相棒枠に収まろうと思う   作:ラトソル

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貴族制度とか難しくてよく分からん

 私がアンダーワールドの世界に入ることは無い。干渉も出来ない。

 

 入るべきでは無いし、入れないと言ってもいい。

 

 だからこそ私の用意するピース。

 

「アンダーワールド……ラース……スーパーアカウント……はぁ、頭が痛くなるわね」

 

「時が来れば、君はその世界へと行くことは確定している。その後の行動は全て君に任せよう」

 

「アドバイスも無いわけ? 私を利用しようとしてる癖して」

 

「君にとってもメリットのある取引だと思うがね。君はこの世界で唯一、雨宮零の周回を目撃している」

 

「周回って……はぁ。また難しい言葉。研究者っていうのは曖昧な言葉しか言えない人種なのかしら」

 

「そして、彼にとっても君が『引鉄(トリガー)』になるのさ」

 

 彼を救うことの出来る人間は、彼に救われた人間でなければならない。

 それでようやく資格を得ることが出来、複雑な歯車を組み合わせることによりようやく扉を開くことが出来るのだ。

 

 桐ヶ谷和人は小さな小さなきっかけに過ぎない。

 

 雨宮零に家族の温もりを与えられた、ユイ。

 

 雨宮零に命を吹き込まれた、紺野木綿季。

 

 そして、雨宮零に生きる意味を与えられ、人生の全てを彼に捧げてもいいと誓った、朝田詩乃。

 

 この三つの『鍵』こそが、雨宮零を救う資格を有する者たち。

 

 三者三様に抱く彼への想い。

 

 恩人であり父へと向ける敬愛。

 

 恩人であり兄へと向ける親愛。

 

 恩人であり親友へと向ける友愛。

 

 その想いは何者よりも強く、美しく、真っ直ぐで。

 

【恋愛】は、この三つに並び立てるものでは無い。

 

「恐らく。異界戦争自体は私の知るものよりも順調に進むはずだ。彼がアンダーワールドで育んだ実力はガブリエルを大きく上回るものになっているだろう」

 

「その単語を理解してる前提で話すのやめてくれない? 何も理解できないのだけど」

 

 もっとも、順調に進むという条件には彼女達がアンダーワールドへと降り立ち、加勢するということが必要ではあるが。

 そして、レイン君と接触しなければならず。

 

「不確定要素もあるが……」

 

 私が期待するのは、鍵である三人と、主人公であるキリト君だけ。

 

 ────結城明日奈には、なんの期待もしていない。

 

 彼女では、記憶を取り戻すことすら出来ないだろう。

 

「また曖昧な言い方」

 

「全てを教えてはつまらないからね。あくまで私は調停者に過ぎない。そして俯瞰者でもあるのだから」

 

「今更すぎるけど、雨宮くんの声でその口調やめてくれないかしら。彼の身体を他人が使ってること自体不愉快なのに」

 

「それでこそ朝田詩乃だ」

 

「気持ち悪い」

 

 不確定要素の介入が実現してしまったのなら。

 状況は、レイン君以外にとっては最悪のものになるだろう。

 

 レイン君とキリト君が手を組んだところで、『彼』の前では相手にならない。

 違うな、キリト君が『彼』と戦うことが最悪手。

 

『彼』を相手取るのは、レイン君が単騎で向かうしかないのだ。

 

「……アスナは、雨宮くんを思い出して、貴方の言う『鍵』になる」

 

「不可能だ。彼女に資格は無い」

 

「資格云々の話じゃない……アスナの雨宮くんに対する想いは本物で」

 

「それならば、記憶を失っていること自体がおかしな話だ」

 

「は……?」

 

「『システムすら超越する何か』。それを持つ対象に、あの記憶消去は発動しない。ユイがそれに該当する」

 

 私が朝田詩乃にオーグマーを装着しないように告げたのは記憶消去を防ぐためでは無い。まだ、『大切な人を失った悲しみに昏れる少女』を演じさせるために過ぎない。

 

「仮に君がオーグマーを装着していたとしても、君の記憶が消えることは無かった……つまりは、そういうことだ」

 

 結城明日奈は、桐ヶ谷和人のメインヒロインである。

 それこそが世界の大前提なのだ。

 

 ……もし、仮に。

 本当に薄い可能性。有り得るはずのない、既に切り捨てて然るべき事象ではあるが。

 

 結城明日奈の記憶が取り戻されたのなら。私の想定を遥かに超える結末が待っている事だろう。

 

 彼女は決して『鍵』にはならず。

 

 どちらに転ぶか分からない地雷でしかないのだ。

 

 まあ、どちらにしても。

 

 雨宮零がもう一度、キリト君の目の前で死亡することは変えることのできないものなのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

『アリス』

 

『どーしたの、レインさん?』

 

 それは、一年ほど前に交わしたあの人との会話。

 話しているだけでポカポカと、温かな気持ちにさせてくれる魔法みたいな男の人。

 

 その人の真剣な顔なんて見た事なくて。その時も、笑いながら冗談目かしく話してきたけれど頭を撫でながら私に何かを伝えるというのは初めてだったから。

 

『もし、仮に。アリスの記憶が消えるようなことがあったら』

 

『やだ』

 

『だよなぁ……まあ消えるのは決まってるんだけど』

 

 どうしてそんなに酷いことを言うのか。けど、何故だか不快感がなくて。

 

 私の手に乗せてきた小さな包み。開けようとした私の手をそっと握る。

 

『レインさん?』

 

『ま、お守りみたいなもんだよ。ポケットにでも入れといて』

 

『記憶が消えちゃうって話はどーなったの!』

 

『なんとかなるっしょ』

 

『もー! 適当なんだから〜』

 

 どうしてかは分からないけど。私、大丈夫だよ。なんとなくそう感じたから。

 

「ひーっひっひー!! 強制シンセサーイズ!!!」

 

 だからね。私は泣かないよ。レインさんがそばに居てくれてる気がするから。

 

 好きな人が『なんとかなる』って言ってくれたから。私は頑張れるよ。

 

「っ……ね、ぇ……ダルマさん」

 

「はいぃ……? アタシのことを『ダルマ』って呼んだんですかぁ?」

 

 辛い、辛い、辛い、辛い。でも、平気。

 

 胸の温かさだけは消えないから。

 

 私の記憶が犯されていく。どんどん、どんどん、こじ開けられていく感覚。

 

「あなた、は……っ、すごい、神聖術師、なんでしょ……? エレメントも、いっぱい作れちゃうんで、しょ……」

 

「誰から聞いたか知りませんがねぇ。やろうと思えば両手足で二十、目も使ってまだまだ作れますよォ!!! それがどうしたってんですか。今から消えていくお前にはカンケーないことでしょうが!」

 

「あ、はは……すごい、ね」

 

「褒めたところで状況は変わらねぇんですよぉ」

 

 ああ、本当だ。

 

 レインさんの言ってた通りだ。

 

「────そんなに、少ない数で……自慢、出来るなんて……凄いね……っ、ははっ」

 

「────あ”?」

 

「────私の大好きな人は!!! 100でも200でも作れるからッ!!!!」

 

 ────大好き。

 

 また、貴方に会える日が来たのなら。

 

 私の想いを、聞いてくれますか? 

 

「〜〜〜〜!!! さっさと消えなさい、クソガキがぁ!!!」

 

「ぁ────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

「二十ぶぁんばびょ!?」

 

「おー。今日はいつもより飛んだんじゃない?」

 

 どもども、レイン・シンセシス・トゥエニです。

 アリスと交流を重ねて二年が経過しようとしていた。そろそろか? 

 

「元老長の骨格ってどうなってるのかしらね」

 

「風船なんじゃねぇの?」

 

「風船……ぶフッ」

 

 俺の隣を吹き出しながら歩くのはお馴染みイーディスさん。任務が無くて暇なようだ。というか俺が関わる騎士ってイツメンが過ぎないか? もっと関わり増やしたいよ!! 自分からはいかないけど。

 

「ッ……このクソ人形風情がぁ!!! 毎度毎度私のことを蹴り飛ばすんじゃないんですよォ!!!」

 

「あら。今日は頑丈ね、元老長」

 

「居たんだ、お前」

 

「〜〜〜〜!!! 調子に乗ってるんじゃありませんよ!?」

 

 ボールかと思ったらチュデルキンでしたわ。道理で柔らかいなとは思ったよ。あと汚い音したし。

 

 ちなみに、こいつは俺がアドのお気に入りであるために嫉妬心をガンガン向けてきている訳だが、俺が整合騎士の出で立ちなどを知っていることは知らないためにたまにマウントを取ってくる。その度になんか哀れになるよね。

 

 唾を撒き散らかす二頭身改め、チュデルキンはイーディスに人差し指を向ける。

 

「10号!! お前もですよ!? 言葉遣いには気を付けろと何度も何度も言わせるんじゃないんですよっ、今日召喚された整合騎士に示しがつきませんからねぇ!!」

 

「えっ!? 新しい整合騎士が来たの! 男の子、女の子!?」

 

「女の子」

 

「なんで知ってやがるんですか二十番!?」

 

「女の子!? やった〜!!」

 

 どうしてこいつは他の奴らとは違って俺にだけ「番」って呼ぶのか。なんの差なのかね。

 

 そして、さっき感じた違和感というか、波動というか。アリスのシンセサイズが完了したな。まあなるべくしてなったに過ぎないか。

 

「ねぇねぇっ、会いに行こーよ!!!」

 

「俺はパス」

 

「え〜!! なんでよ〜」

 

「猊下からの招集受けてるから」

 

 受けてないけどね。こう言っとけば整合騎士は口出し出来ないことを知っているから。俺がした発言はアドの耳に入っているから毎回小言言われるんだけどね。

 

 例に漏れず効果覿面のようで。イーディスは、ぐっ、と押し黙らされたように仰け反り、最終的には仕方がないと妥協すると俺に手を振りアリスを探して何処かへと走っていった。

 

 残された俺とチュデルキン。

 チュデルキンは俺の口からアドの名前が出たからか、招集を受けたという文面に文句があるのか、プルプルと震え今にも爆発しそうな様子で黙っている。

 

「〜〜〜〜っ、二十」

 

 はい、転移。

 

「新生アリスちゃんには会わなくていいの?」

 

「どうせ会うんだし。落ち着いてからでいいだろ」

 

 アリスとの面会直後だったのだろう。いつものようにベッドに寝転んで漫画を読み漁っているヒキニートの姿では無く若干神々しさが残る神様モードのアドミニストレータがそこに居た。

 

「貴方も大概人でなしよね。救おうと思えば何時でも救えたくせに見捨てるんだもの。あんなに懐いていたのに……ね」

 

「俺はこういうことに関しては割り切る事ぐらいお前も分かってるだろ? 何を今更」

 

「ふふふ。いいえ? 文句なんかじゃないのよ? ただ、この先が楽しくなりそうで嬉しいの」

 

 救済なんて掲げたことは無い。しようとも思わない。

 

 アリスが整合騎士になるのは物語の進行上必須と言っていい。下手に道を歪めて取り返しのつかないことになっては修正が面倒だ。だからこれは必要経費。

 

「主人公君が来るのも時間の問題ね。このままでいいの? 完全にキリトの敵の立場よ?」

 

「別に。正直、原作さえ始まってくれればあとは何してもいいと思ってるしな。もう細かい部分は記憶から消し飛んでるし、流れに身を任せるだけだろ」

 

「キリトと殺しあっても構わない、と?」

 

「あいつはこの世界の人間じゃないからな……殺しても死なないんだ。なら、必要性を感じれば即座に殺すよ」

 

 えーっと、なんだっけ……ああ、ユージオだ。確かユージオはアドとの戦闘で死んだはず。なら俺が殺しても変わらんだろ。アリスは絶対に殺さないが。傷一つつける気は無い。

 

 まあそれも、必要があればの話だ。今未来のことについて語り合ってもキリがない。

 そもそも、俺の出る幕なんてないのでは無いだろうか。

 

 アドはこの世界最強だ。誇張無く。

 俺とベルさん二人がかりでならまあ勝てるけど、俺単騎で挑むとなれば勝てるか微妙な所だろう。

 

 初見殺しの技を複数所持しているし、キリト達に負けるビジョンは見えないんだよなぁ。それこそ、本人が負けることを望まない限りは。

 

「美味しいの買ってきて」

 

「突然すぎる」

 

 セントラル・カセドラル全域がアドの射程圏内。カーディナルの位置ももちろん捕捉しているし何時でも攻撃を開始出来る。

 それでも放置しているのはあいつなりに何か考えあっての事だろうから。

 

「服も何着か見繕ってきてね〜」

 

「部屋着用のダウンジャケット作ってやろうか」

 

「需要無さすぎるでしょ」

 

 俺以外の整合騎士と話す時のアドを見たことは無いけれど。

 俺に対する態度、扱いは特別なものだということだけは分かる。

 

 あいつの深層心理まで理解できるほどの仲ではないけれど、お互いに悪感情は無いということだけは分かっているから。

 

 人界の街に降りる許可を得てるのなんて普通に意味分からんからな。

 

 で、飛竜も無いから普通に単身飛んで行った。

 刀も携えず、金だけ持って綺麗めの私服で。

 

「お貴族様なんだ。切腹した方がいい?」

 

「せ、切腹!? いやいやいややめてくださいよ!? お世話になったのは私の方ですしっ、六等爵家ですし!!」

 

 最近ハマってる蜂蜜檸檬パイを買いに行ったら、結果的に女の子をナンパすることになりました。小学生かな? 

 

 ぺぇは中学生。我ながら感想がキショすぎる。

 

 整合騎士を見慣れてきた俺からしては初めて見る大人しいタイプの女の子。イーディスとは真逆だ。このまま順当に成長してくれれば可愛らしい淑女の完成である。

 

 彼女の名前はロニエ・アラベルというらしい。蜂蜜檸檬パイが俺でちょうど売り切れになり、後ろに並んでいたこの子が項垂れていたために交流が始まった。はたから見たら俺犯罪者じゃね? 禁忌目録違反待ったナシである。

 

 二個あるから一個あげるよ、というなんともイケメンムーブをかましたらまさかのお茶をご馳走してくれるとのことで。お貴族様とはいえ10歳越えて少しぐらいの女の子に奢られているという背徳感。普通に気まずい。

 

 この子の名前は何処かで聞いたような気がするけれど普通に思い出せない。どこで聞いたっけか? 

 

 ちなみに二個買ったのは一つはベルさん、もうひとつはアド用のお土産として買ったので、消去法でアドの蜂蜜檸檬パイは消えたということになりますね。ベルさんはどうせ俺と一緒に食べる流れになるから実質アドだけが食べれないというパーフェクトプランだ。

 

「あの辺りの方ですか?」

 

「いいや。たまに買いに来るんだよね。住んでるところはもっと遠くだよ」

 

「そうなんですね。私も近くはないんですけど、あのパイが大好きでかなりの頻度で買いに行ってるんですよ! また会えたら嬉しいです!!」

 

 もう解散みたいなセリフ言われたけどお茶一口も飲んでないんだよな。お貴族様らしい丁寧な言葉遣いだけどさすがは小学生だね。皮肉じゃなくてアイロニーです。

 

「私、男性の方と話す経験があまりなくて苦手意識があったんですけど、レインさんは凄く話しやすいです!!」

 

「男らしくないって??」

 

「え、あ、え!? ち、ち違います違います!! そうじゃなくてっ、え〜っと……あのっ、あぁ〜!?」

 

 なんだこいつクソ可愛いな。早くもロリスに並ぶ逸材を発見してしまった。

 光属性が強すぎて昇天しそうになったが、イーディスとチュデルキンを思い出して何とか耐える。脳内でチュデルキンと並んだイーディスからボコボコにされた。

 

 しかし、六等爵家ねぇ。貴族階級とか普通に詳しくないからなぁ。一も二も三も知らんのに急に六出てきて理解不能。

 貴族は周りからの扱いは良いけどお家柄とか面倒だよね。中途半端な地位は却って弱みになるし。ロニエがそれにあたるのかな。

 

 禁忌目録も絡んでくるし。貴族裁決権だったっけ。この子その内上級貴族からソレ使われて襲われそうだな。強姦物は普通に嫌いです。

 

「これも何かの縁……ってね」

 

「はい……?」

 

「────ほい。これあげる」

 

「え……お守り、ですか?」

 

「縁起があるとか無いとか……有ったらいいなぁ、でもそんなうまい話あるのかなぁ……っていう効能がある御守りだよ」

 

「それは御守りなんでしょうか……」

 

 まあゴミとはいえそこまでする貴族は出てこないと思うけど。それが起きたらどうしようか。ロニエはもう俺と関わりを持ってくれてる子だからなぁ。この子に手を出した奴がいたら。

 整合騎士って貴族よりも権力上だよね。

 

「また!! お話ししましょうね〜!!」

 

 小学生が下校する時に分かれ道になった友達にするやつやめて? 

 

 結局1、2時間話し込んでしまった。俺男でよく話すのベルさんしか居なくね? おいおいどこのイキリトハーレム状態だよ。あの主人公君の場合はほとんどの女の子から好意を向けられてるのに比べて俺の場合恋愛に発展する人が皆無なんだけどね。

 

 それから帰宅しようとしたところにアドからの指令が下り急遽果ての山脈へと向かい一週間ほど。まあ実際は三日ほどで任務は終わり、残り四日間は人界を飛び回って遊んでただけだが。

 

「アリス・シンセシス・サーティです……よろしく、お願いします……」

 

「ベルさんベルさん。俺なんで初対面なのに既に引かれてるのかね?」

 

「そりゃ、お前さん。素でヤバいやつだからじゃねぇの?」

 

「泣こうかな?」

 

 ロリスがアリスになってました。うん、知ってた。

 この世界に来た初日ぐらい最近は出会いが多いな。違いと言えば、アリスからの好感度が低めからスタートしてることか。ファナティオさんの神器使って生ゴミ焼いたのそんなに変な話かね? 効率的な使い方したと思いますけどね。

 

 アリスの目を見る。

 先輩整合騎士という肩書きで耐えてるけど、懐疑的な視線が見え隠れしているのが普通に辛い。

 

「アリスの剣の指導、お前も加われ」

 

「えぇ……」

 

「団長命令な」

 

「そんな権限無いでしょうが」

 

 嫌だよ。俺も叔父様って言われる可能性出てきたってこと? というか人に指導する経験少ないんだけど。

 

 でもなぁ……まぁ……ん〜。まあいいか。

 

「アリスが良いなら」

 

「……………………よろしくお願いします」

 

「泣こうかな」

 

 天使だった頃のロリスの面影ゼロなんですけど。別人ですか? ああ、別人でしたね、中身が違うもの。

 

「あっはははは!! レイン嫌われてるじゃんっ!!」

 

「初めまして。どちら様ですか?」

 

「存在ごと忘れられてる!?」

 

「アリス。あの二人を基準に考えないでね。他の整合騎士はちゃんとしてるから」

 

「副騎士長!?」

 

「俺が1番まともでしょ」

 

「「「「それは無い」」」」

 

「おいアリスも入ってんな??」

 

「何故でしょうか。レイン殿の顔を見ていると無性に殴りたくなるのですが」

 

「やっぱお前DVの才能あるわ」

 

「でぃーぶい?」

 

 やっぱこの子はアリスだわ。

 

 くそ暇だった日常にアリスの指導という項目が加わった。しかしまあ、どうしてこの世界の女の子達は可愛い子しか居ないのかね。目の保養で大歓迎だけど。

 

「朝ですっ! 起きなさいレイン!!」

 

 数週間しないうちにアリスに頭上がらなくなるんですけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだロニエ! キリト先輩とユージオ先輩に恋愛相談しちゃいなよ!!」

 

「ちょっ……ティーゼ!?」

 

「お。ロニエ、好きな人いるのか? 相談ならなんでも乗るぜ〜」

 

「キリト。あまりからかい過ぎないであげなよ。まあ僕も気になるけど」

 

「確か名前は────」

 

「わー!! わー!!!??」

 

 

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