大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第28話:どくろ100兆度

─惑星モルス─

時は少し遡り……

ハルたちが激闘を繰り広げていた頃、この星の僻地にて。

「トドメだ。やれ、バラバ!」

殺し屋超獣の残虐な一撃が最凶獣ヘルベロスの皮膚を斬り裂く。ヘルベロスの瞳からその灯火が消え去った頃、目の前に佇むレイオニクスは言葉を残すこと無く塵となり消えたのだった。

闘いを終えた怪獣たちの亡骸がその大地には雑に転がっている。

「………。」

ここら一帯のレイオニクスは全て狩りきっただろうか。

かなりの敵と戦ったが、やはりあのレイオニクス。

……たしか"ハル"とか言っていたか。奴には程遠い雑魚どもばかりでつまらん。あの小娘の事だ、どうせ奴もこの星に連れ込んでいるだろう。

次会った時には──。

バトルナイザーを強く握り締め深く息を吸い込み落ち着きを取り戻す。

「奴のことになると、どうも冷静さに欠けるな。フッ。この俺がか?…まさか。」

そうして振り返るとケレスは先程から感じていた視線の主に声を飛ばした。

「その趣味の悪いロボットで俺を追い掛けるのも、コレで最後にしてやる。出てくるがいい…ペダンの残党ども。」

その言葉を皮切りにして岩陰から空から。ありとあらゆる場所から武装したペダン星人たちは現れた。

「動くな!我々の星だけでなく仲間たちの命まで奪ったレイオニクスを生かしておくものか!」

そしてその背後にはもちろん、キングジョーブラックがこちらに銃口を突きつけている。

「進軍せよ!キングジョーブラック!!」

「丁度雑魚ばかりで退屈してたところだ。相手になってやるよ。やれ!バラバ!!」

 

──その戦いが始まる直前。

ケレスが感じていた視線とは別にもう1人の宇宙人が岩山からその姿を見ていた。

「ふーん…。アイツならちょっとは楽しめそうかな?」

その男は久々に感じた鼓動の高鳴りに口元がニヤリと動き、片耳のイヤリングをチリン…と鳴らすのだった。

 

ペダニウムランチャーが火を吹き、流れ弾が土塊を巻き上げる。そうして身体を汚しながらもバラバは黒鉄の機械兵団をなぎ倒し粉砕していく。

鉄球から勢いよくアンカーが射出され1体のキングジョーを絡めとる。直後キングジョーを一気に引き寄せ、右腕のペダニウムランチャーを空へ軽々しくズバンと跳ね飛ばした。

「負けるな!ありったけを投入せよ!!」

死角からの攻撃も頭部の剣が光を放ち、次元の裂け目を引こ起こしたかと思えば別機体の背後に攻撃を移すといった感じで多対一とは思えない戦いぶりだ。

残るは十数体……

この様子であれば、俺が勝つのはもはや必然か。

「バラバ!さっさと片付け───何だ…………?」

さっきまでこちらに照準を合わせていた銃口がどれも明後日の方向に変わりペダン星人たちも顔をそちら側に向けていたからだ。

ペダン星人たちの視線を追うようにケレスも目を向ける。

「ヤツは…」

手元のバトルナイザー…それも銀色のバトルナイザーNEOを回転させ光を反射させる。胸前でガシッと掴み取るとソイツは声高々と用心棒を呼び出した。

「いけぇ!レッドキングゥ!!」

『バトルナイザー・モンスロード!!』

聴き馴染んだ機械音が鳴り響き、放たれた光球からどくろ怪獣レッドキングの姿が現れた。

着地の衝撃でグラつく地面をレッドキングの咆哮が鎮まらせる。岩山から飛び降りたその宇宙人はペダン星人なぞには目もくれずケレスに近づき声をかけてきた。

「よっ。お前中々強そうだな。」

「キール星人か…貴様も俺と戦いたいのか。」

「話が早くていいねぇ。……さぁ勝負しようぜ。」

その飄々とした風貌からは計り知れない強者の気配。

ケレスがバトルナイザーを構えるとやる気満々とした雰囲気だったキール星人の動きが石のように止まり2、3度瞬きを繰り返した。

「え、お前マジかよ…見込み違いかぁ〜……」

「なんだと?」

「まぁでもうん遊び相手にはなるか。うん、そうだな。よしさっさと…………ん?なんかデジャブ。ま、いいか。」

「キール星人…貴様ァ……!」

キール星人の煽りに憤慨したケレスは強くバトルナイザーを握るとバラバに攻撃命令を送ろうと手を伸ばす。

「貴様ら!動くな!!」

こちらもこちらで怒りの頂点に達したペダン星人の兵士たちが武器を構えて隊列を組んでいる。

「チッ…面倒だな……。レッドキング、やっちゃって。」

レッドキングは雄叫びを上げて威勢よくキングジョーブラック軍団に向かっていく。

「レベル3程度の怪獣でキングジョーブラックに敵うものか。」

しかし、ペダン星人の余裕な様相はその全てをレッドキングによって破壊される。

レッドキングはまさに猪突猛進な突進でキングジョーブラックを仰け反らせるとペダニウムランチャーを使わせる暇も与えぬまま一方的に(なぶ)り続けた。

それだけではない。他のキングジョーブラックから攻撃を受けてもケロりとした様子で1体、また1体とキングジョーブラックを倒していく。

「レッドキング。ト・ド・メ。」

キール星人の命令にレッドキングは力強く吼え地面を両拳で叩きつける。地の裂け目から噴火の如く炎の衝撃波が吹き上がりキングジョーブラックたちを纏めて粉砕したのだった。

「ば、馬鹿な!我々のキングジョーブラックが…!?」

「まだやるかい?」

「い、一時撤退!全軍下がれぇ!!」

バトルナイザーの形状といい、あの強さ…コイツは恐らくまず間違いなく『覚醒者』と見て良いだろう。

だが───。

相手にとって不足は無い!

「俺の名はケレス。宇宙工作員だ。貴様、名は?」

「え、なに?名前?……俺はグランデ。」

どこかふざけた立ち振る舞いが少々気に触るがまぁいい。

ケレスはバトルナイザーを振るいバラバに命令を送る。

「バラバ!やれ!」

「レッドキング!」

両者、身体がぶつかり合う。フィジカルは互角と言ったところか。お互いにパワー系だからだろう、その衝撃はいつにも増して凄まじい。

レッドキングの右ストレート、バラバの棘鉄球が腹部に直撃。続けざまの尻尾攻撃はバラバの鎌によって弾かれる。

一進一退の激しい攻防が繰り広げる最中、ケレスは違和感を感じていた。

「これは…そうか、なるほど。…………チッ!」

異変に気づいたケレスは今まさに戦っているバラバを退かせ、グランデに問う。

「貴様、どういうつもりだ!」

「それはこっちのセリフだ。もう止めようってんじゃねぇだろうな?」

「ならば……貴様も本気を出したらどうだ。貴様のレッドキング。明らかに力を抜いているだろう!それに貴様が真のレイオニクスバトルを始める気が無いのが何よりの証拠だ!」

グランデはため息を付いて人差し指を立てると左右に振り言葉を続けた。

「違う違う違う。お前みたいなのに本気を出したら、すぐ死んじまうからこうやってるだけ。」

随分と大口を叩いたものだ。 コイツは強い。間違いなく。しかし、この俺がどれだけのレイオニクス共を屠ってきたか。俺があの地球人を超える為にどれほど強くなったか。

「本来であれば貴様に見せるつもりは無かったんだがな。戻れバラバ!」

何かを察したグランデの口角がつり上がった。

「行け!ゼッットォォオン!!」

『バトルナイザー・モンスロード!!』

眩い光と共に漆黒の宇宙恐竜が惑星モルスの地に降り立つ。静かに佇むその姿は底知れない不気味さが醸し出されていた。

「お前そんな面白い怪獣持ってるならもっと早く出せよ!」

驚きの声を上げながらもグランデは楽しげな様だった。

その態度は余裕と自信の表れか。

「驚くのはまだ早い!ゼットン!お前の本気を見せてみろ!!」

バトルナイザーを握る力が自然と強くなる。ケレスに合わせ、ゼットンが胸の前で腕をクロスするとその身体が光に包まれていく。

ケレスの持つバトルナイザーがバトルナイザーNEOへと変化した次の瞬間、力を解き放ったゼットンは『EXゼットン』へとその姿を変身させたのだった。

「おい……おい、おいおいおい!……ハーッハッハッハ!!これだからバトルはおもしれぇんだ!!」

グランデは大きく笑いを上げながら両耳にぶら下がるピアスを幾度となく鳴らさせる。

「ここからは手加減無しのガチ勝負…真のレイオニクスバトルの始まりだァ!いっけぇぇ!レッドキングゥ!!」

「ゼットン!捻り潰せ!!」

EX化に伴い発達した背中が開く。そこからのジェット噴射で勢いよく飛び出したゼットンのスピードを一体誰が追えるだろうか。

そのままの速度で爪を突き立てレッドキングを狙い打つも、相手は無数の修羅場をくぐり抜けてきた猛者だ。

そんじゃそこらの攻撃でくたばる程甘くは無い。

本気の2体がぶつかり、凄まじい衝撃が走る。脚が、爪が、頭突きが一進一退。ぶつかり合う度に大地は割れ罅割れる。

レッドキングとゼットンの壮絶な攻防に戦場を離れたペダン星人も思わず遠くから眺めてしまう始末だ。

だが攻めて攻められの精神で2体の怪獣は戦っていた訳では無い。相手への攻撃こそ最大の防御でもあるのだ。

「はあああ…ハァッ!」

しかし…ケレスはバトルナイザーを乱雑に振り回す。EXゼットンにケレスの身体が追いついていないのだ。右へ左へと振り回されるその攻撃はメチャクチャだ。

その攻撃をパワー系ながらレッドキングは全てを捌きつつ反撃を繰り返す。だが、一発たりとも手を抜くつもりは無いらしく急所を狙う一撃ばかりが繰り出されていた。

ズドォン!

互いの拳が顔面に直撃し両者が大きく仰け反って離れる。───クロスカウンターだ。

 

「これでキメる!ゼットン!!」

「!………レッドキング!」

 

その言葉を受けた直後、辺りの空気が変わった。

その不可視の空間は一瞬にして圧縮され、1つの紅蓮に燃えるエネルギー球へと姿を変える。

ゼットン最大の必殺技……それが今放たれたのだ。

空気中のあらゆる物質を取り込み、超高密度の火球がレッドキングに迫る。

しかしレッドキングもただでは終わらない。

迫る超火球に対して真っ向から拳を振りかぶる!

そして───!! ズドォォォオオオンッ!!!

爆炎と衝撃波で辺りの岩は吹き飛び、地割れはより深くまで進行していた。

 

風が吹き抜け静寂が訪れた。

 

「いってえええ……中々やるじゃねぇか。」

「………………。」

 

煙が晴れ、2体の怪獣が姿を現す。

いつからかゼットンのEX化は解かれ顔面のリレー発光が止まっている。それに対してレッドキングの右腕は焼け焦げ、グランデと同じく荒く息を吐いていた。

──バタン…!

あまりの反動か火球の衝撃からなのかは定かでは無いがケレスは力なく倒れ意識を失う。

未だリンクが繋がったゼットンも同じタイミングでひび割れた大地にその身体を預け衝撃を与えた。

その時。

地割れの進んだ大地がその衝撃で大きく動きケレスを巻き込んだゼットンの真下が崩落を始めた。

目の前で巻き起こる嵐よりも騒がしく忙しい事の連続にグランデは見ていることしか出来なかった。

「うわぁ…高っけぇ………こりゃあ──。…………まぁ、うん。アイツは運が無かったってことだよな。うん。仕方ない。そういうこともあるよ…。」

両手を合わせて深く亀裂の入った大地に合掌を捧げる。

「…じゃあな不運な宇宙工作員さんよ。」

バトルナイザーにレッドキングを戻しつつ振り返るとピンッと背後に合図を送り宇宙船へと乗り込むのだった。

 

To be continued……

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