大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第29話:墜下する兆域空洞

「んぐ…。ここは……」

空から差し込む一筋の光がケレスの瞼を開かせた。周りを見渡し広がっているのは暗い砂の空洞であることを認識する。

俺はEXゼットンの力に振り回され……結果、グランデとのバトルに負けたと見ていいだろう。しかし好戦的な性格を持っていたあの男が俺を殺さず見逃すことなどするだろうか?

「───いや、俺自らが地割れに落ちでもしたと考えた方が筋は通るな…。」

ケレスは差し込む光に目を眩ませながら空…地割れで出来た渓谷の隙間を仰いだ。

「あの高さから落ちて生きている、というのも俺の不幸ゆえなのかもしれないな。」

高さはかなりのもので怪獣を使っても、そう易々とよじ登れる高さではない。気づかないうちにNEOから戻った通常のバトルナイザーをホルスターに仕舞うと、ケレスは砂に沈みゆく右手を引き抜き重い腰を持ち上げた。

「チッ…落ちた衝撃でやられたか。」

すぐ上に戻ろうにもワープ装置が壊れて起動すらしない。面倒なことになったものだ。

仕方あるまい、とにかくここから上に出る方法を探らねば。

ケレスはそう思い立ち一つ溜め息をこぼす。

砂の空洞に足跡を残しながら。

◆◆◆

少し時は流れ…。

 

「随分と広いな。」

行けども行けども空洞が自重で潰れないように天井と地上を繋がらせている柱と、たまに地上の割れ目から光が刺しているだけだ。

それにしても妙だ。この空洞が自然に出来たものだとして、この柱…どれも似たように溶かされて出来ているみたいだ。

柱の側面を擦り他の柱にも目を配る。

「何者かがこの空洞を作ったとして……一体なぜ?」

ゴゴゴゴゴ……

すると、空洞が揺れ始めたのを感じケレスは思わず身を潜める。数秒と経たずにその理由と思しき者"たち"が砂埃を上げながら空洞内に現れた。

「グドン、それにテレスドンか。見た感じレイオニクスの使い魔という訳ではなさそうだが…縄張り争いか?こんな星で……?」

2体は同じ場所から飛び出すと戦いを始める訳でもなく"何者か"から逃げて砂埃の舞う方から離れていく。

その時、砂埃から二本の蛇腹状のモノが伸びた。

内1本がグドンの腹を貫き砂が舞う穴の中へ引きずり込まれると途端にフラッシュ。一時の静けさが訪れた。

静寂を破ったのは逃げ惑うテレスドンによる恐怖の唸りだった。テレスドンは太く発達した足で砂を蹴り上げ走る。

しかし捕食者はテレスドンが逃げることを許さない。

穴の中から伸びたソレが脚を足を掴み取り再び轟音を立て引きずり込まれていく。

「2体の怪獣を容易く…何者だ……?」

その問の答え合わせはすぐに行われた。地中から姿を現した見たことも無い…地球で言うところのモグラに似た怪獣は腹をポンポンと叩く。

怪獣を平らげたであろう口元を舌なめずりで拭き取ると今度は鼻をクンクンと動かし隠れているケレスの方へと体を向けた。

『幻視怪獣接近!"幻視怪獣モグージョン"接近!!』

バトルナイザーから機械音声が流れた事で、モグージョンの疑惑は確信に変わったのだろう。足を早めてドタドタと走り出した。

「チッ、余計な事を…」

空気の読めない召喚機(バトルナイザー)に文句を付けながらもケレスは迫るモグージョンの前に飛び出しバトルナイザーを構えた。

「怪獣のくせして、食後に運動とはいい心掛けだ。相手になってやる。いけ!バラバ!」

『バトルナイザー・モンスロード!!』

モグージョンが地を蹴る。

その巨体から繰り出されたタックルを光から飛び出したバラバがかろうじて受け止めるも、後ろに突き飛ばされた。砂の大地に踏ん張りが効かず足裏はどんどんと沈み込み態勢を崩したバラバは為す術なく押し倒されてしまう。

マウントポジションを取ったモグージョンは拳を振り上げ顔面へと振り下ろした。バラバはそれを左腕で受け止めて防ぐと右腕の棘鉄球で腹部に拳を一発叩き込む。しかし、その攻撃は分厚い脂肪の層に阻まれてしまった。

再び腕を振り上げた瞬間に隙を見出したバラバは伸ばす。右腕を振り上げ腹部……

先程の棘鉄球を叩き込んだ箇所だ──。

そこへバラバは横殴りに叩き込む。その衝撃による痛みにモグージョンは思わず立ち上がり地団駄を踏んで苛立ちを示した。

「デカい頭の割には脳ミソはちっぽけだな。……その分、馬鹿力と頑丈さは本物らしいが。」

ケレスは風に吹かれて飛び交う砂を防ぐように口元を右腕で覆いながら皮肉めいた言葉を呟く。

モグージョンが両手の平をこちらに見せつけた。

「バラバ、そのまま畳み掛け……!!、なんだっ!?」

その手から放たれたフラッシュがケレスとバラバを襲う。

しかし、今のところ身体の何処か異常があるようには感じない。

「単なる目眩しか…。……なに?」

ボヤけた視界が元に戻れば、バラバと戦っていたはずのモグージョンの姿はどこにも無く在るのは……黒い身体に紅い角が光を放つ、ハルの禍々しいゴモラ=マグマゴモラであった。

「…………」

コイツを初めて見た時、俺の心は震え上がった。ハルの操るソレはただの怪獣を凌駕し、最早レイブラッドの域に達していたからだ。

 

しかし────

 

今見ているコレは違う。全くの別物だ。

覇気も、邪悪さも持ち合わせていない、ただの薄汚れた被り物に過ぎなかった。

「……貴様如きがその姿を騙ろうなど2万年早い!」

苛立ちを隠しながらケレスはバトルナイザーを大きく横に薙ぎ払う。それをなぞるようにバラバの鎌がゴモラの幻影を横一文字に切り払い、俺の視界に在ったゴモラはぐにゃりと歪んでモグージョンへと姿を戻す。

「バラバ!叩きのめせ!!」

呼び声に応えるようにバラバは両腕を大きく上げ雄叫びを上げる。モグージョンもそれに対抗してか声を唸らせると、先の方が白くなった淡い紅色のトサカを振動させて前傾姿勢で突進攻撃を繰り出してきた。

バラバは瞳で照準を合わせると鼻先から大型ミサイルを連射。モグージョンの勢いを殺し下から掬い上げるような拳を叩き込み、その巨体を浮かせる。そして間髪入れずに右脚の蹴りを腹部に叩き込んだ。

モグージョンは堪らず後退り、苦し紛れに右手を伸ばして牽制を図るがそれはバラバの左腕によって弾き返されてしまう。

更に剣を模したバラバの一角がギラりと輝きを放ちショック光線でモグージョンの動きを封じ込めた──!

「バラバ!スネークヘルサンダー!!」

ケレスの命令に続いてバラバの鋭い眼光が歪に蠢き、幾本もの稲妻を束ねた光線を発射する。

着弾したモグージョンは黒煙に包まれて爆散。

こうして、再び静寂が戻った。

「フン…。」

バトルナイザーの反応を見る限り他の怪獣が寄って来る気配は無い………が…。

 

パチ、パチ、パチ、パチ、パチ。

 

乾いた拍手が空洞内に反響する。

無論、ケレスのものでは無い。

ただ一定間隔で拍手の音が繰り返されている。

その僅か数秒後に拍手の主は調子の良さそうに姿を見せた。

「まさか、こんな場所でレイオニクスに出くわすとはなぁ…?」

「それはこちらの台詞だ。暗殺宇宙人…ナックル星人。貴様の───」

ケレスの言葉に重ねてナックル星人は喋りだした。

「あ〜はいはい。みなまで言うな。そうだなァ、超獣使ってる所からして……お前も"あの"嬢ちゃんに雇われてヤプールから貰った感じか?そうなりゃ、俺様たちは兄弟ってワケだ。」

 

「───は?」

 

……どうやら俺は変な奴に好かれやすいらしい。

突然トンチンカンな事を言われたケレスは溜め息を漏らして呆れ返る。

「俺を貴様と一緒にするな。この俺があの雑魚から超獣を貰っただと?ふざけるな。バラバは俺が奴から奪い取りここまで成長させた超獣だ。貴様と俺とでは格が違う。……俺はKJ-K5星雲の元宇宙工作員が一人、ケレスだ。お前が誰かは知らんが…この俺こそがレイオニクスバトルを勝ち抜きレイブラッドを倒す。」

「ほう。わざわざ説明ありがとう、と言っておくかな?……だがぁ、自分語りは嫌われるぜ?」

言われて始めて自分が口を滑らせた事に気がついたケレスら思わず口元に手を当てる。

俺は、なぜ余計なことまで口を走らせた!?

思考を巡らせながらケレスはナックル星人に問いただす。

「貴様!何をした!」

「さぁてな?……んま、お前が俺様の敵だってのは分かったワケだしなァ、とっとと始末して報酬頂くとしようかね!」

ナックル星人はバトルナイザー、それも"バトルナイザーNEO"を取り出し天高く拳を突き上げて叫ぶ。

「いでよ!アリブンタァァ!!」

 

『バトルナイザー・モンスロード!!』

 

To be continued……

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