大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal 作:リクソンLv.6
「みんな…今頃どうしてるかな。」
吸い込まれそうな黒い星空を見上げてハルは呟く。そんなに時間は経っていないはずなのにリーダーとレイジがいない事が随分と昔のように感じる。
「でも、なんかこの感じ……2人に会う前みたいだな。」
それは寂しさを隠し、ただ強がっているだけなのかもしれない。それともまた会えると信じているのか自分でもよく分からない。
でも、今回ばかりは俺がどうにかしなきゃならないんだ。
──そう、1人で。
◆◆◆
時は遡り、この星における太陽。つまり恒星が地平線に沈む前…。
「ここはどこだ!?何を企んでる!?それより早く、俺をみんなのところに返せ!」
突如こんな場所に連れてこられた俺は早口でアリスにまくし立てる。アリスはうざったいと言わんばかりに顔を仰け反らせて、俺を押しのける。
「一気に聞いて来ないで!煩わしい!」
久々に怒られ、冷静になった俺を見るとはぁ…とため息をついてアリスは再び口を開く。
「ここは"惑星モルス"。この宇宙に存在する数多のレイオニクスが集結し、たった1人になるまで戦い続ける最後の決戦場よ。──勝ち残れば…あなたも2人の元に帰れるかもね?」
「何が帰れるだよ!勝ち残ったところで最後はレイブラッド星人の依り代になるだけだろ!」
悪魔の誘惑を跳ね除けて思いがけず言い返されたアリスは露骨に声のトーンが落ち、誰が見ても不機嫌になったと分かる。
「光栄な事でしょ?レイブラッド様の血肉になれるのだから。……それに本気であの2人の元へ帰りたいと思っているのならやめた方が良いわよ?」
「なんでだよ…?」
「これからあなたに降りかかる火の粉を彼らも受けることになるわよ。それくらいあなたのちっぽけな頭でも分かるでしょう?」
──ドクンッ!!
心臓が飛び跳ねた。
アリスの一言がまるでナイフのように俺の胸に突き刺さる。確かに自分でもどこか感じてはいたが、実際言葉にされてしまうと動揺が隠せず言葉も出ない。
アリスはそんな俺の様子を見て、クスリと笑う。
「それじゃあ、ハル。また会いましょう?あなたがそれまで生き残って入れば……ね?」
そう言い残してアリスはいつものように姿を消したのだった。
◆◆◆
俺は再びアリスの言葉を思い出していた。
俺は……本当にみんなの元へ帰っていいのか? 俺なんかがあの2人と一緒にいていいのだろうか?
そんな迷いが、どこに向かっているのかすら分からない俺の足を止めた。
「これ以上2人を巻き込む訳にはいかない……。」
その時だった。突然地面が揺れ始め、地鳴りのような音と振動が辺りを包み込む。
そして次の瞬間──!
ドゴォォォォォォォオン!!!!!
そんな轟音を立てて地面から何かが飛び出してきたのだ! その体表は岩のようにゴツゴツしており両手の爪は鋭く尖り、頭部には立派な角が2本生えている。
こいつは……
「キングザウルス三世!!」
しかし、地鳴りは収まらない。──つまりだ。
闇夜の空に打ち上げられた火炎弾が俺の目を一気に引き付けた。ソイツは岩山を薙ぎ崩しながら、その姿を露わにする。二股に別れた頭、炎のように遡った赤い皮膚…
「なっ…!キングパンドン!?」
驚いたのもつかの間、背後からものすごい勢いで岩石が2体の怪獣に命中し爆裂。1度聞けば忘れないその声は「王」の名をもつに相応しいと言えよう。
「次はレッドキングかよ!!」
キングザウルス三世・キングパンドン・レッドキング……
どの怪獣も“キング”の名に恥じない、ただならぬ風格を醸し出していた。
しかし今はそんな悠長な事を考えている場合では無い──!
「やっべぇ!!」
3体が衝突する点はどう考えても、俺の陣取っているこの場所だ。どうにか抜け出そうにも安全な場所などあろうはずが無い。
俺は覚悟を決めて、懐からバトルナイザーを取り出し空虚な空に天高く掲げようとした………………が。
キングパンドンが反撃に放った火炎弾がレッドキングに直撃し、その着弾した火炎弾の爆発によって発生した爆風に煽られ俺は吹き飛ばされる。加えてバトルナイザーは俺の手中から離れ前方に滑り落ちてしまった。
そして、俺の命の危機はまだ去ってはいない。
キングザウルスの赤い熱線が今まさに眼前にまで迫っていたからだ。
「あっぶねぇ…!って!ちょいちょいちょい!!」
どうにか体を逸らし避けられたものの今度はそれに被弾したレッドキングが怒り、目の前のキングザウルス三世めがけて突進してくる。
もはや心慌意乱。俺は攻撃の止まぬ入り乱れた征野の中、バトルナイザー向かって出しうる限りの速度で走った。
キングザウルス三世の角・キングパンドンの火炎弾・レッドキングの豪脚が触れる瞬間、バトルナイザーから激しい光が溢れ出す。
「行け!ゴモラ!!」
『バトルナイザー・モンスロード!!』
その光の中から現れた怪獣…ゴモラは地鳴りのような咆哮をあげながら突進しレッドキングと衝突する。
「キシャアアアア!!」
俺はすぐさまゴモラに命令を下す。
「ゴモラ!尻尾を使え!!」
俺の命令を聞いた直後、ゴモラは体をひねり巨大な尾でレッドキングの横腹を薙ぎ払う。その攻撃は見事にヒットしたらしく、レッドキングがよろめくのが見えた。
そして間髪入れずにキングザウルス三世を蹴り上げ浮かんだところを掴んでキングパンドンへ投げつける。2体の怪獣はもつれ合いながら地面に倒れ、土煙を上げる。
「よしっ!」
しかし、この戦場は安心する事さえも許されない。
キングザウルス三世を押しのけたキングパンドンの放った火炎弾連射がゴモラに直撃し岩山まで大きく飛ばされる。よろめきながら立ち上がったところへ地底から飛び出したキングザウルス三世の角による鋭い一撃…は、何とか受け止めゴモラは正面に投げ捨てキングザウルス三世に超振動波を撃つ。しかしカーテン状のバリアに阻まれ、オマケにショック光線を浴びせられる。更にレッドキングの追撃にドロップキックが加わりゴモラは満身創痍にまで陥った。
「まずいな…戻れ!ゴモ──」
危機感を感じた俺はバトルナイザーに戻そうと掲げるもゴモラは反応を示さない。それどころか「俺はまだやれる」と今にも言いそうな表情で怪獣らを睨みつけ微かに唸り声と白い吐息を漏らす。
そんな生意気な態度が気に食わなかったのかレッドキングが吠えブンブンと腕を振り回して近づいてくる。まるでガキ大将のようだ。
「分かった…!お前のプライド見せてみろ!ゴモラ!!」
その一声を合図に戦場は大きく動き出す。
ゴモラの目が一瞬光り、迫るレッドキングに向けて走り出した。レッドキングの振るった拳を屈んで避けつつ左手の爪で居合切る。そのまま体を捻らせてご自慢の尻尾を打ち付け、よろめき生まれた隙に鼻先の角をその土手っ腹に突き刺して超振動波を叩き込む。
レッドキングはその場で爆散するが、その瞬間を狙っていたのかキングパンドンは火炎弾をキングザウルス三世が熱線を放ってくる。腕をクロスに組んで防御の姿勢を取りつつ、ゴモラは降りかかる炎の中へと飛び込んでいく。
全身に炎を受けながらも怯むどころかキングパンドン右の頭を豪快に殴り、倒れる体を左下からの切り上げ、前宙して両頭の間に尻尾の一撃の華麗なコンボを食らわせる。
その衝撃でキングパンドンも倒れ込み……これで残るは3匹目!!
周りがやられたキングザウルス三世は威嚇しながらもジリジリと後ずさり、ゴモラから距離を取る。
「キングザウルス三世のバリアは強力だ…。正面からじゃまともに攻撃が効かない……そうだ!」
キングザウルス三世が熱線を放った時──!
「今だ!」
ゴモラは熱線を避けるように地底へ潜る。キングザウルス三世は熱線を放ち続けるが、ゴモラは地中に潜ってやり過ごす。と、同時にキングザウルス三世の周りの土が盛り上がったと思えばそこから岩柱がそびえ立ちキングザウルスの逃げ場を失わせた。困惑するキングザウルス三世を前に俺は叫んだ。
「行っけぇえ!!ゴモラァ!!」
キングザウルス三世の真下からゴモラが飛び出し、そのまま角で持ち上げて上空へとかち上げる。自由落下を始めたキングザウルス三世に向けてゴモラは最大出力の超振動波を放ち、そのままキングザウルス三世は消し炭となったのだった。
「……はぁ…はぁ…ふぅ……。ゴモラ、お疲れ様!」
ゴモラは自慢げにふんすっと鼻を吹かせながらもそっぽを向くと光の玉となってバトルナイザーに回収された。
「あ…」
答えはシンプル。悩んでいたけれど、答えはいたって簡単な事だった。
バトルナイザーの小窓に映る怪獣たちを見ながら俺はつぶやく。
「そうか…そうだったな……。なんでこんな簡単なことに気づけないかな〜俺。そうだ。2人が居なくとも、俺にはお前らが居る。…………これからもよろしく。みんな。」
そうして俺は再び歩きだす。心のどこかに希望と少々の不安を抱えながら───。
俺の背中からゆっくりとギラギラ光る恒星が登って来ていた。
◆◆◆
〜少し時間が経ち〜
「あ……あっぶなかったぁぁぁ〜…。ひぇぇ、この星やば過ぎるだろ…というかあのゴモラなんだよ!強すぎんだろ!」
戦いが終わり岩陰からレイオニクスのゴドラ星人が姿を現す。どうにか生き長らえるためにキングパンドンに死んだふりをさせていたのだった。
「よぉぅし!命ある限り私の宇宙征服計画は続くのだ!ハッハッハ!」
「随分楽しそうね?」
「あぁ!もちろんだとも!……って、誰だ!?」
ゴドラ星人が声のした方を見るとそこには1人の少女が立っていた。
「お前は……!ちょっと待て!貴様もこの戦いの参加者だったのか!?」
その少女はまるで人形のような整った顔立ちに、腰まで伸びた長い白髪をたなびかせていた。そして何より特徴的なのはその瞳だった。彼女の瞳は血のように赤く、また宝石のように綺麗で引き込まれそうになっていた。
しかし、ゴドラ星人にとってはこの宇宙で最も恐ろしい目であると感じ身震いしていた。
少女の手には通常とは形状の異なるバトルナイザーが。
彼女の覇気に気を取られていたが、少女の姿とは裏腹にその背後には逆光で姿はよく見えないが5つの怪獣の顔を持ち合わせた禍々しい怪獣だと言うことはわかる。
「う、うわぁぁぁああああ!!」
それぞれの顔が咆哮を上げるとゴドラ星人は恐怖を絶望で慌ててキングパンドンを叩き起こし火炎弾を発射させるがまるで効いている様子は無い。
その怪獣は翼を広げてふわりと浮かぶと各怪獣の部位から光線光弾を一斉射してゴドラ星人もろともキングパンドンを塵も残さず消し去った。
「ふぅ…。ちょっとやり過ぎちゃった♡」
少女はニヤリと笑いその場を後にするのだった。
To be continued……