ボンバーバトル黎明期のボンガ世界に転生しました。   作:ハニボン

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やろっか、ボンバーマン

「ティータイムでもしながらお話しましょうか」

 

 アクアの提案で玉座から場所は代わり、現在アクア城中庭の庭園。パラソルの付いたテーブル、机上に並べられた紅茶とクッキーやスコーンなどの焼き菓子類。俺とアクアは対面するように席に着き、サーヴァントがティーポットからティーカップへと紅茶を注いでくれた。

 

 紅茶の香ばしい匂い。手入れが施された庭園の美しさもまた際立っていて綺麗であった。俺がここで感じたもの、というか紅茶や庭園とか全く知識がないのでド素人の感想でしかないのだが。

 

 もし感想を求められたら、セレブだねゴージャスだねとしか俺の語彙力では答えられない。そうなると困るので、俺はまだやっていなかった自己紹介をすることにした。

 

「改めて……初めまして、ボンバー事務所所属バトル指導役の砂色ユキトです。本日は貴重な時間を取らせていただきありがとうございます、アクアブルーさん」

 

「アクアでいいですわ。そんなに堅くならなくていいですわよ? 下僕様……いえ、ユキト様。こう見えて(わたくし)、少し期待してますのよ? 貴方がこれからどんな口説き文句で私を魅了するのかを。だからもっと砕けた口調で話なさい。いいわね?」

 

 ……スカウトのことだよね? なんか愛のアプローチを期待されているみたいというか、凄い勘違いされそうな言い方なんだけど……いや間違ってはないけどね? 実際勧誘に来たんだから。

 

 とにかく砕けた口調……今までの話し方から俺の場合砕けた敬語モドキと言うべきか。それを求められたので、俺は素直に了承することにした。

 

「……うん、わかった。ここからは少しフレンドリーに話すけど、もし気になったら直すから言ってね?」

 

「ええ、その時は遠慮なく。素直でよろしいですわ」

 

 試すように敬語から口調を崩してみたが、アクアは気にしていないようで不敵な笑みでこちらに応えてくれた。あっ、今のアクアの表情すごくいい……漫画の方だとなにかと不幸だったりで不憫な役回りのポジションで描かれているけど、やっぱり顔が良いしこういう只者じゃない感ある余裕の雰囲気が似合うよねアクアは。

 

「さて。お互い口も滑らかになったところで、本題に入りましょう?」

 

 改めて軽い挨拶が終わったところで、アクアが話を切り出した。よし、ここからだな。アクアがチームに加入してくれかは、俺のトーク力に掛かっている。彼女はなんとしても欲しい。我らのボンバーチームがどれだけ魅力的かしっかり伝えねば……!

 

「うん、それじゃあまず先に事務所契約の話から――――」

 

「先に言っておきますと、契約関連やガール登録の話は既にハニーと話し合っていますわ。貴方達のチームに加入すること自体は、私は特に問題ありませんわね」

 

 しよう、と言いかける途中でアクアからその段階の話がとっくに終わっていることを告げられる。

 

 あ、あれ? そこまで話してるってスタッフさんからは聞いてないんだけど……俺がスカウトするとかではないのか? 口説けないし愛のアプローチもできないやん! てかアクアが嘘をついていないならもう話が終わっていることになるんだけど……んん?

 

「えっと……確認したいんだけど、アクアちゃんは俺達のチームに加入ということで、もう決まっているってことで良いのかな?」

 

「そうですわね。私自身ルール変更前からボンバーバトルを嗜んでいますから、ハニーが話を持ち掛けてきた時点で私の答えは決まっていましたわ。ですが気になる点が一つ……」

 

 勿体ぶるように話すアクアがじっと俺のことを見つめていた。面白いものを見つけたような好奇心と、少しだけ何かを期待するような、そんな視線だ。

 

「貴方ですわ、ユキト様。バトル指導役の貴方が気になっていますの、私は」

 

「……俺?」

 

 まさか俺のことだと思わず、間抜けな声を出してしまう。そんな俺にアクアは薄い笑みを浮かべたまま、興味深く観察するように俺の事を見ていた。

 

 俺が気になる? まだ大した指導はできていないし、結果も出していないまさにこれからの状態だ。何を気にしているのだろうかと少し考えてみて、すぐに思い浮かんだこと口にした。

 

「アクアちゃん、それってもしかして……俺がちゃんと指導できるのかどうかが不安になっている、とかかな?」

 

 俺は恐る恐るアクアに聞いていた。最初に思い浮かんだことだが、普通に考えたらこれしかないと思う。満を持して入ったチーム先のコーチが教えるのが下手だったり見当違いだったりしたら、やるせない気持ちになるだろう。アクアはそれを気にしているのかもしれない。

 

 もしそうだったらと俺自身も不安になりながら聞くと、笑みを崩さず俺の質問を一部肯定しつつ否定した。

 

「それもある、が正しいですわね。実際に指導を受けてみるまでわからないものですし、そこはあまり気にしていませんわね。私が気になってたのはそこではなく、もっと根本的なものですわ」

 

「根本的?」

 

 それはなんぞや? と正直に聞くと、アクアは隠すことなく答えてくれた。

 

「ユキト様の実力を知りたいのですわ。指導役となるなら、他者に教えられるほどの技量を持っているということ。それ相応の強さを持っていなければ務まらない筈。

 もっともわかりやすく、単刀直入に言わせて頂きますと――――私、自分より弱い方の指導は受けたくありませんの」

 

 嘲笑うように、呆れるほどの傲慢さは自信の表れか。あまりにもわかりやすい挑発であった。

 

 同時に、あまりにも効果的である。アクアが今言ったことは理解できるし、納得できる。その意図も簡単に察することができた。人種種族銀河を問わず我々ボムの民にはこれ以上わかりやすいものはなく、彼女の次の台詞はこう言うだろう。

 

「ユキト様。私とボンバーバトルをしましょう? 無論ルールは変更前の旧ルールのもので。これは吸血鬼レウィシア・アクアブルーとしてではなく、ボンバーガール・アクアとして貴方の実力を推し測らせていただきたく存じますわ。

 この挑戦、ユキト様はもちろん受けてくださりますわよね?」

 

 有無を言わさぬ口調でアクアは俺に同意を求めてきた。いや、むしろ俺が絶対断らないのを知っているといった様子であった。

 

 お互いを知るのに、ボンバーバトル以上に分かり合える手段はない。ああ、その通りである。バトルを挑まれて、断れるボム宇宙人はそんなにいないのだから。

 

「アクアちゃんに認めてもらうならその挑戦、受けて立つよ。久々にやろっか、ボンバーマン」




バトルまで書こうと思ったけど、長くなりそうなのでバトル回は次回になります。
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