらとの戦争は事実上、ペダン星人側の敗北と聞いていたが……わざわざこの星へヤプールと再戦をしに来たとは考えにくい…。では奴らは何故…?」

「その質問には私が答えよう。」

背後にワープして来たのかペダン星人が突如現れた。周りに武器を構えたペダンの兵士たちを侍らせている……恐らく上官か何かだろう。

「お前ら何処から!?」

「おっと、動くなよ。この状況下で抗うのは無意味なだけだぞ?」

拳銃を構えるレイジを煽りながら仲裁し、武器を下ろさせる。悠々とした態度で座席に腰を下ろすとペダン星人の上官は自分たちの目的である『レイオニクスの抹殺』について語り出す──。

「……と、この通りだ。理解して貰えたかな?」

「で、お前たちペダン星人がわざわざこの星に来たという事はこの星に憎きレイオニクスが居るという訳か。」

「そうだ。話が早くて助かるぞ──メ…」

「──リーダーだ。それで我々はレイオニクスでは無いのだが…いつになったら解放されるんだ?」

「…これは失礼。君たちに要はない。早々とこの星から去る事をオススメするよ。この星で検知したレイオニクス反応も残すところ……後2人だ。しかも戦闘中だとは…これは好都合。時間が惜しい、行くぞ。」

再びワープで次々とその場から消え去るペダン星人たち。上官もワープしようと機械に手を伸ばしていたがピタッと止まる。

「──くれぐれも面倒を起こそうなんて思うなよ?貴様らも死ぬ事になるぞ。」

そう言って上官は円盤に帰って行った。

張り詰めた空気がようやくほぐれ、レイジはその場に座り込む。

「し、死ぬかと思ったっス……」

「今回ばかりは肝を冷やしたな…」

ふぅーっと息を吹きながら胸を撫で下ろすリーダー。

最後に釘を刺してきたのから察するにこっちの状況も思惑は大方バレてそうだが…よし。

「さぁレイジ!発進の準備だ!急ぐぞ!」

「了解っス!ハル先輩を助けに行くっスね!」

リーダーは頷きながら船の設定を弄っている。エネルギーが最大まで貯まり、全システムオールグリーンの表示が出る。各々が席に着くと機体が浮上。

「そっちがその気ならコチラも受けて立とうじゃないか。兎龍丸…発進!」

レイジが発進レバーを奥に倒し込み兎龍丸がハルの元へと飛び立った!

◆◆◆

「いい加減にしろ!邪魔だ!」

キングジョーブラックの乱入によってハルとの戦闘に水を刺されたケレスは苛立った様子でバトルナイザーを振り下ろす。ゼットンとキングジョーブラックの戦いは寄せては返す波のようで、ほぼ互角と言ったところか。

「チッ……流石はペダニウム合金、厄介だな…。」

キングジョーブラックの強みはその防御力の高さだ。キングジョーの強化タイプとだけあって並の物理攻撃では傷1つ入らない。しかも過去の戦闘記録や今なお更新され続けるデータによって数あるロボットの中じゃ群を抜いた強さ…インぺライザーやギャラクトロンと勝るとも劣らないな。

「叩きのめせ…ゼットン!」

ゼットンの放った火球をペダニウムランチャーで撃ち落とす。──そんな拮抗状態が続く戦場をハルはただ見ている事しか出来なかった。

「クソっ……また何も守れないのかよ……!」

その悔しさをバネに意を決して片膝をつきながらハルはやっとの思いで立ち上がる。ゴモラも砂塵の中からフラフラと立ち上がるものの、限界が近い姿が見える。俺も正直限界だ。

でも……もう失いたくない!

「行くぞ…!ゴモラ!」

 

ゴモラとハルの目が赤く光る。身体の内側から溢れ出してくる、身を呑み込むような熱いナニか。頭の中をぐるぐると黒い嵐が掻き乱し、痛みも苦しみも全部忘れてハルに呼応しゴモラは再び血潮滾る真っ赤な姿へと転身する!

 

「ゴモラァァァ!やれぇぇぇ!!」

ハルの獣のような掛け声で2体の戦いに荒々しく乱入するゴモラ。重量級の体躯を活かしてキングジョーブラックに突進しゼットンにも豪快な尻尾の一撃を食らわせる。

「クハハハハッ!そう来ないとなァ!!」

かつてないほどの高揚を隠せないケレスは先程までのキングジョー戦なんぞ気にも止めずゴモラとの戦闘に意識をシフトさせる。

「ゴモラ!超震動波だぁぁあ!」

「ゼットン、押し返せ!」

超震動波とゼットンファイナルビーム、2つの攻撃がぶつかり合う。しかしパワーはゴモラの方が上回っているのか徐々にゼットンは押され始めた。ゴモラは更に力を加えてゼットンの胸中まで超震動波を押し上げる。超震動波が命中する直前にゼットンがテレポートしたことをハルは見逃さない。

「後ろだ!逃がすなァ!」

振り返りざまにゴモラは尻尾での殴打からのドロップキックで背後のゼットンを蹴り飛ばす。

「この痛み──。これこそレイオニクスバトルだ……!」

ケレスの狂喜の声を横目に倒れていたキングジョーブラックは立ち上がる。ペダニウムランチャーの銃口は丁度どちらにも当てられる場所にあり、3体の怪獣たちが睨み合う形だ。

「ゴモラ、ゼットン、キングジョーか……奇しくも"伝説の戦い"と一致しているとはな……。──そんな事どうだっていいさ!行くぞ!ゼットォン!!」

敵対し合う怪獣たちが動き出した、その時。

電撃状の光線と弾丸の雨がキングジョーを除いた2体の怪獣を隔てたのだ。

『レイオニクスの諸君。貴様らのどちらが先に死のうが構わないが我々には時間が無い。とっと始末させてはくれないかな?』

ペダン円盤から聞こえる声は姿が見えずとも俺たち2人を見下しているのが容易に想像できた。そして新たに5機のキングジョーブラックが分離形態から変形合体して地上に降下。

ガシャン…ガシャン……と1歩ずつ近づく漆黒のロボット兵団は無機質・無感情な分、逆に恐怖を駆り立てる。

情け容赦ない銃撃の嵐。

ゴモラとゼットンは各々の技をキングジョーブラックに向かって放つが装甲には少しの跡が残るだけ。

とうとう限界を迎えたゼットンはダウンするがゴモラの暴走は留まることを知らず、6機のキングジョーブラック相手に怯むことなく挑み続ける。それでも数の暴力というものは圧倒的で、その暴走列車とも言える怪獣を押さえつけ追い詰めていく。

「はぁ…はぁ…はぁ……」

息をする事さえ今は苦しくてしょうがない。ゴモラは満身創痍、ゼットンもダウンし残るはキングジョーブラックのみ。しかしハルの体力はもう底を尽きかけていた。キングジョーたちはゴモラを取り囲むように立ち塞ぎ銃口を突きつけつけた。

 

To be continued……

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