異能系デスゲームで俺だけ異能が分からないので意味深なセリフで切り抜けたい 作:あおさ
「何言ってやがる?」
「何?ってああ。何にも知らないんだな、俺はこの手のゲームには少しばかり詳しくてな」
ダメ元でサブスク申し込んでみたら、まさかOKされるとは思わなかった。お陰で毎日デスゲーム三昧だ。だから多分常人にマウント取れるぐらいには知識があるはずだ。だから、嘘はついてない。
「それがお前の異能って奴か?」
「もし仮にそうだとして、そうだと言うと思うのか?」
そう言うとヤンキーは心底可笑しそうに笑った。
「そうだな、そんなのどうでも良い。大事なのはお前がイケすかなくてムカつく奴だって事。そして、今なら殺しても構わないって事だ」
笑い終わると、瓦礫の石を掴んで一言。
『"当たれ"』
そう言ったのと、同時に石は俺の体にめり込んでいた。
「コレが……異能か」
勢い良く俺の身体は吹っ飛び、反対側の壁にぶつかった。突き破る程の威力は無さそうだ。
「ああ、そうだ。俺の異能は"当たり癖"らしいぜ?心"当たり"はかなりある。昔からイライラして物に当たるのがいつもだったしな。こうやって……な!」
今度は何も聞こえなかった。だが、先程の勢いでガタイの良いヤンキーが突っ込んでくれば普通の人間である俺の死は近くなる。
「おい、異能はどうした?殺し合いだろ!これじゃあイジメじゃねえか!」
馬乗りで殴りながらそう言われても、俺にはどうする事も出来ない。
使いたくても使えねえんだよ、クソが。なんて言ったって仕方無い。それに漫画やアニメみたいに死にかけに眠っていたスーパーパワーが目覚めて形勢逆転みたいな事も無さそうだ。
痛みに耐えながら、俺が出来る事としたら。
「忠告を……忘れたのか?まだ一時間も経ってないだろ」
「あ?」
今まで学んできた事を活かして、ツギハギの嘘を並べるだけだ。
「ゲーム開始してから一時間前後はチュートリアルタイムで、その時間内に相手を殺せばデスペナルティーが発生する。本当に良いのか、俺をここで殺しても」
「命乞いか?」
「いいや、相談だ。お前だって死にたい訳じゃ無いだろ。此処でつまらない死に方をするより……それに、お前が知らないであろう情報だって俺は知ってる」
「それが本当なのか、それを信じた所でどうせ死ぬのは変わらねえだろ。なら、上から目線で嫌な奴を殺してスッキリして死んだほうがマシだ」
「そうか……」
失敗だな。もし次があれば、下手に出て媚をへつらってゴマをするようにしよう。次があれば、な。
「じゃあな……名前も知らねえ雑魚」
結局、俺の異能って何だったんだろうな。そう考えながら奴の拳がゆっくり俺の顔面に当たるのを眺めていた。
「ったく、つまんねえ相手だったぜ」
ぼんやりと、意識が遠のく時聞こえた最後の声はそれじゃなく。
『え、何これ……ボク知らないんだけど?まぁ、ルールブックに書いてあるし、そうだよねッ★』
モニターから響く喧しい