ボンバーバトル黎明期のボンガ世界に転生しました。 作:ハニボン
今年もよろしくお願いします。
サッカー部のバトルから翌日。ボンバー事務所に入社してからを含め、そこそこ濃い一週間だった気がする。
今日はモモコとアクアに連れられ、とある工事現場へと足を運んでいた。
何の工事現場かというと、我々専用のバトルマップの建設である。そう、良い土地が見つからなくてとりま置いておいた件であるバトルマップだが、なんと条件に合う良い感じの土地を手に入れて今日から工事が始まったのである!
ようやく見つかった、というわけではない。これについてはアクアのおかげであり、スタッフさんがアクアにバトルマップの相談をしてみたところ、それならばアクアブルー家で所有している土地を一つ貸し出そうという話になったのだ。
それから工事の当てがあるモモコの伝手で建設工事の計画が早急に決まり、こうして現場の視察に来たわけだ。
「ミンボーさ〜ん! 今度はこっちをお願いニャ!」
現場に到着すると、大量のミンボー達がヒューマンマッスルモード(頭がミンボーで首から下が筋肉モリモリの胴体を生やしている姿)に形態変化して工事作業をしており、その中で独特な語尾で指示を出している作業着を身に付けた金髪の少女が共に作業に取り組んでいた。
何より特徴的なこのCV.悠木碧な声は……!
「お疲れ様、パイン。進捗どんな感じよ?」
「あっモモさん!」
モモコが声をかけると、名前を呼ばれた少女が作業を中断してこちらへと近づいてきた。
「順調にゃ! パイにゃん天才ですからぁ~…今日か明日にはバトルマップ完成できますにゃ~!」
「おっ流石早いじゃ~ん♪ 悪いわね、一人に任せちゃって」
「ふっふーん、これくらい朝飯前にゃ! それはそうとモモさん、隣にいるお二方は…?」
「二人はモモぴゅんと同じボンバーチームのメンバーよ。様子見がてらに、紹介しようと連れてきたの」
「アクアと申しますわ。どのくらいの進歩状況か視察しに来ましたが、まさかもう完成間近とは……驚きましたわ。相当優秀なお人のようですわね? 土地を貸した甲斐があるというものですわ」
「バトル指導役の砂色ユキトです。アクアちゃんと同じで来たけど……本当にすごいね。もうワープポイントとバトルマップが完成している。あとはマップ内の施設だけかな?」
俺とアクアは自己紹介をしつつ、ほぼ完成しつつある仕事の早さを素直に褒めていた。いやほんとに早いな。普段過ごしていると気にしないが、この世界の科学力凄いから建築とかの技術や重機が比例して向上していて工事の告知から一週間以内には完了していたりするから、前世の記憶からするととんでもないスピードである。
数十年前は企業間による土地の奪い合いや環境問題などでたくさんのニュースが飛び交い、その度にボム環境省が飛んでいき問題を解決していく涙ぐましい努力の姿が見られた……話が脱線したので元に戻そう。
俺とアクアの称賛を受けたパインと呼ばれた少女は満更でもなく、自信を持って俺達に応えてくれた。
「くふふ♪ あたしこそIQ100億の天才アイドルパイにゃんにゃん♪ できて当然のことをしたまでですけどぉ~? 指導役を名乗る助手候補も、丸コーモリさんももっともっと全力で褒めちぎるにゃ!」
「……バカイヌの次はバカネコが出てきましたわ……」
「喧嘩売っとんのかいバカ吸血鬼。……パインは発明家の才能があって色々できる娘で、こんな感じで調子乗りやすいから私以上に口を滑らせやすいけど……やる気はある娘だから大目に見てあげてね、ご主人」
「うん。でも今みたいな感じだったら悪感情は抱かなかったし、問題無いかな。元気で良いと思う」
ほんの少し心配そうにパインを紹介するモモコに、俺は安心させるように偽りのない所感を口にした。パインのことはモモコから事前にどのような娘か聞いていたのと、前世でもよく使っていたキャラで大体知っていたので忌避感なく受け入れることができた。
ボンバーガール・パイン。モモコと同じブロッカーであり、同時にボンバーアイドルユニット『プリティ・ボンバーズ』の一人で、特徴はなんと言ってもメンバーが皆最年少であり、フルーツ小学校に通っている同じ同級生であることだろう。
アイドルプロダクション『ドルプロ』が設立し支援しているフルーツ小学校。そこはプリティーボンバーズを初めとする芸能界やトップスターを目指す子供達が夢を胸に仁義なき戦いを繰り広げる芸能科学校である。
そこに通うガール達は皆何かしらの才能や秀でた能力を持っている。例えば先ほどパインが口にしたIQ100億は流石に盛り過ぎているというか、普通にバカっぽく感じて冗談にしか聞こえないだろうが……公式漫画の方ではモモコに買ってもらったアイスを落としてしまい、アイスを落とす前にやり直すためにタイムマシンを作ったり、イベントで忙しいグリムアロエのためにクローン装置を作成したりと。ギャグ描写ではあるが本当に作れているシーンが多々存在している。
公式設定では小学生でありながら飛び級で大学に通っていたり、博士号を持っていたり、なんかすごい論文を書いていたりと……IQどころかそっちも盛ってるんじゃないかと思われる設定だ。
これほんまか? とモモコに聞いてみればすべて事実らしく、大学のサイトを調べればパインの数々の功績が載っているのを確認できた。まさに動かぬ証拠であったため、疑う余地はないだろう。
それとこれは完全に俺個人の話になるが、ボンバーガールの中でもパインはちょっとした思い入れのあるキャラなのだ。
ボンガを始めたての頃は当たり前だが動き方がわからず、各ポジションの中でもブロッカーに対してはかなりプレッシャーを感じていた。防衛という重要な役割であるため、一番戦犯になるのではという恐怖があったためあまり手を付けていなかったのだ。
しかしパインが実装された時、俺は嬉々としてブロッカーへと進んで挑戦していったのだ。
理由は新しい物好きのミーハーだったのもあるが、パインが可愛かったからである。モモコとアクアが可愛くないとかではなく、単純に性癖である。ロリ巨乳というだけで十分だし、簡単に恐怖に勝るパインの登場に気分はまさに『最強』なのだった。江戸時代の頃からパインの使い手だったんだよ!(大嘘)
流石に誇張が過ぎるかもしれないが、実際パインのおかげでモモコやアクアなど他ブロッカーに触れるようになったので、ブロッカーへのきっかけをくれた意味でも少し思い入れがパインにはある。メスガキの中でもどのようなキャラかは一番わかっているつもりだ。
他のガール同様会えて感動しているが、できるだけ表情に出ないようにポーカーフェイスしている。これ以上変人判定はされたくないからね!
「にゃにゃ! モモさんがパイにゃんの心配をしてくれるのは嬉しいですけどぉ~……自分の心配をした方がいいんじゃないですかぁ? パイにゃん天才なのでぇ、アイドルリーダーの座をモモさんから正々堂々引きずり降ろして頂いちゃいますよぉ?」
「はん! おもしれえ、やれるもんならやってみろい!」
「背中気ぃつけろ♡」「前見て歩けや」とパインが野心溢れる挑発をし、モモコが跳ね返すように強気な態度で衝突する。原作でのやり取りだと人知れず感動していると、隣でアクアが話の中でちょくちょく出ていたとあるワードに反応していた。
「先ほどからアイドルという単語が聞こえましたけど……お二人はアイドルなんですの?」
「そういえばまだアクアちゃんには……というか新メンバー全員にちゃんと話してなかったね。モモコちゃん達はこれから行われるボンバーバトルチャンピオンシップのタイミングに合わせてデビューする予定のアイドルグループなんだよ」
そう。これは俺が採用される前、プリボムのメンバーとスタッフさんが取り決めていたアイドルデビューのタイミングである。
歌って踊れるだけのアイドルではインパクトがない。ならばその名の通りボンバーバトルをするアイドルとして売り出そうとコンセプトし、デビュータイミングを大きな大会の時……スタッフさんが昨日バトル終わりにみんなに話したボンバーバトルチャンピオンシップの予選開始時にしようと決めていたのだ。
プリティーボンバーズのメンバーは四人。今目の前にいるモモコとパインの二人と、あともう二人はと説明しようとしたところに、モモコが代わりに続きを話してくれた。
「一人は医師免許取得のため、もう一人は実家の用事で今は別々のとこにいるわ。……なんで医師免許取りに行ったのかしらあの子…」
「プルさんもまたパイにゃん級ということにゃ~」
二人はそれぞれ思い思いのことを口にしている。まあ、デビュー前だからタイミング的にも医師免許取りに行くなら今しかないもんなあ。
一人で納得していると、アクアがモモコとパインの二人を見ながら言った。
「アイドル……アイドル……? あなた達が? ペットショップの間違いではなくて??」
「パイン! この青いの一緒にシバくぞ!!!」
「了解にゃ!」
おーほっほっほ! とアクアが高笑いしながら俺を盾にして逃げモモコとパインは「がるる!」「にゃあー!」と威嚇し、俺を中心に周る追いかけっこが始まっていた。
メスガキが1匹、メスガキが2匹、メスガキが3匹……いかんいかんメスガキ催眠術に掛かっている場合ではない。止めなければ。
「どーどーどー……二人とも落ち着いて」
少し前に見たジュラシックボンバーワールドという映画での名シーンで、主人公達に迫るボンバーティラノ、ボンバースピノ、水陸両用バグロスMk-3の三体を両手を広げて制して落ち着かせるシーンがある。俺はそれを真似してモモコラプトルとパインタイガーを両手で制し、なんとか落ち着かせることに成功した。
「はあ…はあ…無駄に時間使った。こんなことしてる場合じゃないっつの! パイン! あんた今日は何時まで作業するつもり?」
「ん~? 特には決めてにゃいですけど……何かあるんですかにゃ?」
「ええ、今日の夕方から新メンバーの歓迎会があるの。そこでパイン、あんたもそこで紹介するつもりだから今日の作業は早めに上がって参加してちょうだい。プリティーボンバーズのデビューはもうすぐなんだから、メンバーが半分でも私とあんたで売り出す準備をしていくわよ!」