ボンバーバトル黎明期のボンガ世界に転生しました。 作:ハニボン
感想、評価、お気に入りなど皆様ありがとうございます。
今回は主人公の最初で最後のバトルになります。長いし上手く描写できているか分かりませんが……よろしくお願いします。
「指導役、ですか?」
『ええ。最近スカウトしましてね。今はまだ新メンバー探しなどでまともな練習ができていないので目に見える成果はありませんが、中々興味深い視点をお持ちの方ですね』
ユキトがアクア城を訪れる数日前。アクアはスタッフさんことハニーと連絡を取っていた。
アクアとハニーは昔とあるボンバー大会で知り合った旧地の仲であり、ハニーが新ボンバーバトルに備えて事務所を立ち上げ、チームメンバーとして最初に声を掛けたのが他でもないアクアである。
無論アクアはその申し出に好意的で参入する意思を示していたのだが、家業であるアンノウンズに思わぬトラブルが発生したためにごたついてしまい、ボンバー事務所に中々合流できないでいたのだ。
なんやかんやあって会社の方も落ち着いてきた頃、ようやくボンバーバトルに注力できるようになったのでハニーに連絡を入れて事務所の現状を聞いた際に、ハニーが口にした件の指導役の存在にアクアは反応した。
「興味深い、ねえ……どのようなお方ですの? その指導役というのは」
『おや、興味がお有りで?』
「まあそれなりには。貴方が目を掛けるほどの逸材なのか、そしてこの私を指導できるほどの者なのか……自分に関わることですもの、気にするのは当然でしょう?」
『はっはっはっ、相変わらずプライドが高いですね〜。そんなアクアさんに耳寄りな情報がありますよ。指導役のユキトさんの経歴を調べてみたところなんと……戦士の修行経験者みたいなんですよね、彼』
「……ほう?」
興味があると言っても、そこまでではなかった。
指導役と聞いて思い浮かぶのは、かつて様々な習い事で教鞭を振るった家庭教師達だ。おおよそ彼らと同じであろうというのがアクアの見解であり、指導役と言っても大したものではないだろうとあまり期待していなかったのだが……ハニーの言う修行経験者の情報を聞いて、アクアは急速に自分の中の好奇心が興味を持ち始めていた。
真のボムを会得するため模索する、半分儀式めいた戦士の修行。古い記憶を探ってみても、そういえばそれらの修行者とはまだ出会ったことがなかったとアクアは思う。
初めて家法を破り、屋敷を抜け出した時のことを思い出す。崇高なるアクアブルー家は教育や掟に厳しく、アクアはほとんどを屋敷の中で過ごしてきた。しかし風の噂で耳にしたボンバー大会の開催を知り、興味を持ったアクアは参加を決めた。知らない世界に飛び出した瞬間は冒険であり、すべてが輝いて見えて、プラスもマイナスもすべてが自分の中に吸収されていく感覚が今でも忘れられない。
そこからアクアは退屈を嫌い、刺激を求めるようになった。才能のある彼女はなんでもできるが、同時になんでもできていないのだと学ぶことができたのだ。
だから修行者という自分が知らないタイプのボム地球人に、アクアは少なからず心惹かれていた。
「ハニー。お願いがあるのですけど、その指導役の殿方を私の屋敷にお招き頂いてもよろしくて? 是非彼がどのようなお方が……会って確かめてみたいですわ」
アクアはハニーに我が儘を言ってユキトとコンタクトし、現在こうしてボンバーバトルをすることに成功した。
果たして砂色ユキトは期待外れか期待以上か……実際に試してみなければならない
「まずはお手並み拝見……」
バトル開始の宣言がされたと同時に、アクアは目の前に手を翳し魔法陣を展開した。
●~*
バトルを始める前に、ボンバーバトルの旧ルールを説明しようと思う。
まず新ルールのチーム戦とは違い、旧ルールは個人での戦いとなる。一試合の参加人数は基本二人から四人までで、地域の祭りやその時の大会の特有の追加ルールで数十人で執り行われる時もあったりする。
しかし総じてバトルの勝利条件は相手にボムの爆風を当ててリタイアさせ、最後に勝ち抜いた者が勝者となるバトルロワイヤル形式である。ボンバーガールではなく、従来のボンバーマンをするのが旧ルールである。
マップは上から見て格子状に配置された柱が並んでおり、そこかしこにブロックが置かれているステージとなっている。
そしてこれも旧ルールの特徴であるのだが、従来のボンバーマンなら一発でも爆風を受けたらリタイアなのだが、この世界では基本的に三回まで爆風を受けたらリタイアとなる仕様となっている。最初期の頃は一発アウトだったらしいが、それだとバトルがすぐに終わってしまうからだとかなんとか。
『レディー……ゴー!』
バトル開始の宣言が響く。俺は早速ブロックを掘り進むためにボムを置いていく。
あ、あとこのルールのバトルボムやスキルについてだが、そこについては新ルールと変わらず、ボムスーツを着用してボムエレメントのエネルギーをリソースとし、バトルボムやスキルを行使する仕様となっている。ただこの頃はボンバーガールのポジションなどはないため、ブロック生成や回復スキルなどは流石に使えないというか存在していない。
さて、そこそこブロックも掘り進めて拓けてきたところだが、そろそろアクアと接敵してきてもおかしくない筈なのだが……そう思って目の前のブロックを爆破すると、丸っこい青いハネミンボーがそこにはいた。
「げっ……!」
「……!」
俺はハネミンボーを見て苦悶の声を上げて後退し、ハネミンボーは俺を見つけ一瞬驚いた顔で硬直したが、すぐさまシャー!と威嚇しながらこちらへと向かってきた。てか、それ使えるの!?
「旧仕様でサーヴァントナイト使えるのは無法では……!?」
「あら、私のサーヴァントナイトのことをご存じなのね? 流石に下調べはしてきていた、ということかしら」
ハネミンボーの向こう側の奥に、観察するようにこちらを見て浮遊しているアクアが俺の悲鳴に反応していた。下調べではなく前世の知識なのだが、今はそれどころではない。
サーヴァントナイト。ブロッカーのアクアが使えるスキルの一つで、相手に突撃するハネミンボーを召喚するスキルだ。その威力は凄まじいもので、ゲームでは一番体力のあるフル体力ブロッカーでさえ撃破可能なほどである。
ボンバーガールのブロッカーがボンバーマンをするのは向いていないのでは? と思われるかもしれないが、今相手をしているアクアは違う。数いるブロッカーの中でも、アクアは迎撃性に特化したブロッカーだ。旧仕様であれど、決して油断することなどできないだろう。
しかしこちらも前世はボンガプレイヤー。ミンボーの対策はわかっている……つもりだ。
俺はボムを配置して、その上に乗る。通称ボム乗りというテクニックであり、ゲームの仕様ではミンボー系のエネミーはボムを乗り越えることができず、ボムの前を往復する行動を取るのでそのまま爆風で倒すことができる。
無論ボンガと違ってボンバーマンの方は自分のボムでもダメージを受けるので、うまく爆風を回避しなければならない。そこはまあ一秒後起爆の時限式なのは変わらないのでタイミングは大丈夫なのだが、問題はハネミンボーの方である。
バトルボムは丁度小学校の運動会などで使われる大玉くらいのサイズなのだが、ボムの乗っている俺に向かって小さな羽を使って飛び上がってきた。
「あっやっぱりそう来るよね……」
俺はすぐさま横へ飛び降りて回避しその場を離れる。知ってたというかわかってたというか、そりゃこのぐらいのサイズだったら普通に飛んでくるよね……。
しかし俺をそのまま追いかけるハネミンボーだが、一秒経って起爆したボムの爆風に飲まれて消滅する。結果オーライということにしよう。
そう思い改めて進撃を再開しようとしてアクアの方を向くと、二体のハネミンボーがこちらに向かっているのが確認できた。やはり原作と同様に三体まで召喚が可能なのだろう。
「……流石に使うか」
気合を入れ直すように呟き、俺は覚悟を決める。スキルを行使し、右手に特殊ボムを、左手に専用のアイテムを生成した。
●~*
「……そろそろかしら」
空気が変わったのを、アクアが感じた。
おそらくここからユキトの実力が見れるだろう。そう思いいくつかのボムを置いているユキトにさらに注意深く観察していると、何かがステージ内を飛んでいることに気付いた。
「……?」
何だ? 何が飛んでいる? とそちらの方に意識が向く。柱の間を縫うようにその物体は隠れながら飛び回り、それはいつの間にかアクアの隣を飛んでいた。
アクアは見る。Ⅴ字型の物体で、それには導火線が点火されており――――。
「……っ!」
すぐさま柱を盾に回避行動を取ろうとしたところで、ユキトへ向かったサーヴァントナイトの方向から、ユキトのボムが起爆する。
そしてほぼ同時にアクアの周りを飛んでいたボムが起動し、そこでアクアが自分が爆風から逃れられぬ位置であることを悟った。
「しまっ…!? きゃああ――――!」
爆風のダメージを受け、アクアは悲鳴を上げる。だがアクアの行動は早かった。そこに留まることを良しとせず、すぐさまその場から移動を開始した。
仕切り直しを図るために、アクアは現状を確認する。まず召喚されたサーヴァントは今の爆風で全滅、派手さはあれどダメージ自体は爆風一発分だけだとわかる。今度はユキトがどこにいるのかを移動しながら探して柱を一つ抜けた先、左からボムが飛んできていた。
「はっ……?」
アクアは反射的に飛んでくる方に目を向けると、ボムのその先に柱に隠れるユキトの姿を見る。彼の左手側には先端に窪みのあるステッキのようなものを手にしており――――それが何なのか確認する前に、ボムがアクアに触れると同時に、
「グッ……、ぐぅふ……!」
「終わりだよ、アクアちゃん」
目まぐるしい怒涛の展開に、爆風に飲まれアクアは一瞬だけ動きを止めてしまう。その隙をユキトは逃す筈もなく、すぐさま接近してアクアを逃がさぬように挟む形でボムを配置した。
ユキトは勝利宣言をしながらアクアを見るが、アクアの闘志がまだ消えていないことを察した。なぜならば、アクアのその瞳がまだ負けていないと訴えている……!
「――――ここは私の完全領域!」
アクアの足元に巨大な魔法陣が展開し、ユキトもその範囲に巻き込まれる。繰り出されるそれは、アクアブルー家の秘儀にして奥義。
「アクアブルームーン!」
――――ボンバーガール・アクアのスキルであるアクアブルームーンは、ゲームでは範囲内の相手を完全発動まで鈍足の状態にし、範囲外まで逃げ切るまでに発動を成功させたら自陣のベースに強制帰還させる強力なスキルである。
だがそれはボンガの、新ルールでの仕様である。ならば旧ルールではどうなるか?
ユキトは重い足を上げながら逃れようとするが、逃れる前にアクアブルームーンが完全に発動し、ユキトと
「――――は?」
今度はユキトが呆気に取られる番であった。浮かび上がったユキトとボムはそのまま一緒にアクアから離れ、さらに空中のボムがそのままユキトの方へと近づいてきていた。
ボムの数は計三個。ユキトが配置したのは二つの筈だが、一つはおそらくアクアはスキル発動前に配置したものだろう。それを確認してユキトは左手のステッキを使い、近づいてくるボムを窪みには嵌めこみ、そのまま別のボムへと向けて射出させた。
カァン、とボムとボムとがぶつかり甲高い音が鳴りながら弾かれていく。空中でぶつかるとそうなるんだ、とユキトは呟くが迫っていた残り一つのボムが爆破する。
「ぐっ……!」
爆風を受けながら、ユキトは最初に入場してきた地点へと戻され着地する。ダメージはもらってしまったが、まだ一回だ。すぐさまアクアの元へ向かおうと瞬間に、さらなる爆風がユキトを襲った。
「うおっ!?」
ユキトは避けきれずに爆風ダメージを受けてしまう。爆風の起爆地点と思われる方向を見れば、柱の影からゆっくりと姿を現すアクアがそこにいた。
お手本のような着地狩りであると気付いた。そしてこれでお互いに一回でも爆風を喰らえば終わりの状態になっていた。
「ユキト様のスキルは……先ほどのブーメランのようなボムと、その手に持っているステッキは小型の射出装置。それも、時限式から衝撃で爆破するボムに作り替えるものですわね?」
早速動かなければと行動を開始しようとしたが、その前にアクアが話かけてきた。バトルを中断して聞きたいことなのだろうか? とも思ったが、真剣そうなアクアの表情を見て俺もバトルを中断して答えることにした。
「……うん、そうだよ。ブーメランボムはその名の通りで、このステッキは射出装置で正解だ。今アクアちゃんが言った通りの仕様に変えるシステムになってる。変わるまで少し時間が必要だけど、まあわかりやすいよね」
「計算されたボムの配置、私の動きを読んだ無駄のない立ち回り……実に素晴らしい見事な動きでしたわ。もし差し支えなければ、なぜそのようなボムと戦略を主軸にしようとお考えになったのか、お聞かせしてもよろしくて?」
さらなる質問をユキトに投げる。
実際、スキルを発動していなければ自分は完敗であった。だから単純な興味として質問してみたのだが、ユキトは少し言いづらそうにしながらもアクアに答えてくれた。
「ボンバーバトルでこれは最も致命的なんだけどさ……俺、ボムを投げたり蹴ったりするのが凄い苦手というか下手くそというか、とにかく変な所に飛んでいっちゃうんだ。それでうまく投げたり飛ばすために考え付いたのが、このブーメランボムと射出ステッキなんだ」
師匠にもお前バトルの才能ねえなって言われてねえ、とユキトは苦笑交じりに付け加えた。アクアはそれを聞いて今のバトルで才能が無いなどそれこそ無いと思い、不躾な師も居たものだと思いながらすぐに否定した。
「そんなことありませんわ。ユキト様はとてもバトルがうまいですもの。他の有象無象がユキト様を弱者と烙印を押し付けようものなら、私、アクアの名を持ってそれを否定し強者であると証明して差し上げますわ」
「お、おお……そこまで言ってくれるとは思わなかったけど。ありがとうね、アクアちゃん。そろそろバトル再開する?」
「ええ。そろそろ時間ですしね」
時間? とユキトがアクアの言葉に疑問を浮かべると、唐突にステージが揺れ始めた。地震と最初は思ったが、違う。これは残り時間わずかに作動する、壁が迫ってくるステージギミックである。
「……もしかして、質問してきたのも時間稼ぎで、これ狙いだったりする?」
「さあ? ただ貴方の特殊ボムやアイテムは使いづらくなりましたので、私にはとても都合が良いですわね?」
「これ狙いじゃん!」
バトル再開。すぐさまユキトとアクアが走り出し、柱の間を並走するようにボムを置いていき、アクアはサーヴァントナイトを発動し、ユキトは打てる範囲でブーメランボムと射出ボムを行使し、迫る壁から逃げながらお互いの攻撃はさらに激しくなっていく。
まさに一進一退の攻防。短くも永遠に続くと思われるバトルにも、終わりの瞬間を迎えていた。
(このままじゃこっちが不利だな……ボムの連鎖爆破で爆風を当てるしかない!)
(ここで決めにくる頃でしょう……ユキト様の動きの先を読む!)
両者共に勝負を決めに行く。お互い相手はここに来るだろうとボムを配置して柱を曲がった所で…。
「あっ」
「あら」
ユキトとアクアは、至近距離で対面する。そしてお互いの背後に、自分が置いたボムがあり前進も後退もできない状況であることを確認して――――。
ユキトとアクアはお互いに顔を見つめ合い、諦めた表情でフッと笑みを浮かべながら爆風に飲み込まれた。
『フィニッシュ!! ドロドロ……ドロ~!』
●~*
バトル終了後、ワープポイントである庭園に帰還してアクアの方を見てみると、その場に倒れこんでいるのが見えた。
「アクアちゃん!?」
俺はすぐさまアクアの元に駆け寄り、状態を確認してみる。ボムスーツを着ているから怪我とかは無い筈だが、もしかしたら体調が悪くなったのかもしれない。慎重に様子を確かめると、アクアは薄目を開けていて肩を息をしていた。
「アクアちゃん、大丈夫!? どこか苦しかったり痛いとこあったりしない!?」
「……大丈夫ですわ。気分はとても良くてよ。ただ少し立ち眩みしてしまっただけ……ユキト様、手を貸してもらってもよろしいかしら……?」
落ち着いたように手を差し伸べるアクアに、俺は少し安心した。よかった、どこか悪くしたとかじゃなくて……俺のせいで大事に至ったらもう切腹ものだからね。
アクアを起こすため差し伸べられた手を握り、起こそうとしたところで、アクアに思い切り引っ張られた。
「おぉ……!?」
思っていたよりも力強くて驚いていると、勢いで上体のみを起き上がらせてアクアが、握っている手ともう片方の空いている手の両方で俺の手を包み込むように握り、頬をほんのり赤く染め恍惚の表情を俺に向けていた。
えっ何このクッソエロい表情は……って、それどころじゃない。どういう状況!? どうしたアクアァ!? やっぱりどこか体調が……!
「……最高のバトルでした。素晴らしいひと時でしたわ、ユキト様。最後はちょっと残念な形になってしまいましたが、それを差し引いてもユキト様のバトルは充分私を魅了してくださいましたわ」
「あ……ありがとう! こっちも楽しかったよ、本当に。今のバトルとか色々お話したいし、とりあえず落ち着いて手を放してもらっても……力強ぉ」
手を放そうと試みても、全く動じない。これが吸血鬼パゥア―……! てかこれほんとに体調悪いとかじゃなくて、興奮しているだけだこれ!?
そういえばアクアはなんでもできる才能で完璧であるがゆえに、敗北を求めているっていう公式マゾ設定がある。いやでもこれドローだよ? 勝ってはないけど負けても無い筈なんだが……。
「ユキト様。貴方の指導、是非受けさせてくださいな。私の知らない……もっと強い刺激を私に教えてほしいですわ」
い、言い方ぁ……まあ、それはともかくとして。
「とりあえず……俺はアクアちゃんのお眼鏡に適った、ってことで良いのかな?」
「ええ。認めますわ、貴方の実力を。……ああでも、今回の勝敗は引き分けでしたわよね? それなら私の願いを一つ、聞いて頂こうからしら?」
「……えっ? 実力見てもらう話で、言うことを聞くとかそういう話はしていないのでは……?」
「今決めましたわ。異論は認めません」
横暴だぁ! そう抗議しても聞く耳持たずで、アクアは俺に一つの命令を下す。
「私、貴方のことを気に入りましたの。だからユキト様……貴方は今日から私の下僕……お返事は?」
ぎゅっと、さらに強く俺の手を握る。しかし俺はこれに関しては断らなければならない。
正体を現したなこのメスガキが……! 大人として、メスガキに屈するわけにはいかない。わからされるわけにはいかない……! きっちりとNOと突き返してわからせてくれる!
……とまあいつもなら思うのだが。よくよく考えたら初出勤の時にガール達の奴隷決意を心の中で勝手にしてたから、今更下僕も奴隷も変わらないだろう。
「うん。これからよろしくね、アクアちゃん!」
諦めて自分の本能に従い返事をすると、アクアは俺に微笑みを返してくれた。
「ええ。これからよろしくお願いするわね……下僕様♪」
アクア「ところで師匠とはどのような方ですの?」
ユキト「シンwithクリスタルマイトっていう、ヴィジュアル系ロックバンドのボーカルやっている人だね」
アクア「教えを乞う相手を間違えているのでは!?」