ボンバーバトル黎明期のボンガ世界に転生しました。 作:ハニボン
ボンバーアカデミアのサッカー部を名乗るガール達の乱入。
一筋縄ではいかなそうな雰囲気だ。詳しく話を聞いてみることにした。
「……つまり俺達がクロさんをスカウトする前から君達が先にサッカー部への入部を誘っていて、それで今こうして物申しに出てきた。で合ってるかな?」
「そうです! 貴方話がわかりますね!」
彼女達の主張を聞いて俺が要点をまとめて言うと、サッカー部の部長らしきガールが肯定し後ろの部員ガール達もうんうんと頷いていた。聞けばクロの足の才能を見出しており、ボンバーワールドカップも夢ではないと豪語していた。クロもその話を聞いて「たしかそんな話があったなー」と思い出している様子であった。
だが話はとてもわかりやすく、シンプルである。クロ本人の主張を聞けばいいのだ。
「この子達サッカー部の話だけど、クロさんはどうしたい? サッカーやりたい?」
「いや、私はボンバーバトルがしたいな。それにサッカー部諸君には申し訳ないが、前にその話をされた時にたしか断った筈だが……」
「クロ先輩! そこをなんとか! 貴方さえ入部してくれれば優勝間違いなしなんです!」
部長ガールの懇願を皮切りに「お願いしますー!」「先輩はサッカー選手こそ相応しいです!」と後ろの部員ガール達も嘆くように懇願していた。
うーむとクロはステーキやらハンバーグなどのテーブルに大量に並べられた料理を食べながら困っていた。隣でシロは「クロちゃん相変わらずの人気だねー!」と嬉しそうにパフェを食べている。
でもクロははっきりとボンバーバトルをすると言っている。サッカー部には悪いが、今回は諦めてもらうしかないだろう
おそらくすごく抗議してくるだろうなと覚悟しつつ口を開こうとしたタイミングで、新たな勢力が現れた。
「シャラアァァァップ! サッカー部共! クロ様が困っているであろう!」
またしても大声が店中で響いて、声を発したであろう初等部のガール達がサッカー部と対峙するように参戦してきた。てか、廊下が狭い……店員さんの仕事の邪魔にならないか……?
「あ、あんた達は……!」
「アカデミア生徒会兼クロ様ファンクラブ! ヒケヒケ団見参!
クロ様の敵は我らの敵……クロ様のためならば、白いものも黒にする! サッカー部よ、ボンバーバトルに挑むクロ様こそが真のお姿である! クロ様がバトルを望んでおられるのだ! 貴様達の情熱もまた察することができるが、今回ばかりは諦めてもらおう!」
会員番号96号という名札を付けた団員ガールが、勢いのままに俺が言おうとしていたことすべてを言ってくれた。すごくありがたいのだが、完全にこちらから話をするタイミングを見失ってしまい、二つの陣営の言い争いが勃発してしまった。
「な、なによ、あんた達ヒケヒケ団は見たくないの!? クロ先輩がボンバーワールドカップで活躍する姿を! 迫りくる敵を躱して、最高のボンバーシュートでゴールを決めるクロ先輩のキックを!!」
「…………、……クロ様に似合うのはボンバーバトルである! 卑劣な誘惑はやめてもらおうか!」
「ちょっと考えたわね」
「うるさいうるさい! 貴様らこそ見たくないのか!? ボンバーバトルを華麗に制するクロ様のご活躍を! 敵タワーを瞬く間に粉砕し、勝利するお姿を!」
「サッカーやってるとこの方が見たい!!!」
「素直かてめー! ちょっとは働かせろ想像力をー!?」
バトルだ! サッカーだ! ぎゃーぎゃー!
あーでもないこーでもないと彼女達の言い争いはヒートアップしていく。まずい、このままじゃ喧嘩にまで発展してしまうかもしれない。なんとか場を納めなければ……!
「マスター、ここは私に任せてくれ」
俺が打開策を考えていると、エビフライを食べ終えたクロが俺に耳打ちをしてきた。口元がソースで汚れているのでティッシュを渡しながら、俺はどうするのか聞いてみた。
「クロさん、何か良い方法があるの?」
「ああ、とびきりの良い方法を思いついたから試してみる。……それとマスター。私にはさん付けではなく、シロと同じちゃん付けで今度から呼んでくれ」
……えっ、なんで今この話を? 前にも敬語やめてほしいって話されたけど、俺の敬語そんなに変なのかな……?
とはいえ俺は礼節を重んじるソウルオブボム日本ボンバー男子。ガールのお願いを拒否するのは非常に心苦しいが、これから親しくなるのならばこそ礼儀ありとしてここは断らせてもらおう。
「……えっと、まだ会ったばかりだし、俺としては今はまださん付けの方が……」
「呼ばなければ私はサッカーをやる」
「嘘だよねクロちゃん!?」
急にどうしたんマジで!? 焦り過ぎて急いでちゃん付けに変えて名前を叫ぶ俺に、クロはふふっ、と微笑んでからサッカー部の面々へと向けて言い放った。
「ボンバーバトルで決めよう」
クロが発した言葉に言い争っていたサッカー部とヒケヒケ団はハッ、と驚いたようにクロへと振り向いた。
「サッカー部のみんな。私にサッカーをさせたいなら、ボンバーバトルで私達に勝利してみせるんだ。もしそうなれば私はバトルの才能が無かったと諦めて、サッカーの道を歩むことを約束する。それでどうだ?」
しん、と静まりかえっていた。クロが今言ったことに対しての反応は様々で、サッカー部は少し考えて部員同士で話し合いをし、ヒケヒケ団はクロの覚悟を見てゴクリと喉を鳴らして見守っており、シロは「私達ってことは私と他のみんなのことかな?」と疑問を口にしていた。
まあ、シロが言った通りクロの言う私達とはボンバー事務所のことだろう。俺達がクロをスカウトしにきたんだ、協力するのは当たり前だ。
「……いいでしょう、クロ先輩。その勝負、受けて立ちます」
部員同士で結論が出て、部長が代表としてクロの提案に答えていた。
「クロ先輩、ボンバーバトルで私達が勝ったらサッカー部に入部してもらいます! 負けたら今回の入部勧誘の話は無しにしてもらって構いません。それでよろしいでしょうか?」
「ああ、それで構わない。バトルをする日付は――――」
●~*
「……ということがありまして、一週間後にアカデミアサッカー部の方々とボンバーバトルすることになりました」
『あっはっはっ、面白いことになりましたねぇ〜』
サッカー部とのバトルの約束をしてから翌日、スタッフさんに昨日のことを電話で伝えていた。
昨日なぜか電話が繋がらず、事務所に戻っても会えずで結局次の日の朝にスタッフさんから折り返しの連絡が来てようやく相談することができたのだ。
電話に出れなかった理由はアタッカー捕獲に集中し過ぎて今まで気づかなかった、とのことだ。
「すみません、こちらで勝手に話を決めてしまって……」
『いえいえ、構いませんよ。話を聞くにクロさんのスカウトはほぼ成功していますし、問題のバトルも前向きに捉えるべきでしょう。ユキトさん、今我々が行っているボンバーガールスカウトに今回のボンバーバトル……とっても良いタイミングだと思いませんか?』
「……新メンバーでバトルに挑ませるってことですよね? それ」
良いタイミングと聞いてそれが思い浮かんだ。というよりそれしかないだろう。俺がそう聞くとスタッフさんは『やっぱりわかっちゃいますよね~』と肯定していた。
『実力を見る分には丁度良いと思うんですよね。ユキトさんはどう思いますか?』
「そうですね……俺も悪くないと思います」
むしろ良いのではないかともさえ思う。サッカー部がどれほどの動きができるのかわからないが、ボンバーバトルである。これから集めるガール達が俺の知っている通りの実力なら、たとえ即興のチームでも充分に真価を発揮するところが見られるだろうから。
何より1週間ある。
スタッフさんから昨日の時点でシューターの子のスカウトに成功している。今日は俺がブロッカーを、スタッフさんはアタッカーをスカウトする予定である。今日がうまくいけば、残りの時間で連携を身につけさせるには充分だろう。
『それではユキトさん、私はアタッカーの最終捕獲段階に入りますね。ユキトさんはアンノウンズの令嬢をお願いします。アポイントは既に取ってありますので』
「はい、スタッフさんも頑張ってくださいね」
会話が終了して電話を切り、俺は準備を済ませ目的地へと向かう。
目指す場所は、アクア城である。
シューター「スイーツいっぱい食べられて、練習で運動して、体型気にせずスイーツをまた食べられる……!? 私、ボンバーバトルします!」
アタッカー「なんで……なんで僕の脚に付いてこれるんだ……!?」
スタッフさん「元賞金稼ぎなので」