大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第24話:『雷』

「貴様ら……嬲り殺しにしてくれるわァ!!」

 

「行こう!ハル!」「行くぜ!ニーナ!」

 

ハルとニーナの声が重なる。2人に続くようにホロボロス、ラゴラスも飛び出した。ゼットン星人のインセクタスはそれを迎え撃つ形でどっしりと構えている。

──ジジジジジジジ…

3体の距離が縮まり今まさに衝突する直前、林の奥から飛び出してきたサタンビートルがラゴラスに突進し1VS1の状況を作り出す。

「くっ…!インセクタスの昆虫操作……!分かっちゃいたがやっぱ厄介だな!ニーナ!インセクタスはそっちに任せる!」

ニーナは頷きバトルナイザーを小さく構える。ホロボロスとインセクタスが睨み合う。

──ジジジジジジジ…

「ホロボロス!行くよ!」

ガウォンと吠えたホロボロスはインセクタスに向かって猛スピードで突進しその体に強烈なタックルをかます。体勢を崩したインセクタスへホロボロスは続けざまに右爪を振り下ろそうとする。

その一撃はインセクタスの装甲…ではなく地中から突如現れたケムジラを2つに裂いたのだった。

「そんな…!他の怪獣を身代わりに……!?」

驚くニーナにリンクしてホロボロスは一度距離を置くが再び突撃し角でガードを固めるインセクタスと幾度となく火花を散らしあう。

◆◆◆

─宇宙─

「これでもう1週間っスよ!」

「言っていても仕方ないだろう!」

宇宙の片隅。周囲に惑星1つ見られない宇宙のど真ん中で、リーダーとレイジはハルのことについて言い争っていた。

ハルの身につけていた通信機が兎龍丸のサーチ範囲から外れている事から、かなり遠くの星に飛ばされた可能性が高い。……とリーダーが予測したのは良かったものの宇宙という大海原を行けども行けども何一つハルに繋がる情報は得られないでいたからだった。

「オレが……、不甲斐ないばかりにハル先輩を何処かの星に……」

レイジはいつもの明るい表情とは打って変わって眉間にシワを寄せ深刻な顔つきで嘆いていた。リーダーも自分の無力さを痛感しテーブルにもたれて下を向くと誰に聞こえるでもない声で呟いた。

「……すまない…。」

こうして何の成果もなく1週間も経ったのだ。それでも我々が諦める訳にはいかない。

2人が沈黙して幾許(いくばく)かが経った時だ。

ビィーッ!ビィーッ!!

船内のスピーカーから警報音が鳴り響く。

2人は同時に顔を上げお互いに目を合わせるとリーダーはすぐさま回線を繋ぎモニターを映し出す。

「なんだコイツ!?」

「甲殻類…いや爬虫類とも……」

鋭く尖った鼻先を持つ顔立ちに甲殻類を思わせる赤褐色を基調とした甲殻に加え、後頭部からは2本の細長い触角が生えているその姿は爬虫類と甲殻類の要素の両方が混ざり合ったように見える。

その怪獣は両腕の手甲をこちらに向けると蒼白い光弾を無数に放ってきた。

「おぉっ!?問答無用って訳だな……!」

レイジが間一髪のところで舵を切り、ダメージは最小限に抑えられたが兎龍丸のあちこちに小さく焼け焦げたような跡が出来ていた。

ピピッ……!!

「リーダー!別の反応が現れたっス!」

「何!?」

『やれぇバザンガ!その船を宇宙の藻屑に変えるのだ!』

バザンガの背後に居たのはバルキー星人。

バザンガはその要請に応えるように先ほどよりも多くの光弾を兎龍丸に向けて放つ。その一撃、一撃が重く直撃こそ避けたものの船体が大きく揺れる。

「2対1じゃ部が悪いっス…!」

"その船"…か。奴ら、明確に我々を狙って来たな…。

恐らくはハル君関連……

───捕らえれば何か情報が得られるか……?

「レイジ!まずは怪獣の方を対処するぞ!バルキー星人は何か知っていそうだ。」

「了解っス!」

◆◆◆

「ラゴラス!トドメだ!!」

ハルがバトルナイザーを振るうと了解の合図か、ラゴラスが咆哮し冷凍光線を空を舞うサタンビートルに浴びせ瞬時に凍結させていく。サタンビートルはそのまま地面に墜ち、衝撃で全身木っ端微塵になるのだった。

「よし!」

ゴモラの時もそうだったが仲間たちの成長を真に感じる。

……だが、いつまでも戦闘中にそんな思いを馳せている暇はない。

「さぁて…あと何体だ……?」

インセクタスはその後も昆虫怪獣たちを呼び寄せ続けハルとラゴラスが対処に追われる形となっていたからだ。

迫る怪獣たちの相手をしながらハルはニーナの戦闘の方へと視線を向ける。

「グルラァウ!!」

インセクタスの突進をホロボロスは大きく飛び上がることで躱し、そのまま空中で一回転して巨爪を振り下ろすとインセクタスは地面に叩きつけられた。

その衝撃は凄まじく、土埃が舞い上がりハルたちの視界を遮る。

「ホロボロス!そこよ!!」

間髪入れずホロボロスは次の攻撃モーションに移る。インセクタスはその攻撃を察知したのか、左角でホロボロスの右腕に突き刺し右角と中央の角でその体に勢いよく突き刺した。

鋭い角が皮膚を裂き血しぶきが上がる。

痛みのあまり暴れ出すホロボロスだったが、インセクタスは離そうとしない。それどころかより深く角を食い込ませる。

「うっ………!ぐぅぅ…ァァ………………!!!」

───痛み…!?今までこんなこと無かったのに!!

 

でも……この距離なら……!

 

「フハハハハ!このまま切り裂いてくれるわァ!!」

ゼットン星人の合図でインセクタスは皮膚に突き刺さった角をグリグリと押し広げ、肉を抉っていく。

 

『邪魔』は入らない───!!

 

ホロボロスは角の刺さった右腕でインセクタスの左角をガッチリと掴み、そのままインセクタスを地面に叩きつけた。その衝撃にインセクタスの角は抜ける。

 

「いっけぇぇぇぇえええ!!!」

「ガウォォォォォオオオ!!!」

 

電撃を纏った渾身の一閃撃は鋭い角を硬い甲殻をも砕きながらインセクタスの脳天を貫く。

 

それは喩うるならば───まさに、(神なり)

 

インセクタスは悲痛な断末魔を上げると共に地に伏し、その複眼からは灯火が消えた。

「ば、バカな……!!俺のインセクタスが!」

「ハァ…ハァ………私の勝ちね。」

「くっ!ま、まだだ!俺にはまだ怪獣が───ああああああ!!」

ゼットン星人がバトルナイザーを掲げた途端、ニーナの背後からマジャバが襲い掛かりゼットン星人を遥か彼方へ連れ去って行ったのだった。

おどろいたニーナが振り返ると、インセクタスを倒したにも関わらず昆虫怪獣と戦い続けるハルとラゴラスの姿があった。

「どうして!?」

声を上げたが、冷静に考えるまでも無かった。インセクタスが昆虫怪獣たちを操っていたとはいえ目の前にいるのは見知らぬ敵。統率は乱れていても戦闘を続けるのは必然と思えたからだ。

「ハル!今そっちに……」

ズドォン……

ホロボロスは満身創痍。もはや助けに行ける状態ではない。バトルナイザーにホロボロスを戻しハルの元に駆け寄る。

「お…!そっちは終わったん…だな……!ちょっと待っててすぐ片付けっ……から!」

聞かなくても分かる。ハルも限界なんだ。いや、もしかしたら限界すら超えているのかもしれない。

ハルがよろめくと、ラゴラスが地に膝を付き小さく吼えるがバトルナイザーに強制回収された。辺りには無数の昆虫怪獣たちが跋扈(ばっこ)している。

 

2人の間に一陣の風が吹き抜けた。

 

ハルとニーナの頭上、丁度天辺(てっぺん)に位置していた恒星の光が"何か"で遮られる。

その影には異質に光る瞳を持った顔が"5つ"存在した。

「何…あれ……」

「怪獣…なの……か?」

2人が見上げ、そう呟いた瞬間。

瞳が異質に歪み閃耀(せんよう)したと認識した時には全てを消さんとする破滅の光が降り注ぎ、2人を取り巻いていた昆虫怪獣たちは数秒経たずして見るも無残な姿に変わり果ててしまった。

「なんだよコレ…めちゃくちゃじゃねぇか……」

「強すぎ…る……」

大きな布を重くはためかせたような音を立てて、ソレは降りて来た。光に照らされ顕になったその全身を見てハルは驚愕と絶望を味わうことになる。

「ゴルザ、メルバ、レイキュバス、ガンQ、超コッヴ……合体怪獣ってことかよ…!!」

「え!?あれって……」

───パチ、パチ、パチ、パチ。

その怪獣の左肩から乾いた拍手が聞こえる。

俺はそこに佇む"少女"の姿を睨んだ。その顔は微笑んでいながら、どこか歪んだ表情に無理やり貼り付けているように思えた。

「ご明察よ、ハル。それにニーナも。」

「アリス!ありがとう!助かったわ!」

「……っ!それ以上近づかないで。」

1歩2歩と近づくニーナの足が止まる。困惑の表情を浮かべる彼女に向かってアリスはその言葉を口にした。

「私がここに来たのは…他でもない、ニーナ。あなたと………『レイオニクスバトル』をする為よ。」

 

To be continued……

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