大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第31話:天照らす星の刃

「……面倒だ。全員まとめて殺してやる。ゴモラ…やれ。」

「い、いけぇ!サンダーダランビア!そそ、そんなバケモノお前の敵じゃ無いはずだぁ!」

 

「おい…。アリスは何処だ。何処にいるか教えろ。」

「し、知らん!そそそ、そ、そもそも誰だソイツは!?」

 

「なにィ…!?我のゾイガーが!?」

「舐めるなァ!やれ!ゴモラァァァ!!」

 

彼の進化する様はあまりに規格外で闘いにおいて彼の最凶というレッテルは伊達ではないことを他の者達は死に際にして漸く改めて痛感せざるを得なかった。

もはや今のハルへ闘いを挑むレイオニクスの中に彼と匹敵する者は居なかった。

 

……そう。レイオニクスの中には。

 

ゴモラの背後にズドンッ…と何かが落下した衝撃が走った。次から次へと現れる敵に嫌気がさしながらハルとゴモラは漂う砂埃が晴れるのを待つ。

次の瞬間、煙の中からである。光を輝り返す刃…それも()()太刀が煙を切り裂いて姿を見せたのだ。

「ただならぬ邪気を感じて来てみれば…貴様、いつぞやのレイオニクスだな……?」

「ザムシャー…か。何の用だ。お前は自分の認めた強者としか戦わないんだろ?」

「──然り。故に我は貴様を斬る…!」

チャキッ…

星斬丸のツバが鳴った。ザムシャーは刃をこちらに向けて構えを取り続ける。

明確な殺意がひしひしと全身に伝わってくる。かと言って俺もここで引く訳にはいかない。

「やれ、ゴモラァァァァ!!」

標的を変えたゴモラの咆哮を一身に浴びるザムシャーは、スゥ…と空気を呑み対する獣に歩みを切る。

 

「参る──!」

 

…………………………………

 

「ギシャア"ア"ア"ア"ア"!!!」

「ダリャァァァァァァァ!!!」

衝撃が走る。

その一挙手一投足がもはや必殺の一撃。

土塊が抉れ、岩山が崩壊し、風…いや嵐がその2体を取り囲む。

鍔迫り合いの末、先に押し勝ったのは紅蓮のマグマが滾るゴモラであった。

「ムゥ…ッ!」

ザムシャーは押し切られながらも、そのフィジカルに押し潰され無いよう重心を動かせゴモラの胴を蹴り飛ばし器用にバク宙をして一定の距離を保たせる。

戦況はややザムシャー側が不利と言ったところか。

しかしザムシャーの本領は相手に現れた一瞬の隙を見出してからであり、加えて彼はまだ『一振』しか抜いていない。

「グルラアアアアウゥゥ!!」

怒りに任せ獣の声を唸らせてはゴモラの連続攻撃の応酬が続く。それを一刀で華麗に捌いては反撃のチャンスを伺い斬撃を繰り出す。

「ハァァアッ!」

大地を割り、宙を踊っては白いエフェクトを放つ土埃を切り裂いていく。そしてその舞い上がった塵芥(じんかい)は風に吹かれて徐々に晴れ始める。

「………ッ!星斬丸を受け止めるか…!」

鋭く伸びたその刃は鎧の奥には届かない。

マグマゴモラは口角を上げ邪悪にニヤついた表情をザムシャーへ向けた。途端、剛腕が振るわれザムシャーをいとも容易く空へ打ち上げる。更に赫く熱せられた拳が、逃げ場の無いザムシャーを狙う。

 

「吹き飛べ!!」

「デリャアアアア!!」

 

ズドゴォォオオン!!

───マグマゴモラの強烈な一撃が命中、炸裂した。

しかしこの程度で倒れるならば彼は宇宙剣豪などと呼ばれていない。

僅かな一瞬。

その一瞬でザムシャーの放った斬撃はゴモラの拳を捉え直撃を免れただけでなく爆裂によって生じた風圧を匠に利用し自らの体勢を整えたのだ。

そこへ間合いを詰める素早い反撃の一手を繰り出した。

斬撃の勢いを上乗せし、ゴモラに一太刀を浴びせる。

「ぐぁっ…!」

ハルの反応からも分かる通り、ようやく一撃()()のが入ったと分かる。

ザムシャーはツバを押し立て、一閃!二閃!三閃!……と剣技の風車のように次々と斬撃で追い詰める。

獣の咆哮がひたすらに戦場をこだましていた。

「ギシャア"ア"ア"ア"ア"!!!」

ゴモラの強靭な尾は猛り、狂い、振り回されザムシャーの体に直撃。そのまま投げ飛ばす。

「フンッ……!!」

しかし、この程度は想定内とでも言いたげに受け身を取りつつ体勢を立て直す。

ゴモラは間髪入れず灼熱の豪爪。それを読んでザムシャーは星斬丸を引き抜きながら追撃を受け流し、そのまま一回転。ゴモラにカウンターを仕掛けた。

「デリャアア!!」

2体の衝撃は吹き荒れる嵐を霧散させ、砂塵と風が吹き抜けてくる。その様を離れた位置から傍観者と化したレイオニクス達はもはやレイオニクスの闘争本能なぞ忘れてただ、固唾を呑んで死闘が終わるのを目に焼き付けるだけだった。

「これでトドメだ!ゴモラ、超振動波ァァァ!!」

「グルルアアウウゥゥ!!」

(ゴモラ)もただでは終わらない。ハルの掛け声でゴモラの瞳孔がキッと細く動いた。

両手を広げゴモラは雄たけびを上げる。三日月型の角に絶えずエネルギーが溜まっていき、赤橙色の輝きが迸る。

その眩いエネルギーは耳をつんざく振動を奏でながら惑星の大地を抉り取りザムシャー目掛けて放たれた!

同時に高熱の熱風が地を駆け巡り、地面が融解したかのように赤く光る。

ドゴォォッン!と地響きが轟いた。

風が吹き砂埃が空高く立ちこめ、大地を砕いて繰り出された一撃の凄まじさを物語る。

「ヌゥッ……!」

流石のザムシャーも間一髪のところで回避する他無かった。互いに緊張の糸が解けぬ中、ふとザムシャーが呟いた。

「この強さ…久々に我を滾らせる…。」

「そう言って貰えて嬉しいよ。ゴモラ!もう一度超振動波だ!!」

「しかし…この強さ。」

 

『我が知る"本物"ではないな。』

 

ザムシャーの言葉にハルとゴモラは動きが鈍る。その刹那に現れた隙を最強の剣豪は見逃さない。

腰に差された二振目。

『流星刀・真打』が光射す天へと一瞬その姿を垣間見せ、ザムシャーの連撃斬が畳み掛けられる!

"目にも留まらぬ速さ〟とはこの事だろうか。

振られた剣、放たれた矢より早く光線のように滾る幾重もの残像。それは宇宙に刃を突き立てる他の剣豪たちを遥かに凌駕する圧倒的な「技術」。

……いや、そう称されるレベルをも越えた『究極の閃撃』。

 

鈍い音と火花が散った。

 

斜め十字に切られたドス黒い胸部装甲。ハルとゴモラはゆっくりとその場に膝から崩れ落ちた。

、、、まだ息はある。

それは逆を言えば、

『彼に生かされている。』

ということに他ならない。

ふと、ハルの首元にひんやりとした感覚が走った。

瞳の先に映るゴモラの首に星斬丸の峰が添えられている。

数秒と経たずしてザムシャーの星斬丸が空を仰いで煌めいた。

あぁ。振り下ろされる。

これをもって彼の悪魔祓いは果たされるのだ。

無限に近い時が流れているように感じる。

静寂。

それは暗い宇宙を漂い、自らの死を待つ罪人に赦された唯一の贖いの時間であった。

 

「ハァ”ァ”ァ”ァ”ルセェェェェンパァ”ァ”ァ”ァ”イ!!」

 

音割れしたスピーカーから、俺を慕ってくれた先輩であり後輩のよく聞いた…聞き覚えのあり過ぎる優しい声が閉じた俺の瞳を開かせる。

急速に接近するあの船にはきっと2人が乗って居るのだろう。だが、今の俺には彼らと顔を合わせることが出来なかった。

……というより顔を合わせたく無かった。

自分が自分に対して甘すぎる事を俺はよく知っている。

彼らと再び会ってしまったら。

彼らに手を差し伸べられたら。

昔の甘い俺に戻ってしまうのでは無いか?今度も自分の甘さが2人を傷つけ、まして失うことになってしまうかもしれない。

そんな恐怖心が俺を縛り付け、その一歩を踏み出すことさえ拒ませる。

「俺は………クソ…っ。」

 

──ドクン!

心臓が飛び跳ねる。この星に来てから、いやニーナを失ってからというものビジョンが見える回数がグンと増えた。

「…………!!」

そのビジョンに映る姿は2人のレイオニクス。彼らを挟んで2体の怪獣が命の火花を散らしている。

一方はハルのゴモラ。

もう片方に陣取る怪獣は"ファイブキング"だ。

ハルの直感は確信に変わった。

アリスがすぐそこまで来ている予感を。

次の戦いでどちらかが倒れ、決着が付くことを。

 

 

─────。

「うっ…!ぐっ…………これは何?なんなの…!?」

アリスの頭にもこのビジョンが見えた。

酷い頭痛でハルが見ているものよりずっと曖昧だが映像が伝えようとしている意図はなんとなく理解できた。

「そう……ハルが…。ハルが来るのね…………」

バトルナイザーの中にいるファイブキングが強く鳴いていると伝わってくる。

アリスはバトルナイザーを強く握り返した。

 

 

兎龍丸が着陸体勢に入っていた。ザムシャーも彼らを知っているのか星斬丸と流星刀を鞘に納めて俺の回収を早くしろと言わんばかりの目で2人が来るのを待っていた。

「    」

ハルは呟く。相棒の名を。

「なっ…!?」

今度は逆にザムシャーが一瞬の隙を突かれた。

収めた星斬丸に再び手を伸ばしたその一瞬はゴモラにとっさの行動を生むには十分だった。

『グルゥ"ア"ア"ア"!!』

ゴモラは溢れる熱波で衝撃波を。そこから連鎖して砂埃を起こし、岩を弾き、地面を抉り自らの身体をそれらの煙幕で包み込む。

そのパワーは凄まじくザムシャーも星斬丸を地面に突き刺さねばマトモに立ってられない程だ。

無論、兎龍丸のような船がそんな状況で安全に着陸できるはずもなく宙で煽られて着地ポイントから離れざるを得ない。

衝撃が去って間もなく煙幕から一体の白い怪鳥が飛び立った。

「グエバッサーか!」

「そんな…!ハル先輩……」

2人が船内で落胆の声をこぼす最中、ザムシャーは宙に向かって言葉を吐いていた。

 

「コレはどういう事だ…?貴様の見通しとは随分と異なるようだが。」

『────はい。もしかするとこの星に来て、彼の心境に変化があったのかもしれません。』

姿の見えぬ相手を信用することなど自分にとって有り得ないと考えていたが…

 

───それが貴方の求む強者に逢えるとしても?

 

チッ…奇しくも貴様の戯れ言の通りではあったか…。

「それでこの話、奴ら2人に聞かせなくて良いのか。」

『────そうですね…。あなたも含め聞いて頂きましょう。レイオニクスのこと。レイブラッドのこと。そして彼自身のことを…。』

 

To be continued……

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