ボンバーバトル黎明期のボンガ世界に転生しました。 作:ハニボン
ドルフィンウェーブやっていましたパイ
ボンバーアカデミア。
ボンバーバトルの修練や戦士の修行の歴史、バリエーションボムのデザイン研究などのカリキュラムが充実したボンバーガール達を育成する学校である。
ここではいろんなガール達が高等部、中等部、初等部に分かれて修練に勤しんでおり、シロとクロは高等部に通っている。
現在時刻は午後。一日の学業が終わり正門からは続々と学生ガール達が出てくるのを見送りながら、シロとクロに会う約束をしていた俺は正門近くで待っていた。
アカデミアってこんな感じか~という一種の聖地巡礼と似た感動があったが、次に思ったのはここに突っ立って待ってるけど大丈夫? 不審者に思われない? という不安であった。
出てくる子みんなから大体奇異の目で見られている気がする。落ち着け俺……こういう時は変に縮こまるよりもっと堂々としているべきだ。堂々としていれば怪しまれないと相場が決まっている。
そう思い俺は道ゆく学生ガール達を眺めて落ち着いた。冷めた視線が増えた。
「マスター! おまたせー!」
自らアウェイな環境に身を置く中、救世主たる天使の一声が俺を助けてくれた。
声の主は白髪美少女のシロだ。元気よく手を振りながらこちらへと近づいてくる姿があった。
そして彼女の隣には対照的に黒髪の美少女がシロを「元気なシロは可愛いなー」とクールな顔で呟いていた。
俺はおぉ、と思わず声に出してしまう。シロと並んで歩いてくる少女は紛れもなくボンバーガールのクロであった。原作と変わらぬ姿に、オタク心は喜びに打ち震えてしまう。
最初の4人との出会いの時もそうだが、やはり原作キャラとの会合は良いものだ。こういうのでしか得られない栄養があると思います。スタッフさんはまず驚きが強かったからちゃんと感動できなかったのが少し残念か……。
とはいえ現段階では初対面同士なので、湧いてくるオタク心を鎮め懐からサイン色紙を取り出さないよう自制してシロ達に話しかけた。
「シロちゃん、学校お疲れ様。今日はありがとね。それで隣にいるのが……」
「うん、紹介するね! この子はクロちゃん! 昨日言ってたバトルも授業の成績も超優秀な私の親友だよ!」
「……貴方がシロが言っていたマスターだな? 先ほど紹介された通り、私の名はクロだ。今日はよろしく頼むぞ」
シロのベタ褒めによせやいと満更でも無さげな顔をしつつ、俺に対してキリッとクールに表情を切り替えて真剣な眼差しでこちらを見ていた。
その見定めるような鋭い視線に、俺もまた自然に緊張してしまう。しかし先ほどと同じ方法で、目の前のシロとクロと他背景の学生ガール達をしっかりと視界に収めることで気を落ち着かせることに成功した。
「初めまして、クロさん。俺はシロちゃんが所属しているボンバー事務所のバトル指導役を勤める砂色ユキトと申します。本日は我々に時間を作っていただきありがとうございます」
よし、挨拶は完璧だ。第一印象は大事だからな! このまま名刺を懐から取り出して――――
「む……ユキト、これはなんだ? 私のサインがほしいのか?」
「マスター! これ名刺じゃなくて色紙だよー!?」
「……はっ!?」
いや、違っ……色紙が勝手に……!
●~*
そんなこんなで一悶着あったが、お互いに紹介が終わりバトル選手の登録や事務所契約など諸々詳しい話をするためにファミレスへと向かうことにした。
向かっているのだが……なんか尾行されてる……?
チラリと後ろを見ると、2つのグループがこちらから少し離れた距離を保ち、監視するようにこちらを凝視しながら後を歩いてるのが確認できた。
物陰に隠れているとかではなく、堂々と尾行している。隠れる気ゼロとは恐れ入った。シロとクロは気づいてないようで、後ろを気にしていない様子である。
いや、クロは一度後ろを振り向いているから気づいてはいる筈だ。ただそれでも気にしていないのは、どちらも同じアカデミアの制服を着た学生ガールなので、尾行というよりもたまたま同じ道を歩いているだけという印象なのかもしれない。
2つのグループの内、1つは知っている。たしかヒケヒケ団というクロのファンクラブだ。前世で読んでいた4コマ漫画で出てきた姿そのままなので、おそらく間違いないと思う。
しかし、もう一つの方がわからなかった。漫画の方でも見たことのない。誰だ? 制服の特徴から見るにシロやクロと同じ高等部のガール達だと思うが……。
「マスター? さっきから何考えてるの~?」
尾行グループをどうするべきか考えていると、隣のシロが俺の手を握りながらそう聞いてきた。
手を握って。
…………………………。
!?!?!?!?!?
「し、シロちゃん!?」
「やっと反応してくれた! さっきから話しかけてたんだよ~!」
ぷんすこと怒るシロに、俺は「怒っているシロは可愛いなー」とクロと同じ反応になりかけたが、尾行の目がある今体裁的な意味で非常によろしくない状況だ。
心温かい証明のひんやり冷たいシロの手がぎゅっと握り、俺も反射的に握り返してしまう。黙って堪能したいところだが、後ろの視線が先ほどよりも鋭くなっている感じがする。あらぬ疑いを持たれる前に離してもらうよう説得せねばなるまい。
「シロちゃんごめんね、少し考え事をしていたんだ。手を放して許してくれないかな?」
「んー……」
俺の謝罪にシロはじっとこちらを見た。な、なんだい。そんな可愛い顔で見られたって俺が嬉しくなるだけだぞ。
きもいとしょうもないを両方兼ね備えた考えをしていると、シロは「ははーん」と悪戯や人を揶揄う時特有の蠱惑的な笑みを浮かべた。えっ、シロちゃんそんなメスガキみてえなスマイルできたの!? 衝撃的なんだが!?
「マスター……さてはこの美少女シロちゃんと手をつなぐのが恥ずかしいんだね~? それならさっきのシロちゃんに気付かなかった罪の罰としてこのままファミレスまで行くよー!」
そう言ってシロは俺の手をさらに強く握り、目的地までこのまま離さない決定を下した。
いや、まじでなんで? 正直役得だし超嬉しいけども! とんでもねえ美少女テロだよこの娘!
「はっはっは、シロちゃん。俺はこう見えてもう立派な大人だよ? シロちゃんはたしかに可愛くて最高だけど、手を握られたくらいで恥ずかしいなんて思わないさ」
「あれ、マスター確か今二十歳だったよね? そんなに私達と歳離れてないよ?」
……精神年齢的に換算したら四十超えてっから!
とは言えないので、俺はなんとか説得のための言葉を探すのだが――――。
「マスター……私の手は握りたくなかったりする……?」
「それだけは絶対ない。シロちゃん、是非お願いします」
――――なんて、悲しそうな顔をするシロに否定的にできる筈もなく。俺はすんなりと受け入れ、シロは「やったー!」と嬉しそうに元気な表情に戻っていた。
そんな顔されたら嫌とも駄目とも言えないもんね……。ガールの涙は強い(確信)
俺とシロが手をつないでいるのを見て羨ましかったのか、クロが「シロの右が空いているな。私も手をつないでもいいか?」と聞くと、シロは「いいよー!」と了解してクロの手を握っていた。
百合の間に挟まる男ならぬ、百合に外付けされた男みたいになってないか俺……?
背後の視線がさらに険しくなっているのをひしひしと感じる。結局尾行グループへの解決策を見出すことができないまま、ファミレスへと到着してしまった。
可愛い女の子書きたいけど、書けてるかな……?
頑張ります。