大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal   作:リクソンLv.6

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第7話①:闘いの権利

「レイジ、次は何処に運べばいい?」

「ソレは6番倉庫の方に頼むっス。にしても、先輩もだいぶココにも馴染んできましたね!」

「そうかなぁ?」

時間が過ぎるのは早いもので、歓迎会から1ヶ月が経とうとしていた。俺は地球に帰る手段を考えつつ、レイジやリーダーの所属する『ユニオン』の手伝いをしながらこの街『フロンティアシティ』での日々を過ごしていた。最初は慣れない仕事ばかりだったけど今はすっかり板に着いてきた気がする。

◆◆◆

「よいしょっと…」

※%◐◎◇▽✗∞✪✰(アリガトウネェ)

「いえいえ、これくらい当然の事ですから!」

ここに来て一番苦労したのが宇宙語だ。当然だが、ココに住んで居るのは人間だけではない。他の星から来た宇宙人が居て、その殆どが地球の言葉を喋れない人達だ。学校の授業で少しは履修していたが、それでも最初の頃は厳しいものがあった。

 

「おい!近寄んじゃねぇよ!怪獣使いが!!」

「お前がいるから怪獣が現れるんじゃねぇのか!?」

 

「……ここに荷物置いときますね。」

――ヤプール撃退を期に俺の事が街全体に広がり周囲からの俺に対する目が変わった。良いモノもあれば勿論、悪いモノも。

 

『「忌々しいレイブラッドの手先め!!貴様らがヤツを復活させようとしている事に気づかんのか!」』

 

ふとヤプールに言われた事を思い出しバトルナイザーを手に取り見つめてみる。2体の怪獣が眠る液晶が光で反射し輝いていた。

「俺がレイブラッドの手先……まぁそんな訳ないか。」

バトルナイザーをしまい、基地の方へと戻っていく。

 

◆◆◆

倉庫から帰ってくるとそこにはリーダーと楽しそうに話すレイジの姿があった。遠目から見ると親と子の関係にしか見えないと思う程だ。……懐かしいな。

父さんや母さん――綾香とも話をしたのが随分と前のように感じる。

「あ!ハル先輩お帰りなさいッス!!」

「ただいま…」

「もしかして、また言われたッスか…?あいつら1回絞めないとダメだなぁ!」

「大丈夫だよ。自分の身を守ろうとしてるだけなんだから。」

「でも…人に当たるのは違うと思うッス…」

「……」

「おかえりハル君。」

「どうもです。リーダー」

軽く挨拶を交わす。それにしても、何の話をしていたんだろうか。

「二人って本当に親子みたいですよね」

つい、口から溢れてしまい慌てて口を抑える。すると、リーダーは笑顔で答える。

「よく言われるよ。でも私にとっては本当の子供みたいなものだがね。」

「そっスかねぇ?……あ、そうだリーダー、先輩に用があるって言ってませんでしたっけ?」

「おっと、そうだった。ハル君と少し話がしたくてね。地球の事とか色々と…」

「ホントですか!?」

俺は先程の事を忘れたかのように目を輝かせながら、食い気味にその声に答えた。

ヤプール戦の後、自分の事情を伝えた俺はZAPや他の惑星とも関わりのあるリーダーに地球へ帰る方法や、連絡などの調査をお願いしていたのだった。

「資料とか渡したいものも有るから、私の部屋に来て貰っても良いかな?」

「はい!勿論です!」

「リーダー、俺も行っていいッスか!?」

「お前はまだ仕事が残ってるだろ?それが終わってからだ。」

「えぇ〜……はい…うッス。」

トボトボと仕事に戻るレイジを尻目にリーダーの後ろへついて行く。一体どんな事が分かったんだろう?と期待を膨らませながらエレベーターへと乗り込む。

「ここが私の部屋だよ。適当に座って待っていてくれるかい?」

そう言い残すとリーダーは部屋から出ていった。──和室にちゃぶ台。なんとも純日本人、それも昭和時代辺りの部屋だ。

部屋に一人になった俺は、取り敢えず近くの座布団に腰を掛ける。部屋の中を見渡すとタンスの上には写真立てが置かれていて、地球で撮ったモノだろうか。様々な場所からの夕日や景色が飾られているが、そのほとんどが酷く色褪せていた。

「美しいだろう?」

リーダーがそう言いながら部屋に戻ってきた。

「はい…なんていうか、懐かしい感じがします。」

「あぁ。懐かしいなぁ。随分と時が経ってしまったものだ。」

何かにふける様な、遠い目をしながらリーダーは写真を見つめている。

「あの、この写真って……」

「あぁ、これは私がまだ若かった時に地球で撮ったんだ。あの頃はまだ大気汚染だったり環境問題が酷かったのを覚えてるよ。」

──ん?大気汚染とかってかなり昔、それも平成時代くらいには殆ど緩和されたって歴史で習ったハズ。だとすれば……

 

「リーダーって今、歳いくつなんですか?」

 

リーダーの眉が動きこちらを向いた。

「あー……それを聞かれるとは……。まあいい。結局話さないといけなかった訳だ。…それっ!!」

白煙と共にリーダーの身体が包まれ、姿が消える。煙が上がった時に目の前に鎮座していたのは一度目に入ると忘れる事は無いその色合い。そしてチューリップの様な手。

……リーダーが、メトロン星人……!?

慌てて腰のトライガンナーを引き抜き銃口を向ける。

「待て待て…私の真の姿はこのとおりメトロン星人だが、中身は君たちの言うリーダーに他ならないよ。」

そう言って両手を上げ降参のポーズを取る。しかし、俺は警戒心を解かず構えたままだ。

「何故その姿に?」

「なぁに、旧い友人との約束を守るためさ。……ずっとこの姿で居ても話が進まんな!ホイっと。」

再び白煙が上がりリーダーの姿へと戻る。──いや、こちらが擬態と言った方が正しいか。

俺は警戒しながらもトライガンナーを腰に戻して話を聞こうとする。

「それでだ。地球に帰還する事は恐らく可能だろう。だが連絡の方は、まだ地球とは取れていないらしい。」

「帰れるんですね!…ふぅ。」

ひとまず安心し、胸を撫で下ろす。その安心とは裏腹にリーダーの顔は重苦しいものだった。

「…これは伝えるべきなのだろうな。」

そうリーダーが切り出すと、真剣な眼差しで俺の目を見る。

「ヤプールが言っていた事、覚えているかい?」

「俺がレイブラッドを復活させようとしてるってやつですか。」

「そう。ヤツが言っていた事は間違いでは無い、というよりほぼ正解だ。」

「どういう事です……?」

「そもそも、君の持っているソレ。つまり『バトルナイザー』というものはレイオニクスの証とも言える存在だ。そして…レイオニクスとは――」

 

――レイオニクス。レイブラッド星人の遺伝子を持ち、怪獣を操る力を持った者。強い闘争本能を持ち、レイブラッド星人の後継者候補として怪獣を駆使して戦い合うレイオニクスバトルを繰り広げる宿命にある者達。

 

「……ちょっと待ってくださいよ!俺はこの星に来た時、地球に帰るには勝ち続けるしかないって言われたんですよ!?宇宙を平和にする為に戦えって!…じゃあ俺はレイブラッドの為に戦ってたと言っても過言じゃないですか。」

俺は勢いよく立ち上がり声を上げる。──俺が今まで戦ってきたのはなんだったんだ…

「大丈夫かい?少し休んだ方がいいかもしれないね。」

俺はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。

「……」

リーダーは心配そうな表情でこちらを見ている。

「すみません。少し外を歩いてきます。」

「あまり気負わない方が良い。君は悪くないんだから……」

そうリーダーは告げると、俺は重い足取りで部屋を出る。レイジの所に向かおうとも思ったが、仕事の邪魔になったら悪いと考え基地の外に続く通路へと足を運ばせる。

「俺…どうすりゃいいんだよ。なぁ、教えてくれよ――」

「浮かない顔だけど、どうかしたの?ハル。」

突然、背後から声を掛けられ振り向くとそこにはアリスが立っていた。

「ア、アリス!?どうやってここに!……そんな事より、答えろ!お前会った時言ったよな!宇宙を平和にする為に戦えって!帰る為に勝ち続けろって!全部嘘だったのかよ!」

ぐちゃぐちゃになったよく分からない感情をぶつけながらアリスに問い詰めるが、アリスはいつものように落ち着いた様子で話し始めた。

 

「勿論、宇宙を平和にするためよ。」

 

「レイブラッドを蘇らせる事がか!」

「そう。違う思想、違う人種、違う信仰。みんな違うから争いが起きる。誰かが誰かを差別し広がり争い滅ぶ。そんな下らない事を全部1つに纏める事が出来たなら全て解決出来ると思わない?」

「だからって……」

「自分が犠牲になったとしてもその後の宇宙が平和になるなら、むしろ誇るべき事でしょ?」

「武力で宇宙を一つにするようなやつが支配して平和なんかになるもんか!」

「……見解の相違ね。」

アリスはため息をつき、首を横に振る。その瞬間アリスの雰囲気が一気に変わった。感じた事の無いくらい冷酷で冷たく、突き刺すような殺気が全身を襲う。

「本当に残念ね。ならせめてレイブラッド様の糧になってくれる?」

「ハル君!ソイツから離れろ!!」

銃声が鳴り響き、目の前を弾丸が通る。

その先にはリーダーが居て銃口を向けていた。俺は咄嵯に後ろに下がり、距離を取る。

リーダーは俺を庇うように前に立ち、拳銃を構える。

「貴方ね?ハルを誑かしたのは。」

「誑かすとは失礼だな。私は彼に真実を伝えたまでだ。」

「これだから宇宙人は嫌いなのよ。人の心なんて簡単に弄んで……。」

「君もさして変わらないと思うが、違うかな?」

「『お前らみたいなのと一緒にするな!!』

……ふぅ。いけない、少し熱くなっちゃったわね。そんな口をきけるのも今のうちだけだから。」

アリスは口元を歪ませて不敵な笑みを浮かべる。

「来なさい。ギャラクトロン!!」

アリスの掛け声と共に空間が歪み、魔法陣のような異次元の扉が開かれる。そこから現れたのは白い竜を模した巨大なロボットだった。

「なんだあれ……ロボット……なのか?」

「ギャラクトロンだと!?クシアの先兵をどうやって!?」

リーダーは動揺を隠しきれない様子だ。

「あ、そうそう私こう見えて友達が多いの。アレの中に男の子1人運ぶなんて造作もないのよね。それじゃ!バイバ〜イ!」

と告げ、その姿を消した。

「…まさか!」

「そんな…!」

「「レイジ!!」」

◆◆◆

「……ん?」

コードやチューブ、それらが繋がった機械で出来た椅子らしきモノにレイジは縛り付けられていた。

「ここは何処だろう……? 」

確か、仕事に戻ったあの後急に後ろから首を絞められて…

ブゥンという音と共にモニターが表示される。

「これは…オレ達の街…?」

そこに映っているのは見慣れた街並みだが、至る所が破壊されていた。そしてすぐに自分の閉じ込められているコレが街を破壊して回っているという事を理解するのに数秒とかからなかった。

「おいおいおい!何やってんだよ!止めろ!止まれよ!!……クソッ!動かねぇ……ッ!」

いくら叫んでも反応はない。

やがてロボットはビルを壊し始め、逃げ惑う人々を踏み潰していく。

必死にもがくがロボットは止まることを知らない。

「……ッ!あっ……あぁ。」

ズドンッ!ドカァアン!

モニターが消え、僅かな頼りだった視覚情報と光も消えてしまった。

仲間たちの攻撃を食らったのか、それとも他の何かだろうか。どちらにせよその強い衝撃がレイジを襲い、レイジは深い闇の中へと意識を落としてしまった。

◆◆◆

「(たとえ俺が戦うことでレイブラッドの為になるのだとしても!俺は――!)」

「……行きます。戦います、俺!レイジを救う為にも…街のみんなを守る為にも!」

「!…分かった。コレを持っていきたまえ。メンバー達の共通の連絡手段だ。もしかすればレイジとも連絡を取れるかもしれん。」

「わかりました!──いえ…了解!!」

俺はリーダーから時計型の通信機を受け取り、急いで通路を走り抜け外へ出ると、バトルナイザーを掲げる。

「行くぞ!グエバッサー!!」

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

To be continued…

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