大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第6話:迫り来る魔の手!異次元人ヤプール!!

「ん~……っ!そろそろ行くか……」

俺は伸びをし、立ち上がる。まだ日が昇っていない早朝。幸いZAPの基地から拝借してきた寝袋と食糧のお陰で、昨夜は今までで一番良い夜を過ごせたと言っていいだろう。辺りを見渡すが特に怪獣らしき姿は見えない。強いて言うなら焚き火の後と、その側には俺の荷物がある位だ。

「…….そういえば……この星に来て初めてまともな物食べたな」

地球での食事を思い出し、サバイバル生活もこんな感じなんだろうなぁと思い苦笑する。

 

「なんじゃこりゃああああああああああ!!!!」

 

突如先の戦闘で木っ端微塵になった基地の方から、とてつもない叫び声が俺の耳に勢いよく入ってくる。

「なんだ?!」

急いで駆け付けるとそこには橙のスクーターから降り、目を丸くして呆然と立ち尽くす少年の姿があった。

「えっと……君は?」

恐る恐る声を掛けると彼はこちらに気付き振り向く。

「もしかしてZAPの関係者!?なんでこんな事になってんの!?」

「えっ!?あーえっと……それは…俺g――」

『オレたちに食糧や資源をくれたんだ…!一体誰がこんな酷い事を!!』

――ギクゥッ!!

「お、俺にも分からないよ……ハハッ……」

冷や汗を流しながら、咄嵯に出た言葉がこれである。我ながら苦しい言い訳だと心の中で思った。

だが今はこうでもしないと怪しまれると思ったのだ。すると彼は少し疑いながらも辺りを見渡す少年はダイオリウスの足の一本を見つけた。

「…!?コレもしかして!!ダイオリウス!?」

「ダイオリウスを知ってるのか?」

「知ってるも何も、オレたちの拠点を襲ったりしてくる害虫だもん。そうか、コイツと戦闘したからこんな有様に……。」

少年は悔しそうな表情を浮かべていた。

どうやら少し勘違いをしている様だ。サルトさんの一件もあった訳だし、少し悪いけど今はそれにあやからせて貰おう…

「…そ、そういえばさっき『拠点』って言ってたけど近くにあるの?」

「うん。少し遠いけど2,3時間あれば着くと思うよ。この事も説明しなきゃだし。」

「じゃあさ、案内してくれないか?実は道が分からなくて困ってたんだ。」

「いいよ!じゃあ乗って!はい、ヘルメット。」

スクーターに二人でまたがり、エンジンを始動させる。こうして俺は彼と共に活動拠点へと向かう事になった。

道中、彼の名前を聞くと『レイジ』と名乗った。歳は3つ下で身長は俺の目線の高さと同じくらいだろうか。髪の色は黒に近い茶髪で、前髪を真ん中分けにしている。顔付きはまだ幼さが残っており、年相応といった印象を受ける。

「え、ハル先輩地球産まれなんですか!?」

「あーうん。そうだね、ちょっと色々あってこの星に来たんだけど…」

「やっぱり地球って綺麗なんですか?」

「そうだね。」

「行きたいな〜!地球!死ぬまでには行きたいんですよ!…っと先輩!見えてきましたよ!」

何故だか先輩と呼ばれている訳だが、そんな彼と他愛のない話をしながらスクーターで駆け抜けている内に目的地に到着したようだ。

(拠点って言ってた位だし、そこまで大きく無いのかな?)

そんな事を考えていた時期が俺にもありました。拠点に視線を移し、驚愕した。

――デカい。

拠点というより1つの街と呼べる位には大きい。

「す、凄いなぁ……」

「へっへーん。そうでしょうそうでしょう!」

誇らしげな顔をしている彼を横目に、改めてその拠点を見渡す。

周りを高い壁で囲まれており、入り口と思われる場所から大きな門が見えた。そしてその奥には、地球と何ら変わらない建造物が並んでいるのが見える。

「地球みたいだな」

「えぇ、ここの人達は地球からの移住が多いですから。」

「成程……それでこんなに発展していたのか。」

地球とは違った文化があるとはいえ、その光景はまさに地球の大都市──それも日本と瓜二つだった。

「とりあえず入りましょうか。」

「そ、そうだな。」

門をスクーターでくぐり抜け、街の中へと入っていく。街に入ると、そこには沢山の人が行き来しており活気が溢れていた。

「なぁレイジ、この街が日本に似てるのはなんでなんだ?」

「うーん。ここのリーダーが日本出身だからですかね?」

通りで何処かで見たような店が多い訳だ。

「あっ、着きましたよ。」

彼が指差した先には大きな建物があり、その入口の前には2〜30代だろうか、それくらいの青年が資料を確認しながら話し合っている。レイジはスクーターを停める。

「やぁ、レイジ。朝っぱらから何処行ってたんだ?それに後ろにいる人は……?」

「リーダー!おはようございます。ZAPの基地近くに居たハルさんっていうんだ。」

「どうも初めまして。」

軽く会釈をする。

「ZAP基地って…何度言ったら分かるんだ!あそこには近づくなと言った筈だ!」

いきなりの怒号にこちらまで驚いてしまった。

「ごめんなさい…。それより、聞いて欲しいんだよ!基地が、基地が全滅してたんだ…」

「!?……詳しい話は中で。ハル君と言ったかね、君も近くに居たなら何か知っているなら教えて欲しい。着いてきて。」

「分かりました。」

俺達は建物の中に入り応接室のような場所に通される。部屋の中央にあるテーブルを挟み椅子に座ると、向かい側に座るリーダーは真剣な眼差しでこちらを見た後、ゆっくりと口を開いた。

「さて、まずは何があったのか聞かせてくれるかい?それと…単刀直入に聞こう。君は宇宙人か?」

「イヤイヤ!俺は地球人です!名前は神崎ハルと言います。」

「地球で怪獣が出ていると聞いたが、どうやってこの星に?」

「それは……」

「それは?」

俺は少し間を置いて答えた。

「ワームホールに飲み込まれました。」

「「はあ!?」」

2人の驚く声が部屋に響く。

「……どういう事だい?詳しく話してくれないか?」

「はい。実は――」

すると突然、会話を遮る様に室内に警報が鳴り響き始めた。

『怪獣警報!怪獣警報!市民の皆様は直ちに地下シェルターへと移動を開始して下さい。繰り返す──』

「チッ、こんな時に……!」

リーダーが舌打ちをして呟き、腕時計らしきガジェットを起動する。

「どうした!状況は!」

『それが─然!空が─れて──現れました!怪─いえ!超──す!』

そこで通信が切れ、不穏な空気が部屋中を駆け巡る。「……分かった。すぐにそちらに向かう。」

そう言って彼は通信を切ると、俺の方を見て申し訳なさそうな表情を浮かべていた。

「ハル君……すまないが、レイジと一緒にシェルターに避難してくれ。」

「えっ!?オレも行くよ!」

「馬鹿な事を言うな!……いいか、これは命令だ。」

「でも……!」

「なら、俺を連れて言って貰っても良いですか?」

「……駄目だ。君は事故でこの星に来たのだろう?巻き込むわけにはいかない。とにかく、今は逃げるんだ。」

「……」

リーダーが先に部屋を出ていき、カチカチと秒針の動く音がこの場の静寂を物語っていた。俺たちは建物を出て大人しくシェルターへと足を運ばせる。その時。入ってきた門の方から銃撃音が空に響き渡たり、恐らく親とはぐれたのだろうか、泣いている子供の姿が目に入った。

 

──怪獣と思しき咆哮を耳にした時、俺は覚悟を決めた。

 

「レイジ、ひとっ走り頼んでいいか?」

「え?……はい!オレに任せて下さい!」

レイジは俺の“何か“を汲み取ってくれたのだろう。その顔は曇りのない自信の表情だった。

門まで20分も満たない走行の間、レイジは俺の事を何も尋ねては来なかったが、有難かった。

◆◆◆

「リーダー!このままでは突破されます!それも野生の『ドラゴリー』なんて聞いてませんよ!!」

「そんな事分かってる!!」

(とはいえどうしたものか──!?)

リーダーや他の仲間達の目に映ったのはハルとレイジの姿だった。

「アイツら!」

◆◆◆

「ありがとう。ここまでで大丈夫だ。」

「お易い御用です!」

そうは言いつつも手が震えている。今までの話を聞いた感じダイオリウス以外には怪獣に出会うのは初めてなのだろう。

「お前ら!逃げろと言った筈だ!」

「これは俺の責任です。後は任せて下さい。」

「しかし……」

「俺は大丈夫です!」

「……君は一体、何者なんだ?」

(さて……)

バトルナイザーを取り出し、天に向かって掲げた。

「ゴモラ、頼むぞ。行け!ゴモラ!!」

『バトルナイザー・モンスロード!!』

電子音と共に光に包まれたゴモラが召喚される。

「な、何だあれは!?」

「怪獣!?」

「まさか、怪獣使い……!?」

「そんなバカな……」

「おい!見ろよ、あの三日月型の角!……間違いねぇ!『古代怪獣 ゴモラ』だ!」

怪獣の登場に面々は唖然としている様子だ。

そんな中、いち早く正気に戻ったリーダーが指示を出す。

俺はそれを尻目に、怪獣の方へと向き直る。──いや『超獣』ドラゴリーへと向き直った。刻一刻とこちらに迫って来ている。

「行くぞ…ゴモラ!!」

俺の声に反応してゴモラは応えるように吠え、ドラゴリーに突進していく。衝突と同時に激しい土煙が上がる。

「凄いパワーだ……!」

俺は思わず感嘆する。一方、他の仲間達は俺の方を不思議そうに見ていた。

「君たちは民間の方々の避難誘導を急げ!」

「り、了解!!」

隊長の指示に従い、仲間達はその場から離れる。

俺はそれを確認すると、ゴモラに目を向ける。

するとゴモラは既に次の行動に移っていた。頭突きを繰り出し、怯んだ隙に尻尾を振り回し、そして再度、体当たりを仕掛ける。だが、ドラゴリーはゴモラを押し退け、鋭い爪を振り下ろす。

「危ないっ!」

俺は咄嵯に叫んだ。

次の瞬間、 ドガァンッ!という爆音が鳴り響き、両者共に距離を取る。見ると、ゴモラの肩からは血が流れ出ていた。

「大丈夫か!?」

「グルルルル……!」

俺が心配するも、ゴモラは痛みを感じていないのか、平然として立ち上がって見せた。だが、ゴモラは別の“モノ”に対して威嚇している事に気がついたのはすぐ後の事だった。

「フハハハハハハハハハハ!!!」

──突然甲高い笑い声が荒野に響き渡るのと同時に空に亀裂が入り、割れた。

「なっ…!ええっ!?」

「追い詰めたぞ!レイオニクス!!」

空を割って現れた異次元人。初めて見るが、俺はソイツを知っていた。それはかつて地球で名を馳せたというヤプール。歴史の授業で学んだ位なのだから知らない人は居ないだろう。

「レイオニクス……?」

「忌々しいレイブラッドの手先め!!貴様らがヤツを復活させようとしている事に気づかんのか!!」

「レイブラッドの復活?…どういう意味だ?」

「ふん、まぁ良い。どちらにせよ、ここで貴様を消せばいいものよ!!」

そう言うと、ドラゴリーの目が怪しく輝く。

「グォオオオッ!」

雄叫びを上げると、口から豪炎が放たれる。ゴモラは火炎放射を受けてしまう。

「くっ!大丈夫か!」

俺の呼びかけに答える間もなく、ドラゴリーは剛腕を振りかざし攻撃を続ける。今度は前足を大きく上げ、勢いよく振り下ろして来る。間一髪のところで回避に成功するも、衝撃で地面が大きく陥没した。

「ゴモラ!超振動波だ!!」

俺の掛け声と共にゴモラの角から赤い衝撃波が発射される。ドラゴリーの胸部へと直撃するが、

「フハハハァ!“ただの”怪獣如きの攻撃など効かぬわ!!」──ダメージを負った様子はない。

「なら…ゴモラ!地面に向かって超震動波!!」

俺は再びゴモラに指示を出し、頭部を地面に打ち付け、衝撃を地に走らせる。

「何度やっても同じだ!」

ヤプールが嘲笑うように叫ぶが、俺には勝算があった。衝撃と共にゴモラは地下深くへと潜っていく。

「ね、ねぇ!ゴモラ潜って行っちゃったけど大丈夫なの!?」

レイジが不安に耐えきれず俺に怯えた目を向けた。ゴモラが居ない今、こちらは盾の持たない盾兵に等しい。正直、一か八かの作戦だ。唾を飲み、緊張を押さえつける。

「……大丈夫。俺とアイツを信じてくれ。」

刻一刻とドラゴリーはこちらに向かって近づいてくる。ドラゴリーが大きく振りかぶった。──今だ!!

「ゴモラァ!!行けぇーっ!!」俺は天に向かって叫んだ。

その刹那、地の底から轟音と共にドラゴリーに向かって地中からゴモラが飛び出した。不意を突かれたドラゴリーは大きく怯み、仰け反る。

その隙を逃すまいと、ゴモラはドラゴリーに組み付き、その鋭い角を腹へ突き刺す。

「な、何ぃ!?」

驚愕するヤプールの声が耳に届き、俺はバトルナイザーを掲げる。

「トドメだ、ゴモラ!」

角に集められた衝撃波をドラゴリーに直で流し込む。岩盤を砕く程の威力を持った衝撃波にドラゴリーが耐えきれる訳も無く、その場で粉々に粉砕された。

「やった……!」

俺が安堵の声を漏らすと、ゴモラは俺の方を見て吠えた。まるで俺の勝利を讃えているようだった。

「くっ…お、覚えていろ!レイオニクス!!」

そういうとヤプールは急いで異次元の穴を塞ぎ、その姿を消した。

◆◆◆

「いや、本当に助かったよ。君たちのおかげで街を守ることが出来た。」

「いえ、こちらこそありがとうございました。」

「ハル君…君は──」

「す、すげぇええ!先輩!あのヤプールの超獣を倒しちゃうなんて!!」

「あ、ああそうだな……」

隊長の言葉は興奮したレイジによって遮られた。隊長は少し困り顔を見せた後、口を開いた。

「君の事について詳しく教えて貰うが、構わないかい?」

「まぁまぁ、リーダー!その前に!歓迎会やりましょーよ!」

「歓迎会?」

レイジの言葉に困惑しながら俺は聞き返す。

「そーっすよ!さぁさぁ、先輩も!ほら!行きましょう♪」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

俺の腕を掴み、レイジが強引に連れて行く。まぁでも……こういうのも良いかもしれないな。

 

――この時はまだ考えすらしなかった。自分がどれだけ大きな事に巻き込まれているか、そして負の連鎖はもう止まらないという事に……

 

To be continued…

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