異能系デスゲームで俺だけ異能が分からないので意味深なセリフで切り抜けたい 作:あおさ
そんなこんなで一時間が経った。身体は少しは楽になり、多少は動ける様になった。
「まだ磔から動けねえな。クソ」
一方ヤンキーの方はまだ動けない様だった。未だ変わらず、イエスキリストの様なポーズでそこに吊るされていた。
『ボク達だって馬鹿じゃないから被害者と加害者を同時刻には解放しないよッ★君は後三十分動けないからね』
「マジかよクソ……」
「暇なら君の性癖を教えてくれ。頼む」
そう聞いて絶望するヤンキーに、おじさんはまたその台詞を繰り返した。
「虎穴に入らずんば虎児を得ず、か」
俺は適当にそれっぽい事を言ってその場から逃げた。癖の強そうな奴らばかりだ。もしかして、他の参加者もこんな感じなんだろうか?だとしたらまともなのは俺だけかもしれない。
その後、予感は見事に的中し。地震を起こされ、巻き込まれたり美少女に咬まれたりと意味が分からない事になったので、結局元の部屋に戻る事にした。
『おー。コレで全員揃いましたねッ★』
見知らぬ少年が持ってるスマホを通じて、ゲームマスター(仮)はそう話しかけて来る。
『では、本格的にゲームを始めますかッ★皆さん自信がある方からどうぞ〜』
あ、そう言う感じなんだ。
「じゃあ、僕から行かせてもらおうかな。後になるほど不利だろうし」
そう言って前へ出たのは、先程の性癖質問おじさんだった。
「きっと、これで最後になるだろうから僕の異能を教えよう。僕の異能はね、"性癖"さ」
え?あの性癖ってその性癖?やっぱさっき執拗以上に迫ってたのは、そう言う事だったのか。
「ふっ……クソみたいな能力だと思うだろ?僕だって最初はそう思ったさ、だが今は違う。この能力は最高で最強だと、自信をもって言える!」
すっげえ熱量。大統領選とかに出馬すれば当選出来るんじゃないかな。知らんけど。
「まぁ、言っても分からないだろうし、実際に試してみようか。実はすでに二人ほど性癖の扉は開いているんだ。つまり、彼らは僕からしたら丸裸って事だ。さぁ、こっちへ来るんだ。分名栗造君そして、ゲームマスターの女よ」
「チッ……逆らえねえ」
『……おじさ〜ん。そう言えばルームサービスに行ったスタッフが何人か変な状態で帰ってきたんだけど、もしかしてッ?』
「そうだな、僕の仕業だと思って構わない。運営やその関係者にも異能が効くと言う結果が欲しかったからね」
成程、このおじさんすげえな。能力とコミュニケーション能力はアレだけど。だとしたって、初対面で一言目に「君の性癖教えてくれないか?」はフランク過ぎるだろ。
「すぐに分かるよ、彼、彼女達に何が起こったかはね……」
そう言ってすぐに画面越しの運営と、ヤンキーに異変が起きた。黒いモヤが彼らの身体を纏ってそして、離れた。それはゆっくりと人の形を生成していった。
「ご機嫌よう。初めて見るだろうが、これが君達の性癖だ。それを具現化させたのさ。どうだい?どこか魅力的で、そして恐ろしいだろう?」
具現化された性癖はおじさんの隣に立ち、指示を待っていた。