大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal 作:リクソンLv.6
M78星雲。6900万もの恒星が存在するこの星雲の中、翡翠色に輝く星。『ウルトラの星』がある。この星に住むウルトラ族…特に"ウルトラ兄弟"と呼ばれた者たちは遥か遠くの星である地球の人々を見守り、時に手を差し伸べ、時に力を合わせ、そして彼らを愛していた。
─光の国・宇宙警備隊本部─
プラズマスパークタワーから少し離れた場所に浮かぶ菱形の宇宙警備隊本部。その内部で宇宙警備隊隊長のゾフィーは2人の戦士の帰還を待っていた。
「戻りました、ゾフィー兄さん。」
「ご苦労だった。タロウ、80。」
────────
「何!?怪獣墓場の怪獣たちが!?」
タロウと80から受けた報告を受けゾフィーは驚きの声を漏らす。それは怪獣墓場の怪獣が1体も残らず姿を消していたからだった。
「それに加え通常時の数倍、マイナスエネルギーを強く感じました。」
「昨今の怪獣頻出、怪獣の凶暴化はこれが原因なのかも知れませんね。」
と80、タロウが続く。ゾフィーは少し考え込んでいると1人のウルトラマンだった者の顔が思い浮かんだ。この星を幾度となく襲撃し、1度は壊滅状態にまで陥れた悪のウルトラマン…
「まさか……ベリアルが!?」
「いや、ソイツはねぇな。」
ゾフィーの考えをすぐに否定したのはウルトラマンゼロだった。ゼロは更に続ける。
「ギガバトルナイザーはジードが破壊した筈だ。それに、あの頃のベリアルが復活してんならもっと大々的に動くだろ。怪獣墓場の怪獣を1匹残らず蘇らせれる力があるなら尚更…な。」
ゼロの言葉にゾフィーは納得の意を示し、今回の件をこう締めた。
「アブソリューティアンが息を潜めているのが現状だ。それに加えGRFからレイブラッド星人の情報も得ている。総員警戒を強めてくれ。」
ゾフィーを除いた3人は頷くと各々、宇宙警備隊本部を後にする。静かになった本部でプラズマスパークタワーを見つめながらゾフィーは呟く。
「この宇宙で一体何が起きようとしているのだ……もしくは、もう既に───。」
◆◆◆
「あっぶねええっス!!」
「損傷は!?」
リーダーが確認するとモニターには損傷率25%と映し出されている。バルキー星人とバザンガの攻撃は受けていながらもここまで戦闘を続けられるのは流石ペダニウム合金とプラズマエンジンだなと言わざるを得ない。
『何をしている!あの程度の船、さっさと落とせ!!』
バザンガに暴言を吐き、げしげしと虐めるバルキー星人。
「そんな簡単に落とされるもんかっての!」
レイジは憤慨しながらも兎龍丸を巧みに操り、バザンガの弾幕の雨を掻い潜りながら攻撃の機会を伺っていた。
「む……。」
あれは…バルキー星人か。加え、初めて視る怪獣……。
あのような者共に狙われるとは……しかし、あの艇───
「……我の眼も随分鈍ったか。」
この宇宙は弱肉強食。常に死と隣り合わせだ。彼が紅く染まった瞳を逸らしその場から飛び立とうとした時だ。
『──彼らを助けてあげて。』
突如響いた声に対し、刀の
「……また貴様か。いい加減、姿を現せ!」
しかし聞き覚えのあるその声は彼に応えることなく先程と同じ言葉を続け、彼は刀から手を離す。
『──彼らを助けてあげて。』
「何故だ。過日は貴様が強者に逢えると言ったが故に貴様の言う通りにしただけだ。」
『──それが貴方の求む強者に逢えるとしても?』
その剣豪は紅い瞳を軽く閉じる。暫くの後、一つ舌を打つとゆっくりと瞼を開け腰に
「良いだろう…貴様の戯れ言、この我が偽であると証明してくれる!」
◆◆◆
「ああもう!これじゃいつまで経っても攻撃できないっス!」
「耐えるんだ!そうすれば必ず……」
こうも攻撃が激しいとそうは言ってられない。レイジたちは必死に回避行動をとり続ける。しかしバザンガはそんな2人を嘲笑うかのように弾幕を張り続けてくる。
──プスッ!プシュプスッ!プスッ!
「攻撃が止まった…!?」
手甲の気門のような穴からの弾幕が唐突に終わりを告げた。バザンガは首を傾げて手甲を軽く叩きつけ合う。直後、雄叫びを上げながらバザンガは接近してきた。
「今だレイジ!冷凍メーサー光線発射!」
「了解ッス!!」
機体下部から展開されたパラボラアンテナ式の銃口から、マイナス183度の冷凍光線が放たれる。光線は防御姿勢をとるバザンガの手甲に直撃、煙が舞う。
「やったっスか!?」
白煙を突き破り目の前に現れたバザンガは兎龍丸の船腹を両側から挟み込む。
「流石にマズイか…!?」
幸いペダニウム合金製の装甲だ、今に押し潰さんとするその怪力でも少しの間なら持ってくれる筈だが…そう長くは……どうする!?
ビーッ!ビーッ!ビーッ!
「リーダー!」
「放っとけ!!」
兎龍丸の装甲が軋みミシミシと音を鳴らしている最中、警告音が鳴った。
それよりも今は現状を脱しなければ。
この音は機体の破損や故障を知らせるものではなく、"何か"がこの船に接近している時の警告音だったからだ。
『フハハハハハ!そのまま潰してしまえぇぇ!!』
……刹那、空間が斬れ、そして歪んだ。2つの切断痕のみを残し全てが元に戻る。
ここは宇宙だ。間違いなく。
風一つ、いや空気すらも存在しない筈だ。
だがそこには確実に『風』が吹いていた。
1人の剣豪が2刀を鞘に収める。
「…………。」
でなければ、赤い髪がその時揺れたのは一体何だと言うのだ。
静寂にポツンと両腕と身体を断ち切られバザンガだったものがふわりと浮いている。
「き、貴様!何者だ!?」
「我が名はザムシャー…お前を斬る者よ。──参る!」
目にも止まらぬ凄まじい速さでバルキー星人を追い詰めていくザムシャー。そこに我々が付け入る隙などあろうはずが無い。
「フゥンッ!」
小惑星の岩壁にまでバルキー星人を押さえ込み、その首に星斬丸の切っ先をかざすザムシャー。
「くっ…!宇宙の剣豪ともあろうお前が、ひ…ヒーロー気取りか?随分と丸くなったもんだなあ!ははは…!」
バルキー星人はザムシャーへの挑発の中に嘲笑を浮かべる。が、彼はそれを気にも留めない。
そしてただ一言……
「我は強者のみを求む。しかしそれは貴様ではない。さあ!我を真の強者と戦わせるがいい!さもなくばその首を……。」
ザムシャーは星斬丸をバルキー星人の首に食い込ませる。
そして、その紅い瞳を更に紅く染め上げ……
「待て!」
ザムシャーの手が止まる。先程助けた宇宙船からだ。その船はザムシャーの横で停止するとバルキー星人に向かって問い始めた。
「ハル先輩は何処に居るッスか!」
「知るかよ!そんなやつ!」
荒ぶる若い声に対しバルキー星人は無愛想に投げ返す。今度は成熟した落ち着いた声が宇宙に響く。
「では、地球人のレイオニクスと聞けば分かるかな?」
「レイオニクスだぁ?……ハッ!今頃惑星モルスでバトルに負けて死んでんじゃねェか?HAHAHAHAHAHA!!」
言い切りざまにザムシャーはその首を断ち切った。
不安と重苦しい栓みたいなものがリーダーとレイジの胸の奥に残っていた。
「惑星モルス…そこに行けば我の望む強者に出逢えるとな……?」
「ザムシャー!」
レイジが声を上げた。ザムシャーは刀を鞘に納めながら振り返り兎龍丸を見つめた。
「惑星モルスの場所を知っているならオレ達をハル先輩の元へ連れてってくれないか!」
「何故だ。」
ザムシャーの短い返しにレイジは俯く。しかしすぐに顔を上げ、しっかりとした眼差しをモニター越しに彼へ向ける。
「オレたちはハル先輩を助けたいんだ!だから頼む!」
彼はその紅い瞳を閉じ、再び開くと兎龍丸に背を向けた。
しかしそれは決して拒絶や無視の類ではない…彼なりに言うなら『勝手にしろ』というところだろうか。彼の背中がそう物語っていたようにレイジたちは感じとっていた。
ザムシャーに続いて兎龍丸は惑星モルスに向けて舵を取る。彼の地で未だ戦い続ける仲間のもとへ向かって。
To be continued……