大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

43 / 44
第34話:ハル 対 ケレス

植物のように幾本もの細胞が絡み合い形成されたファイブキングの左腕。そのガンQの瞳はそのエネルギーを吸収しきれずに爆裂!

突き抜けた超震動波が左腕を内部から捲り上げて宙へと弾け飛ぶ。

「あ"あ"ァ"ァ"ァ"っ……!!」

アリスは絶叫し左肩を右手で抑えながら硬い地面にペタンと崩れ落ちた。 その左腕はプラプラと力なく揺れる様子から、完全に活動を終えてしまったことが伺える。

頬に一筋の線を滲ませて────。

 

「…………………」

 

彼女の涙を見てどうしてか、どこか清々しい胸の内側にある重たい鉛が取り除かれたような気分だ。

これで────。

 

『殺せ!殺せ!殺せ!』

 

しかし、目まぐるしく脳内に響き続ける殺意。動き続ける身体。

もう自分の意識さえ、残っているのか分からない程だ。

その時、声が聞こえた。脳内に響き渡る邪悪な声ではない何処かで聞いた事のある優しい暖かい声だ。

『諦めるな!君の力はこんな事をするためにあるんじゃない!』

激しく流れる闇の濁流を掻き分け抗うようにその声を、想いを俺に伝えようと必死に呼びかけてくる。

「………………。」

呼びかける声は次第に掠れて闇へと飲み込まれる。真っ暗な闇がレイブラッドの形へと変貌し、小さく丸まったハルの全身を抱擁するかのように包み込む。

『そうだ…そうしておけば…貴様が苦しむ事も無い……』

ぐわんぐわんと思考が歪んで彼の身体は深淵の奥底へゆっくりと沈み始めた────

◆◆◆

何度目かの燃え上がる拳がマグマゴモラを打つ。だが、そのどれもが決定打にはなり得ず、戦いは互いに拮抗したままだ。

「その程度か!最強が聞いて呆れる!!」

……と吼えてはいるが。流石のタフさだ。

遠距離・飛び道具はマグマの体が吸収、近距離は自慢のフィジカルとバケモノじみた体力でゴリ押し。

こんなヤツ相手に辛勝どころか完全に勝利したレイモンはどうなっ───!?

「がァっ!」

マグマを帯びた尻尾の一撃によってEXゼットンのシールドが遂に破られた。仰け反った隙にゴモラの爪撃が加わる。

ゼットンの身体から火花が飛び散り、痛みがダイレクトに伝わってきた。

いや、逆に考えろ。初撃を食らった時より今の一撃は遥かに軽かった。ダメージ量は少なくとも着実に疲労は蓄積しているのか。

ピコン…

腕の装置に反応があった。

「……結局、()の言う通りになるのか。チッ!」

EXゼットンがテレポートで背後を奪い、脇腹に尻尾を挟み込む。そのまま投げ飛ばすモーションに移る寸前、ソレは自由意志を持ったかのように鋭くしなってゼットンを岩盤に叩きつけた。

ゼットンは大地を転がりながらマグマゴモラに牽制の火球を撃ち込む。

「やはり無駄だな。」

火球を飴玉みたいに溶かして身体に取り込む姿は、あまりにも本来の獣とはかけ離れていて動物というより不条理な『怒り』の概念そのものと言ってもいい。

「グ"ル"ラ"ア"ア"ウ"ウ"!!」

喉を灼き切らすような雄叫びが地面をビリビリと揺らす。ゴモラの漏らす吐息が急激に熱せられ水蒸気となって牙の周りを漂っている。

三日月の角が赫く激しく瞬いて、そのエネルギーが鼻先の尖角へと流れていくのが見て取れた。

「ウォォォォォ!ゴモラァ!!超振動波ァァァ!!」

バトルナイザーを握りこんだ右腕を荒々しく押し出して、ハルはゴモラへ命令する。

瞳を白く濁らせ、ゴモラはゼットン目掛けて走り出す。

起き上がりながらEX化で手に入れた背中のジェット噴射を作動させゴモラ目掛けてゼットンは超高速で迎え撃つ!

1秒と経たず2体は正面衝突。互いに取っ組みあって1歩も譲らず、衝撃が地面を抉り巻き上げる。風圧が塵となったそれらを周囲に吹き飛ばす。

無論ここで貯めに貯められた超振動波が放たれればゼットンが消し炭となることなど容易に考えられる。

しかし、それでもケレスはゼットンをゴモラとぶつかり合わせる方がこの戦いの勝率を格段に上げると考えた。

「来たか…。」

「吹き飛べェェエ!───ッ…!!」

途端、閃光と爆撃がマグマゴモラを襲った。新たな敵をハルが捉える間もなく第二陣、レーザーや光弾の嵐がゴモラの左側面を撃つ。それにより揺れ動いた重心を崩すようにゼットンはゴモラを投げ飛ばした。

「どうやらギャラリーも到着したようだぞ?」

ケレスの視線に釣られてハルは威嚇の唸り声を上げて顔を向ける。

「…!?」

目線を凝らした先にあるものは、一瞬ハルの魂を人へと戻らせた。

「─────兎龍丸…どうしてここに………。」

見間違えるはずがない。ここまで来るのに付いたであろう、幾つもの傷。

その勲章があってもなお、その船は凛とした風貌でこちらに向かってきていた。

そんな中、一発の砲撃がハルの側を通り過ぎてマグマゴモラを狙う。

マグマゴモラはその巨体をしならせると、攻撃の矛先に鋭く回り込み角に集中していたエネルギーを解き放った。

赤黒い閃光と爆炎が交錯し、空中で激しくぶつかり合う。

「なんで…どうして、邪魔をするんだァァア!!」

衝撃波が周囲を震わせ、空気の焦げる匂いがハルを再び闇へと引きずり込ませる。

「チィッ!面倒な奴だ!」

ケレスは再びバトルナイザーを構える…。

◆◆◆

「アイリスさんの言う通りだ。この凄まじいエネルギーを放っている戦闘…"マグマゴモラ"と……ぜ、ゼットン!?…その2体によるものだ……!!」

リーダーがモニターのコンソールを凝視しながら言う。

マグマゴモラの存在は勿論だが、更にゼットンまでもがその場に居るということに驚いていた。

…というのも、この戦場に向かう少し前、アイリスが我々の問いに答えてくれた後のこと────

 

「……!」

突然何かに気がついたかのようにアイリスは顔を上げた。

「姉さん…ハルさん……」

「どうかしたんスか?」

あまりにも唐突だったからか、ハルの名前が出たからか、すかさずレイジがアイリスに尋ねる。

「姉さんとハルさんが戦闘を………!」

「「!」」

レイジとリーダーは顔を合わせてアイリスに駆け寄る。

「ハル君は──」「ハル先輩は──」

「「今どこに!!」」

 

───そうして今に至る。

「確かアリス…さん?の使ってる怪獣はファイブキングなんスよね?」

「はい。その筈です。しかしレイブラッド星人が姉さんに新たな力として怪獣を与えていたなら話は別ですが…。」

アイリスはレイジの問いに答えながら、モニターに映る2体の怪獣を顎に指を添えて見つめていた。

戦況はマグマゴモラが優勢。と言いつつも負けず劣らず、ゼットンはそれに喰らいつけている。

「あのゼットン使い…かなりの手練れですね。」

EX化したゼットンである事もそれを裏付けているだろう。

……しかし、それよりも。

生半可な戦い方ではどれだけ強いだけ怪獣を使っていてもマグマゴモラには及ばないと、この星での戦いを見ていたからこそアイリスは理解し、呟いたのだ。

「ゼットン使い…ケレスっスかね。」

「恐らくそうだろうな。」

「「……」」

2人は目を合わせて小さく頷いた。

そう。それは惑星デュサリアでのハル暴走事件の直後、レイモンがハルを抑え込んだことで暴走は収まり、レイブラッドの気配も消えていた時の話に繋がる……。

 

「戻れ!ゴモラ!」

バトルナイザーに光の玉となってEXゴモラが回収される。

ふぅ…と呼吸を整えるとレイモンはこちらに振り返ってリーダーとレイジの前に立った。

「ハル先輩は大丈夫なんスか…!?」

「あぁ、大丈夫だ。」

そう言うとレイモンは仰向けで眠っているハルに静かな眼差しを向ける。

「正義を持たない力が、どんなに危険な物か…彼はまだ知らない。俺も……昔は──────。」

暖かい白色の瞳の奥にほのかな黒いオーラが垣間見えた気がした。そしてすぐにレイモンは言葉を切り返す。

「だが、俺には仲間が居た。俺を信じ、共にレイブラッドの脅威と戦ってくれた…君たちのような仲間が。」

懐かしそうに微笑んだように見える表情はどこか寂しさを纏っていて、それはリーダーの心を締め付けた。

 

「……仲間か。─────フン……下らん。」

 

そして、ケレスの心をも……。

冷たくあしらっていたケレスの前にレイモンが近づく。

「何の用だ。」

「君に頼みがある───。」

思いがけない頼み。その内容にケレスは驚きながらも、同時に嫌悪感に満ちた表情でレイモンを睨んだ。

「何?……ふざけるな!」

ケレスは視線を2人に移す。

「俺がこんな奴らと手を組むだと?」

「「ええええ!?」」

2人は顔を見合せて驚きの声を高らかに上げた。

 

To be continued……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。