大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal 作:リクソンLv.6
ギシャアアアアァァァ……!!
怪獣の断末魔が徐々に薄くなり事切れていく。
「…………。」
塵と化しその場に盛られた小さな山の頂点。
残されたバトルナイザーを見つめて数秒、歯を食いしばり怒りに任せてその忌々しい機械を踏み潰し破壊する。
「次は誰が相手だ…?」
睨みつけるその鋭い眼光に臆した宇宙人たちは自分が逃げる時間を作ろうと他を前へ前へと贄に突き出す。
「押すんじゃねぇよテメェ!」
「ワレではないって言っとるだろ!」
「早く退け!お前らにはヤツが見えないのか!?」
数人の宇宙人が"自分の為に"と押し問答を繰り返す姿はさながら地球人と大して変わらなく見えた。
「……面倒だ。全員まとめて殺してやる。ゴモラ…やれ。」
その言葉を発した途端、顔面蒼白で全員が逃げ出した。
鎧のような黒い体表に血管の如くほとばしる赤いドロドロとしたマグマ。赫く血走った瞳に映るのは敵の姿のみ。
「うおっ!?痛てて……おい…待て、来るな!来るな!来るなあああ───」
その内の1人が転んだが、目もくれずゴモラは踏み潰した。
もう1人、キュラソ星人が恐怖で足がすくませた時にようやく思い出したのかバトルナイザーを掲げ自らの怪獣を繰り出してきた。
「ネオダランビア、いや少し違うか。」
背中から伸びた変電所にあるような4本の円錐状の柱……コイルだろうか。そこはバチバチと電気を帯びて辺りに放電しかけている。
「い、いけぇ!サンダーダランビア!そそ、そんなバケモノお前の敵じゃ無いはずだぁ!」
既に声がよろめいている。それが影響したか、しないかサンダーダランビアも正面の"悪魔"に恐れて少しずつ後ずさりをしていた。
「グルルル…」
ゴモラが威嚇の吐息を漏らす。吐息は熱せられ白い蒸気となり口元を漂っている。
「ギ"ル"シ"ャ"ラ"ァ"ア"ア"ウ"!!」
ゴモラは目をカッと見開いて、闘いのゴングと言わんばかりの咆哮を放つ。
土煙や
衝撃で大地が揺れ動き先程よりも激しく土塊が舞った。
お互い拮抗している様に見えるがジリ、ジリジリとゴモラの方が押されているか。
流石は身体のほとんどを岩石で構成してるだけあって、その重量はゴモラの約3倍。
フィジカルで押し勝つには些かに不利と言えよう。
「…ゴモラ。お前はそんなもんじゃ無いはずだ。」
──────それが『怪獣』同士でなければ。
黒炎の悪魔。もといマグマゴモラは先制を受けまいと、首周りのゴツゴツとした岩肌を掴みダランビアの顔面に
「ぐ"ぅ"あ"ぁ"っ"つ"い"い"い"!!」
主と同じ動きで堪らず退いたサンダーダランビアの顔面左側はその一部が溶け落ち、更にその奥には爪で抉り取られた焼き跡がありありと刻印されていた。
「よ、よくも地球人めェェ!!」
こちらを睨むキュラソ星人にギロリと狂気の視線を送る。「ひっ…!」という情けない声と共に縮こまるキュラソ星人にゆっくり近づいてそのまま蹴り倒す。
「おい…。アリスは何処だ。何処にいるか教えろ。」
これを聞くのも、もう何度目か。数十を超えてからは数えて無かったか。
「し、知らん!そそそ、そ、そもそも誰だソイツは!?」
ほとんどお決まりの定型文と化した文言に答える者など、今まで誰の一人も居なかった。まして、アリスの事を知っていたとしても何処に居るかまで知っているレイオニクスなんてアリス直属でもない限り知り得ない情報だ。
「そうか。なら死──」
ハルは言葉を詰まらせると、唐突に一見何も無い空中を左手で片手間のように鷲掴んだ。
それはゴモラの方に目を移せばその答えがすぐに分かった。
「なにィ…!?我のゾイガーが!?」
別のレイオニクスのバド星人が召喚し奇襲を掛けたであろうゾイガーの首根っこを左手で鷲掴みにしていたのだ。
そのままハルとゴモラは大きく振りかぶって岩石柱目掛けて投げつける。円弧を描きながら宙を舞うゾイガーはギリギリ姿勢を立て直し逆に岩石柱を蹴って再び突進攻撃を繰り出す。
「舐めるなァ!」
ハルの怒りの声はゴモラの動きにも現れ、尻尾の一撃が向かい来るゾイガーを張り倒す。
狂った雄叫びを上げ、その状況を周りに見せつけるようにしてゴモラはゾイガーを踏みつける。
「い、今だ!やれ!サンダーダランビア!!」
そこに隙を見出したキュラソ星人の合図でサンダーダランビアは渾身の電撃攻撃をゴモラに浴びせまくる。
しかしながら、少し煙が立ち上ったがゴモラにはまるで効いてないかのように健在。痺れすら微塵も感じないみたいに見える。
そして逆にエネルギーを漲らせて頭突きを喰らわせると、サンダーダランビアも堪らず後方に倒れる始末だ。
「ありえん…ありえない!!」
キュラソ星人が嘆いた。
力だけでなく、彼の進化する様はあまりに規格外で闘いにおいて彼の最凶というレッテルは伊達ではないことを他の者達は死に際にして漸く改めて痛感せざるを得なかった。
もはや今のハルへ闘いを挑むレイオニクスの中に彼と匹敵する者は居なかった。……そう。レイオニクスの中には。
「……!?」
ゴモラの背後にズドンッ…と何かが落下した衝撃が走った。次から次へと現れる敵に嫌気がさしながらハルとゴモラは漂う砂埃が晴れるのを待つ。
次の瞬間、煙の中からである。光を輝り返す刃…それも"あの"太刀が煙を切り裂いて姿を見せたのだ。
「ただならぬ邪気を感じて来てみれば…貴様、いつぞやのレイオニクスだな……?」
「ザムシャー…か。何の用だ。お前は自分の認めた強者としか戦わないんだろ?」
「──然り。故に我は貴様を斬る…!」
チャキッ…
星斬丸のツバが鳴った。ザムシャーは刃をこちらに向けて構えを取り続ける。
明確な殺意がひしひしと全身に伝わってくる。かと言って俺もここで引く訳にはいかない。
「やれ、ゴモラァァァァ!!」
標的を変えたゴモラの咆哮を一身に浴びるザムシャーはスゥ…と空気を呑み、対する獣に歩みを切る。
「参る──!」
◆◆◆
「なんて有様だ…」
「ッスね……」
惑星モルスに突入し、1時間。彼ら兎龍丸の2人が目にしたのは荒れ果てた大地とそこに転がる怪獣たちの亡き骸だった。
こういう事もあるだろうとは考えていたが真にこの目に映ると、やはり来るものがあるな…と否が応でも実感させられる。
「こんな星でハル先輩は……。」
レイジがボソッと呟いた。
そうだ。我々は一刻も早くハル君を見つけださなければならないのだ。
私のため、レイジのために、そしてハル君のためにも。
ビィーッ!ビィーッ!!
「早速来たか…!」
2人が持ち場に走り、リーダーが自動操縦のシステムからマニュアルへと切り替える。変わってレイジも兎龍丸の背後に近づく何かを捲こうと操縦桿を握り回避行動は始める。
モニターに迫る何者かの姿が映し出された。
「ゴルザ!?」
「いや違う!メルバの羽に…下半身は超コッヴか!加えてあれはレイキュバスとガンQを腕にしているのか!?」
ゴルザ・メルバ・超コッヴ・レイキュバス・ガンQが混ざりあった奇々怪々の姿形をした怪獣、『ファイブキング』が兎龍丸を虎視眈々と狙っていた。
「…………」
◇◇◇
『時期にヤツらが来る……ヤツらが居なくなった時こそ我が息子の器は出来上がる。…アリスよ、後は分かるな?』
「えぇ。えぇ…分かっていますわレイブラッド様。」
『私にはアリスが泣いてるように見えるな……』
『もう私には力"しか"残って無いんだ。』
◇◇◇
「────!、私は一体何を考えているの……!?」
自然とバトルナイザーを握る力が強くなった。
天空を駆けるファイブキングは執拗に兎龍丸の背中を追いかけ続けている。
ファイブキングが光弾を放った。
「あっぶね!」
直撃は免れたものの依然ファイブキングの優勢は続く。
右往左往に避け続ける兎龍丸だが、それだけでも全神経を摩耗させるのには十分すぎた。
「どうするッスか!?このままじゃ…いくらなんでもキツイっスよ!」
「………よし!兎龍丸、最大船速!ファイブキングの上部に回れ!我々が追い掛けられ続ける獲物では無いと証明してやるぞ!」
「了解っス!」
レイジがスラストレバーを引き下げる。連動して兎龍丸のアフターバーナーが起動し兎龍丸の速度が大幅に上がった。
高度が上がり、狙い通りファイブキング上部へと打って出ることが出来た。
されどファイブキングも、ただ上を取らせた訳では無い。
ニヤリと邪悪な表情を浮かべるファイブキングはその場で身体を反転。
兎龍丸の死角である底面を弱点と捉え、右腕の大ハサミを一心に獲物へと伸ばす───!
"ズ ガ ン … !!"
鈍い音が響いた。
しかし、それは少なくとも兎龍丸の船体が歪む音では無かった。
ガチャン!、カチャリ、カラララ……。
「………………っっっ!!」
妙な感情を抱き『勝てるはず』だと高を括っていたアリスはバトルナイザーがこぼれ落ちた右腕を左手で強く握り締め、痛み押さえつける。
「レイブラッド様に刃向かう異端者のクセに…!!」
アリスが睨みつける先に映るのは、右腕を負傷させたファイブキングが徐々に高度を落とす姿。
そして、その腕を打ち砕いた兎龍丸が悠々と浮かぶ光景だった。
その対比をまるで、かつての自分と重ねたアリスはギリギリと歯を噛み締める。
「ふぅ…!何とか上手く行ったな……レイジ!今のうちにハル君を探すぞ!」
「分かったッス!」
一方、アリスの苦心をいざ知らず2人は難を逃れたと錯覚しハルを探すため再び兎龍丸を発進させたのだった。
To becontinued……