大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第32話①:明かされる秘密!蟻地獄の暗殺者!!

ハルがその場から去った後、ザムシャーは兎龍丸を着陸させ「貴様らに話がある。」と語った。

2人は船を降りるとザムシャーの足元に少女の人影のようなものが見えた。

身に着けているのは白いワンピース。靴は履いておらず裸足だ。腰まで伸びた長い白髪、そして瞳は"碧"色。

その全身がハッキリと分かった途端、リーダーは腰から拳銃を抜いた。

「下がれレイジ!"アリス"…貴様、何しに来た!」

リーダーの怒号を聞いて、少し悲しげな表情を浮かべると少女は口を開いた。

「すみません、姉さんが…………ボクはアイリス。アリス姉さんの妹です。」

「ボク?弟じゃ無くて?」

レイジがツッコんだ。

「………………レイジ、今じゃない。」

リーダーは信用しきらないままレイジに対して冷静にツッコミを入れた後、ゆっくりと腰のホルダーに拳銃を収めた。そうすると彼女は胸を撫で下ろし2人に目線を配る。開口一番にアイリスは我々が抱いていた疑問について答えると言って話を切り出した。

「なら───」

我々が挙げた質問は3つ。

 

1つ、君は何者なのか。

2つ、ハル君の状況。

3つ、レイブラッドについて。

 

そう言うとアイリスは顎に手を添えて2、3秒黙り込むとパッと明るい表情になって口を開いた。

「そうですね…ボクが何者なのか。まず大前提として、今ボクが顕現できているのはハルさんのおかげです。」

「そうなの?」

キョトンとした顔でレイジが言う。

「はい。ボクは基本、ハルさんにしか物事を伝えられません。ですが有り余るエネルギーを彼の持つネックレスから放出させる過程でそれを……………

という訳で、皆さんの前に姿を表せることが出来たと言う訳です!これはレイモンさんと同じ原理ですね!更に〜」

少しテンション高めでつらつらと説明されるがイマイチピンと来ない。まあレイモンの時と同じくハル君を助けに来てくれたという認識で良さそうだ。

「あぁ、うん。OKだ…。君が───いや、アイリスさんが仲間だと言うのは分かった。そろそろ……次の話題に移ってもいいかな?」

そうやって話を遮るとアイリスは顔を真っ赤にして、その長く美しく伸びた白い髪を両手で手繰り寄せて顔を覆った。

「す、すみません…。何せハルさん以外の人と数千年ぶりにここまでしっかり話したものでつい……!」

「顔、赤すぎて湯気出ちゃってるっスね。」

レイジのボヤきに対してさらに恥ずかしさを覚えながらもアイリスは咳払いで話の流れを断ち切った。

「ご、ゴホン!そ…それでは!次は、ハルさんの状況でしたね。今のハルさんはレイブラッドに支配されて暴走している訳ではありません。恐らく彼自身の意思で。」

さっきまでのどこか抜けた空気感が一気に豹変した。兎龍丸の2人…特にレイジはもはや唖然とした表情でその事実を正面から食らっていた。

「生きとし生けるもの全ての生物が怒り続けることができないように、あの状態で居続けることは相当なエネルギーを使い続けるということに他ならん。我々が想像する以上に精神を蝕んでいるだろうな。」

口を挟んだザムシャーの言葉に相槌を打ってアイリスは答える。

「ここからはボクの想像と仮定の話になります。ですが…彼を近くで見てきましたが、ほぼ確実と思って頂いて構いません。彼は────────」

その言葉を聞いてまず声を上げたのはレイジだった。

「そんな!嘘ッスよ!?だって、だって!」

動揺するのは無理もなかった。現に私もその動揺を隠せていないのだから。

ザムシャーの方に目をやると顎に手を添え、何かを考えに(ふけ)っている。思い当たる節でもあったのかもしれない…。

 

◆◆◆

「ん……」

久しぶり地上、光を浴びて眩しさで目を覆う。落ちる前と比べ、辺り一帯の光景に大して変化は無いように思える。

違う点を挙げるなら妙な邪気が一瞬肌をヒリつかせたくらいだろうか。

「近いな。」

ケレスは戦いの予感を感じ取る。

それも強大な戦いが差し迫りつつある、そんな予感が。

()()事もある。奴を早く見つけねばな……。」

ケレスは進む足を速めた。

"あの"事。それはケレスがナックル星人との戦いを繰り広げていた時まで遡る。

 

 

◇◇◇

「クソっ!やりにくい相手だ!」

「HAHAHAHA!"また"心の声が盛れてんぜェ?ケレスさんよォ!」

バラバとアリブンタ、超獣VS超獣の本来では有り得ないミラクルマッチの幕が上がって早数十分。

動きが鈍いバラバが連戦続きと知りながら陰湿に、執拗に、攻め立てるアリブンタ。

その戦い方は正に外道の一言に尽きた。

バラバもアリブンタの執拗な攻撃を掻い潜って反撃を繰り出すが、そのどれもが決定打には至らない。

「くっ…バラバ!一旦距離を取れ!」

命令に従い、バラバは各砲門から牽制射撃を放ちながら1歩、2歩と後退し始めた…瞬間。

バラバの右足が流砂に飲まれ姿勢が崩れ落ちたのだ。

「流砂だt…ぐあっ……!」

「そう易々と逃がすかよォ!」

急いで引き抜こうとするバラバの右足にはアリブンタのハサミが深く突き刺さって離さない。

ズザザザ……

アリブンタの顔が蟻地獄の中心から不気味な高笑いを上げて目を光らせている。

「チッ…!バラバ!振りほどけ!」

ガバァッと砂から飛び出したアリブンタはバラバの首を次のターゲットにしてハサミを狙い澄ます。

ガキャアァァン……!

一撃目は左の鎌が受け弾く。

二撃目が来る──、もはや一刻の猶予もない!

「やれ、ゼットォォォン!!」

 

『バトルナイザー・モンスロード!!』

 

灼熱の火球がアリブンタを薙ぎ倒し黒と白、2色モノトーンの宇宙恐竜がバラバの危機を救った。

「なんだとォ……!?お前!俺様の催眠に掛かっておいて今までどうやって、ンな怪獣の情報を隠していた!!」

「随分と阿呆な事を抜かす宇宙人だ。教えてやる。」

ナチュラルにディスられた事に気づく暇も無く、ナックル星人は息を飲む。

フッと嘲笑を交えてケレスは口を開いた。

「俺は工作員だぞ?母星で拷問も実験もガキの頃から受けている。貴様の催眠では精々思った事を口にさせることが関の山だった、ただそれだけの事だ。そんなちっぽけな催眠で俺を出し抜けると思うなよ?」

「な……」

唖然とした表情だ。それもそうか、自分の秘技が相手に全く効いていなかったのだ。

「結局、我々宇宙人が地球の侵略に成功しないのと同じだ。圧倒的に"想像力"が足りん。……認めたくは無いが、な。」

頭を2、3度つついて煽るケレス。それに憤慨したのか狂気の奇声を叫び散らかしたナックルは数秒と経たず、ミチミチと音を立ててその身体を巨大化させたのだ。

「バラバ!一度戻れ!」

バトルナイザーを掲げ、バラバは光の玉となって帰還する。ゼットンは未だ万全とは言えぬがやるしかあるまい。

しかしケレスは嘲笑の顔一つ変えずに呟く。

「2対1、さぁ俺を楽しませてくれよ!」

開幕したラウンド2。

流石は俺を見込んだ怪獣だ。ゼットンの猛攻は留まることを知らず、アリブンタとナックル星人の連携攻撃をも上回る立ち回りで2体を抑え込む。

このままゼットン無双でお終いと言ったところか…。

「ククク…戦いの余韻に浸るにはまだ早い!」

手を振りあげたゼットンの背に一筋の閃光が大きく音を立てて爆発した。

「今度は何だ!!……っ!」

振り返りざま、全身に痺れが回る。というよりもっと強力な電撃と呼ぶべきか。

ズシンズシンと土煙を上げて乱入してきた怪獣は

『用心棒怪獣 ブラックキング』!!

しかし原種と異なり金色に輝く全身がその存在を強烈に示していた。

ブラックキングは稀に金色の特殊個体が現れることがある。と、噂には聞いた事があったが……

「そのブラックキングも貴様の差し金だな!」

「話が早くて助かるなァ!フン…!これで貴様も終わりだあああ!!」

3対1の乱戦をくぐり抜けながらケレスは思考を巡らせる。

数的不利ではあるが……まずは───!

一気に距離を詰めてきたブラックキングとアリブンタの攻撃がほぼ同時に飛んでくる。

「ゼットン!」

アイコンタクトと合わせて指示を送りゼットンは連続テレポーテーションで3体を翻弄しながらアリブンタだけを弾き飛ばす。

「まずは一番厄介なやつから潰す。」

この乱戦の中で奇襲攻撃を仕掛けられたら最後、それこそ詰みかねない。

砂地に寝っ転がったアリブンタに宙から覆い被さる……ボディプレスを掛けた上に乱打の応酬。

しかし、こんなものでは『超獣』は止まらない。

"二重の意味"で。

それを俺はよく知っている。

超獣にダメージは無くともレイオニクスにはしっかりとダメージは入るのだ。

「巨大化してタフネスが上がったとしても貴様がレイオニクスである以上、使役している怪獣の痛手は流石に堪えるだろう!」

証拠にナックル星人の動きは鈍く、苦痛の呻きを漏らしているのが分かる。

そして2つ目の意味は───

覆い被さるゼットンを持ち前のフィジカルで押しのけて立ち上がる。

「超獣は、痛みを感じない。」

怪獣兵器として完成された超獣は感覚を感じる器官が無い。それゆえにレイオニクスの気持ちなどお構い無しなのだ。目標を達成するまで奴らは決してその歩みを止めることは無い!

「貴様がいつから超獣を使っているのか知らんが、少なくとも貴様よりも長くバラバを操っているからこそ知り得た知識だ。覚えておくがいい!!」

ゼットンはハサミの連撃を的確に受け止め、流して膝蹴りのカウンター。続けて回転を合わせて威力を増した裏拳とダメージを稼ぐ。

「ぐあああっ……き、貴様ァ!調子に乗るなァ!!」

ケレスに向けて人差し指をグンっと伸ばし叫んだ。

主の様子を確認しに来たブラックキングをゼットンの方に蹴り返し、怒りの態度を顕にしている。

「このまま決める!」

バトルナイザーを大きく振るう動きに呼応してゼットンは身体を回転させながらジャンプ。そのまま後ろ回し蹴りに繋げる大技、ローリングソバットを決めアリブンタを岩盤にめり込ませた!

「ゼットン、トドメだ!!」

腕をクロスさせ振り払うモーションを行うと同時に顔前が赤く発光し始め、ゼットンの顔ほどの大きさをした火球が出来上がる。

ケレスの動作に合わせてゼットンは両腕をアリブンタに勢いよく向けた。

ピィンッ!

張り詰められた弦が弾かれたような高い音と放たれた火球で温まった熱風が空洞内に拡がる。

徐々に迫る1兆度の火球にアリブンタの胸部が触れると、そこはみるみるうちに融解していく。

ドォォォン……ッッッ!!

直撃した火球のもたらす衝撃波は凄まじく、めり込んでいたアリブンタはおろか背後の岩盤をも吹き飛んで尽くが融けるか破壊された。

その残った破片がケレスとゼットンの傍らを吹き抜ける。

「ぐぬぅうあああああ!!」

ナックル星人の苦しむ声とは裏腹に、その体は一切の変化を起こさない。……つまりはそういう事なのだろう。

「さて……いつまでくだらんフリをしてるつもりだ?とっとと、かかって来い!!」

「フッ、貴様にはバレバレか。」

リンク切り。

バトルナイザーを介して行っている怪獣との繋がりを一方的に切る、真のレイオニクスバトルにおける生き残る為の最終手段だ。

 

戦いが苛烈を極める側で、邪悪な瞳がその戦いを睨む。

『レイオニクス共め…地獄に行くのは貴様らだァ…!!』

 

To be continued……

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