大怪獣バトルウルトラモンスターズEternal 作:リクソンLv.6
「(たとえ俺が戦うことでレイブラッドの為になるのだとしても!俺は――!)」
「……行きます。戦います、俺!レイジを救う為にも…街のみんなを守る為にも!」
「!…分かった。コレを持っていきたまえ。メンバー達の共通の連絡手段だ。もしかすればレイジとも連絡を取れるかもしれん。」
「わかりました!──いえ…了解!!」
俺はリーダーから時計型の通信機を受け取り、急いで通路を走り抜け外へ出ると、バトルナイザーを掲げる。
「行くぞ!グエバッサー!!」
『バトルナイザー!モンスロード!!』
電子音と共に放たれた光はすぐさまグエバッサーへと変化し俺はその白い翼に飛び乗った。
基地が遠くて見えなくなるまで一息でギャラクトロンの方へ翼を羽ばたかせる。
「グエッ!グェッ!ゲガァアアアアアアアッ!」
「もっとスピード上げてくれ!」
「ギィアアアアアア!!!!」
「ありがとう、頼んだぞ。」
グエバッサーは更に加速し、あっと言う間に目的地に着いた。
目の前にはギャラクトロンが暴れている光景が広がっている。地面ギリギリまで高度を下げる。俺を下ろした瞬間に再び舞い上がりギャラクトロンの首に目掛けて、その鋭い鉤爪を伸ばす。が、ギャラクトロンは左腕で軽々と弾き返し、右腕のレーザーで反撃してきた。
それを間一髪で回避すると再び急降下しながら今度は頭めがけて突っ込んだ。
しかし、頭部から足元に連なる髪のような尻尾が逆にグエバッサーの首を鷲掴み叩き落とす。追い討ちをかけるように赤く光る眼から光線が放たれ、白い羽毛が空へと舞い上がった。
「グエバッサー!……クソっ!」
「ギィイア!!」
レイジが何処にいるのか分からない以上、強気に出る事が出来ず、防戦一方だ。
『こちらハル!レイジ聞こえるか!!』
何度も通信機に呼びかけるものの結果は壁に呼びかけているのと同じものだ。
「(……どうしたらいい?このままじゃジリ貧だ。何か手を考えないと…。)」
その時、ギャラクトロンの腹部に魔法陣が出現し光が収束されていくのを視界の端で捉えた。
ヤバイと思った時にはもう遅く、そこから光線を発射される。
咄嵯の判断で体を捻り、直撃は免れたものの、衝撃で地面に打ち付けられる。
意識が飛びそうになるのをなんとか堪えるが、体は言うことを聞かない。目線の先には綾香から貰ったネックレスが。
ギャラクトロンの右腕が回転し大剣へと変わり大きく振り上げる。
「……ッ!…綾香、ごめん…。」
眼前に転がるネックレスに手を伸ばし掴みとり、思わず目を瞑る。………………. いつになっても痛みを感じない。恐る恐る瞼を開くと目の前ではゴモラが俺の前に立ちふさがり、その剛腕でギャラクトロンの攻撃を受け止めていたのだ。
「グオォオオオッ!!」
そのまま力任せに押し返すとすかさずメガトンテールを食らわせ、ギャラクトロンの巨体が宙を舞う。
「……ガウッ。」
きっと、俺とグエバッサーに「何やってんだ」とでも言ったのだろう。その眼は優しく。そして任せろと言わんばかりの自信に満ち溢れた『いい顔』をしてやがった。
「ギィアャォォォオオオッン!!!」
「グエェェェエエエエエ!!!!」
"ソレ"に奮起されたのか、グエバッサーは立ち上がり、2体の怪獣は雄叫びを上げ仲間を――そして相棒を鼓舞してみせる。
「――ッ!!」
俺は立ち上がり、勢いよく鼻から息を吸い上げ天に向かって叫んだ。
『行くぞぉぉおおおお!!
◆◆◆
声が聞こえた。聞き覚えのある熱くて優しい声が。
……今の声って…
来てくれたんだ。ハル先輩が。
暴れ狂うオレを倒す為に。
──誰デアロウト邪魔ヲスルナラバ抹殺スルマデダ。
…違う。オレはそんな事思ってないっ!オレを止めて欲しいッス!ハル先輩!
──これは我々の使命なのだ。
……え?
オレ…ハ、何言ッテンダ……?
ボク?自分?ワレワレ?オレ……?
オレはオレはオレはオレはオレはオレはオレはオレはオレオレオレオレオレオレオレオレオレオレオレ――
「『聞こえるかぁっ!!レイジっ!!!!何処にいるのか分からないけど、絶対に助けてやるから待ってろ!!!』」
!──ハル……せんぱい……
◆◆◆
「ガァァアアア!!」
「グエェェエエ!!」
俺の声に応えるように、ゴモラが先陣を切り、ギャラクトロンに突っ込んでいく。グエバッサーもそれに続く。
「ガゥゥゥウ!!」
まずはゴモラが跳躍し、前宙をしながら尻尾で叩きつけ、俺はそれを援護するように指示を出す。それに続いてグエバッサーが上空からの鉤爪攻撃。
「──グェアアアアッ!!」
2体同時の攻撃は流石に避けきれないようで、直撃したギャラクトロンはよろめき後退りをする。
「ギャオォオオオン!」
さらに畳み掛けるべく、ゴモラが追撃するが、ギャラクトロンは右手の大剣を盾代わりにして防ぐ。
「ッ!?」
だが、その瞬間。ゴモラは右腕の肘関節部分を噛みつき、盾の動きを止める。
そこにグエバッサーが背後から組み付き尻尾を引きちぎり、体勢が崩れたところを見計らい、ゴモラの鋭い爪をギャラクトロンの胸の赤いコアに直撃させる。
すると、装甲が砕け散り中からは赤い結晶のようなものが露出し、それは粉々に割れて消滅した。
「ガァゥゥウ!」
「グェェエエ!」
ゴモラとグエバッサーが何かを見つけたのか俺に向かって叫んでいる。──まさか!?
◆◆◆
朦朧とした意識の中で途端に目の前が光で溢れた。眩しい……。光に目が馴染んでいくのを感じながらゆっくりと開く。
さっきまで自分を縛っていた機械達は力を緩めたのか、間を腕がすり抜け光のその先を見る事が出来た。空は青く空気が美味しい。大きな壁の外は地面が茶色くハッキリと空との境界を感じさせられる。……アレ?力が入らない。
風と衝撃に煽られたから、その身を外へ投げ捨ててみた。
◆◆◆
「リーダー!!頼みます!!」
「あぁ!私の“大切な子”を返して貰うぞ!!」
リーダーの乗る流星如き小型スピーダーが一直線に落ちるレイジの元へ飛んでいった。
「うぉおおおお!!」
スピーダーの前面からレーザー光線を連発し、ギャラクトロンの注意を引く。
コクピットのハッチを開き、精一杯手を伸ばし──
「「獲った!!」」
「グエェェェエエエッ!!!」
「ギィアャオオオッン!!!」
リーダーと俺の声と共に2体の怪獣が動き出す。グエバッサーの起こした竜巻によって空高く舞い上がったギャラクトロンを鷲掴み、蹴りを浴びせる。地上で待ち構えたゴモラの角が刺突するかのように突き出され、腹部を貫く。グエバッサーとゴモラの間で爆散したギャラクトロンは様々なパーツの残骸となって周囲に崩れ落ちた。
「──やったな、みんな!お疲れ様!ゆっくり休めよ。」
「シャアウゥゥウ!!」「グエェェエ!!」
労いの言葉をかけると嬉しかったのか、二体は互いにハイタッチして喜びを分かち合いバトルナイザーへと帰ってきた。
ふぅ……一時はどうなるかと思ったけど、なんとかなって良かった。
◆◆◆
「ん…あ、アレ?リーダー?それにハル先輩まで…。」
「大丈夫か!?」
「良かった…。無事で…ホントに…心配させやがって……!」
「えっ!?ちょっ……リーダー!痛いっス!離してくださいっス!!」
リーダーは思わずレイジを抱きしめていた。レイジは恥ずかしかったのか抵抗しリーダーの腕を振りほどいた。
俺はそんな光景を見て、なんだかほっこりした気持ちになった。
――2週間と少しが過ぎ、街の勢いも戻りつつある中、わかった事が。
レイジはどうやらギャラクトロンに乗せられて以降の事を覚えて居ないらしいのだ。
本人には悪いがショックによる記憶障害の一種だろうという結論に至った。
◆◆◆
「ホントに良かったんですか…?」
「あぁ…。コレは私の責任でもある訳だからな。」
リーダーからの誘いで俺はレイジ達を基地に残し、リーダーと共に他の惑星へと渡る事が決まった。勿論、地球に帰る為でもあるが、レイオニクスの宿命に他の人達を巻き込まないようにする為でもある。
「……。」
「まぁ、そう気を落とすな。この星が消える訳じゃない。また会えるさ。」
「はい……ありがとうございます……。」
俺が落ち込んでいると、リーダーは肩に手を置いて慰めてくれた。
そして、別れの時が来た。
俺は街の人々に見送られながら戦艦型の宇宙船に足を運ばせる。──その中にレイジの姿は無かった。
「そりゃそうだよな。」
親同然の人が急に現れた怪獣使いと一緒にこの星を去るのだから。レイジがあの後、何を思ったのかはわからない。だけど、俺だけを恨んで欲しいと切に願った。こんなどうしようもない怪獣使いを。
宇宙に出ると、そこには見たこともない景色が広がっていた。
赤茶けた大地、雲に覆われた暗い空、遠くに見える海らしきもの。自分が一時期住んでいたとは思えない程にその惑星は美しく見えた。
──ピーッ!ピーッ!
突然、通知音が鳴り響き仲間たちとの通信チャンネルを開くリーダー。
「どうかしたのか?」
『リーダー!大変です!レイジがいません!どこにも!』
「なんだと!?本当によく探したのか?」
『はい…。しかも、食料と備品も幾つか無くなっていて…。』
ガタンッ!
その言葉を聞いた途端にダクトが音を立てた。
「い"っ…!」
「「……」」
リーダーと俺は目を合わせ、怒りと安堵、呆れ。様々な感情が重なりこう叫んだ。
「「降りて来い!!レイジ!!!!」」
惑星ナナシ編[完]
To be continued…