大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第32話②:強者を越えし力

「巨大化してタフネスが上がったとしても貴様がレイオニクスである以上、使役している怪獣の痛手は流石に堪えるだろう!ゼットン、トドメだ!!」

ケレスの動作に合わせてゼットンは両腕をアリブンタに勢いよく向けた。

ピィンッ!

張り詰められた弦が弾かれたような高い音と放たれた火球で温まった熱風が空洞内に拡がる。

徐々に迫る1兆度の火球にアリブンタの胸部が触れると、そこはみるみるうちに融解していく。

直撃した火球のもたらす衝撃波は凄まじく、めり込んでいたアリブンタはおろか背後の岩盤をも吹き飛んで尽くが融けるか破壊された。

その残った破片がケレスとゼットンの傍らを吹き抜ける。

「ぐぬぅうあああああ!!」

ナックル星人の苦しむ声とは裏腹に、その体は一切の変化を起こさない。……つまりはそういう事なのだろう。

「さて……いつまでくだらんフリをしてるつもりだ?とっとと、かかって来い!!」

「フッ、貴様にはバレバレか。」

 

『フハハハハハハ…!!

手こずっているようだなナックル星人よ……』

 

突然、聞き覚えのある低音ボイスが空洞の空に響いた。徐々にひび割れゆく空間の隙間から特徴的なサイケデリックな色の瞳が見える。

「ヤプール…!」

「まぁ見ていろ…!貴様の手など借りずとも、俺とブラックキングがコイツを殺してあの御方に献上してくれるわ!!」

話していた通りナックル星人とヤプールは繋がっているようで姿を見せた事に対して特に驚きの声は上げず、むしろナックル星人は威勢よく啖呵を切って見せた。

だがヤプールはその返答に冷めた態度で嘲笑して口を開く。

『与えた超獣を倒されておいてよく言う!……まぁいい。貴様の力など所詮その程度に過ぎん、もっと貴様を強くしてくれるわ!!』

ヤプールが突き出した手のひらの上には赤色の球体が乗っている。禍々しく発光し始めた球体は刺々しく歪な形へ変容すると、視界全体が大きくフラッシュ。

「なんだ……!?」

突如、ケレスの全身に衝撃が走り体は大きく吹き飛んだ。

不意打ち…!だが、受けた衝撃は1つ。

ではどちらか一方は何を───

思考が巡る間にようやく視界を遮る光が薄くなってきた。

そこに映るのは倒れるゼットンと彼を踏みつける金色のブラックキング、そしてその背後に漂う精神体となったナックル星人の姿であった。

「ヤプールめ…怪獣と宇宙人を無理やり融合させたのか……!」

かなり趣味が悪い。忌避感もさることながら滲み出ている悪意に少し恐怖を抱いている自分がいる。

ヤプールはニヤリと口角をあげて問いかける。

『気分はどうだ?ナックル星人よ。』

「チカラガ…チカラガ ミナ、ギル……!!」

ほとんど精神は崩壊していると言えるナックル星人はその言葉を最後にして以降、ブラックキングと共鳴した雄叫びを上げることしか無かった。

「立て!ゼットン!」

ケレスの言葉1つでブラックキングの背後にテレポートするゼットン。極太の尻尾を脇へ挟み込むようにして握り、ダイナミックスイングの姿勢に入る。

『やれェ!ブラックキングよ!そのレイオニクスを捻りつぶせェ!!』

赤い玉が輝くとブラックキングの力はみるみる上昇し尻尾に捕まる虫を軽く潰すかのようにしならせ、振り回し、叩きつける。───何度も。何度も。

岩盤・岩石柱…その他もろもろが破壊されるのを一身に受けた後、為す術なく岩塊に突っ込んだゼットン。

そのダメージはもちろん蓄積されていた反動が今になってケレスに襲いかかり、気づけば身体は地に伏せてられている。

「グフっ…!精神体になってもなお、真のレイオニクスバトルは…続くというのか…!」

視線の先では埋もれてピタリと動かないゼットンにパラパラと石礫が降り注いでいた。ゼットンの正面にはブラックキングが口内で電撃の稲光を上げている。

ここまでの連戦、加えて前の戦闘で疲弊しているまま。ゼットンの動きがかなり鈍くなっているというのは誰の目にも明らかだ。

『ブラックキング!MAXヘルサンダァァァア!!』

ヤプールが勝ちを確信したのか大きな声で傀儡となったブラックキング/ナックル星人に命令する。

 

それでも立ち上がらなくてはならない。

"この俺が最強であると証明する為に"

 

ドクン───!

心臓の鼓動が大きく弾んだ。

バトルナイザーが温かい光を放っている。

「まさか…!」

その光は脈動して俺の想いに応える様だ。

ケレスの苦しげな表情が一変。

重たい身体を震わせ叩き起こし、力強い1歩をこの大地に突き返した。

バトルナイザーを強く握り返して彼の叫びは空洞内に響き渡る──!!

 

「………お前の力見せてみろ!ゼットオオオオオン!!」

 

金色の光がバトルナイザーとゼットンを包む。

力が臨界点に達した時、遂にその外郭を解き放つ。

───EXゼットン!

今までの一時的な進化では無い、完全な進化!

いや…『覚醒』!

その溢れんばかりのエネルギーはバトルナイザー"NEO"を通じてケレスの身体中を駆け巡る!

ブラックキングの放った渾身の電撃光線は覚醒した身体に傷一つ付けること無く、EXゼットンのたった1発の火球に押し返されてしまった。

『ば、バカな!このタイミングで覚醒だとォ!?』

ヤプールの驚愕の声が虚しく響く。

「ここからは俺たちの時間だ!」

火蓋は切って落とされた。

弾ける鼓動に身を任せケレスとゼットン、2つの魂が一つに重なりブラックキングに反旗を翻す!

ケレスの言葉と共にEXゼットンの顔面のリレー発光が始まると、その巨体は残光を残して瞬時に消えた。いや常人であればそう見えるだろう。

EXゼットンはブラックキングの懐へテレポートではなく、それこそ瞬間移動かの如くスピードで移動したのだ。

掬い上げるように繰り出したゼットンクローの一撃は腹部を切り付けながら昇り、ブラックキングの左目を掠めた。

反撃のチャンスさえ与えず畳み掛けるように超スピード・超パワーでブラックキングを打ちのめす。

『くっ…ここで殺られる訳には……覚えていろ!ゼットンのレイオニクスよ!』

この戦いに勝機は無いと察したのかヤプールは一足先に異次元の中へ姿を消した。ブラックキングと取り込まれたナックル星人を残して。

しかし、彼らもタダで殺られるほどヤワでは無い。

「よし!ゼットン!……っ!何か来る!」

一瞬で察知するも遅し。

腕っ節で劣るのなら技量で勝負と、自らへのダメージなど気にもとめずゼロ距離でMAXヘルサンダーをEXゼットンに放つ。

───その戦い方はあまりにも超獣のそれに似ていた。

ならば、俺もそれに応えなくては。

あの時の俺は地球人で言うところのアドレナリンだかテストステロンだか、それともレイオニクスの血で少々おかしくなっていたのだろう。

何故か身体が、魂がそうするべきだと言ったように感じたのだ。

俺はバトルナイザーを掲げてゼットンのガードを解かせた。数秒も経たない間だ。火花と電撃が走る2体の間に真っ赤な火の玉が現れた。

それはどんどん大きく膨れ上がって2体を包む。

「貴様らの夢・想い・魂!灰すら残さず宇宙に帰してやる!ゼットン!""100トリリオンメテオ""!!」

怪獣爆弾とさえ呼べる爆発。地上で起こる爆発なんか比じゃない風圧と衝撃がありとあらゆる角度からビリビリ伝わってくる。

煙がようやく晴れ、その場に直立不動で立っていたのはもちろんEXゼットンだ。

ピロロロ…と音を鳴らしてこちらに振り向いてじっと見つめてくる。

フッ…そうだな。

ケレスは珍しく口元を緩ませて微笑みを漏らす。

「ありがとう、貴様らが居なければ俺は今頃ここにこうして立っては居ない。」

ゼットン、そして連戦を戦ってくれたバラバにも感謝の言葉を送った。2体とも表情というか、そもそもそういう物を感じ取れない顔つきが故に伝わっているか不安だが……まぁ大丈夫だろう。

「さて。この洞窟からもそろそろ抜けたいが…ん?」

ゴゴゴゴ……

息づく暇もくれないという訳か。

おおよそ俺の予想はこうだ。背後の岩盤や地上を支える岩石柱のほとんどがズレ始めていることからも分かる通り先の爆発の衝撃でこの洞窟がじきに潰れる───

「落ちてきた場所まで戻れるか………?」

自体は一刻を争う。揺れがさっきよりも大きくなって天井から削れた小石が降ってきている。

ゼットンの手の平に捕まって、ケレスは自らが落ちてきた場所まで飛んでいく。

落ちてきた穴は奇跡的に無事で今も一筋の光が突き刺さっていた。

「ゼットン!テレポート!」

ゼットンは進化した羽を広げて地下から飛び立ち、青がどこまでも広がる空に目掛けてテレポート。

フワりと浮かんだ足元で洞窟も地割れで裂けた大地もが完全に崩れて潰れたのが確認できた。

 

◇◇◇

───そして今に至るという訳だ。

「………」

そんな大ピンチを乗り越えたというもののケレスは前よりも訝しむ羽目になっていた。

それは脱出する道中のこと、崩れゆく洞窟の奥にケレスは"あるもの"を見たからだ。

 

「ワームホール…。」

 

確かに妙だった。何故あんな所でレイオニクスに出会ったのか。ナックル星人が言っていた『"あの"嬢ちゃんに雇われてヤプールから貰った感じか?』という言葉。

それもワームホールを護るよう、その"嬢ちゃん"とやらに雇われていたとすれば色々と合点がいく。

「あの奥には一体……」

 

◆◆◆

「そして最後3つ目のレイブラッドについてですね。」

アイリスは語る。レイオニクスバトルの本当の意味を。その戦いに待つ最悪の未来を。

「誰が勝ち残ったとしても意味は無いということか。」

「後継者を探すんじゃなく、目的は身体の乗っ取り……色々めちゃくちゃっスけど確かにレイブラッドならやりそうなことっスね…」

案外、皆の驚きは小さかった。それが当然のようにできてしまうという事に対して誰も不思議に思わなかったからだ。

「それで奴は、レイブラッドは何処にいる。」

ザムシャーが口を開いた。

彼に至っては強者と戦いたい一心だけかもしれないが…。

しかし、アイリスはその問には目を伏せて首を横にふった。

「ボクがレイブラッドの波動を最後に感じたのが、この星だったんです。しかもザムシャーと共に降り立ってからはさっぱりで……。」

ふぅむ。とザムシャーは口を噤んで息を漏らす。

 

「ですが────」

「だが────」

 

「確証はありませんが、1箇所だけ思い当たる場所が。」

「今の奴にとって最も都合のいい場所。」

 

アイリスとケレス。

全く見ず知らず2人であるが遠く離れた2つの座標で言葉が1つに重なった。

 

「「怪獣墓場…。」」

 

To be continued……

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